【2016/3 南相馬〜釜石+栗駒・東鳴子】

− その10 震災後に開業の大船渡温泉でまったり −



月夜の大船渡湾、牡蠣の養殖棚を月の光が照らすさまはなかなかヨロシイです!



そんなわけでやって来ました大船渡温泉!「え、何それ、大船渡のあたりは震災前によく行ったけれどこんな宿は知らないよ、碁石温泉のこと?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、こちらは震災後の2014/7に開業したばかりの新しい温泉宿なのです!

で、経営は(株)海楽荘。ここで「ははぁ‥」と気づかれた方もおられることでしょう。そう、碁石温泉 民宿海楽荘とは経営者が同じで(会社組織としては別ですが)、いわゆる姉妹館というわけです。

でも場所が別ですから当然源泉も別です。実は2009年にすでに源泉掘削は完了しており、ここはもともと日帰り温泉施設として開業する予定だったそうなのですが、かの震災による碁石温泉 民宿海楽荘の被災を機に方針転換、200名以上を収容できる大規模な宿の建築にふみきったということのようです(情報ソースは当時のネットニュースなど)。

場所は大船渡市中心部からは少し離れた海辺の高台。そして大規模施設‥何となくどこかに似たようなお宿ってありませんでしたっけ?ふと自分は「南三陸 ホテル観洋」を思い出してしまいました。

ただあちらは観光メインの施設ですが、こちらは料金的にもリーズナブル。特別室でなければ料金も2食付いて1万円以下ですし、長期滞在の場合はさらに2食付き税込み7,150円とリーズナブルに‥そう、復興作業にあたる方々の宿としても機能しています。というわけで、「温泉」と名が付いていることもあり宿泊を即決定したというわけです。



通路などはまさにシティホテルの趣です。というかまだ新しい宿なのでどこも綺麗。なおわれわれは一応?観光客なので、特にリクエストもしませんでしたが海側の部屋があてがわれました。基本的に全室が和室のようです。

部屋に入って最初に「?」と思ったのが、和風旅館の場合窓側にある意味定番的に存在していてもおかしくない「広縁(ひろえん)」がないこと。でも、それがないことによりそのぶんこの部屋の宿泊定員を柔軟に設定できるというわけです。修学旅行などの利用では詰め込まれそうだな(笑)。まぁその方が面白いはずなのでよしとしましょう(笑)。

また、旅館の和室であれば中央にどんと鎮座していておかしくない「座り机」が見あたりません。よく見ると、クローゼットの下に小さな机が収納されていました。大人数での宿泊となると大きなテーブルは就寝時にかえって邪魔になるということから、収納可能な小ぶりのテーブルにしたということのようです。まぁ、部屋食の設定はないようですしこれでもいいのかな。

さらには(Takema的には喜ばしいんですが)、部屋にはすでに布団が「いつでも広げてゴロンとしてね」モードで置かれておりました(左上画像マウスオン)。省力化を図ってのことでしょうがこれはいい!どうせ真ん中に机がないのなら、すでに敷いた状態にしてくれてもいいくらいです!

あの「食事会場に食べに行き、戻ってきたら布団が敷かれている」ことに対する違和感、もしくはもうちょっとお値段の高い宿だと「部屋で食事を済ませ、内線で連絡をするとお膳下げ&布団敷きが始まる」、そのあいだの所在なさ、ビンボー人とか育ちが知れるといわれるかも知れませんがわたしには馴染めません。宿の部屋とは「くつろぐ場」であり、無理にその部屋を臨時レストランに仕立てるほうが貧乏くさいように思えてしまうのです(異論があることは承知していますしその異論を否定するつもりもありませんが)。とにかくせっかくの旅の宿、ゆっくりしたいのです。

さてウダウダと綴っているうちに夕食タイムとなりました(到着が遅めだったのとある狙いとでお風呂は食事後と決めておりました)。いざ1Fの食事会場へ。



さて、最初の段階では案外あっさりとしたお食事ラインアップ(笑)。でもこの雰囲気からするとあとから「温かいもの軍団」がずんずん追加登場する」と予想されますから気が抜けません(実際そうでした)。まずはビールで乾杯!

すると生ダコ&アワビ刺しが登場してきたので、これはビールなんか飲んでる場合じゃない日本酒だ!というわけで、陸前高田で壊滅的な被害を受けながらも奇跡の復活を遂げた酔仙の「純米酒 オール岩手」をボトルで注文です(両上画像マウスオン)。





そんなわけであとからもいろいろな料理が出てきましたが、最後に出てきたのがこちら。どうやら観光系の宿泊だとデフォルトで提供されているようです。





極端にびっくりするほど大きなカマではありませんが、それでも十分に大きい!で、時間をかけて火を通しただけあっていろんな部位がホロホロと軟らかく仕上げられており、うん美味しくいただけました!

食事中の各テーブル、後半戦にこのカマが運ばれていくさまは結構壮観でしたが、全体として思ったより「食え食え攻撃系」ではなかったので完食できました。もっとも少食系男子たるTakemaはお腹パンパンでしたが。

ちなみに夕食時で見た限り、この日の宿泊は「観光客1:2復興作業関係者」という感じでした(もちろん復興関係の方々は別メニュー)。この日は平日でしたが週末は観光客の比率も上がるのかな?(というか上がってほしいです)。またそれと関連して、



そりゃそうです、現場で作業にあたられているのは男性が圧倒的でしょうから。しかしその関係で、この夜はいつチェックしに行っても男湯は先客さんがてんこ盛りでした。明日に期待するしかないか‥(なおこちらの温泉は地元の共同湯としても機能しており、11:00-21:00まで430円で立ち寄り湯可能です)。

そんなわけで身体を洗った上で就寝。でも朝は早いんです。だって‥




(まぁ水平線からの日の出はこの時期拝めませんが)









なおこの時間よりも前、まだ暗いうちにもお風呂をチェックしてみましたが、ぐはぁこんな時間にも先客万来、ってどういうことよ男湯!というわけでおしんこどんにカメラを託してみたところ、上がってきてひと言。





やっぱり男女比はあまりにもわかりやすく利用度に直結しますなぁ(苦笑)。



ちなみに部屋から沖合を見ると、太平洋フェリー(苫小牧−仙台−名古屋)が仙台港に向かって進んでいくのが見えました。たぶんこの夏にはまた利用することになるでしょう(今夏は4年ぶりに北海道に渡ると固く決意しております)。勝負の予約だな(笑)。

というわけで朝食後に次の男湯トライとすることにして朝ごはん。こちらはバイキングなので特に画像はありません。



部屋に戻ってくると、湾内にしつらえられた牡蠣棚のブイ(いや海面)が輝いておりました。さて8:00、いざ男性浴室へと向かいましょう!



左右の浴室の間にはちょっとした休憩所、そしてその向こうには大船渡湾の先に太平洋の広がりという絶景です!





そう、この時間になれば宿泊客推定2/3の作業員さんは出勤したあとですし、残り1/3の観光客氏もご飯直後ゆえ休憩中だったり出発準備中だったりで何とかなると思っていたわけですがホントに何とかなりました!(嬉)。

で、お湯のお話なのですがむろん加温循環がベースで消毒もあります(特に男湯は利用者数も多いのでそこそこの塩素臭が常時ありました。酷いというほどでもないですが)。ナトリウム・カルシウム塩化物泉という、あまりにも場所柄わかりやすい源泉です。

なおこの温泉の売りは、約19度の温泉ながら「薪で沸かしています」ということ。さすがに2016/3で廃業した星山温泉のような「本格薪」使用ボイラーじゃないだろうなとは思っていましたが、やっぱり木材ペレットを使用していました。

また右上画像の小ぶり浴槽は「お湯を濾過せず使用」ということでした。が、こちらもそこそこの塩素臭が(残念)。また食塩泉にしてはそれほど成分量が多くない(塩分が濃くない)せいなのか左上画像の広い浴槽との違いはよくわかりませんでした。それにしても「お湯を濾過せず使用」とは、普通に理解すれば「加温かけ流し」だと思うのですが‥



まぁ、利得絡みによりそういうのを仕切る温泉業界のトップが全然機能していない(できない)ままやって来たのが温泉の世界だし温泉法だしということで、そういう団体にはそもそも期待してもいないのですが‥(苦笑)。

ただし、よい子の皆さんはそういう温泉の湯を「湯味チェック」と称して口に含んだりしちゃいけませんよ、それだけは間違いありません!(苦笑)。もちろん飲泉許可を得ていないかけ流し湯だって同じことです。飲泉許可を取得するにはかなり面倒な(細かな)条件をクリアしなければならないと聞いています。かけ流しだからって勝手にゴクゴクしないように!(加水の場合はそれが沢水ということもあり得ます)。



そんなわけで内風呂も露天湯もタンノーいたしました。この日は3月下旬の東北とはいえ穏やかな陽気で風もなく、露天風呂でもゆっくりできました。

さて湯を上がったらチェックアウトということになるわけなのですが、こちらのお宿、津波被災後に建てられたということでいざというときは周辺にいる人々の緊急避難施設、いわば「最後の砦」としての存在ともなるわけです。そんなわけでこのような宿泊施設には珍しく(いざという時のために)屋上が開放されているらしい、そしてそこからの眺めが当然ながらとってもヨロシイ!という情報を知り、当然ながら上がってみることに。



そんなわけでバビューンとエレベーターで屋上へ。海沿いの高台、しかも建物は5階建てのそのまた屋上ですから見晴らしがよくないはずがありません!



「うん、絶景です!」
(両上画像マウスオンでそれぞれ別画像に変わります)

まぁ、あえていうなら排気口の近くは木材ペレットを燃やしたわずかなケムリ臭がしたりしますが、木材由来ゆえこれもまた不快なものではありません。うん、大船渡温泉、なかなかよかったぞというわけでこの日も旅を続けましょう。というわけでこの続きは次ページにて。

[戻る] [次へ]