− その10 急登を終えて裏剱池の平小屋へ。お迎えあり風呂ありでスバラシイ!−

そんなわけで二股からは仙人新道の急登です。河原からは三ノ窓雪渓が見えていますが(よーく見ると雪渓上を行く3人のクライマーの姿が見えました=左上画像マウスオン)、ここからは樹林帯を一気に上がっていくことになります。Takemaも夏山登山における必携品であるウチワを出してスタンバイ。屋久島の愛子岳ではこれを忘れてヘロヘロになったんだよなぁ。

うーんマンダム、じゃなくて(古ネタ)、うーむやっぱりきつい登りです。大幅に標高を下げちゃっているので気温も高く、ここは耐え忍ぶしかありません。ふと視界が開けたあたりで剱沢本流の行く末に目をやると‥

そう、二股から先、黒部川本流に至るまでの剱沢は一部のクライマーを除き人を寄せ付けない人外魔境エリアなのです。もちろんこの仙人新道も剱沢下部をパスするためにあえて一山を越えるという「強引だけれど絶対確実」なコース取りをしているわけですから‥。ところで、登っていくうちにチョロチョロ系の水場発見(右上画像)。水量はホントに僅かなんですがコップの中に砂の混入は皆無、もちろん美味しくいただきました。

登っていくうちにどうやら尾根の上に出たようですが、予想通り灌木の背は低くてアブラレまくりとなりました。

Takemaの登り最大武器であるウチワをフル稼働させて登っていくと、木のベンチがある小広場に出たので休憩。うーんマン‥いやしつこいのでやめますが、チンネとかジャンダルムとかニードルとか、とにかくウニの棘のような(何という喩えだ)岩峰群に目を奪われます。ここで休憩中、「そういえば」というわけで持ってきていたスポーツドリンクの粉末(PB品ですが)を水筒に投入。いやぁこれは美味しかった!やっぱり身体が水分以外の何かを求めてたのね。

なおもくそ暑い&たまに微風レベルの尾根を登っていきます。登山道沿いにはクロマメノキがたくさん生えていて、その身が徐々に大きくなりつつあるタイミングだったのですが‥

時期的にちょっと早くてまだ食べられるまでには色づいていない‥と思ったら、ありました!(右上画像)。そんなわけでおしんこどんに謹呈。だってこれより前にひそかに1個見つけて食べてたんだもん(笑)。

さらに登りは続きます。途中、「何だかそろそろ分岐の峠に着きそうな感じだよ」とおしんこどんに宣言してからもまだ結構距離があり信用を失いました(笑)。と、ここでおしんこどん「小屋が見えたよ!」というので見てみると‥(左下画像マウスオン)、

で、ようやく「味も素っ気もない仙人峠の分岐」へ。結局休憩込みで2時間30分もかかってしまいました。

しかしここからはご覧の通りチングルマ咲き乱れる木道が。ガイドブックにもトラバース道だと書かれていたし「花と地塘の池の平小屋へは」山上のプロムナードを満喫しながら行かれるのかなと期待していたのですが、その期待は50mほど進んだ先でみごとに裏切られました(笑)。



ま、これはちょっと極端な絵です。ハシゴは2箇所ありますがそれぞれ数段ですし、雪渓もちょっと急ですが1箇所だけでしたし。でも確かに仙人峠から池の平小屋までは100mほど下ることになります。ということは明日は登り返すわけね(苦笑)。

そんなわけで本日の終着点、池の平小屋に到着です。しかしここで、いきなりびっくりサプライズが!(同じでしょ)。小屋の前の広場にはパラソル日除け付きのベンチがあるのですが(右上画像マウスオン)、そこにどなたかがお1人座っておられるなぁと眺めつつ到着してみると、やおらその方が立ち上がり‥

へ、へ、へえぇ?これっていったい?(大笑)。ちなみにこの方Kさんは仙人温泉小屋公式サイトにも実名が出ているのですが、一応イニシャルで書いています。いやそれよりも何よりも、ここ池の平小屋にどうして仙人温泉小屋関係者のKさんが、しかも「われわれを迎えに」?(これが一番謎ですよね)。

話せば長くなるので大分はしょって説明しますが、仙人温泉小屋のご主人であるTさんが(あ、こちらも公式サイトで実名入りですが)奥会津のある民宿のSさんと関係が深く、そのSさんとわたしとに多少のつながりがあったことから今回の予約時に「Sさんとの関係もあるTakemaと申しますが‥」と申し上げたところ、「それは是非ともお待ちしています!」というお返事をいただいていたわけです。しかし‥



「何だ何だなんなんだ?」と、この時は自分もよくわかっていないままとりあえず記念写真だけはしっかり(笑)。

Kさんは仙人温泉小屋の関係者のみならずいろいろな意味ですごいパワーをお持ちの方で、たとえば今年(2012)春から「佐多岬から宗谷岬まで歩いて日本縦断」を決行したそうなのですが、

いやKさん、それって笑い流す話じゃなくてものすごいことですよ!(剱の登りの最後でバテたことはこの方の前では封印だなと誓いました(苦笑)。もっとも山慣れしたのか仙人新道の登りではごく普通に登っていましたが)。

しかもパラソル下ですでに日本酒をぐぐいっと楽しまれていたご様子。うん、その方面はわたしも多少エキスパートなんです!(大笑)。というわけでまずはチェックインしてきます、そしてそのあとの某ミッション後、じっくりお付き合いをお願いいたします!



そんなわけで池の平小屋へチェックイン。エントランスにはどこぞのお店から流れてきたような椅子が並んでました。



小屋の内部は昔ながらの雰囲気で、こういう感じ、かなり好きです。混んでいたら大変でしょうが。



ちなみにこの日の泊まり客はKさんを含めて6人でした。メインルートから外れた小屋ですが、それゆえ静かです。

さてミッションです!Kさんは「湯っくりして下さい」とおっしゃって下さるので、ここで一発、

尾根上にある池の平小屋ではありますが、引水により水は豊富です(ただし温泉とか冷鉱泉じゃないですよ for その方面関係諸氏)。ただ、この周辺には古い鉱山採掘跡も多いことからもしかして何かが湧き出てい‥(以下略)。なお、小屋の前にはモリブデンの原石が置かれておりました。が、それを一瞥した上で(わたしゃ地質学者じゃありませんので)赤くペイントされた小屋の扉を開けると‥

そう、池の平小屋には小さいながらお風呂があるのです!(来てみて初めて知りました)。しかも早めに着いたこともあって一番風呂OKらしいのです!まずはおしんこどんに入ってもらった上で(レディーファーストとは「男性が危険を避けることから始まった」との意見もあるようですがどうなんでしょうか?)そのあとTakemaもいざ浴室へ。

完全1人用のポリバスと、その横に鎮座する灯油系湯沸かし機材。掲示によると「(ボイラーではなく)ストーブ方式で湯を沸かしているため、沸かすのに3時間ほどかかります。お湯を大切にお使い下さい」という旨の掲示がありました。あとで聞いたところによるとおしんこどんは「お湯が熱かったので水でうめてアビルのみ」ということでしたが、温泉であろうと無かろうと、Takemaとしては湯が溜められたポリバスを目の前にして入浴を敢行しないのはいかがなものかと(笑)。そんなわけできちんと洗い業務を執行した上で‥




(ちなみに勝手がわからなかったので扉を閉めましたが、男だけなら開けておいた方が気持ちいいはず)

にょはほぉー、昨日の剱沢小屋のシャワーも気持ちよかったですが、こちらの浴槽もたまりませーん!髪の毛にも湯通ししてサッパリ(石けんやシャンプー不可は場所柄当然です)。

ちなみに露天風呂もありましたが、こちらは混雑時に臨時の男湯として使われるのかな?しかも五右衛門系で直沸かしと思われます(笑)。もちろんこの日は湯どころか水も入っていませんでした。

このあとは個人用のプラケースにこのあと必要となる「備品」を入れて(右上画像)、小屋前のパラソル宴会場へ。Kさんと一緒に昼間っから風呂上がり宴会という算段です。あ、実は洗濯(水洗い)とかもやってましたが(笑)。



われわれの到着時すでに日本酒行動を開始していたKさんですが、ここからはビールのあとTakemaも芋焼酎行動作戦でKさんを追いかけます(笑)。おっと、そこにソロでテント大縦走をなさってきた方が乱入!(というかKさんが引き込んだ?)。そんなわけで4人で宴会となりました。天気はご覧の通りでうっひゃー最高!

残念ながらすぐ下にある平の池界隈はまだ雪に閉ざされていました(見に行かなくて済んだので楽だったともいいます)。近くに猿のグループがやって来ましたが、別に何をするでもなく少しずつ移動していきました。小屋番さんいわく、特に悪さはしないんだとか。そういう関係だといいですねぇ。

このあとしばらくして夕食。前述の通りこの日の小屋泊まりは3組6人なのでこぢんまりとした感じ。お孫さんの男の子を連れてお越しのご夫婦としばし歓談です。お孫さんといっても中学2年生だということでしたが、彼がまたいい感じの受け答えの出来る子で好感度高し。それにしても両親は山に来ないんでしょうか?(笑)。

ちなみにKさんは日々のお疲れか飲み過ぎか(たぶん前者)、早々と布団の国の王様になってしまわれました。そんなわけでわれわれもそろそろ寝ることにいたしましょ、何たって明日は‥

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