− その4 「大発洞窟」編 −
戦争後もそのまま保管されている洞窟内には‥
予想外に長居をしてしまった博物館を離れ、いよいよラバウル方面にむけて本格的に移動開始です。しかしラバウルまでちょうど半分を過ぎたところで再び寄り道、「大発洞窟」に到着となりました。もっとも「大発洞窟」といっても何のことやらわからない方が大多数だと思いますので、まずはご紹介まで。
【大発洞窟】
ブランチ湾の南側に位置するカラビア湾最西部の山裾にひっそりとあるのが旧日本軍の大発洞窟。「大発」とは「大型発動機艇」の略らしく(わかりやすい)、この洞窟は大発の避難&保管場所だったのでしょうね。まっすぐ延びた洞窟内には、現在も5隻が整然と「縦列駐船」しています。
「大発は食料や弾薬などを運び、トロッコ用の線路にのせられて洞窟内に収容されていた。洞窟の中は暗く、2隻目から奥は懐中電灯がないと入れない。」(ゼンリンニューツアーガイド『パプアニューギニア』2000年版より)
洞窟の入口には何の看板もありませんから個人で行く場合は見つけられない可能性がありますが、うちらの場合は宿の車ですから楽勝です。乗っているだけで着いちゃうものね(軟弱)。メインロードから山側に別れる道を30mほど上がったところにある家に声をかけ‥ようとしたのですが、実は到着の10分くらい前から突然のスコール、しかもその激しさたるやこれまで数々のアジアスコールを体験してきたTakemaからしてもダントツと言って間違いがないくらいでした。というわけで‥
いやぁホントなんですよ、ものすごく激しいスコールの勢いになす術もなく車内で待機せざるを得ませんでした。遠くの方から「ドドォっ!」って音が聞こえてきて、この音は何だろうと思っていたら徐々に音が鮮明化「ドドォっ→ゾゾォっ→→ザザァっ!」、そして一気にどしゃ降りの雨、という感じでした。ボルネオその他でも、これまでこんなにすごいスコールは見たことがなかったなぁ。車だから車内で待機すればいいわけでしたが、万が一バイクだったりしたら御陀仏でしたなこりゃ(確信)。
雨が少しばかり小やみになってきたので(所詮スコール@局地的な気象状況ですからね)、うちらのガイドさん(宿の従業員さん)が土地所有者のお宅に見学許可をもらいに行きます。もちろんOK、管理人さんも案内に出てきてくれました。
簡単なゲートをくぐったすぐ先に洞窟があります(無許可での見学は不可です)。洞窟の入口にはすでに一隻目が少し顔を見せていますが、もちろんトロッコ用の線路は撤去されており、海岸からかなり上がったこの場所までこれらの舟艇を引き上げたのは本当だろうかなどふと感じざるを得ません。それくらいに海岸からは遠く高く、でもだからこそ戦争後にも変にいじられることなく当時の状況を維持できたのでしょう。もちろんここが私有地内であったということが、土地権利意識の強いニューギニア社会において戦跡保全上有利に働いたはずだということはいうまでもありません。
ここ大発洞窟内には、この地を訪れる旅行者(ちなみにその多くはバックパッカーではなく慰霊団の皆さん。もちろん日本人ばかりですが)の利便を考え、木製の見学デッキが作られています(所有者個人で出来る仕事ではないと思うので、おそらくは何らかの援助があったのでしょう)。そのためわれわれはトンネル内を俯瞰する高さから見ることが出来たわけですが、その一方ですでに渡り板の抜けてしまったところもあり、木製ゆえ、あと数年すると湿気の高さも手伝ってだいぶへたってくるんじゃないかとも思われます。
ところでトンネルの内部はどうなっているんでしょ。
フラッシュを焚いてしまった左の写真では何だか腐食した船のイメージしか湧きませんが、実際のところそれほどの腐食はおきていないようでした。そして右写真は通路の終点から入口方向を見たところ。左右の写真とも同じ場所から撮ったものなのですが、左の写真は「入口から数えて3隻目」。つまりこの奥にもさらに2隻が収納されているということなのですね。
こちらの管理人さん一族が、代々に渡り戦後60年を過ぎようとする今も当時の状況をそのまま維持し続けているとはすごいことです。真面目な話、これまで数十年にわたりこの洞窟を管理されてきた方々には改めて敬意を表したいと思います。
さて洞窟を出たところで、こちらを案内してくれた管理人さんに改めて質問です。「何か日本の言葉か歌をご存知ですか?」
左側の方が管理人さん。背は低く見えますが筋骨隆々ですね。
この方、年齢はお聞きしませんでしたが「祖父から教わった日本の歌を知っている」ということでしたので、「ではでは是非是非歌って下さい!」ということで、おしんこどんと一緒に「あの歌」を歌ってもらうことにいたしましたっ!
毎度おなじみ動画編 |
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このあとスコール第二陣にお見舞いされながら、雨の中をラバウル向けて移動します‥ん?あれ何?車を停めてっ!
雨の中、さすが海沿いゆえ海産物系の露店が出ています。露店といっても雨の中屋根なし壁なしついでに傘もなしで、売り子さんはどこかに避難しているのですが、うちらが車を停めるとひょっこり出てくるのがやはりPNGらしいですね。右写真は見ての通り、アジアの海沿いの町そのものです。
で、気になったのが左下写真の魚。写真下部に見える手の大きさからしてもこの魚(何だかカラスみたいにも見えますが)の大きさがわかるでしょう。聞いてみると何とカジキマグロだというんですね(最下部に布がかけてあるのは角の部分を保護するためのようです)。人の手が広げているのは背びれ、カジキマグロってこんな感じだったんだぁ!食べ慣れてはいるつもりだったんだけどなぁ(あたりまえ)。
順番は前後しますが、海に面した国道沿いで船の残骸を発見(下の写真)。実はこれも太平洋戦争の遺物で、シンガポールから来た日本のクレーン船だったんだそうです。魚雷か何かにやられたんでしょうか。
さて、そんなこんなでいよいよラバウル市内に近づいてきました。しかし市内の半分は‥(驚)。詳しくは次のページで。