− 2013/3 八丈島&青ヶ島編 その8 続いてレンタカーで池之沢寄り道および三宝港訪問 −



お願いしていたレンタカーは電気自動車だと思いきや、ただの勘違いでターボ付きガソリン車でありました。

さて中里さんまで戻ってくると、妙になついた猫がやってきてゴロゴロ。よせばいいのにきちんとポーズまでとってくれます。でも、あとで聞いたところによるとどこの飼い猫でもない野良なんですと。でも、「この子はアタマもいいのよね、建物の中に入っていくと怒られるから絶対入って来ないし、で、このなつき方だから長期のお客さんたちにもかわいがられてるんですよ」とのことでありました。うーむキミはこの島で生きていく術をしっかり身につけたようですな(笑)。



近づいてきたと思ったらTakemaの足下でごろり(左上画像マウスオン)、もちろんおしんこどんにもスリスリ。人見知りのかけらもありません(笑)。

さてそれでは、車で行かれるところにどんどん行ってみましょー。最初に目指したのは島の北部にある「ジョウマン」という場所でありましたが‥竹がうっそうと茂る大地の途中でいきなり道が終了してオシマイ。特に何があるわけでもなく「?」という感じでありました。ちなみにこの辺り一帯を含め青ヶ島全島に生えているのは「庭竹」という、まるで笹のように細い竹です。これじゃタケノコも細いだろうなー。



左上画像がジョウマンの道路終点です。右上は、島に唯一の信号。これが「子どもたちの教育用」であるのは当然です。

そういえば北大東島などでは信号がきちんと定期的に赤になったりしていましたが、こちらは「押しボタン式」ゆえ、当然のごとくわれわれの滞在中この信号が赤になっているのを見たことはありませんでした(笑)。ただしここは島の小中学校のすぐ下にあり、なおかつすぐ下には体育館があるようなので、平日の学校活動中には一定の利用があると思われます(あくまで「一定の」ですが)。

この周辺には学校付属の公共図書館も駐在所も老人福祉館もあり、いわば村の心臓部ともいえる場所ではあるのですが、ほとんどそれとわからぬまま通過。ま、そういうのは島の人がわかっていればいいだけなので問題ないです。

で、ここから進んでいく三宝港へと通じる道はいわば「島の命綱」ともいえるルートで、島唯一の港から生活物資が運ばれてくるわけですから、この道のどこか1箇所でも崩落したりしたら大変です。しかし島の地形上、「ひえー」というような感じの場所もあるのですが(苦笑)。


さすが村のメインロード沿いということもあり観光看板の設置にも抜かりはありません。しかし看板に従って降りていくと右上画像のような踏み分け道になってしまいましたが(笑)。

この名主屋敷とは前にもふれた「島のモーゼ」、佐々木次郎太夫氏のお住まいがあったところだそうですが、ずんずんと進んでいくと突然「獣臭さ」を察知しました。すると、歩道の脇には‥





実は青ヶ島は伊豆諸島の中でもほとんど唯一といえるほどの肉用牛の産地。というのも、ここで生まれ育った肉牛は生後1年弱で本土に出荷されているそうなのです(八丈島の牛は乳牛?)。ちなみに青ヶ島では昔から牛が大切にされていたそうで、池之沢のふれあいサウナ管理人さんから聞いたところによると「だって、今のように道が整備されるまでは港から集落まで牛の背に荷を乗せて運んだんだから」。あーなるほど。

なお、島では毎年8/10に「牛祭り」が開催されるらしく、その時はもう「島一番の賑わい」なのだとか。以前は牛の品評会もおこなわれていたそうなのですが近年は「島で最大のイベント日」という位置づけになっているそうな。行ってみたいですが、島出身で島外在住の方々まで集まるとなれば‥島への出入りがはなはだ狭き門となりそうです(あと宿もね)。

そうそう、今回はタイミングを逃したのですが夕方17:00には「もうもう牛さん」のメロディーチャイムが流れます(聞こえたけれど録音出来る状況ではなかった)。オリジナルの歌を聴いてみたいなぁというわけで、歌詞だけを以下に紹介します。

もうもう牛さん ご苦労さん 重いお荷物 背にのせて
あの坂 この坂 やっとこどっこい
だまって働く 牛さんに うーんと お礼を申しましょう


うーんいいなぁ‥あ、気がつけばいつの間にか佐々木次郎太夫氏のことを忘れてた!というわけでずんずん下っていくと‥


苔むした玉石の垣が出てきておーっと思いましたが、その先には草の生えた平地があるばかり。そりゃそうだ「屋敷跡」ですからね。でも場所的に風が当たらない場所に住居を造ったんだなということはよくわかりました(その代わり湿気はそこそこありそうな場所でしたが)。

さてこのあとはいよいよ池之沢へ?いや、これまたちょっと寄り道してみましょう。目指すは「大千代港」!




そう思われた皆様方、正解です!ただし「現役は」との条件付きですが。

実は「島の港が三宝港だけではあまりにも心許ない」ということを考え、島の東側にある大千代に降りる道を整備し、何とか使えるように桟橋も造成‥。でも、港に降りていく道路の一番最後の区間が崩落し、しかもバイパスなど造れるような余裕もない地形なのでそのまま放置&現在に至るというのが実際のところのようです。でもまぁ、行かれるところまで行ってみましょ。



そんなわけで最後の最後にゲートでおしまいってことですね。ここからは歩いてちらりと見に行きましょう大千代港を。



ゲートの先もしばらくは安全な道が続いています。この先に方向転換スペースがないのでここをゲートにしたのかと。



ん?あれですかあれですね大千代港!ええっと、これって港じゃなくてせいぜい埠頭でしょ?



おしんこどんは結構下っていきましたが、どうやら大千代港の再工事はなさそうです(両上画像マウスオン)。

どうやらこの取り付け道路を苦労して付けた直後に脇の斜面が崩落し、法面を固めていた区間もあえなくおシャカになったそうで、結局大千代港が利用されたことはほとんどなかったのだそうな。そのほかにもかつては現在の集落近くに「神子の浦」という港(といえるのかどうか)があったそうですが、こちらは歩道すら崩壊状態にあるそうで‥その第三の轍を踏まないよう現在の三宝港は‥いや、それはまたあとでじっくりと。

このあとはメインロードに戻り、外輪山越えの旧道をパスすべく工事されたその名も「平成流し坂トンネル」を通過して池之沢エリアへと下っていきます。



何でも、このトンネルを掘るのに14億円かかったらしいですが、使っちゃったものについては言いっこなしね。

というか、この青ヶ島で何かをやろうとすれば全てが高くつくわけであり(だって交通&運搬インフラを考えれば当然ですよね)、島を維持させるためにはしょうがないと思うんです。人が住んでいてこその何とやらですからね。

ところでこのトンネル界隈からの景色はなかなかです。われわれも車を止めてのんびりと眺めました。



この方向からの丸山=内輪山は植栽を含めて縦にきれいな感じですし、最高部の(午前中に行った)大凸部もきれいに見えています(両上画像ともマウスオンで拡大。ただし左上画像の大凸部は手前の山ではなくその奥の平たい場所です)。


さてその平成流し坂トンネルを越えて一気に下り池之沢地区へ。いきなりなだらかな地形になったのは予想通り。そしてまずやってきたのは「ふれあいサウナ」周辺でありました。


さすがカルデラ内ということか、建物の手前にも噴気帯があったりします。でもさらにその手前にはその噴気を利用した「トキメキの調理施設が」あるのです。その名も「地熱釜」!


何と、噴気を利用した「蒸し釜」を自由に(もちろん無料で)利用できるのです!中里の女将さんからは「お芋は40分、卵と魚は10分だからね」とご教授いただいていましたんで、ここでまずは芋を投入しておき、蒸し上がる間に三宝港へと遊びに行こうという算段なのです。ではこの地熱釜についてもう少しご紹介いたしましょう。


釜の中には網カゴが入っていますので、左上画像のようにいろいろと入れた上で釜の中に入れるわけですが、実際には左上画像のように‥


そう、あくまで左上画像はイメージであり、われわれもこのまま蒸し器に投入したわけではありません(最初は芋だけ)。でも、右上画像を見ると全然吹いてない‥かつて瀬見温泉の「ふかし湯」で全然吹けてないことにちょっと悲しくなった思い出の再来か?いやいや!ここでは大地のパワーをコントロールする文明の利器「噴気コック」があるのです!


というわけで左上画像があまりにもわかりやすい噴気コックです。コックを縦に回すとシューッとなるのはいうまでもなく、そんなわけで芋を入れて蓋をして、さーって40分のカラータイマーが点滅する前に三宝港を往復してきましょう!


分岐までやって来ました。ここから三宝港に抜けるトンネルまでは気のせいか道路状況がいいような気がします。で、結構すぐにトンネルへ。


トンネルの名前は「三宝」ならぬ「青宝トンネル」。なるほど「青ヶ島の宝物=なくてはならないトンネルである」という意味なのでしょう。もっともトンネル内はご覧のようにさして広くもないというか、ダンプが来たらどうしようもないなずーっとバックするしかないなという幅です。いや青ヶ島の場合ダンプは普通に来ます。特に三宝港の場合「常に営繕作業中」ですから。

で、このトンネルを抜けるといきなりすごい世界になっているんです。これは港側から見た画像ですが‥





いや、わたしはあくまで青ヶ島における事業に否定的ではないのですが、それにしてもこの威容にはたまげました!まるで要塞です。しかも真ん中に見えている建物は「大自然との闘いに敗れた」廃墟なのですから!

で、まずはその「廃墟」からご説明申し上げましょう。ここには是非とも今のようになる前に来ておきたかったのですが‥。



まるで高速道路の下といってもおかしくない場所、建物には「三宝港待合所」とありますが‥



近づいてみるとフェンスがなぎ倒されたままになっているのがわかります。内部には何もありません。



内部にはかつてここが青ヶ島の玄関口であったことを示す掲示板の跡が。そして勝手知ったる感じで屋上に上がってみると‥嗚呼。

実は、かつてこの待合所が現役だったころ、この屋上には「温泉」があったのです。しかも「生け簀系セルフサービス」という、温泉ファンにはたまらないけれどそうでない方々には「何を言っているのかわからない」系の湯が!

この温泉は港の工事中偶然掘り出た湯だったそうで、それをポンプでここに上げていたそうなのです(もちろん常時のポンプアップではなく、入りたい人がポンプを稼働するというシステムで)。

しかしそれも今や昔、ここにはもう何もありません。僅かにかつての設備跡をしのぶばかりです。あー、もう数年早く来れば!



このボタンを押せばここから弱食塩泉がたっぷり出たというのに!

ま、「今のところ復活させる予定はない」ということですから当時入れた方々は本当にウラヤマシイ。ちなみに海岸沿いの黒崎なるところには海中温泉もあるそうですが‥たぶん集落から行こうとすればとんでもない場所にあるんでしょうね。というかここ三宝港の土木整備工事を見てください!海岸に下りるにはこれくらいしなきゃダメなんですから!



あらためて高架下画像。ええっと、ここは港の最奥部ですが波がずどどどーんと。



少し遠景から。中空にあるのは「漁船を釣り上げる」索道。この島では漁船も空を飛びます。


で、この日は港がこれでも穏やかだったので島の方々も工事関係の方々も絶賛作業中。春トビを剥いて干している方もおりました。実は左右画像の持ち主は別の方々なのですが要は同じことをやっていたわけで‥。

その一方で、工事関係の方々の仕事ぶりはある種レベルがちがいます。だってですね!


両上画像だけ見ていると別に何だかわからないかも知れませんが、右上画像にマウスオンしてみると「激しい波浪の中で苦闘する潜水作業員」の方が現れます。こ、これはまじめに大変だわ。

さてそんなわけで、青ヶ島の命綱たる三宝港を動画で見ていただいたところで池之沢に戻ることにしましょう。だってそろそろ芋が蒸かし上がっちゃうし(笑)。


トンネル内凸凹の直後、いきなり立体道路のこのギャップ‥。



そんなわけで急いで戻りますよお芋のために!フカフカになっていますように!(実は時間的に結構ギリギリっぽかったので心配でした)。

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