− 2013/3 八丈島&青ヶ島編 その6 ヘリで青ヶ島到着、宿到着のあと大凸部目指してミニハイク!−




ごらんのような上天気の中、このヘリで青ヶ島へと向かいます!

さてそんなわけで八丈島空港です。八丈島と青ヶ島は約65kmほど離れていますが、運航ダイヤでは「八丈島9:20発、青ヶ島9:40着」とたった20分しかかかりませんから単純計算でも平均運航速度は195km/h!しかも離発着の時はぐっと減速しているでしょうから実際の巡航速度は200km/hを軽く超えていることでしょう。調べてみたらこのヘリの最高速度は260km/hとか。うーむ伊豆諸島にはいわば「夢の超特急」が就航しているというわけです。

ちなみに「夢の超特急」とは、昭和39年に東海道新幹線が開業した際に、それまでの在来線特急と区別するため&イメージ戦略の一環として用いられていたキャッチコピーです。今ではもう使われない語ではありますが‥ん?でも実はその名残りが今でも車内アナウンス(英語バージョン)にありますよね。つまりあの、
というくだりです。日本語では省略されているのになぜ英語版ではこの言い方が残ったんだろう?

ハイこんなところでまた話があさって方面に現在進行形してますね。ほおっておくと必ずやデスラー将軍とかのご登場を願う感じになっちゃうのでこれくらいにしておきましょう。だいたいまだ空港ターミナルにも入ってないぞ(苦笑)。


左上画像は3月下旬というこの時期ならではの看板です。「八丈島を旅立つ八高生へ」と書かれていますから、進学や就職で島を離れる卒業に向けたメッセージボードです。なお「おもうわよう」とは八丈言葉で「離れていてもずっと大切に思っているよ」との意味とのことです。「おじゃりやれ(ようこそいらっしゃい)」と反対の、別離を意味するちょっと切ない島言葉。

なおコンコースに入ると右上画像のような若者たちがいたのですが、彼らは島外で行われる試合に参加するため飛行機に乗るようでしたので現役高校生でしょう(会話を盗み聞きしてしまってゴメンナサイ)。でもこの直前には別のグループが胴上げをしていましたから、宙を舞っていたあの彼は‥。いずれにせよ、彼の前途に幸多からんことを!

なお、これから向かう青ヶ島には中学校までしかありません。よって中学校を卒業した子どもたちは「15の春」に島を出ることになります。だから年齢別人口分布を示す棒グラフを見ると(「青ヶ島村」でwikiってね)、二十歳前部分の棒がすぽーんと抜け落ちているのです。15才で親元を離れて八丈島の寮かどこかに‥と考えがちですが、どこかで聞いた話によると八丈島の高校に通うよりも東京本土の学校に入学するケースの方が多いのだとか。生活スタイルのギャップたるやものすごいだろうに‥大変だぁ。

またも話はそれていますが、まぁイスカンダルとか大リーグボールとかの話じゃないんでお許し下さい。そんなわけでいよいよ「ヘリに乗って青ヶ島へ!」です。


この日のヘリ予約は予約開始日の朝一番で押さえておいたので問題ありません。なお、事前情報では「前日までに『本当に乗る意志がある』ことを示すリコンファームが必要」と聞いていて、「うわー、今や国際航空便でもほとんどなくなったであろうリコンファームかぁ!」と驚いたのですが、実際は役場の方?から携帯に電話がかかってきて(予約時に携帯ナンバーは伝えてある)、そこで「乗る意志満々」であることを伝えた次第です。

ちなみに「帰りの予約便」についての連絡は不要であると言われました。そりゃ、来たからには必ず帰るもんねぇ(笑)。なお、愛ランドシャトルの予約その他についての細かな情報は本編最初のページにも記載がありますのでご参考までに。

そんなわけでターミナルビルの端っこにある愛らんどシャトルのチェックインカウンターへ。全荷物の重量検査および体重を聞かれますが、特に女性の皆さまサバを読まぬようお願い申し上げます(笑)。なお最初は「いらない荷物(着替えとか)は空港のコインロッカーに預けて‥」とも思っていたのですが、結局は全部持ち込みました。そう大した重さじゃないし(もっとも超過料金は取られましたが)。


さて、就航しているヘリは乗客乗員合わせて11人乗りの中型サイズです。これまでは5人乗りとかの小型機にしか乗ったことがなかったのですが、やっぱり大きいと安定感が違いますね。それと、上画像を見てもらえればわかる通りコックピットの計器類が壮観!ずーっと以前の「緩やかな時代」に、わたくしTakemaはボーイング747のコックピットにて成田空港着陸の瞬間を体験したことがあるのですが(その時の様子はこちら)、何だかその時の気分がよみがえってきました(笑)。ちなみに本来は12人乗りの機材らしいですが、運航管理の関係で旅客定員が9名に減員されているそうな。

で、ここからは「おことわり」です。われわれのこれまでのヘリコプター経験は全て観光ヘリ(しかも全部NZ)ということもあり、機内での撮影は自由でした。今回のヘリ往復では他の&地元の方らしいお客さん方も普通にデジカメや携帯電話やスマートフォンを使って撮影していたので自分もそれにならってデジカメを使っていたのですが‥


というわけで、以下青ヶ島往復時の静止画や動画は厳密には違反行為なのかもしれません。でも、愛らんどシャトルの親会社は観光ヘリも運航していますし、まさか観光でヘリに乗る人に「機内からの撮影は禁止です」と言えるはずもないでしょうから、うーん、このあたりはビミョーなラインなのかも知れません。

そんなわけで別に自己正当化に走るわけではないですが「撮ってしまったものはしょうがない」というわけで公開します(苦笑)。でも不作為の行動であったことだけはご承知おき下さいませ。



八丈島空港から離陸後は一気に高度を上げていきます。さすがヘリ。八丈小島がすぐに近づいてきます(左上画像マウスオン)。



この日はかなりもやっていましたが、右上画像に青ヶ島が見えてきました!ここまで来ると間もなく到着。一気にヘリポートへ。




というわけで無事に青ヶ島ヘリポートに到着です!ずーっと前から来てみたかった青ヶ島の地を踏んだ気分は格別でした(天気がよかったのもあるしね)。

で、ヘリは荷物の載せ替え作業を終えるとすぐに八丈島に向かって折り返します。ダイヤだと着陸時間は5分しかないのですが実際は10分くらい止まっていたかな。ヘリの性能に余裕があるので出発が多少遅れても十分取り戻せるということなのでしょう。


なお伊豆諸島各所に共通することとして、島を出入りする便の出入りには必ず警察官が付き添うというのがあります。こちらでも左上画像の通り「警視庁」のジャンパーを着た警官さんがキビシク出入りをチェックしていました(その直前までは乗客と和やかに話していたようですが)。ちなみに右上画像にマウスオンすると青ヶ島へリポートのターミナルビル画像に変わります(笑)。

で、この日の八丈島行きは‥あれれ乗客は4人だけ?こういう日もあるんですね。ちなみに往路は満席でした。というわけでこの日の青ヶ島差し引き人口は「+5人」というわけです(還住丸はやっぱり欠航でした)。では、ヘリが飛ぶのを見送りましょうか!



さて青ヶ島には1泊しかできませんので、とにかくこの日のうちにいろいろ回ってみなければ!‥なのですが、到着後に迎えに来て下さるはずの今宵のお宿「ビジネス宿中里」の車はどこにもなし。前日の朝八丈島の第一便が遅延を決定した段階でお宿に「今日の青ヶ島入りはありませんので明日のヘリで伺います」と連絡を入れていたのに?まぁでもそのおかげでヘリ出発の動画が撮れたんですが(笑)。

そうしているうちにも周辺にいた皆さんはどんどんいなくなっていきます。「おかしいな、電話を入れてみようか」とTakema自作の旅程表を取り出したところでお宿の車がやってきまして一安心。ま、下調べ時に場所も確認していたので「いざとなったら歩いていけばいいさ」という気ではいたんですけれどね。


走ること数分にて(ただし基本的にずっと登り坂)左上画像のお宿に到着。何だか味も素っ気もないようにも見えるコンクリート造りの平屋ですが、けっこういいですこちらのお宿。「ビジネス宿」という冠の通り工事関係者の方々が多く宿泊しているようですが(というかそもそも青ヶ島に来る観光客は年間でも900-1800人(wiki)程度ですから、前夜宿泊の「十五夜」のようなわけにはいかないわけです。というか「島の主要産業=公共事業」という場所柄ですから、工事関係の方々が多いのは当然だって。

こちらの宿では工事関係で長期滞在なさっている方々とわれわれのような「観光」で来るお客とは宿泊棟を分けているようで、長期の方々は食堂に別の入口から入ってきてご飯を食べておかわりして、また別の入口から出て行かれるという感じでした。夕食時に誰もお酒を注文していませんでしたが、そうか部屋で飲むから問題ないのね(笑)。

右上画像は宿のすぐお隣に位置する、青ヶ島村唯一にして最大のビジネスセンターともいえる青ヶ島郵便局。各市区町村の本局は土日も営業していますが、こちらも本局として土日も営業しているのがスゴイ(右上画像マウスオンで営業時間を示す拡大画像に変わります=見えにくいですが)。ただし局は土日オープンでも、肝心なATMは土日休業ですので念のため(何だか本末転倒のような気もしますが)。

さて、そもそも予約時に「観光目的での来訪」であることはお伝えしてあります(だから長期滞在の方々の建物とは別のメイン建物に案内されたわけです=宿泊客はわれわれのみでした)。というわけでこの日1日をどう過ごすかが大きな問題となってくるわけです。すると迎えに来てくださった女将さんが何とも用意周到!


うっひゃー、まさにTakemaの事前計画イメージを地でいくようなご案内とお昼ご飯準備!(あ、そのほかにおにぎりが2つずつね)。しかもお昼ご飯はちゃんと保冷パックに入れて渡してくださいました!(保冷剤は入っていませんでしたが、夏じゃないし芋も卵も生だし、魚も一夜干し後冷蔵庫に入れてあったらしく冷え冷えなので問題なし)。よーし、そんなわけでもらった地図を見ながらまずは「宿−大凸部(島内最高標高地点)−東台所神社−尾山展望公園−青ヶ島村取水場−宿」という計画を立てた次第です。ではでは行ってみましょう歩き始めましょう!おっとその前に。


ここ青ヶ島の地形について説明するのに左上画像の立体地形図がとっても役に立ちます。最初のページにも書きましたがここ青ヶ島は二重カルデラというとても珍しい地形構造をなしているわけです。

島の中心部は地形図上方の黄色い部分です。でもカルデラ内(池之沢地区)のほうが平地も多いし風もなさそうだし水利に関してもいろいろと便利なのでは?と思った皆さん、あなたは正解です。青ヶ島に住み着いた先人の方々もそのように考えていたのです。しかぁーし!


この件については拙サイトで素人Takemaがご説明申し上げるべきものでもないでしょう。wikiに頼ってばっかりですが「還住」をキーワードにしてご覧いただくとかなり青ヶ島の歴史を詳しく知ることが出来ます。

青ヶ島は今でこそ「離島の1つ」としかとらえられていませんし(いや、その場所すら知らない方々が大半でしょうが)、ご存じの方であっても「ああ、二重カルデラの島ね」というレベルがほとんどでしょう。しかし実は青ヶ島自体が巨大カルデラの外輪山の一つに過ぎないそうなのです。

姶良火山という名前をご存じの方は少ないでしょう。もちろん現在その火山の姿を見ることは出来ませんが、実は桜島を含む錦江湾自体がかつての火山カルデラです。紀元前25,000年前に大爆発し、その火山灰は全国各地(もちろん関東にもたっぷりと)降り注いだそうです。その意味では現在の桜島もカルデラの1火口に過ぎないのかと思います。

で、青ヶ島もどうやら周辺のカルデラの1つに過ぎないとなれば、二重火口とかわれわれが見えている範囲で語ることがどんなにちいちゃいレベルなのかがおわかりかと。近年南鳥島近海でレアアース云々が取り沙汰されていますが、そのこと自体は嬉しいニュースとしても、つまりそれはそのあたりで地球の割れ目が元気に活動しているということであり、いつその割れ目が「ますます元気に」ならないとも限らないわけです。頼むからしばらくは静かにしていてねお願い(はぁと)。

さてそれではまずは宿からハイキング、島の最高地点である大凸部(おおとんぶ)に行ってみましょう!宿の隣の建物前には島では珍しい飲み物自販機が絶賛稼働中だったので、ペットボトルの飲料*2を買い込んでいざ出発です!


歩いてすぐの所に「商」がありました。といっても何のことだかわからないですね。こちらの正式名称は「菊池商店」。4枚看板のうち3枚が落ちてしまったというわけですね。幸いなことにお米の看板が「ここが商店である」ことを強く主張しています。ただ、営業時間に関してはやはり「島タイム」のようですね(左上画像マウスオン)。

うーん、「週に2時間だけ営業」かぁ。ま、でも島の人たちにとってはそれがわかっていればそのサイクルで買いに行けばいいだけのこと。いつでも何でも買えるという便利さとは、実は「必要以上の便利さ」の象徴のようなものなのかも知れません。なお島内でタバコはこちらのお店でしか購入できないようです。

さて菊池商店の反対側には「青ヶ島の夜のエンタメ施設」居酒屋もんじがありますが、そのすぐ先に登山口があります。大凸部の標高は423mということですが、実は島の集落中心部の標高がすでに270mくらいあるので、実質的な標高差は150mくらいということになります。お手軽なミニハイキングというところですね。


メインロードから分岐する道はしばらくはコンクリート舗装が続きますが(ちなみに島内道路は全てコンクリート舗装です)、やがてコケむし始めた路面に変わり、そしてさらに進むと未舗装路に変わります(右上画像マウスオン)。分岐からここまでゆっくり歩いて7-8分、実質的な登山口はここになります。

なお、そのはるか手前に何やら物置のような小屋が1軒。上方に開口部がありちょっと変わった造りだなと思いながらよく見ると何かが動いています。拡大してみると‥(左上画像マウスオン)。




さて遊歩道を歩いていくと東台所(とうだいしょ)神社への分岐がありました。宿でもらったマップには「玉石の急階段で危ない!」とのコメントが記載されていましたが、それほど急ではないように見えます。そこで大凸部からの帰り道はこの神社に上がって「尾山展望公園」を目指すことに決めたんですが‥(謎笑)。

一方の大凸部に向かう道はしっかりと階段状に整備されていて、両側に密生している竹が多少散乱してはいますが歩くにはまったく支障ありません。そんなわけでずんずんと登っていきます。


左上画像の植物は最初アシタバかと思いましたが、花の形は明らかにアシタバではないですね(去年我が家の屋上で栽培していたのでよくわかる)。また、日陰を好むツワブキもところどころに見られました(両上画像ともマウスオンで拡大画像に変わります)。


階段状の道は途中で終わりましたが、さして急な登りのないまま先を見ると、道沿いが開けてきたような感じです。ということはそろそろカルデラの縁に出るということでしょうか。というわけでこの続きは次ページにて。

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