− その8 剱岳アタック(2) 下りも気を抜いちゃいけません −



登山路と下山路の一方通行区間。この時は渋滞してませんでしたが‥

そんなわけで下山開始。とはいえ下りでも気を抜けないのが剱岳でありまして、何たって岩場は登るより下る方が恐いんです。登りの場合は目視で手がかり足がかりを確認してから登って行かれますが下りはそうはイカナイ。しかも「見えない足場をまさぐる」こともあったりするんで(一般ルートなのに!)結構キビシイです。

32年前の断片的な記憶として「カニのたて這い(登り)」「カニの横這い」ともに「へっへーナンボのもんじゃい」的にあっさり通過したというのがあるんですが、今回カニの横這いではちょっと足場まさぐりに手間取って一瞬鎖に頼るという愚行に及びました。岩場で垂直に立たずへばりついていたから見えるものも見えなかったわけで、それこそ32年前をネタにせずとも、たった12年前にはフリークライミングで11cくらいなら何とか登れていたTakemaと同一人物とは思えません(大笑)。いいのだ、時は流れるためにあるのです!(意味不明、鯵の開き直り上等品はやっぱり美味しい)。



ここが一般ルートといえるのは、縦走路ではないため荷が軽いからでしょう。ま、早月尾根からテント背負って上がってくれば別ですが。

梯子(ハシゴ)が苦手という方もおられるようですが、これほど固定された&歩幅等間隔で安心して歩ける人工物をわたしはほかに知りませんので大好きです。そして下山路も右上画像のような場所ばっかりなんで(登山者が何人か写ってます)、たまにはこういう「変化」が嬉しいんですよ。

実際にそれほど大変ではないけれど、左上画像は絵的に剱岳の往復路イメージっぽいですね。そういえば往路で「早々と下ってきた下山者が岩にザックを引っかけたのか鈴だけが外れてはるかなる下界までチリーン、チン、チンチン‥(以下略)」となったのを見たんだっけ。もちろんわれわれはナントカの藻屑にはならずに済みました。

そんなこんなで岩場鎖場修羅場阿修羅場@ちょこっと渋滞中を通過して登り返し前剱の頂上まで戻ってきました。




(上画像にマウスオンすると頂上部分のズーム画像に変わります。人の姿も見えてますね)

もっとも、昨日の剱沢小屋チェックイン時に「特に下りは注意してください、前剱まで下りてくればと思って油断するのかガレ場の下りでの事故が多いです」と言われていましたから気を抜いちゃいけませんね(あ、でもこのことをおしんこどんには伝えていなかったような気がする=いま思い出した=結果オーライだけど反省)。

でも平らな場所自体が頂上以来久々なので、まぁ少なくとも頂上では気を抜きましょう!



そんなわけでいつものポーズです。でもこれだけじゃ満足できなかったのでもう1枚ずつね(下画像マウスオン)。



Takemaは向きを変えただけですが、おしんこどんは予想外の人魚姫亜種ポーズ(笑)。

しかしガレ場をクリアすればあとはもう楽勝、のどかな尾根散歩が続きます。右上画像の一服剱で休憩したあとそのまま剣山荘へと下り、剣山荘の玄関まであと2分といった感じのすぐ真裏‥





雪が溶けたばかりのあたりで親鳥とヒナ4羽がうろうろしているのを発見(というか先行者さんが見つけていたのでラッキョー)。若ヒナは小さく見えますが、この時期(7月下旬)にしてはそこそこ大きく成長しているように見えます。4羽がみんな元気に成長していくのはなかなか難しいと思いますが(そもそもライチョウの個体数自体が10年前に比べてもかなり減少しているようですし)、頑張って生きていけーっ!



そんなわけで剣山荘で小休止ですが、ここまで来たら剱沢小屋も遠くないのでよっしゃラストの1ピッチ!



往路では気付きませんでしたが、ナナカマドがあちこちで花を付けてました(左上画像マウスオン)。右は何の花だか不明です。

最後に雪渓から剱岳をふり返ると、この時はガスが渦巻いていましたが、基本的にあの頂上直下での「うをおおおーっ!」で一気にガスが晴れたとき以来頂上付近はほぼ好天が続いているようです。というわけで、「昨日登った人はサイコーだったけれど、今日登った人もサプライズ付きでサイコー!」ということでした。唯一、未明登山でガスが晴れる前に頂上から下山した方々のみ「無念残念がっかり感の塊」だったかもしれませんが(いつかいいことありますよ)

そんなわけで左画像の時間に剱沢小屋到着。全行程で8時間10分かかったことになりますが、少なくとも頂上では1時間ほどのんびりしていましたし、その他の休憩&岩場渋滞の待ち時間を含めればまぁこんなものなのかなというところです。

さてそんなわけで本日のおつかれさんビール&ランチタイムです。ビールについては右上画像マウスオンで表示されますが、ちょっとこだわったのはランチ。実はこの時のために焼き網をわざわざ持参していたのです(大した重さじゃないですが)。

お隣のグループから「それ、むちゃくちゃ旨そうなんですけれど!」との光栄なるツッコミをいただいたほどの贅沢ランチでありました(残念ながら食べるのに夢中で画像なし)。いやでもわれながらホントに美味しかったですし、せっかくなら剱の頂上でこれを食べるべきだったかも?いや、でもバテの余韻を引きずる頂上だとTakemaにはイマイチだったかと。ビールも飲めないし(というか白湯しかなかったわけだし)。



さてお腹も満ちたところで「昼間っから焼酎タイム突入」というのも魅力的なのですが(というか昨日もすでにそのパターンだったし)、でもその前にここ剱沢小屋にある「温水シャワー」を体験してみようかと。前ページにも書いたとおりおしんこどんはこの前日にも利用した上で「Takemaくん気持ちいいよ浴びてきたら?」と声を掛けてくれたのです。しかしその時点のTakemaの思いはといえば‥

というネガティブ評価でありました。しかしこの日も「気持ちいいよー」のおしんこどん発言に、「それでは何ごとも経験、浴びてみましょうか」というわけでシャワー室へ。浴後の結論、それはあまりにも皆さまの予想通り、

というものでありました(笑)。ただし石けんやシャンプーの使用は認められていませんし、ネイチャー何とかもやめておくべきだと思います。ただ浴びるだけで十分にサッパリしましたからそれで十分です。ちなみにおしんこどんが目撃したところによるとこのシャワーの設定温度は何と「60度」だったらしい(驚)。しかし湯温は適温、さすがに雪渓から引いてきた雪解け水を一気に沸かすのは大変なんだなぁ。

このあとは疲れもありちょこっとお昼寝(1日歩いてきてお昼ご飯+ビール、さらにシャワーさっぱりときたらもう寝るしかないでしょう?)。夕方17:00からの夕ご飯も「別にさっさと食べなくてもいいか」と思っていたのですが、昨日同様「夕食付きの方は是非今すぐお越し下さい」とのこと。それじゃというわけで行ってみたわけですが、




「準備中」ではありませんでしたが(笑)、「揚げたてトンカツを食べてほしいからっ!」という思いは十分に伝わりました。冷製パンプキンスープも美味。

この旅行中、おしんこどんは「剱沢のとんかつ美味しかったねー」と何度か嬉しそうに叫んでおりました(笑)。いやぁ、確かに昔の山小屋ご飯とは全然違うんですね(ただしTakemaの言う「昔」とは数十年も前の「後立山カレー縦走」という刷り込み記憶ですので念のため)。

このあとはさっさと横になりました。明日はルート的に静かな山旅となりそうですが、さんざん下ってから一気に登るんだよなぁ。
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