− その2 今回はちょっと背伸びして高湯安達屋旅館でのんびり −



エントランスからしてお洒落。いいお宿でありました。Takemaに似合うかはともかくとして(笑)。

そんなわけでやって来たのは安達屋旅館さん。高湯温泉については「宿泊料金安めの小規模宿と高めの大規模宿があるんだなぁ」という勝手な認識をしていたんですが、よくよく調べてみると「ネットに情報があまり流れていないお宿」がいくつかあることが判明。しかも真偽のほどはともかくとしてとあるサイトで「高湯の源泉は吾妻屋と安達屋が利用権を多く有しており」云々。そうそうこの2軒がどうも気になっていたんですよ!

ということで安達屋さんに電話を入れたのは出発の前日でした。「部屋は空いておりますのでご予約を承れます」ということでさっそく予約。こちらのお宿、○ゃらんとか○天トラベルとか、ましてや○クー等のネット予約関係とは一切契約していないゴーイングマイウェイ系のようですが、たとえば某提灯宿グループとかネット系予約サイトとかが幅をきかせてくると、それに対するアンチテーゼというか、とにかくそれらとは別の「これがわたしの生きる道」的な動きが出てくるようです。そしてそれはある種歓迎すべき動きでもあります。みんな同じだお仲間だではつまらないんですよ。

こちらの安達屋さん、建物そのものはそこそこ年季が入っているのでしょうがリニューアル&アンティークモダン調に館内をしつらえており、特にロビーやその横のコモンプレース等は「これが温泉旅館?」とびっくりするような感じです。夜になるとキャンドルが灯るし。ただし、ロビー側には大きな「スタンディング系囲炉裏」(囲炉裏が高い位置に設置されていて椅子に座るとちょうどいい高さになる)があるので、やっぱり日本の近代以降を象徴する和世折衷スタイルを顕現させています。



こちらの囲炉裏には常に火が入っていました。一方で西洋囲炉裏=この暖炉にこの晩火が入ることはなかったですが、各テーブルにはキャンドルが灯され‥



囲炉裏の脇にはコーヒーを含めた各飲み物が完全フリー!麦茶ポットに氷がなくなることはありませんでした。つまり常に状況がチェックされているということ!

赤字コメントに書ききれなくなったので続けてこちらに書きますが、右上画像のように照明一つとっても工夫が為されています。かといって気取りが鼻につくというわけではありません。またわれわれの棟あたりは歩くと軽くぎしぎし音がしたり、また部屋の扉の見かけと造作が何だかイマイチだったりと、アラ系難癖を探せばいくつかあるのかも知れません。でも‥

何とかナビとかログのような立派系コメントとは違ってただのTakemaの主観なんですけれど、従業員の皆さんが(清掃専門の方も含めて)ものすごく丁寧&親切な対応なんです。ただの挨拶だけではなく。

それにチェックもしっかりしてます。飲み物の話は上でも書きましたが、喫煙者であるTakemaが館内の喫煙所(ロビーのすぐ近く)に吸いに行くと(客室内は喫煙可能ですがわたしゃ喫煙場所か外でしか吸いません)、ほぼ毎回「うわ、もうさっきの吸い殻が片付けられてる!」とびっくりしました。こういうのって日常的に「出来そうで出来ない(ついついおざなりになる)」作業ですからね。

また夕食時にわれわれの担当若女史がついつい漏らした言葉「ここに就職した頃、『お客さまと接する際には、話が盛り上がっても自分の立場を忘れないように』と諭されました」(ちょっと脚色してますが)にも、この宿の従業員教育姿勢を鑑みることができました。

Takemaは「1泊2食で1万円以上の宿には原則泊まらない」ことを変なモットーとしているのですが(苦笑)、今回の安達屋さんは平日でも1万4千円台/人でした。それはもちろん「おしんこどんの日頃の苦労をねぎらうための勇気ある出費」にほかなりませんが(大嘘)、こちらの宿はある意味で「これからの温泉宿の生き残り方」を示唆してくれていたような気がします。別にアンティーク系でなくとも何でもいいんです。その宿らしさが出ていれば、それを求めるお客が来るんです。

さてそんな講釈をたれたところで屁のつっぱりにも成りませんので先へ進みましょう。それはもちろんお風呂!しかしチェックインしたのは17:00過ぎ、ということは他のお客さんもどんどん到着する時間ですからもうお風呂も混んでいるんじゃないかなーといういやな予感がするわけです(宿の駐車場にはもうそこそこの台数の車が止まっていましたし)。こちらのお宿には内風呂(男女別)、大露天風呂(混浴、女性専用時間あり。なお女性専用露天もあり)、貸し切り内風呂*1、貸し切り露天風呂*2があるのですが、貸し切り系はこの時間予約制ということで最初から考慮せず、まずは「温泉の王道男の花道」ともいえる内湯に行ってみましょう!そんなわけで脱衣場の扉を開けてみると‥




(マウスオンすると角度を変えた画像に変わります)

かけ流しの湯がズビズバ投入されていて、しかもしばらく誰も入ってない様子?(手前の白っぽい側にシャワーカランの並んだ洗い場があるのですが、敷石はご覧のとおり完全に乾いています。内風呂&露天風呂を含めて洗い場はここだけなので、ここが乾いているということはスゴイなと。ついでに浴室出入り口の足ふきマットも完全に乾いてました=手で触って確認)。でも、そうなるとあの駐車場のそこそこ先着車両ありって何だったんだろう、日帰り入浴の時間じゃないしお皆さんお風呂にも入らず部屋でまったり?湯治宿というわけでもないのに?(謎)。

まぁ何はともあれ有難屋の海苔、まずは湯ったり浸かった上で、ざっくり身体を拭いて今度は露天風呂へと移動です(脱衣場を経由するので拭かないわけにはいかないのが南天のど飴)。でも、この時点でも新たな男性入浴者は来訪せずで、どうしよう混浴露天風呂に美しきお姉さんがいたら!(あ、おしんこどんのことね=取り繕い)。

しかしこれまた誰もいませんでした(嬉悲)。仕切りの向こう側におしんこどんがいれば「ヒミツのサイン」を投げかけてくるだろうと思ったのですがそれもなし。あとでわかったのですがTakemaが先に部屋を出たあと、おしんこどんは結構TVっ子としての時間をタンノーしていたのだそうな。なるほどTakemaとほぼ入れ替わりでやって来たのね。

暗くなり始めた露天風呂周辺はなかなかいい感じです。で、洞窟風呂が併設ということで中に入ってみると‥

ふむなかなかいい感じ。露天風呂の入口付近は湯温が低めだったのですが、この内部で投入されている湯は温度がありなかなか快適。出入口=湯気抜きが2箇所あるのでそれほどムンムンでもありません(それでもレンズは曇りますが)。

このあとはさらに奥の広いエリアで湯ったり。ここは全体に湯温が高くてくつろげました。湯の投入は2つあり、1つは源泉成分で岩が真っ白に染まっていましたが、もう1つは湯船への直接投入ゆえそれはなし。季節によって加温湯を入れるということでこれがそれか?でも口にしてみるとしっかり温泉由来の酸味が。井戸水とはいえ湯温の低い硫黄系冷鉱泉なんでしょうかね?

さて、身を清めたあとは夕食です!



お洒落&素朴な感じのお料理がずらり。グルメサイトじゃないのでいちいち解説は加えませんが、ケータリング系夕食とは一線を画すいい感じのスターターです。食前酒として梅酒があったので、まずは乾杯して食べ始めましょう(右下画像マウスオン)。





某淡水魚のお刺身も美味しい!リンゴをくりぬいた○○も。地元日本酒で迎え撃つわれわれであります(右上画像マウスオン)。

そんなわけですっかり満足お腹いっぱいです。となれば部屋に戻るとそのままゴロゴロお相撲さんモードというのはおしんこどんの定番なのでありますが、この日は珍しくTakemaも眠くなっちゃって‥zzz。その太平の眠りをおびやかしたのは何とおしんこどんの、

というひと言でありました。というのも(このあたりもこちらのお宿ならではの工夫なのですが)、「デザートは(もちろん夕食の席で食べてもいいのですが)21:00までにフロントに申し出ていただければご提供いたします(たぶん部屋に持ち帰ってもOK)」ということだったのです。

で、腕時計を見ると何とも絶妙な「20:54」。時刻を告げるやいなや、おしんこどんはさっきまでの轟沈爆睡はどこへやら、やおらすっくと起き上がり、タイムアウト前にGETせねばならぬ為さねばならぬ系の使命感に燃えレセプションへと勇ましく歩みを進めていったのでありました(笑)。そしてその数分後‥



と、戦果報告も意気揚々系で帰ってきたというわけでありました。うん、でもアイスクリームはねっとり系ではなくさっぱりで軽い甘さで好感。添えられたブドウと柿もいい感じの味のコントラストというところで、コーヒーとともにしっかり堪能いたしました。

ちなみに右上画像は宿施設内唯一の喫煙所(右上画像マウスオン)。長めのカーテンで通路と仕切られているだけなのですが、室内ファン(と厨房側のファン)のパワーで通路側にはほとんど煙は出ていかない感じでした。また灰皿が常に清掃されていたというのは前述の通りです。

で、このあとはまたゴロゴロ&一眠り。完全にだらけてますが、こうやってだらだらすることこそ今回滞在の主目的なのですから問題ありません。と、しかし、23:30を回ったあたりで目を覚ましたTakema、よせばいいのに系の「湯欲」が鎌首をもたげました。それは‥

完全に「高度成長期の発想=あれもこれも欲しいやりたい」系なのですが、まぁこればっかりは価値観の成熟期がそういう時代だったのですからしょうがありません。いわゆる「自分の中の自然」でありまして、でも就職した頃は清貧であることを強制され(業績とは関係なく安い給料)、バブルの末期にはNZでその日暮らし、でもバブル完全崩壊のタイミングには現在の職場にいたわけで、いやぁ綱渡りで何とかなったよな自分の人生、としみじみ。たぶん1年遅かったら結構とんでもないことになっていたような気がするんですよ(アブナカッタ)。

話がそれましたが、貸し切り内風呂はまぁごく普通のお風呂でありました。ただかけ流し湯の流路を除いた部分が完全に乾いていましたからしばらくどなたも入っていなかったことは確かです。よってこの投入量であればそこそこ新鮮湯で満たされていたことでしょう。「寝る前にあったまる」湯としてよかったです。

ただ以前泊まった静心山荘でも感じましたが、高湯温泉の湯はいわゆる「冷え湯」、すなわち案外ポカポカが持続しない湯なんだなぁということは今回も確認。なぁに、寝ていて寒くなったらまた入りに行けばいいので何の問題もないんですけれどね(体温高めのTakemaとしては「あったまりの湯」のほうが困るんです)。



そして朝。夜は雨が降ってましたが、え?青空?ただし福島盆地は雲の下。

さてそんなわけでじっくりと眠り、朝は平日だと6:20のアラームが鳴るのを聞いてやっといやいや起きるのに、出先だとなぜか「ふむ、4:30か、まだまだ」「5:00か、まだ早いな」と時計刻みで「出陣の時を待つ」のが慣例です。

ちなみに貸し切り露天は朝のオープンが7:00からということで焦ることは全然ありません。しかし目がさえてしまったので6:30に喫煙所へ。コトを終えてフロントを見ると、まだこの時間にチェックアウトする人は誰もいないはずなのにカウンターに従業員さんが!(正直これはすごいと思いましたよ。立っておられましたし)。

で、貸し切り露天湯「薬師の湯」朝一番の予約状況を伺うと「大丈夫です、2つとも空いています」とのこと。この方が現状をチェックしに行かれた上で「お風呂は問題ありませんのでもう入浴していただけます」とカギを渡してくださいました。本来の時間制限タイムまで入っていていいということで、コレハアリガタイ!

部屋に戻って、まだまどろんでいたおしんこどんに「貸し切り露天湯、行きまぁーす!」と高らかに宣言。さすがにおしんこどんも眠り疲れたのか(もう10時間近く寝ていたはずですし)すぐさま準備して問題なく同行です。

ここ安達屋さんの建物は「ちょっと館内通路が複雑」なのですが(とはいえ鳴子の高友旅館ほどではない)、これまでに他の主要通路をあらかた制覇していたため「こっちしかないっしょ」ということですぐにわかりました。露天風呂の出入口にはご覧のとおりミニロビーもあって、ここはここで寛げそう。特に秋冬の寒い時期は脱衣場から歩いて戻ってくると暖炉の火でほっこりできそうです。



さて「山門」を通り抜け、「薬師二の湯」に行ってみると‥




(上画像にマウスオンすると浴槽全体画像に変わります)。

いや本当に10/1とは思えない気温の朝ゆえ(要は気温高め)、浴槽の縁で寛いでいてもスローなクールダウンのあと再びポチャリを楽しめますし、この時期ゆえ虫の襲来も皆無(これは重要!)というわけでわれわれは時間的にフライングスタートでありながら終了は定時という長時間まったりをタンノーしたのでありました



薬師二の湯。何とちゃんと屋根付き洗い場もあります。



何と水飲み場まであるのは嬉しい限り。ゴクゴクしながら朝湯浴みを完遂。

さてこのあとは朝ごはん。夕ごはんとは違う場所の朝食会場でいただきます(リフォーム前は宴会場だったのかな?幕が下ろされていましたがステージあり)。バイキングなのですが貧相ではなくてこれもありかなと。下画像では量が少なく見えるかもしれませんが、これがわたしのデフォルトです(ご飯は少なめによそってもらっています)。ただし「なめこ汁」のインパクトはイマイチでしたのでもう一工夫ヨロシクです。



何と暖炉に火が入っていました。室内は適温なのですから、やっぱり東北の秋ですねぇ。

朝食も終了しさて出発‥しないのですまだなのです。こちら安達屋さんのチェックアウトは11:00とゆったりめ。だったら食後もゴロゴロしながらのんびりするのが大吉というわけです。

ただしゴロゴロ画像をここで公開するわけにもいかないので(笑)、このあと再びの内&露天風呂へ行ってみましょう。



皆さん温泉宿に来たのに何で入浴頻度が高くないんでしょう?ちなみに朝食会場で観察した限りお客さんの平均年齢はそこそこ高く、どうやらわれわれが一番若い感じでした。そこでおしんこどんに「若い人がいないねぇ」と話しかけると、返ってきた言葉は至極当然の常識道理でありました。



この日本社会を動かしている戦士たちは、まさにこの時間お仕事と格闘なさっているわけです!あ、いちおう自分も普段はその一翼を担っているわけですが(忘れてた)。それにしても平日泊の温泉宿っていいなぁとしみじみした次第です(笑)。



とにかく「この湯はただ今吾がためのみにぞある」というわけですからね。



気ぃもちいいぞぉっ、快浴しちゃってるぞぉ!

安達屋自慢の「大気の湯」露天風呂。

そんなわけでのんびりしましたがさすがに10:15にチェックアウト。今日中に帰らなきゃいけませんしね。

と、アウト時におしんこどんがカウンターに置かれていた「スタンプラリー」に関するチラシに注目。宿泊+もう一箇所のスタンプとで応募できるらしく「あと、高湯の観光案内所でもう一つ押せばOKみたい。案内所ってどこだろう」「(Takema)この宿の向かいだよ」ということで、ハンコを押してもらいに行くことにしました。わざわざ見送りに出てくださった女将さん、なかなか去らずに申し訳なかったです(陳謝)。

そんなわけで「あったか湯」施設内にある案内所でスタンプをいただき(「2人なので2枚応募できますよ」というわけでW応募)、ついでに高湯の手ぬぐいも購入。職員の方々の応対も丁寧で好感が持てました。

最後に薬師堂にお詣りして、さてガスってはいますが磐梯吾妻スカイライン経由で猪苗代方面へと向かいます!

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