− その16 いよいよ最終日、阿曽原から水平歩道を欅平へ(1) −



山小屋であっても温泉宿には変わりなし、よって朝湯をいただくのは当然の助動詞!

今回の山旅もいよいよ最終日となりましたが、この日も上天気。前にも書きましたが、

いや、確かに池の平小屋では寝入ったあとに屋根に叩きつける雨の音を聞きましたし、仙人温泉の野湯掘り中にはちょっと小雨が降ったりということもありました(傘をさすほどではなかった)。しかーししかし、メインの歩行中に雨に降られることはこの最終日も含めて一切なかったんです。剱岳の直下で一気に晴れたことも含め、日ごろのわれわれがあまりにも品行方正すぎる正しき生活を行っていることはこれであまりにも明白に実証され過ぎてリンダ困っちゃう状態なのであります!

この日も谷あいの阿曽原ゆえまだ朝日は射し込んでいませんが、射し込んだら一気に暑くなるしというわけでまずは朝湯をいただくことに。夕方から夜にかけては男女別の時間設定がありますが20:00以降は混浴、朝においても設定はありませんので混浴かということでおしんこどんと共に露天湯へと下っていったわけです(4:45)。

幸いなことに先客なしということで2人して朝湯をタンノー。ちなみに登山者の皆さんは朝湯に関心ない方が多いんですがじぇったいモッタイナイよなぁ。このあと男性2人組がお越しになり4人でこれまたタンノーしました。お2人は仲良しなんですがそれぞれ自営業で長い休みが取れないんで、ぎりぎりになって「週末、行かれる?よっしゃGO!」という感じで楽しまれているそうです。

さて、朝方ゆえ気温が低いのでモウモウと湯気を上げていたかのトンネル。時期によっては入口が脱衣場になっていることもあるようです(時間別の利用区分があるので、女性用云々というよりは雨の日対策なのでしょうが)。とりあえず行ってみましょう。

熱い湯気は上方から抜けているのでそこそこ進めますが‥すぐ先に湯をせき止めている石組みがあるのでそこでストップせざるを得ません(左上画像マウスオン)。と同時にむわっとした熱気が押し寄せてくるので我慢できずに即退散。しかし工事当時の切り羽温度は160度だって?信じられない温度というか、よく生きていられたというか‥。(「高熱隧道」を読まれた方ならわかりますね)。

さーて朝ごはんは6時から(もう少し早くに始まりましたが)。



ごく普通の山小屋ご飯でしたが、これはこれでヨロシイ。少食だからかえってありがたいのです。

さて出発は宿泊客中ほぼラストの6:50。今日は欅平まで下って‥そのあと実は宇奈月まで下らず途中の黒薙温泉旅館に泊まることにしたのです(阿曽原小屋には公衆電話があるので昨日のうちに電話で予約しました)。それにしても、こんなに天気がいい日が続くとは思ってもいなかったので予備日が余っちゃいました。下山後もまっすぐ帰宅するわけではないので、この翌日もどこかで1泊しなければ。

いよいよ出発しようかというところで、ここでTakemaのとっても大きな懸案を解決してくださった小屋主のSさんにとことんお礼を申し上げねばなりません。それは‥



実は前日の雲切新道下部で「どうも右の靴の感じがおかしいなぁ」と感じ、よく靴を見てみたら、何と足先の靴底ゴムが剥がれ始めているではありませんか!まだ大規模な剥離にまで至ってはいませんでしたが、まだまだ欅平までは何時間も歩かねばならず「とにかく阿曽原まではもってくれ、阿曽原でボンドか何かをお借りして仮補修しよう」と考えていたのです。

小屋に着いて佐々木さんに靴のことをお話しすると、次のようにおっしゃって下さいました。

そんなわけで、ご覧の通り完璧に仕上げてくださいました。しかも「左足も時間の問題かも知れませんので念のためやっておきました」という有り難きお心遣い!おかげで欅平までは何の問題もなく歩くことが出来ましたし、到着後靴裏を確認したところ、ビスの欠落やゆるみも全くなし!この靴、これならまだまだ現役で使えるかな?(笑)。

足下の不安が無くなったところで出発前の記念写真。と、Takemaのうしろにいたおしんこどんが突然笑い始めました。どうしたのさと聞くと‥

左上画像マウスオンでその時の画像に変わります(苦笑)。今回は日焼け止めを塗っていたので顔部分の日焼けは最低限に抑えられました。また首には常時タオルを掛けていたので首すじも大丈夫のはず‥が、まさかその上の部分がこんなことになるとは!ま、気にしてもしょうがないので出発しましょ。

歩き出してすぐに小沢を渡ると、再び水平歩道の高さにまで登り詰めます。小屋がどんどん低くなっていきますが、よく見るとSさん(たぶん)がこちらに向かって手を振ってくれていました。いろいろとありがとうございましたーっ!

しばらく登ると水平歩道に出たので「よーしこれでもう登りはないぞ」と思いきや、途中で崩落でもあったのか、一気に高巻く道(右上画像)になったりしてげんなり(笑)。

ようやく平らになったなと思う間もなく徐々に山が急峻になってきて、いよいよ水平歩道の本領発揮という感じです。右上画像の桟道の下は100m以上すっぱり切れていて、絶対に油断は禁物。しかしそのまましばらく進むと、今日の行程中唯一といっていい「ゆっくり出来る休み場」、折尾ノ大滝に到着です。

滝といえば真下まで行かないと気が済まないおしんこどん、手を上げたり足を上げたりと忙しそう(笑)。

ここで水を補給し、しばしのんびりしたところで出発です。このあとはオリオ谷、大太鼓の岩壁、そして志合谷と気が抜けない場所が続きますので、何だか最終日とは思えない緊張が必要とされます。しばらく歩いていくと、まずは最初のポイントであるオリオ谷です。一部に雪渓が残るこの沢をどうやって渡るかといえば‥

かなり古い堰堤ですが、この堰堤を造る時点ですでに雪崩対策が考えられていたわけですね。しかしある人(あ、職場のオーナー氏ね)は「以前に通ったとき、内部の通路には水がたまっていてすごいことになっていた」ということですし、果たしてどんなことになっているのやら‥。

入口付近には上から水が落ちてきていましたが、これが洞内に流れ込んでいるということなのでしょうか。で、いざ内部を見てみると‥うん、確かに水はたまっていますが思ったほどの深さではないみたい。どこかに排水路でもあるのでしょうかね。というわけで難なく通過。
実際のところ、阿曽原側の階段下右側に水抜き用の穴があるそうです(気づきませんでしたが)。それが詰まるとこの通路がプールみたいになっちゃうわけで、阿曽原小屋のサイトによると、「ズボンを脱いで、荷物を頭上に掲げて来られた登山者が、平成5年から今までに2人おられます!」とのことですからオソロシイ(苦笑)。

トンネルはともかくとして、そこから山腹への取り付きは少し荒れています。雪に埋まる期間が長いのと、このあたりは岩ではなく土の斜面なので道を造ってもすぐに崩れてしまうのでしょう。

さてさてこの続きは次のページにて。
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