タイとの国境の町フェイサイへ向かうスピードボートは、大河メコンを直線距離にして200km、曲がりくねっている分を考えれば400km近く?を一気に7時間半(休憩含む)で駆け抜けるという恐るべき、そして「唯一の」陸路公共交通機関なのです。
さて、翌日はいよいよ数百kmをボートで駆け抜けてタイまで抜けてしまおうという恐るべき日であります。フェイサイ行きのスピードボート乗り場は市外から離れたところにありますが、そこまではもうすでにアンカーさんに送ってもらうという話が出来ていますから、朝の待ち合わせ時間(船着き場7:45)までは自由。なんだかんだいってまだ登っていなかったプーシーの丘に上がり、ルアンパバーンの町並みを眺めることにしました。

 

星一徹ならば飛雄馬に「飛雄馬、この上までウサギ跳びで行くのじゃ!」と命令しかねないほどひたすら一直線に続く頂上への階段。なんのこっちゃ。しかしその割には頂上からの眺望はすぐれない。何といっても野焼きの煙がすごすぎる。もう7:30だというのに太陽の光がまぶしくないぞ!(マウスオンしてみてね)。
そんなこんなでいよいよアンカーさんの船へと向かう。スピードボートの受付が開くのは8:00だから、その時間に行けば大丈夫だろうということで7:45に待ち合わせをしていたのだ。昨日と同じくゆったりと船はメコンを進み、程なくボート乗り場へと着いた。

受付のある高台まで上がってみると、もうそこには10人以上の白人旅行者がたむろしていた。どうやら彼らのほとんどはもうすでに手続きを終わらせたようで、三々五々発着場に降りていこうとするところだった。

「ん?こりゃあもしかしてやばいかも?」

一瞬焦った。ここの船は定員制で、人数が集まればさっさと船を出してくれるかわりに、定員に満たなければいつまでも出発しないということを聞いていたからだ。すでに船に向かおうとしている人達はともかく、自分が乗る船はさっさと満員になってくれるのだろうか?

しかし自分の前にもまだ手続きをしている女の子二人とか、何とか船代を値切ろうと躍起になって交渉しているイスラエル人、かと思っていたら実はカナダ人だった、などの人がいたから、まぁなんとかなるかなと思い、のんびりと小屋の掲示を眺めて待つことにする。

ここの支払いはKipのみではないかと思い込んでいたが、どうやらバーツやUS$での支払いも出来るようだ。
ルアンパバーン〜フェイサイのスピードボート(片道)、2002年3月の料金

200000kip(ラオス人は120000kip)、または1000B、または25US$
これまでのラオス滞在中には払ったこともないような法外?な料金だが、まぁ3500円程度、しかも移動距離が半端じゃないのだからまぁよしということにしておこう。それに「高いからやめる」というわけにはいかない。ここからフェイサイに陸路で抜ける道路は存在していないのだ。イヤでもこのボートに乗らざるを得ない(実際には丸二日かかるが値段の安いスローボート、または高いが早くて安全面に不安といわれるラオス航空を利用するという選択肢はある)。ちなみに先述のカナダ人は相当しつこく「US$25を20にまけろ」と粘っていたが、結局根負けして25払っていた。ワールドカップ時には来日するということだったが、日本でもねぎり人生をまっとうしたのかな?

2人分のチケットをゲットし、川べりまで降りて船の出発を待っていたら、さっきここまで自分たちを送ってくれたアンカーさんの船がちょうど通りかかった。手を振ると向こうも大きく手を振りかえしてくれた。いい船&人だったなぁ。また来るときはご指名するからね、元気でやっててね。



川面を行くアンカーさんの船。しかし、これを丸一日借りてたんだから何とまぁぜいたくなこと。

そしてその直後、いよいよわれわれにもお呼びがかかった。出発だ。しかしこれが忍耐と努力と艱難辛苦の始まりだとは、まだ思ってもいなかったのだ。どんなボートなのか?乗り心地は?安全性は?などもろもろのことは次のページで一気に紹介いたしましょ。