「マッドメン」。その名の通り身体に泥を塗り、やはり土で作ったお面をかぶったその姿はかなり独特のもので、有名度ではPNGを代表する民族といえるでしょう。この格好は戦いのためのものですが、重いお面をつけて動くというのは実際の戦闘には明らかに不向きです。つい最近まで精霊信仰が強かった地域であることを考えると、この格好は実際の戦闘のためのものではなく、相手を威嚇するためのコスチュームであったのでしょう。聞いた話では、負けてばかりだったこの部族が、このお面をつけるようになって以来とたんに強くなったのだとか。威嚇の効果はてきめんだったというわけですね。
なお、この姿が世に知られたのは実はそれほど古いことではなく、1960年代にゴロカで農業見本市が開催された際の余興の場で披露されたことにより、一躍有名になったのだとか。ちなみに、諸星大二郎の漫画にマッドメンをモチーフとして描かれた作品があるようで、「マッドメン」で検索するとそっち関係のページがやたらにヒットしてくるのはご愛敬。そういえばずっと前、実家でその漫画を見たことがあるぞ(今でもあるかなぁ)。
さて、現地ガイドのスティーブさん(彼とはこのあとワバグまで一緒に行動する‥はずだった)が迎えに来て、ゴロカから車で走ること約30分、とある村に着きました。芝生の広場に通され、どうやらここでマッドメンのお出ましを待つことのようです。待つことしばし、おおっ出てきた出てきたっ!
弓矢を手に携えた4人のマッドメンが、反対側の小屋のほうからゆっくりと、じわりじわりとこちらに歩み寄ってきます。このスローモーションさは、一気に迫ってくるよりも一種独特の雰囲気を醸し出すのに一役買っている感じがします。
その一方で、お面の表情を見ると「怖さ」というより「ユーモラスさ」を感じます。もちろん作る人の趣味というか感性が出るところなのでしょうが、PNGに行く前の下調べ中に見つけた画像ではもっと不気味な感じの面が多かった記憶がありますから、ここの村のお面は「親しみやすいマッドメン=初級者用」を前提に作られたというところでしょうかね(何のこっちゃ)。
どんどんとにじり寄ってくるマッドメン、彼らは弓矢の狙いをこちらに向け始めます。こういうのは定番系の「お約束」なのでしょうが何だか心安らかではいられません(笑)。そして、いよいよ我々から数メートルの距離まで来た時、親分とおぼしき一人のマッドメンが弓をこちらに向けたまま静止、そして、Takemaめがけて弓を‥
告白します。一瞬ビビリました(笑)。お面の人は実際に矢を射ったのではなく弦をはじいただけだったのですが、その張りつめた音は「ここはパプアなんだ!」ということを改めて我々に強く印象づけるのに十分な強さを持っていました。そうだよなぁ、この時の24時間前はまだ千葉の家でビール飲んでたんだもんなぁ(笑)。
毎度おなじみ動画編 |
|
さてさて、そんなこんなで近づいてきたマッドメンの方々も、お客(うちら2人だけ)を喜ばせたのに満足したからかそういうスケジュールになっているのか、案外さっさとお面を脱ぎ始めます。え、お面をかぶっていいって?
(左写真)お面を取ると、「え、君だったの?」という感じの少年もいたりしました。
(右写真)そうそう滅多にかぶれるものじゃなしということで、出たぞ「マッドおしんこどん」!
次に、「火のおこし方PNG版」が始まります。日本では「火おこし=板きれと錐のような棒という二つの道具を使うもの」という固定的な観念がありますが(それでいて実際に火をつけた経験者はほとんどいないのはおかしな話ですな)、こちらでは竹を細く割ったものと板きれの2つを使います。見ていると、なるほどこっちのほうが素人にも出来そうな気がします。竹はしなるからこういう時には便利なのですな。錐を使うのは竹のない地方で編み出されたものなのでしょうか。え、こんなふうに説明されたってよくわからないって?宜なるかな、それではいつものように‥
毎度おなじみ動画編 |
|
今になって考えると、なぜこの時にうちらが「火起こし体験」にチャレンジしなかったんだろう?と不思議な思いです。とくにおしんこどんはこういうの好きなんだものなぁ。でも、やはりまだ「さっき着いたPNG」でどう振る舞うべきかをわかっていなかったのかもしれませんね。
しかしそんな我々をしり目に?、ここキミニビ族の村での事態は新たな方向に進んでいくのでありました(笑)。