- その5 いよいよ羽幌沖合の島々へ。まずは焼尻島に行きますよ -



いざ行かん初訪問の焼尻島&天売島!

(2018年7-8月 その5)

翌朝は羽幌港から焼尻&天売島を目指します。これまで利尻&礼文島、奥尻島と北海道の離島を回ってきましたが、この天売&焼尻島でとりあえずは完了です。まだほかにも北海道の離島はありますが、定期船のない島々ばかりなので‥。本当は渡島大島とかにもとある理由で行ってみたいんですが、北朝鮮の漁船に先乗りされちゃいましたし(あまり冗談にならない)。



8時ちょい前に羽幌港FTに到着しました(左上画像、おしんこどんはさっそく顔出ししてます)。この羽幌-焼尻・天売航路は運航本数が季節によって極端に違っており、最盛期のお盆には高速船とフェリーと合わせて1日6往復もしています。(詳しくはこちら

しかしその一方で冬場は高速船なしでフェリーが1日1便のみ。悪天による欠航も多いでしょうから、やっぱり離島の冬は大変そうです。

で、右上画像は8:00発の高速船。すぐに切符を買えばこの船にも乗船できるタイミングでしたが、われわれは8:30発の通常フェリーで行くのです。別に急ぐ旅じゃないというか、この日は焼尻島(9:30着)を回ったあと天売島に泊まるので、焼尻発15:10発の便に間に合えばいいわけなのですよ。焼尻島は大きな島でもないのでたぶんこれで十分なのです。もっともあとから思えば、「あえて焼尻島に泊まる」という選択肢もあったのかなとは思いますが。



ターミナル内には食堂もあります。「天売産の生ウニ」はそんなに道内各所にまで出回らないと思うので食べたかった‥いやちょっと待てそもそもこの日の泊まりは天売島なんだった!そんなわけで乗船券購入、あれれ「おろろん2」はガラガラのご様子?



まぁ考えてみれば30分前に高速船が出ているわけですし、そもそもこの「おろろん2」は焼尻&天売島の生活路線たるフェリーなのですから、歩行乗船のお客さんは少なくても車両甲板にはいろいろな物資を積んだ車が積載されているはずです。高速船とはそもそもの用途が違うので乗客数だけで比較するべきではないですね(でも空いていて嬉しい)。

で、いつものことながら出航前に船内をうろうろ(結婚当初の頃おしんこどん@妻からはこの行動を「落ち着きがないねー」と言われてきましたが、ただ運ばれるだけじゃなく、せっかく乗っているならいろいろ見ておきたいじゃないですか。ちなみに最近は「うろうろしてくるわ」「あ、はーい」と実に自然なやりとりです(笑))。



船体上部には「羽幌-焼尻-天売」との航路表示がありますが、その「天売」の奥に郵便マークの掲示があるのが見えるでしょうか。



何が言いたいかって、かつて郵政事業は三公社五現業(もう全部言える人の方が圧倒的に少数派だと思いますが)の1つでありました。その後郵便事業は民間にも開放されたとはいえ、いわゆる「信書」は現在においても日本郵政が独占的に引き受けています。その「信書」を一時的な移動の間とはいえ日本郵政から託される交通機関には、その委託指定を受けていることを示す「郵便マーク」が掲示されているわけです(少ないとは思いますがバスなどにもありますよ)。

あ、それとは全然関係ないのですが、船室の外側に置かれていたエアコンの室外機。なんだぁ民生用の大型が普通に使われているんだなと思ってよくよく見ていたらさにあらず(右上画像マウスオン)。



しかもJRAが認定って、まさか日本中央競馬会がそんな認定をするはずも出来るはずもなく(あのね)、ちゃんと調べてみたら「日本冷凍空調工業会」なる業界団体が出てきました。



なるほどJはともかくRは「Refrigeration(冷凍)」、Aは「Air Conditioning」なのですね。でも、英語名の略称が5字って長すぎませんかね?しかも最初の2字が子音、最後の3字が母音なので発音しにくいことおびただしい気がします。何と発音すればいいんだろう、「ジャライア」それとも「ジェレア」かな?というか、そもそもこういう掲示に「JRA」という「略称の略称」を使っているのなら、いっそのことお馬さん協会に気兼ねせず正式名称も「JRA」にしてしまえばいいのに。そもそもお馬さん協会だってかの鉄道会社グループに気を遣っているわけではないですし気を遣う必要もないでしょうし。



はい話がいつものようにバラン星方面にワープしてしまったので太陽系軌道に戻しましょう。というわけで定刻に羽幌港を出航です。入れ替わりで漁船が入ってきましたが、ちょっと珍しいことに?(自分が知らないだけかも)大きめのクレーンが装備されています。クレーンの腕を伸ばせばそこそこの長さになりそうです。どのような魚種用の船なんでしょうか?羽幌といえば素人考え的には「甘えび」なんですが‥。



この日の日本海はとことん脱力系のベタベタ凪で揺れとは無縁でした。



操業中の漁船の脇を通ります。ここでクレーンを伸ばしているということはやっぱり漁獲用なのですね。

ところで、初めて見た飛行機雲関連の画像がこちらです。どうしてこうなるんだろう?



上の2枚の画像は間違いなく飛行機雲だと思いますが、妙に立体的というか陰影付きになっています。でもまぁこれだけ見れば「雲の影の部分が映っているだけだろう」と思えるような気もしますが、左上画像マウスオンで出てくる画像は飛行機雲本体と影の部分とが明らかに離れています。こんな影ってあり?

しかもそもそも両上画像では水平線に近い部分では飛行機雲が発生していないのに影は見えている‥。だとすれば「暗く見えているのはエンジンの排気ガス」という可能性もありそうですが、そうなると「同じ機材から排出されたモノがどうして時間を追うごとに平行移動的に離れていくのか」という新たな疑問が生じてきます。何だか「子ども電話相談室」に相談したくなってきましたが、もう声変わりをしてから40年以上経つのですぐバレそうですね(大笑)。どなたかこの現象についてお教えいただければ幸いです(その場合このページに追記します)。



そんなわけで目指す焼尻&天売島が見えてきました。左上画像、右側が焼尻島、左側奥に見えているのが天売島です。どちらも標高の高い山がない「のっぺら島」のように見えますが、最高標高は焼尻島で94m、天売島だと184mもあるので地球温暖化による海面上昇があるとしても問題はなさそうです。いっぽうで津波についてはかつての奥尻島同様の危なっかしさはありそうですが、実際のところはどうなんだろう?

焼尻島が近くなってくると海鳥の姿も増えてきます。右上画像はまだ港まで少し距離があった場所でのズーム撮影ですが、よっぽど魚の大きな群れがいたんでしょうね。



そんなわけで焼尻港入港です。今回は焼尻島に日帰り入浴、いや違った日帰り上陸なのです。乗ってきた船で9:30に焼尻港に到着し、運航本数が多い夏シーズン、15:10発の天売島行きの便に乗船するまでの「5時間40分」で焼尻島を駆け足で回ってしまおうというわけなのです。

焼尻島についてよくご存じない方も多いと思うので(というか自分もよく知らなかったのでエラソなことはいえませんが)ここでざっくり説明します。外周12kmほどの小さな島で人口は300人弱。おおむね平坦な地形で、集落は港のある東側と北側にあり、南側にはほとんど家がありません。右上画像に「オンコの島」という文字が見えますが、オンコとはイチイの木(常緑針葉樹)のことで島の森の代表的な植生です(後述)。

焼尻島はかつてニシン漁で栄えた島でしたが、今はこれといって大きな産業はありません。ただ「それではいかんだろ」というわけで取り組んだのがサフォーク羊の牧畜でして、これが高評価を受けてしっかり販路を獲得し、道外(というか首都圏ほかの高級系料理店)にバンバン出荷されているようです。かの洞爺湖サミットでもこの焼尻サフォーク羊肉が提供されたのだとか。

逆にここ焼尻島内でも食べられる機会は相当に限られており、その機会の一つが毎年8月上旬に開催される「焼尻めん羊まつり」。しかし今回の訪問は7月下旬なのでそのイベントへの参加は無理。というわけで(以下後述)。



ウミウたちには無視されつつもいよいよ焼尻港着岸、タラップが接続されていよいよ下船です。ここで下船したのはわれわれ以外に2人くらいでしたが、30分先発の高速船なら到着は1時間早いので、観光系の皆さんは高速船ですでに上陸していたのかもしれません。

さて、上にも書いたように周囲12kmほどの島とはいえ歩くにはそこそこの距離があります。それでも5時間40分あれば歩けますけれどね。しかし車やバイクで走ってしまえば、それこそ「30分で島内めぐり終了!」ということも可能でしょう。でもそれではあまりにすぐ終わってしまうということか、この島にはレンタバイクやレンタカーというものが存在しません。あるのは「レンタサイクル」のみであります。しかしこのことがわたくしTakemaにとっては「大いなる危惧というかネック」となったのであります。それはどういうことかというと‥。



でも、「自転車とかって一度乗れるようになったら身体が覚えているから大丈夫なんじゃないの?」と思う方もおられますよね。実はそれについてもビミョーな思い出があるのです。30歳くらいの頃自分の高校時代の先輩が自分の職場の近くに住んでいて、夜が遅くなったので自転車を借りて帰ったのですが、どうも真っ直ぐ走れない‥お酒を飲んで云々については四半世紀前のことゆえお許しいただくとして、この時はお酒が入っていたので「飲み過ぎたかな」という感じでした。

しかし翌朝、自転車を返す必要もありその先輩宅まで再びペダルを漕いだわけですが‥やっぱり真っ直ぐ走れない(お酒は抜けていましたので念のため、というか冷静沈着モードでした)。その時思ったのが、



という危惧でありました。そしてその時以降一切自転車に乗る機会がないまま四半世紀が過ぎた2018年夏、ここ焼尻島で「自転車で島めぐり」という計画を立案してしまう自分っていったい(苦笑)。

あ、でも少しだけ練習はしました。職場に自転車通勤をしている人に自転車を借りて、自転車置き場の周りを走ってみました。が、そのときの結論としては「まっすぐなら何とか走れるけれどカーブはコワイ、乗ったままUターンなど夢のまた夢」という感じで、果たして大丈夫なのか自分?



そんなわけでフェリーターミナル隣のレンタサイクル屋さんで自転車を借り出しました(1000円/日)。ええっと、いきなり坂道の登りなんですが‥



多少おっかなびっくりとはいえちゃんと前に進めます。Uターンはちょっと無理そうだけれど普通に曲がるくらいなら大丈夫だわ。というわけで「案ずるより産むが易し」でありました。

 

去りゆくフェリーを見送りつつ、まずは中島の崎展望台へ。もっともまぁ展望はいいんですが、はるかに北海道本土の山々が見えるくらいで後はひたすら海ばかりなんですけれどね(岬なんだから当然です)。



このあとは島の内陸部に入ります。まず目指すは「オンコの庄」。オンコ=イチイ(イチイ科イチイ属の常緑針葉樹)で、通常は10mほどの高さに成長します。ところがここ焼尻島では高さ2mほど、その一方で枝は周囲10mほどに広がっています。こうなる理由はいうまでもなく「冬の季節風」。吹き付ける強風のため枝を上に伸ばせず、まるで地を這うように成長しているというわけです。



左上画像の場所からコンクリ舗装の遊歩道に入っていきますが、自転車の通行はOKとのことでそのまま進行します。舗装の幅が狭いので、脱輪しないように気を遣いますが、うん大分慣れてきたぞ。

右上画像はオンコの木ですが、このあたりは風当たりが弱いのか森になっていて、当然オンコも「本来の姿」のまま上に伸びることができています。遊歩道にはいくつかの分岐があり、せっかくなので分け入っていくことに。すると‥

 

ありゃ、神社の拝殿脇に出てきました。焼尻島唯一の神社?厳島神社です。



狛犬は左右に鎮座していますが、なぜか笠木や貫はありません(右上画像マウスオン)。



メインロードに戻って進んでいくと雲雀ヶ丘公園という所に出ました。近くには池があります。ここのオンコは低い!



ほーらもう片手運転も余裕です。四半世紀前は何で乗れなかったんだろうと不思議に思うほど。



そしてやってきましたオンコの庄。なるほどこちらのオンコは低い姿勢で這っています。この場所は海側にむけて開けており風の通り道となっているようです。



左上画像を見ると、海からの風が相当に強いことがわかります。そして枝が上方向にではなく真横に伸びていることも。この日は天気もよくほぼ無風の穏やかな日和でしたが、冬場などは相当な風が吹くんでしょう。島での冬の暮らしも大変そうだなぁと。



さてこのあとは島の中央部へと進みます。そこには「離島にいるとは思えない」広々とした風景が広がっていたのでありましたが、この続きは次ページにて。

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