- その9 羽根沢温泉の陰と陽、そして毎度の駒の湯へ -



今回はもちろん駒の湯にも顔を出しました。

(2024年8月8日-8月18日 その9)

肘折温泉の出発後は久々に羽根沢温泉に行ってみることにしました。あの湯触り狙いで(微笑)。ただ、その道中にもいろいろありました。もちろん7月豪雨の影響です。





遠望した限りで落橋はしていないようでしたが、橋脚などに洗掘などの問題が生じているのかもしれません。この時点で災害から約2週間が経過していましたが、復旧作業がまったく行われていないところを見るに、部分的な補修ではどうにもならないレベルなのかもしれません。



途中片側交互通行や迂回する区間もありましたが、それ以外は比較的平穏な道中で、水田も多くありましたが(というか水田だらけ)倒れた株はほぼ見かけず。まだぎりぎり出穂の前で、「頭が軽かった」からでしょうか、水を被ったとしても何とかなったのかなと思います。このあと美味しいお米を収穫できたであろうと祈るばかりです。

というわけで羽根沢温泉に到着です。駐車場広場が妙に茶色いことが気になりましたが、この段階ではまだここ羽根沢で起こった事象についてはまったく気づいておらず、まずは共同浴場の様子見に。以前の訪問以来特に大きな変化もないようです。

ただ共同浴場は何度か入っているので今回はパス。3軒あるお宿のうち加登屋には以前泊まったことがあるので、残りの2軒のうちどちらか‥と思って見渡したところで、





あらためてよく見ると、土で茶色く染まった駐車場も(土砂そのものは完全に撤去されていました)、その土砂は紅葉館側から流れてきたようにも見えました。おそらくそうなのでしょう。ということは‥



というわけでこの場でニュースをチェックしたところやはりそのような感じで、押し寄せた土砂は非常扉をこじ開けて内部に侵入し、1階の土砂の堆積は大人の日の背丈(160-170cm)にも達したのだとか。その土砂が道路側にまで達したということなのでしょう。

ネット上のニュースによると、地元出身の専務さんは「もう(再建は)だめかも」というところまで気持ちが沈んだそうですが、学生時代の同級生が泥の掻き出しほか様々な手伝いに来てくれて、「またここで同級会を開きたい」というコメントを発してくれたそうです。そこで専務さんも一念発起したそうで、2024/11のネットニュースには以下のように記されていました(リンクを貼れば画像付きのページを見てもらえるのですが、どうせやがて削除されてしまうのでね(新聞系ニュースメディアは過去記事をアーカイブとして残しておくべきだと強く思う次第です@やっているのは産経だけ)。

ことし7月の大雨で大量の土砂が流れ込む被害が出た鮭川村・羽根沢温泉の「ホテル紅葉館」は、現在の場所での営業再開を断念し、今後移転して旅館を再建する方針を固めました。移転先は同温泉内の敷地も含めて検討していますが、未定です。

ホテル紅葉館 元木洋典専務「工事が終わるまで時間もかかるし自分の中での不安も消えないので現在の場所での再建は厳しい。今の場所と離れるがうちの敷地に新たに旅館として建て替えをして再建を目指そうと考えている」

鮭川村の山あいにある羽根沢温泉の「ホテル紅葉館」です。この旅館は、7月の大雨の際、裏山の斜面で土砂崩れが発生し、大量の土砂が敷地や建物に流れ込みました。
ホテル紅葉館はこれまで、この場所での営業再開を目指していましたが、再び土砂崩れが発生する恐れがあることから、旅館を移転する可能性も含め検討を続けてきました。

ホテル紅葉館 元木洋典専務「この危険が取り除かれない限りはこの場所での再建は厳しい」

こうしたなか県は、土砂崩れの再発を防ぐための対策として、来年4月以降、現場周辺に治山ダムの増設と、7月に崩落した斜面の対策工事を計画しています。
ホテル紅葉館の元木専務は、この工事の完了が来年度末までかかる見通しだとの説明を31日、県の担当者から受け、営業休止の期間が長期に渡ることなどから現在の場所での営業再開を断念し、移転先での営業再開を決断しました。

ホテル紅葉館 元木洋典専務「今ある建物は大きいので規模を縮小して今の客の形態に合わせた経営にしていければと考えている。紅葉館という屋号はそのまま残して会社としては継続という形で考えている」

ホテル紅葉館の移転先は未定ですが、旅館が所有する同温泉内の敷地も検討しているということです。今後、旅館の移転と再建にかかる予算確保を目指していくということです。

YBC山形放送 ニュースサイトより引用 2024/11/1更新分)


何だかこの日の目的地である駒の湯温泉(2008年6月16日、岩手・宮城内陸地震を契機とした土石流により建物流出、死傷者あり)とオーバーラップして捉えてしまいます。たまたま表に出ておられたお隣加登屋さんの方に事情をうかがって「そうだったのか」と現状を理解した次第です(加登屋さんはほぼ被害なくこの時すでに通常営業だったようです)。この日も複数の男性がホテルからいろいろなものを近くの倉庫?に運び出していました。お手伝いを申し出ればよかったかな?いや、冷やかしで1時間くらい手伝ったところで単なる自己満足に過ぎなかったことでしょう(そもそも加登屋さんから事情をうかがったのは入浴後のことでしたし)。

で、話を戻して入浴です。3軒のうち1軒休業、1軒宿泊入浴済みとくれば選択肢はもう1つしかありません!

















あ、「シャワーと浴槽が近すぎる云々」とかは言いっこなしということにしましょう。また以前は違ったのかもしれませんが、浴槽周りが全て板簀子になっているのもいい感じです。これなら水はけもいいですし。



羽根沢温泉といえば透明湯だと相場が決まっている感がありましたが、この湯花キャッチャー、かなり溜めこんでいますね。日にもよるのかな、源泉はどこも一緒だと思うけれど、加登屋さんに泊まったときには(この時です)そもそもキャッチャー自体装着されていなかった記憶が。

そういや、ツイッターXで「羽根沢温泉」のキーワード検索してみたら、何だか不思議なほどにフォロワーの比率が高くてびっくりしました。基本的に皆さん絶賛系で、まさに「類は友を呼ぶなのだなぁ」と実感した次第です(何のこっちゃ)。







湯上がりにふと見るとワンちゃんが寝転んでおりましたが‥老犬なのかな、でも大切にされているようなので長生きしてね。

駐車場に戻ると、以前はなかった飲泉所が設置されておりました。調べてみると、2022/3に新たに設置されたとのこと。以前、共同湯の湯口からペットボトルに湯を汲んでいて「これで焼酎を割るとウメえんだ」とおっしゃっていたオジサンがおられましたが、これでさらに汲みやすくなりましたね(笑)。



このあとはとある場所に寄り道しましたが、やっぱりあちこちで土砂崩れや洪水の傷痕を目にしました。右上画像、それほど太くもない川なのにあれだけの流木が挟まっているということは、豪雨当日は相当の‥ということがわかります(わかりたくないですが)。居住者の皆さんはどれほどつらく恐ろしい思いを抱いたことでしょうか。



洪水当時の厳しい状況がうかがわれます。



さて、やってきたのは「小杉の大杉」。2度目の訪問ですが(初訪はのらさんに同行)、いつの間にか立派な看板が設置され、また「紹介文」掲示までありました。「ジブリから承諾を得ていないので~地元では『トトロの木』と呼んでいます」あたりはとても正直でよろしい記載かと@鮭川村 むらづくり推進課各位。







大杉の大きさ(高さ)は左上画像の通りですが(手前にTakemaが立っています)、なかなかびっくりなのはその枝の分かれ具合です。根元すぐのあたりから枝分かれがたくさん始まっており、植林で枝打ちされてまっすぐ伸びた杉とはまるで別の木のようです。枝分かれの雰囲気は何だかアオモリトドマツを髣髴とさせます。なお右上画像をよく見るとおしんこどんが顔を出していますね。



この後は新庄で蕎麦を食べ(味は普通)、鳴子方面へ。



そして鳴子へ。とはいえ今回は鳴子で湯に浸かることはせず、旧国道沿いにある江合川を渡った先にあるセブンで(自分たちの飲みしろである)ビールを買い出すだけでありました。それにしてもここのセブン、メインロード沿いではなくなったにもかかわらず移転しないのはちょっと不思議。というか今も結構お客さんが多いんですよね。地域の人がしっかり利用しているということでしょうか。

セブンからは阿部旅館の前を通る細道を経由して国道に戻り、この日の目的地である駒の湯を目指します。



なぜだか時々間違えてショートカットの?県道に入れないことがあります。何で間違えちゃうんだろう?われながら謎です。ポケふたが道の駅はなやまに設置されていることがわかったので少しだけ寄り道し、今回は文字(もんじ)から荒砥沢ダム経由で駒の湯へと向かいます。



で、県道179号線は文字集落までなのか、それとも荒砥沢ダムの直下までなのかイマイチわかりませんでしたが、いずれにせよその先の道はロックフィルダムである荒砥沢ダムをジグザグに上っていきます。この造りは長野の高瀬ダムなどと同じですが、この道沿いはダム本体ですよね、でも‥



まぁある意味植物の根張りによりダムがより強固になると言えなくもない気もしますが、でもたとえば秋田の森吉山ダムは2011年竣工ですが、われわれの訪問/見学時には(この時です)堤体部の除草作業をしていました。荒砥沢ダムの維持管理について何だか気になります。まぁ、かの岩手宮城内陸地震でダム湖周辺における山体崩壊により津波が発生したにもかかわらずしっかり耐えたダムなのですから、大丈夫なのだと思うことにしましょう。



栗駒山山頂部は見えませんでした。緑のトンネルをくぐり抜け‥











明けて翌朝、おしんこどんは駒の湯ガーデンの整備作業に取りかかりました。ちょっと手を(エリアを)広げすぎた感もあり、今回苗は持ってきておらず草取りがメインとなったようです。右上画像はヒペリカム(ビヨウヤナギ)の実のようです。右上画像マウスオーバーで拡大画像に変わります。何だか美味しそうですが食べられないみたい(残念)。



Takemaはいつものようにお風呂掃除ゴシゴシ。毎度書いているように、駒の湯の透明湯は毎日の掃除によって成り立っています。一般入浴を受け付けていない(会員制)ここ数シーズンは湯を抜いての清掃も数日-1週間に1回程度であり、その間に浴槽内は湯花の付着でご覧のようになってしまいます。うん、掃除のし甲斐があるぞ!











このあとは窓サッシ周りを丁寧に掃除し(たつもり)、デッキの床に挟まった落ち葉などを除去しあちこちを拭き清めました。まぁ、秋を待つまでもなく落ち葉はどんどん落ちてくるので「ただ一瞬の整備」に過ぎないのですが。雨なので薪作業はできませんでした。というわけで、




(大して働かず飲んでばかりともいう)。

この翌日はいよいよ東北を離れます。このお出かけ本来の目的である「おしんこどん実家@奈良に帰省」のスタートです!(ただし「実際にはいつもの本末転倒系」だったことは、ここまで読んでいただいた方々には十分おわかりいただけたことかと存じます)。

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