− その9 剱沢雪渓を下り裏剱方面へ(1) 雪渓下りを楽しんで二股でラーメンランチ −



朝ごはんもしっかり食べて、さーて今日も1日頑張るぞー的な時間帯です。

そんなわけで明けて翌朝。この日は剱沢小屋(2450m)から剱沢を真砂沢小屋(1740m)経由で二股(1580m)まで、標高差にして870mを一気に下り、そしてそこからは2150mの仙人峠まで570mを一気に登り返すという、喜びと悲しみをごった煮にしてどんぶりご飯にぶっかけちゃえ的な行程です(意味不明なのはいつものこと)。なお標高については地図から読み取った数値なので誤差があると思います。で、仙人峠からはすぐ近くの仙人池ヒュッテではなく、縦走路から外れた池ノ平小屋(2050m)へと向かうというわけです。

何度も書いていますが、わたくしTakemaは中高と山岳部に所属していました。大学でも登山のサークルに属し、社会人になっても休みとあらば山ばかり登っていました。北アルプスにも春夏秋冬問わず何度と訪問しており、いまだに踏んでいない稜線上のピークといえば焼岳と餓鬼岳と赤牛岳くらい(ただしバリエーションルートは行ってません。北鎌尾根とか、体力のあるうちに行っておけばよかった‥)

しかしその一方で、いまだに歩いたことのなかったロングコースがありました。それが剱沢と欅平を結ぶ、今日これからのコースなのです。そんなわけでここからはTakemaにとってのバージンロード(え?言葉の使い方が違うって?)、そんなわけで、この日は初めてのルートを通る楽しみと、標高が下がったところからの急登はしんどそうだな系のユーウツ感が「新じゃがの煮っころがしにゴーヤのスライスをのせたらどんな味わいになるだろう」的に交錯していたのです(お決まりのスルーよろしくです)。

ちなみにこの日(2012/7/29)、朝方の剣岳方面の眺望はこんな感じ。われわれが往復した昨日に比べても明らかにガスっていて、こりゃあ昨日のようなサプライズは望めそうにないかも‥。実際、この日頂上を往復した人のブログでは視界ゼロだったようです。うわーぎりぎりお天気OKのラッキーピエロだったわけですね!(函館人に理解してもらえればそれでいい系ネタ=最近は想像力が減衰及び枯渇してきたのか「力ずく」系ネタが増えてきたなぁ)。

それでは剱沢を下り始めましょう。しばらくは雪渓の脇の夏道を行きますが、雪渓が切れているクロユリの滝を越えた先で雪渓に降り、そこからは軽アイゼンを着用して下ります。



夏道を歩き、案外ちいちゃなクロユリの滝(右上画像)の下で軽アイゼンを装着したわけですが(右上画像マウスオン)‥



実はTakemaはこれまで軽アイゼンを着用したことがなかったのです。初めてアイゼンを着用したのは中3だったと思いますが、南八ヶ岳の春山登山だったので確か10本爪&昔懐かしい「二本締めバンド」でありました。なお、「二本締めのバンドをいいかげんに締めると行動中にどっかが外れるんだよね、両足で4箇所締めるからどっかが甘くなるんだ」と懐かしく思い出された方は是非いつかどこかで一杯やりましょう!。

そのあと冬&春山では12本爪のアイゼンを使うようになり、確かNZのCopland Pass(氷河経由の往復)でも、12本ゆえ前に突き出た2本のツァッケ(爪)があればこそで稜線まで上れたと思うのです。

でも今夏直前、たまたま京都出張の折にモンベルショップを見つけて「6本爪?それならX字の4本爪よりはいいだろう」と思い、自分の分も含めて2人分購入したわけです。しかし結論から申し上げれば‥

やっぱりできるだけ足裏に満遍なく爪があってこそアイゼンとして一人前なんですよね。いやもちろん「無いよりははるかに楽」なんですけれど。



ふと思うのですが、左上画像のおしんこどん、Photoshopで貼り付けたかのようにように見えません?(笑)。



しかし、見た目以上の急傾斜に怯えるおしんこどんは斜め下りにて慎重行動。その右手にピッケルでもあると大分違うんだけれどね。



しかし雪渓はまだまだ続くというわけでちょっと途方に暮れております(笑)。もっとも、ゆっくり下れば大丈夫なんですが。

それでも平蔵谷の出合あたりでいつものマーキングポーズに励んだりしながらぼちぼちと下っていきます。すると、下から6-7人のパーティが登ってくるのが見えてきました。ははぁ、たぶんあの一行が‥。

実は剱沢小屋滞在時に、何気なく小屋のスタッフと常連さんの会話を聞いていたところ、「今、真砂には三浦(雄一郎)さんが入ってるよ。29日に下るってことらしい」という発言を耳にしたのです。この日は29日、しかもこれまでに雪渓ですれ違ったパーティはなしというわけで間違いはなさそう。

6人パーティの中にお1人だけ年配の方がおられたので間違いなくあの方が三浦雄一郎さんでしょう。直接お話ししたわけではありませんが(そりゃそうだ)、当然足取りはしっかり‥あ、昨日の頂上直下のTakemaのヘロヘロぶりを思い出してしまった(苦笑)。Wikiってみたら御年80才というのも驚きですが、75才でエベレスト登頂を果たすほどの方なのですから‥。

そこからさらに下っていくと、剱沢の雪渓が切れている「ナムの滝」部分を避けるために巻き道を進むようになり、やがて正面に真砂沢ロッジが見えてきました。

到着は7:55。剱沢小屋出発が5:50でしたからほぼ2時間かかったことになります。まぁ休憩込みですしおしんこどんの慎重歩行を考えればそこそこのペースです。それにしてもここまで700mも下ってきているのに足の疲れは全然なし。やっぱり雪渓下りは足の負担も少ないなぁ(軽アイゼンのおかげともいう?)。水筒の水を冷たいものに詰め替え、ここからは沢沿いの夏道を歩くことになります。

なぜか工事現場用の標識に導かれて二股方面へ。今シーズンはまだ草刈りが行われていないのかヤブが濃い目ですが、それよりも何よりも、剱岳周辺のあの混雑と喧噪はいったい何だったんだと思うほど登山者が圧倒的に少ないっ!今日ここまでに見かけた登山者といえばたった3パーティ9人だけ(そのうち6人は三浦さんパーティ)、夏山登山の最盛期なのにこのガラガラ度にはかなり驚きました。

ところどころに残る雪渓で楽をしながら進むうちに、ハシゴ谷乗越・内蔵助平経由で黒四ダムへと続く道との分岐に到着です。剱沢本流にはつい最近架設されたとおぼしき橋がありましたが、この橋がまた細くて恐そう(右上画像マウスオン)。でも「橋を架けた方」の苦労を思えばねー。もちろんわれわれはこのまま沢沿いを下るので渡る必要はないのであります。ちなみにうわさでは「内蔵助平方面の道もかなりエグイ」らしいですが、いつかTakemaが行くことはあるのかな?

花々を眺めつつ下っていくのはいいんですが、ところどころ高巻いたりへづったりする場所があるのはしょうがないですね。よく手が入れられていて通過には何らの問題もありません。案外地質が脆いのか、クサリの支点をザイルであちこちの木に分散させているのを見ると、この登山道の維持管理の大変さを感じます。



さーて高巻き道の始まりだよー、ずんずん登ってずんずん下るよーっ!



へづりもあるよー、足場が沢側に傾斜しているのでクサリを使わないと無理!

二股まではまだ少しあるかなぁと思い、おしんこどんに「このあたりで休憩する?」と聞いてみたら「もう少し行こう(ここは景色とかイマイチだし)」ということで歩くこと数分、立派な吊り橋が。おお、どうやらここが二股のようです(手前で休まなくてヨカッタ)。



立派な橋ですが、シーズン終了時には解体撤去されます、黒部の冬はキビシイのです。

少し前に「氷河」の存在が確認された三ノ窓雪渓および小窓雪渓から流れ出す沢水でのどを潤し顔を洗い、気持ちいいところなのでここでお昼ご飯にしちゃおうということに。コンロを出してラーメン1袋を茹でます(いつものことながら少食人種なので2人で1袋)。具にはレトルトパックのコーンを入れましたが、味噌ラーメンといえば‥



いやぁ旨かったぁ!そんなわけでのんびりランチを終了し、いよいよ本日のメインイベント、仙人新道の570m急登とまいりましょう!
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