あたりが霞がかり、空が曇っているように見えるのは全て焼き畑の煙によるもの。この時期、この地域全体に青空が出ることはほとんどないのである。ここまですごいと何だか「地球環境」というものを考えざるを得ないような。
さて、タムティン洞窟のすぐ対岸にある村に渡り、ここでランチとなりました。観光客をあてこんで作られたと思われる食堂からはタムティン洞窟が眺められ、すぐ手前には水牛がわさわさと草をはんでいたりして、なかなか雰囲気はいいのですが、ここの村にはなぜかほとんどお客が来ないんですね。じゃ自分たちの他にも結構いたはずの観光客はどこでランチとするのだろう。もしかしたら一気にルアンパバーンまで戻らされるのかもしれないな、となればこんな風にゆっくりとさせてくれる船頭のアンカーさんで良かったな、などとふと感謝してしまうTakema&おしんこどんなのでありました。

そういえば船頭さんの名前がアンカー=英語でいえば「船の錨(いかり)」というのも偶然とはいえ面白い話です。実際はちょっと発音が違うのですが、まぁいいことにしましょ。

タムマークフン(ソムタム)とフー(ヌードルスープ)を注文。たっぷりの青菜が添えられて出てくるのでこれ幸いとわしゃわしゃ食べる。寄生虫がついていないかって?そんなん気にしていたらウマイもんは食べられないのですな。フーの肉もおいしかったし、満足満足。

ちなみにビアラオを注文したらきちんと冷えたのが出てきた。でもこの村には電気がきていないという。ではどうやって冷やしているのかと思ったら、毎日(隔日?)ルアンパバーンから氷を積んだ船が来て、クーラーボックスにその氷を保存しているのだそうな。何だかとっても贅沢なことよと思ったけれど、よく考えたらその氷は我々観光客のために運ばれているわけなのだ。この村の人たちの生活には氷などいらないはずなのだから、そう考えると何だか複雑な気分にもなるわけですが、すいません、あまり深く考えていないもので、「冷えたビアラオ、あ〜ウマウマ」と飲み干してしまっていたのが真実でありました。

さて、ふと建物の柱のあたりを見ると、そこには何やら手作り系の楽器がぶら下げられていました。それは何だ何だ、ちょっと音を出させてくれと言うことで、まずはおしんこどんがトライ。最初こそ手こずっていたようですが、しばらくするとそれなりの音が出るようになりました。それではということでTakemaもやってみたのですがこれが全然ダメ。やっぱ私にゃ音楽的な才能はないようです。

 

くわえタバコでやってみても駄目なものはダメ。それに引きかえ、さすがこの食堂のご主人の演奏は手慣れたものでした。しかし、この楽器の名前は何というのか、聞くのを忘れてしまったのは残念。
さて、食事のあとはアンカーさんに「ちょっと村の中を散歩してくるよ」ということで村内に足を踏み入れました。われわれを珍しがって、子供達が近寄ってはきますが、でもやっぱり警戒されているのか、ちょっと遠巻きに見ているだけです。

ふとあることを思い出したおしんこどん、「そういえば私お菓子持ってたっけ」。手荷物の中からお菓子袋(しかも偶然にも細かな駄菓子系のが一杯入っていた)を取り出しました。その時です!

つい直前まで遠巻きに立っていた子供達がぐわわわぐぉ〜とばかりにおしんこどんめがけて集まってきました。いやぁその早いこと早いこと!おそらくは2-3秒以内に、その場にいた子供達全員が集まりました。少し離れたところで遊んでいた子供たちも、出遅れてはなるまいとばかりに猛然とダッシュしてきます。そして、集まったみんながみんな、手を出して「ボクも、私も、おいらも、あたいも!」と、おしんこどんの配給を待つポーズになったのです。



一番最初に集まったのはまだ数人だったけれど、



その数秒後には子供達の数も倍増!



子供達の手がみんなおしんこどんに伸びています。

思いも掛けない子供達の俊敏さに一瞬動揺したかに見えるおしんこどんですが、こうなると不公平は許されません。ちょっと関西弁まじりで「はい、あんたにはこれな、あれ、あんたにはさっきあげたやろ、ちょっとまってな、」などと交通整理をしながら公平な分配を心がけています。さすが某教育大学出身者ですな。中にはせっかくもらって口に入れたお菓子を、勢い余って地面に落としてしまい、しかしその次の瞬間拾い上げてすぐさま(土など払うこともなく)再び口に即刻再投入しながら新たな手を出してくるような猛者もいて、笑いこけながらの作業だったようです。

そのあとのんびりと小さな村を歩いて回ります。寺院からは読経の声が聞こえ、ニワトリはあちこちをついばみ、バナナはもうすぐ熟すからもう少し待っててね的にさりげなくぶら下がり、家の脇でおじさんは川漁の網を繕い、そして空はかすんでいるとはいえやはり熱帯の太陽は容赦なく降りそそぎ、何だか「典型的なアジアの村の風景」といえばその通りなのですが、最近はこんな村に出会うことも少なくなったなぁと実感します。


さていよいよこの村を離れ、ルアンパバーンに帰ろうかというときに、珍しく?アンカーさんが珍しく?商売っ気を出してきました(最初にボートの勧誘をしてきたとき以来ですな)。いわく「このあとルアンパバーンに戻ってから特にすることがないのなら、もし良かったらクアンシーの滝に行くのはどうですか?」何でも、一番近いあたりまでこのボートで下り(タムティン洞窟はルアンの上流25km、クアンシー滝はルアンの下流30km)、そこから滝まではソンテウで往復、そのソンテウ代も含めて二人で$15でどうです?とのこと。

どうしようかなと一瞬考えたのですが、相場はわからないけれど、どうせこのまま戻ってもルアンの町を暑い中うろうろするくらいしか考えていなかったし、アンカーさんは実直で結構人も良かったし、ソンテウ代も込みだということで結構即決。といいながらもしっかり値切って、「このタムティン洞窟ツアー+クアンシー滝ツアーをひっくるめてUS$26」ということで話はまとまりました。(ちなみにこのあと、翌朝フェイサイ行きのスピードボート乗り場まで送ってもらうということまで同料金でお願いできたのですが、細かな持ち合わせがなかったのでもうちょっと払いました)。余談ですが、この翌日、前日のうちにお金は払っていたにもかかわらず、彼は当然時間通りに来てくれていました。やっぱり実直です(笑)。

そんなわけで、ルアンパバーンに戻るだけだったわれわれは、そのルアンを通過して一気にクアンシーの滝を目指すことにしたわけですね。その詳細は次のページにて。