そんなわけで北大東空港にやって来ました。これから乗るのは昨日那覇から乗ってきたのと同じダイヤでの運航便で、「那覇−北大東−南大東−那覇」と日帰りで周回する機材です。
南北大東島に関する航空ダイヤはちょっと複雑といえば複雑で、要はこんな感じの運航スタイルのようです(夏期等はどうなっているかわかりませんが、実は観光客の入り込み数は「冬が一番多い」らしいので、たぶん通年のダイヤかと)。なお、各島の縮尺は意図して変えていますので、間違っても距離やサイズのイメージをこの通りだと思わぬようお願いします(笑)。 |
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週末絡みで旅行するわれわれは当然オレンジコースで移動するわけですが、さてここで上記「○○○」の種明かしです。北大東島から南大東島、それぞれの島を最短距離で結ぶとたった8kmしかありません。各空港のターミナル同士を結んでもたった12.6kmしか離れていないのです。つまり‥
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ダイヤ上は15分の所要時分(機材のドアが閉まってから再び開くまで)となっていますが、実際に滑空している時間はそれよりはるかに短いはずです。ネット上の情報では「3分くらい」という話もあり、これは是非楽しんでみなければ!
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そんなわけでまずはチェックイン。しかしとてつもなくすぐに終わったので(まだ1時間近く前なので誰も並んでないし、そもそも北大東から南大東に渡る地元の人は普段そう多くもない)、そのまま2Fにある喫茶店「大東ラグーン」へ。前にもちらりと書きましたが航空機の発着に合わせ1日2時間しかオープンしないお店です。
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何だか入り口は業務用というか味も素っ気もない扉ですが、店員のお姉さんはそこそこきさくで、コーヒーも淹れたて(そのぶん時間はかかりましたがそりゃ当然)。ちなみに何人かの方々がおみやげのチェックがてらか顔をのぞかせましたが、この日のお客は結局われわれだけでした。料金を失念してしまいましたが、確かアイスコーヒーは300円しなかったような?
そろそろ那覇からの飛行機がやってきそうなので、2Fの展望デッキに出て見学。うぉーっ、北側から旋回してきて南側から着陸!え、ということは本日の飛行ルートは‥。
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飛行機は鳥と同じく向かい風で離着陸します(というか飛行機が鳥を見習ったという方が正しい)。となればまぁ冬場は基本的に北風ですからこの離着陸はしょうがないわけですがちょっと残念、でもまぁそれでも思い切り近距離なのは間違いないですね。
でもそうなると「最短飛行時間」は当然期待できないわけです。せっかくこの区間に搭乗するのにこればっかりは残念無念。でも滅多に乗れないのも事実なので‥
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そんなわけで、レシートそのもののチケットを手にしましたが、これは座席を確認するためだけのもので、搭乗にはバーコード付きの予約証が必要。となればこのレシート、無駄な気がするんですけれど‥
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そんなわけでいざ琉球エアコミューター836便へと乗り込みます。自分もおしんこどんの立ち位置でマッカーサー風にパイプをくわえてみたいんですが、諸般の航空叙情により自粛しました(というかそもそもパイプを持ってないって)。
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機内はごらんの通りの混雑度(要はかなりガラガラ)。乗降のドアが閉まったらデジカメも撮影できないんで(以前は「デジカメはいいんでしょ」と勝手に思いこんでいて結構パシャパシャ撮ってましたが、「ダメなのよ」と知ってしまうと確信犯にはもうなれない‥)、よーし腕時計のストップウォッチをセット、時計までダメとは言わせない!
そんなわけで滑走路へ出た836便、うん加速、どんどん加速、あ、浮いた!(ストップウオッチスタート!)‥そしてしばし、おお、車輪が着地!(ストップ)。そんなわけで南大東空港へ到着です。とはいっても全然ピンとこないお話ではありますが、実際のところでいえば‥
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これを長いとみるのか短いとみるのかは各自の判断にお任せしますが、でもとてつもなくすぐの到着!なお正規料金は恐ろしいことに8300円。ということはトータル15分という総運航時間を考えても、1分あたり553.3円!ちなみに成田から那覇往復のエアアジアは(われわれの往復日料金で計算すれば)同じく1分あたりで52.7円。LCCと離島便との料金の違いはかようにスゴイのであります(苦笑)。
さて、到着ロビーには宿の方‥ではなく、お1人の男性がお待ちでした。この方のお名前は東(ひがし)和明さん。え、名前をネット上に出しちゃっていいのって?もちろん許可を得ています。この方は島のガイドさんでもあるので、本名のみならず予約受け入れのため携帯電話の番号もネット上に絶賛公開中というわけですのでご心配なく。
で、飛行機の到着は15:50、1日の活動もそろそろ終盤戦という時刻ではあるのですが、実はこれからガイドツアーをお願いしているわれわれなのであります。そしてそのツアーとは‥
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前の方のページで、大東諸島は珊瑚礁が隆起してできた島だということを書きました。ということは表土の赤土の下は珊瑚の堆積による石灰岩だらけなのです(一説によればその厚さは2000mに及ぶのだとか)。となれば、そこに地表から水がしみこんで浸食することにより鍾乳洞ができるというわけで、この南大東島にはもともと大小合わせて200箇所くらいの鍾乳洞があったそうです(ただし畑作拡大の過程で多くは埋められてしまい、現在入洞可能なのは40ほどだとか)。
南大東島には一般にも開放されている「星野洞」という有名な鍾乳洞がありますが(何でもあのふるさと創生基金で整備したのだとか)、それ以外の鍾乳洞はみな私有地内にあり許可なき入洞はできません。でもその中の1つ、この日入洞する洞はガイド付きなら入洞可能、しかも内部が比較的歩きやすく、なおかつ地底湖もあることからケービングツアーが行われているというわけです。
そんなわけで、空港から直接ガイドオフィスへと移動、そこでツアー用に用意された上下ツナギ、長靴、そしてライト*3にヘルメットに手袋と、完全防備モードに着替えました(特にこちらで用意しておかなければならない物品はありません。手ぶらでも参加可能です)。
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今回の参加者はわれわれを含めて4人。われわれより年上の男性2名はどうやら親族同士らしいですが、この翌日もお2人で島内を歩かれておりました。仲がよろしくて何よりですねー。
鍾乳洞までの道すがら、東さんからいろいろと島の自然について説明を受けます。島の中央部にある多くの池は地下で海とつながっていて、淡水の池ではあるが塩水も混じっていて、塩水の方が質量が重いため池の深い部分にたまり、表面部分は淡水なのだとか。これについて「その境目はだいたいどのくらいの深さにあるんでしょう?」と伺ってみたら、「池によっても違いますがだいたい40-50cmでしょうかね」ということでした。
池の水は灌漑にも使われている(いた?)ようですが、汲み上げすぎると海とつながっている地下から海水がしみ出すことにより塩分濃度が高まってしまうというジレンマに陥ってしまいます。かといって、沖縄本島と比べて料金が三倍の海水濾過淡水をゼータクに撒き散らすわけにもいかず、その解決法として島内には多くの灌漑用ため池が作られており、そこから汲み出した水を各畑に持ち込んで散水しているようです(各畑にも運んできた水を溜めておくプールが多く見られます)。
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さて島内某所より鍾乳洞の入口へと向かいます。私有地内ですからそもそも許可なき立ち入りは厳禁なのですが、場所についてもわたしからはお答えしかねますので念のため。
さてしばしサトウキビをかき分けて洞の入口へ。その入口画像もここではあえて割愛させていただきます。
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いざカルスト地形の深奥部へ!と、入ってすぐに何やら貯水タンクがありました。どうやら下の地底湖から水を汲み上げる機器のようで、ホースは鍾乳洞下部へと延びていましたが(右上画像マウスオン)、今は使われていない‥のかな?
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入口付近の鍾乳石は一様に茶色を帯びています。これは、入口付近では鍾乳洞の命である湿気が外に流れてしまうので新たな鍾乳石が形成されず、酸化が始まっている証拠なのだとか?(いや、でももしかして「地表部の赤土を含んだ水がしみ出した」だけかもしれません=ちょっと記憶がごちゃごちゃ)。
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でも、折れた鍾乳石に下からライトを当てると‥内部はやっぱり白いですね。
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さてここで、東さんからの質問。「この鍾乳石の上部が黒いのはなぜでしょう?」。全部ネタ晴らししちゃうと今後訪れる方々の楽しみを奪ってしまうので、あえてその答えをここには書きませんが、なるほどねぇ‥。
なおそれとは関係のない話ですが、この鍾乳洞の鍾乳石(上から垂れ下がっているやつ)は結構折れているものが多い。これは「入植後しばらくしてこの地で生まれ育った子供たちが遊びで折っちゃった」のだとか(笑)。まぁ当時は鍾乳石の貴重さについて知られているはずもなく(しかも鍾乳洞はいたる所にあったのですから)、子供たちにとってはそれこそ絶好のワイルド系遊び場だったのでしょうね。嗚呼(苦笑)。さてこのあとは真剣に洞内の見学にいそしみましょう。
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奥に進むにつれて徐々に湿度が高まり始め、新たな鍾乳石の形成をみることができます。左上画像は天井から長く垂れ下がる鍾乳石のまさに「でき始め」で、鍾乳石の形成は最初このように細長い状態から始まります。これは通称「ストロー」と呼ばれており、その名の通りその芯は中空ですが、その長さを増すにつれてやがてその芯が詰まると外側に成分を含んだ水が流れるようになり太さが増していきます。
それとともに下部にも成分の固着により石筍が形成されるようになり、長ーい長い年月を経て上下の析出物がつながるとめでたく「祝!石柱完成!」となるわけです。
これまでわたしは福島のあぶくま洞や岩手の龍泉洞、また海外ではNZ南島ケプラートラックのMt.Luxmore Hutから歩いて行かれる鍾乳洞などに入ったことがありますが(そのNZの鍾乳洞は当時完全に「自己責任で勝手に入ってよい」ようでしたが、現在はどうなっているのかわかりません)、左上画像のような「ただ今新入りが一から頑張ってます」系のストローを見た記憶はなかったので結構嬉しかったりして。
また、右上画像の「細く縦にまっすぐ伸びる鍾乳石に、何だかまとわりつくようにぐにゃっと曲がった石が付いていますがもちろんこれも鍾乳石です。引力だけに従うならどれもまっすぐ伸びるはずなのにこれはどうして?
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また左上画像は地形的に成分が垂れ下がることなくダラダラ流しになった結果出来上がった造形ですが‥うーん、何だかまるで硫黄泉の新鮮湯がダダ漏れになっているようにも見えてしまう自分は変?(苦笑)。右上画像は天井部分ですが、この地がかつて珊瑚礁であったことの証拠ですね。
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さらに下に進んでいくと最初の地底湖発見!こちらは上方から眺めるだけでしたが、よく見ると例のポンプから伸びるホースはこの場所まで来ていました。なお東さんによると、この地底湖も底のほうは塩水らしいですが、地上の池よりも淡水部分が多少深いのだとか。よっしゃ!(謎笑)。
さてこのケービングツアーではこの他にも見学ポイントがあるのですが、これまたネタばらしにつながるので紹介は割愛。そんなわけでいざやってきました地底湖へっ! |
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ちなみにこの洞には照明設備は一切ありません。上画像は東さんが撮影なさったものですが、この地底湖では毎日毎日、完全なる闇の中でこのような一瞬の造形が出来ては消えを繰り返しているわけです。それこそ何百年何千年、いや何万年の単位でずーっと‥。
ちなみに上画像の天井から伸びている鍾乳石が形状的になかなかすごいことになっていますが、これもまた海の干満や地表水の多寡の影響を受けて水面が上下するために出来上がった自然の造形です。東さんいわく「今日はかなり水面が低くなっています」とのことでした。
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なかには「最初の造形を新たな鍾乳石が覆いつくし始めた」ところもありました。
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何だか「同慶に堪えない」気がするあなた、それは考えすぎです(大笑)。
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さてそんなことはともかくとして、ここでわれわれは事前に画策していたあるミッションをいざ実行に移すべく、ポケットからそれぞれあるモノを取り出しました。それは500mLの空きペットボトル!そうですおわかりですね、
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(イギリス人もフランス人も日本人も「?」的な表現でゴメンナサイ)
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という企画の発令なのであります。那覇滞在中に飲み干したペットボトルはすでに空にして洗ってありますし、ちゃんと東さんからも持ち込み許可をいただいていますんで、よーし汲むぞーっ!
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おしんこどんはともかく、Takemaはかなり無理な姿勢で汲んでますね(笑)。ようやくギックリ腰が癒えたところなのに。
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ちなみにTakemaが水を汲んでいた場所は、左上画像でおしんこどんがひょうきんポーズを撮っている先の岩でした。「普段はもっと水面が高いんで行かれないんだけれど、今日なら行かれますよ。行きます?」という東さんからの悪魔系お誘いにまんまと乗っかったわれわれでありました。こうやって見るとごく普通に見えますが実際はピンポイント部分しか光がないので結構怖いんです(笑)。
なお汲んだ水は帰着後しかる機関に依頼して成分の分析‥はしてませんが、とりあえずなぜかリトマス試験紙で計測してみると‥弱アルカリ性のようでした(笑)。でもとある方から「PHよりも水の硬度の方が重要なんじゃない?」と突っ込まれ、しかしそんな分析をする機械はどこにもありませんから‥やってみました人体実験!(笑)。その結果‥
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これは有機成分というよりはおそらくカルシウムパワーにTakemaの胃腸が負けたものと思われます(飲み慣れない水は飲んじゃダメですね)。ちなみに本日現在、まだ手つかずのペットボトル(おしんこどんが汲んだもの)が残っていますが、このボトルを一気に、腰に手をあてて風呂上がりに飲み干したいというチャレンジャーの方がおられましたら是非ともTakemaまでご連絡を!(笑)。
このあと、地底湖の脇の平らな場所で全員のライトを全て消して全員無言の闇修行タイム。聞こえるのは地底湖に落下する僅かな滴の音ばかりでもちろん周囲は真の闇。うーん、これは良いです楽しいです!洞内がそれほど広くないのでしっかり落滴の音も楽しめました。
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このあとは来た道を戻りますが、画像では楽勝に見える道も実際は真の暗闇の中を歩いているのですからそれぞれにキンチョーしてはいるのです。え、おしんこどんは笑ってるじゃないかって?ハイ、彼女は暗闇の中でひとり微笑んでいたわけですね(笑)。
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最後に岩場を登って地表に上がり、サトウキビ畑をかいくぐって(茎を折らないように注意!)出発地点に戻ってきた頃には、さすがにあたりもすっかり暗くなり始めておりました。いやはや、南大東到着直後からの地底見学はかなーり面白かった!
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そんなわけでオフィスに戻って服を着替えた頃には日もとっぷりと暮れていました。さ、それでは遅ればせながらもこの日の宿に向かいましょう。
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