- その6 町営牧場、鷹の巣園地でのんびりのあと、もちろんいただく焼尻サフォーク! -



はい、サフォーク羊くんこんにちは!島の中央部には町営牧場が広がっておりました。



(2018年7-8月 その6)

オンコの庄をあとにしてさらに進んでいくといきなり森の中から出て一気に視界が開けます。昭和37年に「漁師の不漁対策」として開設されたという町営めん羊牧場、現在は指定管理者のもとおよそ650頭(2017現在)が飼育されているのだとか。

事業として軌道に乗るまでには紆余曲折があったようですが、現在は「焼尻サフォーク」として高級レストランなどへの販路が定着しているようです。年間の出荷頭数は200頭ほどということで、地元でも「幻の肉」なのだとか。



何だか離島にいるとは思えないような開放的な風景の中、平坦でまっすぐな道が延びています。島には熊やキツネ、ヘビなどの天敵がいないことから羊たちにとってもストレスフリーなのだとか。確かにねぇ。



海からの潮風にあたった牧草を食べるから臭みのない良質な肉質となるのだとか。



あれあれ、元気がない?いやたぶん食べ疲れて眠いだけなのだろうと‥。



さらに進んでいくと、牧草ロールのエリアに出てきました。北の島ゆえ冬場は羊舎で飼育するのですが、その期間の餌もこの時期に準備しておかなければなりません。でも、ネット上の情報によるとこの牧場事業はたった2人で回しているのだとか。それは大変だ‥。



はるか彼方に日本海をのぞむ高台、開放感たっぷりですが冬場は本当に風が強いんだろうなと思います。でもその風に乗って海からミネラル分がやってくるのでしょうから。



牧場の境界地にはマツヨイグサ(一般には月見草)がたくさん生えている場所がありました(右上画像マウスオンで微妙に拡大)。この植物は「パイオニア植物」といわれ、荒れ地や耕作放棄地などに最初に入り込み、他の植物が進出してくると姿を消すということです。ということは、ここも牧草地として整備しようとして結局牧草を植えなかった場所なのかもしれません。

ここからは内陸部を西に進みますが、ここがずっと緩やかな上り坂なんで少々きついです。焼尻島の最高標高点へと向かうのですから当然の話で、よって写真を撮る余裕なし。



というわけでお手洗いと東屋のある「鷹の巣園地」に到着しました。汗をかいたのでお手洗いの水(飲めませんが)で顔を洗ってはふーさっぱり。ではでは、最高点目指して歩いていきましょう。





国土地理院の地図によるとこの島の最高標高点は「94m」となっていますが、その地点は道路上にあると表示されています。でも実際にはその脇の小高い丘のほうが高いですから、もしかして園地整備時に盛り土をして「100m」にしたのかもしれません。



最高点は柵で囲われていますが、特に何の表示看板もなく潔いというかあっさりしたものです。



ここから天売島までは直線で4kmほどしかありません。ゆえにカメラをズームしてみると天売港付近もよく見えます。島の面積的には焼尻島とあまり変わらないと思いますが、あちらのほうが明らかに山が高いようです。ちなみに天売島の最高地点は183.5mだとか。天売島にもレンタサイクルはあるようですが、周回道路は最高点近くをも通っており、自転車ツーリングはなかなかキビシイものとなりそうです(笑)。あ、左上画像マウスオンで無意味におしんこどん足上げ画像に変わります。



さて小腹が空いたので、前日芦別の道の駅で購入しておいたサクランボをいただきます。東屋の日陰がありがたいほどにいい天気で気温も高くなっておりました。サクランボはお値段高めだけのことはあり美味しくいただきましたよ。



さて最高標高点にいるわけですからここからは下りです。牧場から鷹の巣園地までよりも道の傾斜が急なので、海岸沿いに鷹の巣園地を目指すルート取りはお勧めしません。というか自転車を借りる時にそう言われましたがなるほど確かに。

道路は海岸べりではなくやや内陸側を進んでいくことになります。海岸の傾斜地に無理矢理道路を造るより、傾斜の緩い海岸段丘上に造るほうが工事そのものも維持管理も楽ですからね。なお両上画像ともマウスオンで別画像に変わります。



ご覧のとおり鷹の巣園地近くに住宅はないのですが、そのかわり羊舎があります。見学はできないようですが、病原菌の侵入防止・見学者の対応をする人手がないことを考えれば当然のことでしょう。

ちなみに「出荷」が近くなった羊はしばらく羊舎で育てられるのだとか。ぐっとズームして撮った右上画像に写っているキミはもしかして‥。ありがとう。



郵便局でお金を出し入れした上で(島唯一の郵便局ですからなくなることはないでしょうが、以前「利用実績が上がるといろいろと云々でありがたい」という話を聞いたことがあるので、地方局は積極的に利用するようにしています)フェリーターミナルまで戻ってきました。正午をちょっと回ったあたりだったかと。レンタサイクルを返却し、はーよかった問題なく無転倒でした(利用前はホントにドキドキしてたのよ)。

港には高速船が着岸していましたが、カーフェリーと違ってタラップが長いですね。で、船体の先頭部近くには‥





とはいえ、「その方面」に詳しい方を除いては何それ?と思われる方のほうが圧倒的に多いでしょう(あ、わたしは道内情報についてはそこそこ調べているので知っていましたが、「その方面」の人ではありませんのでスミマセン)。

「沿岸バス」。焼尻・天売島を含む羽幌町に本社があるバス会社です。路線バス及び高速バスを運行しており、路線の中には豊富-留萌を結ぶ165km、所要4時間というとてつもない長大路線もあったりしますから油断なりません(笑)。

で、この沿岸バスは早くからネット界隈では有名で、2005年には当時の「2ちゃんねる」でアイデアを募ったツアーバス運行をダントツ先駆けで行い、さらには萌えキャラも2008年から導入。担当者さんはもちろんそこそこの決定権を持つ管理職なのでしょうがすごいなぁ。

で、2018現在は5人の公式キャラクターが「萌えっ子」としてエントリーしているようです(詳しくはこちら)。ちなみに「萌えっ子」の「萌」は営業エリアである留に由来しているんだとか。なるほど。で、高速船「さんらいなぁ2」に描かれている「観音崎らいな」は、設定として離島の民宿の女の子(中学1年生)、「らいな」という名前はこの高速船「さんらいなぁ」に由来しているのだとか。

なお沿岸バスとこの羽幌沿海フェリーとは基本的に資本が異なる別会社のようですが、地域振興の観点から同キャラをペイントしたようです(詳細は未確認)。



しかし天売島に向かうこの高速船に乗ることはありません。だってだってだって、だってだってなんだもん♪(キューティハニーの曲調で読んでね)、






そう、焼尻島で焼尻サフォークを食べられるのはここだけなんです。あ、場所はフェリーターミナルの隣(レンタサイクル屋さんの反対側)なのであまりにもわかりやすい。

1人前で2500円って高いようにも思えますが、そもそも島内での飼育だけにコストがかかり(サフォーク羊が食べるのは牧場の牧草かも知れませんが、離島だけに付帯する施設維持管理にかかる費用がどうしてもかかってしまうようです。そもそも出荷にも「サフォーク羊を船に乗せる」必要があるわけですし)。出荷先の市場では5000円/kgの値が付くのだとか。そこから仕入れたフレンチレストラン‥あ、もう無理だわいろんな意味で(笑)。



そんなわけで「定食」(とはいえご飯が付くだけですが)を2つ注文。鷹の巣園地でサクランボを食べただけでお腹が減っているところに焼尻サフォークですからね、まずはお肉をいただきますよ。



ビールも飲んでいやはやごちそうさまでした。いやホントに柔らかくてびっくり。口に含むとじわっとあふれ出る肉汁、確かにこれはウマイよん♪



おしんこどんはいつものように顔出しをしてくれました。今年(2018)のめん羊まつりは8/4.5のようでしたが、お祭り振る舞いでもそこそこのお値段のようですし、いやぁしっかり満足のお昼ごはんでありました。



このあとは港湾エリアを歩き階段を登って集落方面へと向かいます。お腹いっぱいだったのでこの時はスルーしたんですが、やっぱりここでウニをパクっておくんだったなぁと後悔。お母さんたちが剥いてましたよウニを(左上画像は帰り道に撮影したものなので閉まってます)。

2011年の東日本大震災後(ここ天売焼尻では奥尻地震の後だと思いますが)、各地で海辺から高台への避難路は随分整備されたように感じます。ここ焼尻島の港界隈にもいくつも階段を見ましたし(ただし階段がどこにあるのかを表示する誘導看板がほぼなかったのはどんなもんかなと思うところです)。右上画像の階段は便利な場所にあり幅も広いので地元の方も利用しているようでした。



このあとは天売島へと向かうのですが、次の船までにはまだ時間があるので焼尻島郷土資料館(旧小納家住宅)を見学することに。港から歩いていかれるのでフェリーの待ち時間つぶしに絶好です。

この住宅は石川県出身の小納氏がニシン漁を中心にして財をなし1900(明治33)年に建てられたもので、外見は和洋折衷、高価な資材・細かな造作がふんだんに用いられており、往時の隆盛ぶりがしのばれます。内部には当時の衣服や調度品、そして郵便・電信設備などが残されています。ただし残念ながら内部の撮影は禁止されています。



このすぐ近くに、何やらコンクリート造の塔がありまして、そこにはご覧のように「御大典記念 昭和三年十一月」という記載があります。昔の街灯か何かだったのかな?それにしても「御大典」とは?と思って調べてみると、どうやら「御大典」とは「即位の礼」と同義らしく、昭和天皇の即位の礼は昭和三年十一月だったことがわかりました。即位式のお祝いとして建てられたものなのでしょう。

昭和三年=1928年ですからもう90年も前の建造物ですが、まだまだちゃんとしています。コンクリの質とかも含めて丁寧に造られたのでしょうね。



再びフェリーターミナルへ戻り天売島行きの切符を購入。お客さんのうち観光客は我々だけのようです。



そしてフェリーがやってきました。この日の朝に羽幌から焼尻まで乗ってきた船と同じ「おろろん2」号です。この時期は羽幌-焼尻-天売を2往復/日しています(そのほかに高速船が2往復)。



離島航路なので船の出入港の際には警察の方が保安員として立ち会うのは伊豆諸島航路などと同じです。出港するとすぐに、先ほど見学していた資料館が目に入ります。右上画像にマウスオンすると拡大しますが、118年前の建造物とは思えぬほどしっかりした外観です。



そんなわけで天売島に渡ります。焼尻-天売間は25分(高速船だと15分)しかかかりません。船はぐるっと焼尻島の北側を回り込むような形で進んでいきます。



焼尻島と天売島の中間付近までやってきました。ん?あれはさっき顔を洗った鷹の巣園地のお手洗いだ!(笑)。





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