砂漠地帯に「渓谷」。うーむフシギだ。



セスリウムキャニオン(Sesriem Canyon)。ナミブ砂漠の出口にある「渓谷」。でもここに水はない。

セスリウムのゲートわきから5km近く、フラットダートに車を走らせるといきなり行き止まりの駐車場につきあたった。あたりを見渡せば、ずうっと先まで広がる大平原。でもその手前に、大地をぐっとえぐった「峡谷」があった。そう、それがここセスリウムキャニオンなのであります。

モノの本によると(いや、ただのロンプラですが)、深さ約30m、1kmにわたって続くこの渓谷は、何と1500万年もの長い時間をかけて形成されたとか。確かに「ほほーぉすごいな」とは思いますが、でも1500万年という長大なのだろう時間の経過が実感としてわかないのも事実だったりします。確か人類の祖先に近い(といわれる)アウストラルピテクスだって、せいぜい200万年前の時代でしたっけ(間違ってたら「うそつきTakema」ということで指摘してね。その時はここを書き換えます)。

まあとにかく、1500万年という時の流れがえらく壮大なのはわかる。でも、その壮大さをもってしての「浸食」が、たった深さ30mとは!

とりあえず想像されるのは、この地域の降水がその時代から今に至るまで非常に少なかった=気候の変化がなかった、ということでしょう。今の日本のような雨の降り方を1500万年続けたら‥グランドキャニオンになりそうなことは間違いなし(ホントかな)。ま、ここのあたりの想像については再びYoichi先生に突っ込んでいただくとして、まぁとにかく我々はその峡谷本流の底を目指してわっせわっせと降りていくことに。


まずは「何なんだこの浸食」の場面に遭遇。支流(こちら側)と本流とがトンネルでつながってしまっています。トンネルの長さは10mくらいはあったでしょう。どうしてここだけに穴が開いてしまったのかはわかりません。谷がカーブしているなどの理由でここだけ浸食が進んだというわけでもなさそうです。

ちなみにこの穴、現在の支流の河床からは約2mの高さにありますが、反対側に行って下をのぞいてみると、あれまというべきか、本流河床からの高さは15mくらい、エラく高い位置にありました。なお、見た感じでは砂岩系の軟らかな土壌のように見えます。確かに砂と石がミックスされているだけのような感じなのですが、触ってみるととても固い!崖の途中から半分顔を出した石に足をかけて全体重を載せてもびくともしません。だからこの洞窟の中にも壁をよじ登って入れたわけで、この思いがけない堅さは何ともフシギ。

そして、本流河床の様子はトップの写真の通り。実際はもっと圧迫感があり、峡谷内に住みつく鳩たちの鳴き声がこだましていて何となく(いや、とても)不気味。夕方とかには来たくないなあと思ったりします。でも不思議とコウモリがいる気配はなかったなあ。糞なども落ちていなかったし。

これは上から見た図。こっちのほうが何となく「陰惨な」雰囲気が良く伝わってきますね。ちなみに、この峡谷の上には何の変哲もない乾いた平原が広がっていますから、ここを見に来るときは駐車場まで来ても「え、ここ?ここって、谷はどこにあるのさという感じです。ちなみに案外と訪れる人の少ない穴場といえるかもしれません。公園ゲートの外側に位置しているのでいつでも(無料で)行くことができます。Sesriumでちょっと時間が余ったときは足をのばしてみてください。

さ、砂丘周辺はこのくらいにして、次はいよいよ大西洋まで一気に移動します。誰もいない乾いた大地。長かったあ。