− 2015/6 佐渡島(5) お宿に到着し夕ごはんは両津市内で。翌日はドンデン高原ミニトレック −



翌日は好天。となれば「佐渡アルプス」の片鱗だけでも味わっちゃおうじゃありませんか!


そんなわけでこの日の宿へと向かいます。佐渡2泊のうち1泊は「温泉ファンならご存じであろう『のみ不可のあの宿』に決めていましたが、土曜日宿泊だと結構お高いので日曜の夜にロックオンOK(宿泊料金がかなり違います)。しかしそうなると、「初日の宿はどこにしたらいいんだろう?」とそこそこ悩んだわけです。

というのも、自分の中に「最南部の小木地区にある某温泉はかけ流しだしかなりヨロシイようなので出来れば宿泊で湯ったり利用したい」という思いがあったからなのです。しかし、最北端を巡ってから一気に最南部へ移動して宿泊というのではあまりに端折るポイントが多すぎて現実的じゃないし‥ん?それならば!



というわけで出した結論が「新潟からのフェリー発着地の両津界隈の温泉宿に泊まる」という選択でした。そうなれば宿での夕ごはんじゃなくて「両津の街中で居酒屋はんにゃはらみた放浪記」というお楽しみもできるわけだし。

しかし、市街地に近い「温泉宿」はどうも循環湯ばかりのようでして、ちょっと離れた加熱かけ流し宿となると中心部から歩いて帰るにはちょっと遠すぎる‥(いま考えれば「大した距離じゃないので2人でタクシーで帰れば問題ない」レベルの距離だったのですが)。

そんなわけで最初に狙った市街地内のお宿は朝食付きでもお値段高杉晋作なのでパス。佐渡の温泉宿は案外強気の価格体系なんですよね。で、宿泊のクチコミなども参考にしながらも「このお値段ならばまぁいいんじゃないの?」と思って予約したのがこちらのお宿「ホテル志い屋」さんでありました。



ええっと、佐渡島内の多くの(大規模)ホテルですが、リニューアルされているとはいえやや年季の入った建物が多いように思われます。こちらのお宿は規模の関係もあるのか貸切バスで到着した団体客はないようでしたが、、近くに見えていたもっと大規模なホテルも、シルエットこそなかなかでしたが建築そのものは「Takemaより数歳年下なんだね」というレベルらしくてびっくり。こちらの志い屋さんもそこそこ年季の入っている建物でしたが、わたくしTakemaとしての感覚では「(1泊朝食付きの)お値段にしては悪くないんじゃないかな」という印象でした。



このエレベーターの製造会社、初めて知りました(右上画像マウスオン)。何と東京都江戸川区の会社。
ちなみに読み方は「おおもり」じゃなくて「たいせい」ですので念のため(笑)。

まずはレセプションの方々の対応がしっかりしていてこれは◎。チェックイン時に夕食なしを確認した上で「では徒歩で行かれる場合の云々」の説明で当意即妙のコメントをいただきました。これはマニュアル云々ではできませんからね(いま考えると若女将だったのかな?)。また、そのあと質問に行ったときの男性の対応も大変丁寧でありがたかったです。

いっぽうで、旧館?=本館の通路には何だか昭和の雰囲気が。扉の安っぽさ&薄さは確かに今ふうではないです。また、トイレの配管構造が昔のままなので「配管からの臭いがどうしても‥」というのは残念なところですが、この改修には多大な費用が‥あ、でも(笑)。



ということでした。もちろん個人宅とは構造が違うとは思いますが、ちょっとご検討を願いたいところです志い屋さん!

なお、部屋ではWiFi接続問題なし。それも接続状況はとても安定していて利用上の問題はゼロ。これは素晴らしいことです!ただし全館OKなのかどうかは不明です(特に新館)。



さてホテルの方に教えていただいた道筋(実はさっき車で通ってきた道)を、夕飯を求めて両津の繁華街へと歩いて移動です。それにしても佐渡の家並みには味があるというかかなり特徴があります。右上画像の建物も、引き戸にはめられているのは桜の花模様が入った擦りガラスです(右上画像マウスオン)。こんな懐かしい感じの‥いやいや!





というか今回佐渡各地を車で走りましたが、本当に板壁家屋が多い!新しめの家や、中には明らかに新築と思われる家でも、いわゆる新建材の外壁ではなく板壁の家がごく普通に並んでいるのです。これって新潟の上中下越を含めほかの地域ではあまり見られない光景だと思うんですが?



この家並みをある意味「佐渡の身近な観光資源」として何とか生かせませんかね?もちろんそのほぼすべてが個人宅なのであくまで外観見学のみですが、それこそ、



この家並みは冬場になると一気に「演歌の世界」になるのかもしれませんし(苦笑)、観光協会さん、もしよろしければご検討下さいませ(結構真面目に「こりゃちょっといいかも」と思ったので)。

さて話を戻しましょう、夕ごはんを食べに両津地区の繁華街へと進んできました。志い屋さんから歩いて15分ほどで中心部に到着です。が‥





まぁまだ18:20ころ=夜の町では朝一番みたいな時間でしたし(だいぶ無理のある比喩)、そもそも飲食店が軒を連ねているわけでもないのでしょうがないか‥寿司にしようか居酒屋にしようか迷いましたが結局は居酒屋「しらつゆ」さんへ(右上画像マウスオン)。その十数分後‥







ビールから日本酒に飲み替えてパクパク。自分としてはエビがうまかったよなぁ。

ちなみにふと気がつけば店内は満席御礼状態。なるほど、お店の数もそうあるわけでもないので、地元の方からすれば「よし、あの店で飲もう食おう」と最初からお店ターゲットをロックオンした上で来店するわけで、だから「路上でうろうろしている人は少なくてもいざお店に入ってみると盛況」というわけですね。早めの入店が正解でした。

そんなわけでお刺身盛り合わせほかのおつまみをいただいちゃったら、何だかお腹もそこそここなれてきたような‥と、ここで痛恨の半田ゴテ、いやちがった痛恨の判断ミスをしでかしたTakemaでありました。それは「お腹が一杯になる前に、今度は違う趣向の飲食店でも楽しんでみようよ」という、飲み助としてあまりにも正統たる「積極的二次会選択行動」であり、そしてそれは両津飲食街に多少なりとも貢献できることだと考えたのであります。しかぁーししかし!





そんなわけで深謀熟女の結果(タイプミス上等)、何と情けないことに「コンビニで軽いおつまみというかおにぎりとかを買って帰る」という、何とも酒飲みの風下にも置いてもらえそうにない選択をしたわけです(でもまぁほかに選択肢がなかったんで)。

もともと帰り道は「夫婦とも酔っぱらい夫婦」になっているはずだったのでタクシーで帰るつもりが、お互いにまだまだ普通だったので暗い道ですがてくてくと徒歩で帰宿。このあとしばらく部屋でまったりしましたが、寝る前にお風呂に行ったことはいうまでもありません。でも塩素臭が(残念)。



佐渡牛乳はお勧め。ついでにコンビニおにぎりはホイル包みの手作り感満載でこれまた美味しかったです。

明けて翌朝。しっかりフライング気味に1Fの温泉へ下りていってみると、ちょうど従業員さんが「じゃ、お風呂の電気とか私が点けますので」などと業務連絡中。ではではそれを待ちますよ、で、「では、もうよろしいですか?」と確認の上で合法フライング入浴。




(前夜遅くの入浴とは浴感も明らかに違いました)

このあたりの温泉施設は多くが「両津温泉2号井」を利用しているようですが、大規模ホテルが多いことを考えるとピーク時の配湯に難ありということで循環はしょうがないのでしょう。となれば、源泉の供給量に余裕のある平日の利用、それが無理ならば(深夜にお湯を抜いて清掃後新湯を入れている場合)「朝一番の湯」がやっぱりいいのかなと。

なお公式の源泉温度は47.2度ですが、たぶんかなりの距離を引き湯していますので加温はしょうがないとして、源泉の色および浴感は施設ごとにかなり違うようです。機会があれば近隣の宿湯と比較したいものです(ただし両津界隈の温泉施設のうち日帰り入浴OKの施設はかなり限られています。

ただ個人的な思いではありますが苦言をひと言。両津界隈のほとんどの「温泉宿」がこちらの宿も含めてほとんど「日帰り入浴不可」ばかりなのはなぜ?

両津地区には温泉宿が近隣を含めればそこそこあるわけですが、「日帰り入浴客」の需要をあえて無視しているとしか思えません。「これまでの佐渡の観光営業が『佐渡側が想定&期待するお客』以外にほとんど力を入れてこなかったんだろうな」という気がするんです。その想定とはまさに「団体客」であり、いざ来てもらえばかなりのお金を落としてくれる、いわば「打ち出の小槌襲来」を期待する発想が今もまだ佐渡島の観光関係者にあるとしたら‥それは佐渡観光のおしまいのハジマリでしょう。

今回の往路ジェットフォイルでも、明らかにトレッキング目的の個人観光客が何組も見られました。でも例えば関東圏から大佐渡山脈を訪問する場合、少なくとも山を下りたあとはそのまま島を離れる人も多いのではないでしょうか?(17:30発のジェットフォイルを利用すれば余裕で東京まで帰れるわけですし)。

その人たちに「島を離れる前にさっぱりと汗を流す温泉入浴の機会もほとんど与えない=日帰り入浴不可」、というのはどんなものなのでしょう?「佐渡から気持ちよく帰ってほしい」というのが観光上大前提となる錦の御旗のはずなのに、実際は真逆だなというのが正直な印象でした。今回のわれわれはトレッキング目的ではなく基本は温泉目的の訪問でしたが、計画時に「両津界隈の温泉宿って基本的に冷たいな」と感じたのが正直なところです(というか最初は両津界隈に泊まる予定すら考えませんでした。他所との絡みで結果的に泊まることにしたわけです)。

もちろん宿泊すれば「その宿における入浴」に限っては問題ないのです。でも、個人客はそれぞれミクロの発想で動くわけで、その人たちに対してマクロ視点から「佐渡の自分たちのエリアに観光で訪れる人はこちらのやり方=宿泊すれば温泉OK、に従って下さい、その準備はしていますから」というアピールをしても、個人客にはほとんど響かないでしょ?

以上、エラソなことを書きすぎましたのでここらでやめておきますが、最後にひと言。「日帰り入浴のみならず、これまでの発想に基づくやり方だけじゃ観光振興もたぶん無理ですよ@観光関係者各位」。仮に佐渡金山が世界遺産に指定されても、受け入れ側の各営業感覚を地域全体で一斉に動かさない限りは(=各地域や観光施設それぞれの言い分を気に掛けている限りは)佐渡島の観光営業の先行きにまぶしい光は見えてこない気がします(だからその裏返しを期待するばかりです)。

さて話を次に進めましょう。この日は佐渡南部へと向かうわけですが、どうやらこの翌日はやや天気が不安定になるということですので、お天気バッチリ土天海冥のうちにお山へ上がります。



のびのびと快適路を走っていくとドンデン高原方面への登山道分岐へ。でも軟弱に一気に車で上がります(苦笑)。



木漏れ日の中を登っていきますが、途中からはご覧のとおり一気のワインディングに。

道も細いところは細いので注意が必要ですが、今回は軽自動車ですから楽勝です。それにしてもこの上部にあるドンデン山荘の標高は880mくらいあるわけですから離島といってもなめてはいけません(笑)。

というか、ここ佐渡の山々は昔からそこそこハイカーに人気がある山でして、初夏の頃には花々が咲き乱れることから一帯は「花の百名山」にも指定されています。そしてその気になれば大佐渡山脈を縦走することも可能です(コースにもよりますが、いわゆる縦走だと白雲台−金北山(佐渡の最高峰1172m)−孫次郎山−ドンデン山荘−尻高山−避難小屋−ドンデン池−金剛山または檀特山経由で下山ということになるのかな。そうなると(調べた限りでは)コースタイムで11時間近いこととなるのでちょうど中間にあるドンデン山荘で1泊か。

稜線は季節風の影響で樹木が育たず展望のいい場所も多いようです。でも誰しも考えることは同じ(=GWから6月中旬にかけて花が咲くので当然混む)なので、いつか縦走するにしてもGWは避けたいなぁ。



というわけでドンデン山荘への分岐へ。道路はここから外海府の入川側に向かって下りていきますが、なぜかこの区間は開通時期が毎年遅く、この年(2015年)の開通もわれわれが訪問した約10日後の6/26だったようです。この道が開通していれば今回の旅行のルート取りも大きく変わったはず、北西斜面側とはいえ6月中旬に「積雪のため」というのは無理があるような気がします(右上画像マウスオン)。担当部署の方々に開通時期の再考を願いたいところです。

今回はあくまで直近の頂上である尻高山往復だけというミニミニトレッキングです。駐車場は混んでいるかなと思いましたが山荘脇の駐車場に駐められました(一段下に広い駐車スペースもあり)。



そんなわけで、飲み物のペットボトルだけ持参して尻高山へ。ま、ここからは水平距離500m、標高差もたぶん60mくらいしかないのでユルイ装備でも大丈夫でしょう。というか霞んでいるとはいえ空に雲一つない状態ですから!


エチゴキジムシロ タニウツギ ヤマオダマキ

よく整備された歩道沿いには、花のシーズンとしては終わりの時期とはいえ多くの花が咲いていました。いやわれわれはあくまで「おまけでやって来たドンデン高原」なのでエラソなことは何も言えませんが(笑)。ふとふり返ると‥


かなり霞みわたっているので見えにくいですが右上画像の左側が日本海、右側は汽水湖の加茂湖、その手前エリアがフェリー港のある両津エリアです。



このあたりからちょろっと上がるとアンテナ群のある小山頂上(三角点が見えています。標高934.2m)。ここからはやや下り気味に進んでいくわけですが‥え、ええ?







いやはや何とも開放的な雲上のプロムナード的な場所ですが、実はここまで、駐車場からいろいろと撮影しながら歩いてきても15分もかかっていないエリアなんですよね(普通に歩けば10分で到着すると思います)。

ただしこの草原には花は少ないです。というのもこの草原は自然の造形ではなくて「牧場として利用」されているので。ここでは牛の姿は見えませんでしたが(ドンデン山荘に来るまでの区間では見かけました)、ちゃんと置きみやげ(=糞)はありました。

ただ、牛たちが食べないと思われる花というか植物の群落はしっかりとありました。それは‥



はい、マーガレットでありました。確かに葉っぱは肉厚系だけれど水分はあまり含んでいなそうだし苦味もありそうだし。ちなみに右上画像の奥に見えている山がマトネ峰かなと。さてとここからは尻高山へ最後の急登(うそですユルユル)を進んでいきます。



でも、こうやって見るとものすごく広大に見えますよね(笑)。



ところで、この山上稜線に「なぜ?」と思うしかないハマナスの株がしっかり花を咲かせておりました。ええっと、標高1000m近くて、冬には季節風の直撃を受けるこの場所になぜ?しかも種子はどこからやってきたのでしょう?(ちょっと調べてみましたがやっぱり謎だそうです)。そのほかカエデの花(中央画像)、終わりかけていましたがサドシャクナゲの花、またレンゲツツジの赤花(右上画像マウスオン)なども見られました。ヤマブドウの若房もあったし、うん、往復たった1時間くらいでも楽しめましたよ。そんなわけで‥。




(当然ながら上画像マウスオンでおしんこどんのいつものポーズ画像に変わります)。

ま、標高差と距離(60m=500m)を考えればどこもエラソに言えた義理ではないのですが、裏を返せば「たったそれだけの移動でこれだけの山岳気分を味わえるってスゴイ」ことでもあるのです(これホント)。



ここから下った先には避難小屋(左上画像マウスオン)、そして少し離れたところにはドンデン池も見えています。さらには延々と続く稜線も見えており、この風景はもはや離島の山とはいえないほどです。すんごい。



さてそんなわけで車を駐めたドンデン山荘まで戻ってきました。ここは基本的に山小屋ですが設備は新しくてお風呂もあり、食事付き宿泊もできますしランチタイムの営業もしています。しかも両津方面の展望もバッチリですから、トレッキング目当てでなくともここに泊まって夜景を楽しむという選択肢も大ありだと思います。なおキャンプも可能です。

Takemaはここでトイレを満喫し(実はトレッキング中からちょっとヤバかったんです)、しばし休憩のあとそのまま山を下りることといたしました。



山を下りてからAコープへ。実は佐渡オリジナルのバターが島内限定で売られているということで立ち寄ったのですが、残念、ここでは売られていませんでした(でも佐渡牛乳オリジナルチーズ等の販売は確認できたので、最終日に立ち寄って購入しました)。

さてこのあとは両津のフェリーターミナルをそのまま通過して‥いよいよ佐渡島南部へと向かいます!

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