− 2015/10 その3 沿岸地域でお酒購入後一気に内陸方面へ −

このあとは一気に内陸の栗駒エリアまで進むわけですが、その前にもう少し南三陸にお付き合い下さい(笑)。



前のページでかさ上げの話を書きましたが、現在の路面を走るのもそう長いことではないなと感じるのも、左上画像をご覧いただければおわかりかと思います。「あの高さまでかさ上げされるのか‥」とちょっとびっくりするわけですが、そうすることがこの地域の「選択」であるのならば部外者たる自分が口を挟むべきではないでしょう。

前回訪問時までは周辺エリアと同じ高さだった防災庁舎(右上画像)も、すでに周囲をかさ上げの土砂に囲まれています。この国道の付け替え工事が始まれば、一気に「井戸の底」状態になってしまうことでしょう。でも決して移築などせず、今の状態を維持したまま東日本大震災とそれに伴う津波をリアルに伝えていってほしいものです。





こちらもかなり早い時期から掲示されていた歌津地区入口の看板。初めて見たときには涙腺が緩んだ記憶があります。まだ仮設住宅等の建設も進んでいない時期ではなかったかなと‥。

さてそして、次に停車したのは南三陸町にあるもう1つの復興商店街「伊里前(いさとまえ)商店街」でありました。こちらは「さんさん商店街」に比べて小規模&あまり観光映えのしない、いわゆる地元密着系の施設ではありますが(飲食店がないのが大きいかなと)、今回は「ここで買う気満々」でありました。



何をといえばお酒です。復興商店街の初期からあるはずなのになぜか現在プレハブではなくコンテナハウスで営業しているこちらのお店「佐藤酒店」で、こちらのお店でしか購入できない銘柄酒を購入しようというわけです。

こちらのお店の若旦那さん、今はお父様に代わって店主として頑張っておられるようで、「純米大吟醸 歌津」銘柄はこちらのお店でしか買えないそうなので即購入。お酒自体の醸造元は登米市の蔵のようですが、そんなことはどうでもよくて「ここ歌津(旧歌津町)の名をみんなに覚えていてもらいたい」という、その思いを大切にしたいところです。

ちなみにこの店主さん、まだとてもお若いのですがこの商店街の中では「そのご性格」も含めた意味でイメージキャラクター的存在となっておられるようです。「ちょっと」肉付きのいい方なのですがまずはこちらをご覧いただいた上で‥

以下のユーチューブ動画をご覧下さいませ。各地の復興商店街を繋いだAKB48の「恋する‥」ですが、伊里前の動画センターに店主さんがおられることからも、この商店街における佐藤さんの立ち位置(=商店街のキャラ)がわかる気がします(勝手な物言いですみません)。



もっと濃厚に伊里前だけをご覧になりたい方は以下の動画も。練習風景ですが、練習だけによりいっそう雰囲気がわかります。やっぱり若い世代が地域を引っ張っていくんだなぁということを含めて。ちなみに1分過ぎあたりの「いきなり激烈」&2分過ぎの練習スタートの俊敏動作には感服いたしました(笑)。



そんなわけでお店の中に入ると何やら打ち合わせ中。図面を広げていたので「お店ですか?」と伺ったら(初めての入店だったのにあまりにも不躾ですが)、「いえ、自宅の再建計画なんです。今はまだ仮設住まいなので」とのお返事が。なるほどわたしが入っていったら相手の方々がさっと店内テーブル席を空けたのは「お客さん(店主さん)のお客さん第一」というわけだったんですね。

ただもちろん工務店側も地元の方々らしく、自分が「ユーチューブのAKBバージョン、しっかり拝見しましたよ」と申し上げると、



と照れておられる店主さんともども大笑いなさっておりました。いやぁ何よりかな(って何が?といわれるとうまく説明できないのですが)。

同じ町内でも「さんさん」に比べて「伊里前」が規模やお店の種類において及ばないのが現実です。でもたとえば(自分も帰宅後に気づいたのですが)、「アスリートやまうちさん」には歌津オリジナルのTシャツも販売されているのだそうな。以前商店街内の観光案内所で「おしゃれなデザインのTシャツ」を購入し今も愛用しているのですが、残念ながら今はそのデザインのシャツは売られていませんでした。「アスリートやまうち」さんに行ってみるんだった!

参考までに、いろいろな場所で復興Tシャツは販売されていますがポロシャツはごく一部でしか売られていません。個人的な思いですが「ポロシャツなら買うのになぁ」という思いが強いです。そういう地域密着シャツを買う場合、特に県外から来る自分などのような観光客の場合、価格よりもデザイン重視で買うことが多いと思います。というわけで、


(正直いってTシャツよりも売れるのではないかと思います)



さて、今や地域のメインロードの役割すら果たしていない「ウタちゃんはし」を遠望する場所までやって来ました。今やセイタカアワダチソウが繁茂していますが、橋自体はその欄干が被災時に傾いたまま残されているという意味で震災遺構の1つといえるでしょう。そしてたぶんこのまま残されそうな気もするので嬉しく思います。ちなみに「ウタちゃんはし」の命名の由来についてはこのページで書きました)。

今はセイタカアワダチソウが繁茂しているこの場所ですが、もちろんこの場所にも当然歌津(伊里前地区)の人々の暮らしがありました。2011/8のほぼ同じ場所には住宅基礎のコンクリートや折れた電柱がこうして姿を見せていたわけですから‥(右上画像マウスオン)。



復興工事に従事するダンプの数は数多いのですが、そのそれぞれに「このダンプがどの工事に携わっているのか」を示す掲示がなされているのが興味深いです。何台も続いて走ってきても、その1台1台が全部違う現場で動いていることがわかり、本当に復興工事というのはとてつもない規模で動いているのだということを実感します。

その一方で、BRTによる運行が開始されたことで「急ぐことのない」JR気仙沼線の路盤復興は、BRTを走らせている区間はともかく、右上画像のように高架の落橋部分などは手つかずのままです。

BRTについては「このまま(BRT)でもやむなし」という流れすらできつつあるという南三陸町と、何とか再び仙台との鉄路を繋げたい気仙沼市との意見のズレもあるようです。JR山田線の海沿い区間がJRの整備後三陸鉄道に譲渡されることが決まっていますが、こちらはBRTを先行整備してしまったこともあり同じようにはいきそうもないし‥難しいところです(実際、本数の増便等で鉄道時代にはなかったメリットも明らかになっていますので)。

さて気仙沼市本吉から内陸に入り、R346から県道18号を通り千厩町へ。いま考えれば距離的には似たようなものだし気仙沼市中心部経由でもよかったのかな?



千厩郵便局で当座必要なお金を下ろし、一関に向かうR284の、北上川に架かる橋が何だかとてつもなく立派なことにびっくり仰天しながらも順調に進み、一関市街地を通り抜けて今度はR342を西(須川峠方面)へ。

この日のお泊まりは民泊(個人宅宿泊)なので、髪や身体を洗うお風呂は先に済ませておこうと思い、立ち寄り湯として考えていたのが「矢櫃温泉 瑞泉閣」さんでありました。ここなら大きなホテルだし、ゆったり身体も洗えるかなと(お湯は循環とかけ流し併用)。



しかしここまでに時間をかけすぎたか、こちらの日帰り入浴は「16:00まで」なんですよね。駐車場到着時すでに15:50だったし、果たして「16:00」とは受付終了時刻なのか(セーフ)、それともその時間までに退出(アウト)ということなのか?

まずはダッシュでレセプションへ。ロビーには入浴後で寛いでいるとおぼしきお客さんが数名、伺ってみると「大丈夫です、お入りになれます」とのことで安堵‥。 あれ、でも今気づいたのですが、玄関前に置かれた看板には「日帰りプラン 10:30-15:00」と書かれていますね(左上画像マウスオン)。自分の調べた過去データは16:00だったのですが、何かとのセットプランということかな?

ところで入浴後にも感じたのですが、こちらのホテル、どの従業員さんも接客が大変丁寧で好感が持てました。売店の冷蔵庫から飲み物を出して支払いのためにレセプションへと歩き始めると、それと気づいた従業員さんが作業の手を止めてささっと近づいてくれる、ここはそういうお宿なのだなと好感しました。



さてずずずいっと通路を歩いた先にある浴室へ。日帰り入浴のお客さんはロビーにおられた方が最後だったようで貸し切りでした。でも浴室入口に置かれた足ふきタオルがさほど濡れていなかったところを見ると、この日の日帰り入浴客はそれほど多くなかったのかなと(途中でタオルを替えていれば別ですが)。

源泉は高温湯、されど加温加水なしで循環もありということで、分析表および湯使い掲示を見たときはちょっと怯えましたが、(笑)、浴室内に塩素系のニオイは皆無でその代わり温泉臭がちゃんとします(源泉はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉)。源泉が64.3度で湯口で55.0度という掲示ですが、そんな熱い湯の投入口は見つかりませんでした。

また循環用の大きめ吸い込み口付近をまさぐったりその上に身を置いてもみましたが(笑)、「吸われている感」は全然なかったわけなのです。というわけで謎の湯使いですが、ちゃんと常時の溢れ出しもありましたし、おそらくは熱交換方式で湯温を下げた湯を直接投入しているのではないでしょうか?(ただし混雑時には循環装置を回すはずですし、塩素投入も清掃後には行っていることでしょう)。



しっかり全身を清めた上で湯からあがったわけですが‥じぇんじぇん汗が引きません!最近の湯めぐりでもまれに見るあったまりの湯でありました。湯上がりは半袖ポロシャツだったのに‥。

さてそんなわけでいよいよ本日のメインイベント地へと向かいましょう!

[戻る] [次へ]