セピック川下流域の拠点、アンゴラム村へ

さてさて、それなりの待ち時間のあとにウェワクを出発したチャーターバンは、運転手さんと助手、そしてアンゴラムホテルの女性(前述)、そして我々を乗せて一路アンゴラムへと向かいます。

うちら2人のために3人の現地スタッフというパターンにももう慣れてきましたが、それでも何だかやっぱり「申し訳ないな感」をどこかに感じたりするわけです。もっとも、だからこそ滞在費は相応に高くなるわけだし、逆から考えれば「このお客によって少なくとも3人が収入を得られている(特に運転手さんと助手さんにとっては、急遽のチャーターですから思いがけない臨時収入のはずです)のは確かなことですから、申しわけなく思うのは筋違いなことかもしれません。でもねぇ、ついつい‥(こういう日本人的な部分をこよなく愛してやまなかったりするTakemaです)。まぁそんなことはどうでもいいとして‥。

海岸沿いのウェワクからセピック川下流域のアンゴラム村までは車で約3時間だということでした。しかも中流域アンブンティ方面への分岐路から先はダート路、さらに峠越えのワインディングロードということで、「こりゃまたPNGお得意の『道と言えるかわからない荒くれロード』かなぁ」と、ある種覚悟をしておりました。

ウェワク市街から道は一気に山を登り、まずは山中の「現地農産物直売所」にて休憩です。とは行っても観光客の数とてしれているこの道沿いですから、うちらが着いた時も「お客さん」は他にいませんでした。売っているのも、ココナツはともかく芋や生姜などの農産物だけですから、日本の「道の駅」ならいざ知らず、観光客がここで買っても手にもてあますような品々ばかりです。ま、地元用のマーケットと考えたほうがいいでしょう。ここの子供たちも嬉しそうにカメラに写ってくれましたっけ。

ここからしばらく行くと中流域アンブンティ村との分岐点です。ここからはいよいよダートということで、気分は「いよいよかぁ」的な諦観モードです。上にも書いたように、PNGのダートはこれまでもかなり激しかったですからね。し、しかぁし!この区間は何と見事な(PNGらしからぬ)フラットダート!これならオフロードバイクで十分に走りを楽しめそうです(テクさえあれば)。上ったり下ったり、それでいて適度なカーブの整備された道が続きます(時々轍はありますけれど)。ただし雨期には、ここに限りませんがすごいことになると思いますので念のため。



ほらぁ、オフバイク乗りの皆さん、こんな道を走りたくなるでしょ?

と、しばらく走っていたところで、周囲に何もない見晴らしのいい場所(多分放牧地でしょう)にて車が停車。遠くの森の数ヶ所には、何だかまるで人工的に切り取られたような吹き抜け部が見えています。

「あれ、何だかわかりますか?」
(Takema)「どれ?あ、あれですか、なんでしょうねぇ」
「あれはムササビ網なんですよ」
(Takema)「え、ムササビですか。へえぇ‥」

なるほど、日本で言うカスミ網だったんですね(今は日本国内では禁止されているんでしたっけ?)。道理で不自然な樹林の切れ方だと思った。夜行性のムササビをここに仕掛けた網にひっかけて捕らえるようです。ちなみに「捕らえたムササビ」をどうするかと聞くと「食用にします」とのことでした。なるほどね。でもあまり食べるところはないような気はしますが‥



車窓から時々見受けられるこんな吹き抜け部にはカスミ網が張られるのでした。

車内でガイド役になったホテルの女性と話をしていたところ、この地域ではなんとバニラのプランテーションが盛んだということでした。とはいっても自分としてはバニラの木を見たことがないのであまりえらそうなことは言えませんが、1ピースのにおいをかがせてもらうと、当然というか何というか、まさにバニラエッセンスのあの香りです。不躾ながらお値段の方を聞いてみると、「500K=20000円/kg」ということで、さすがに高いですね。しかし1kgという重量は相当のものですから、ついついヨコシマな思いから?「この地域において、我々観光客は直接バニラを買えるのですか」とさらに不躾な質問をしてみたところ、「各プランテーションと業者とは全量納入の契約をしているので、たとえ生産地であっても個人での購入は難しい」とのことでした。なるほど、そういうものなのですね。だから日本で買おうとすると法外な高さ相当な値段になってしまうのでしょう。

さてさて、きっかり3時間でアンゴラムホテルに到着です。この村では唯一の宿で、雰囲気としてはタイ北部のゲストハウスのような感じですが、室内にはエアコン、シャワー、トイレがついているようで結構快適に過ごせそうです。しかし自家発電なのか、到着時には部屋の電気やエアコンなどは作動しませんでした。シャワーの水も出ませんでしたが、まぁ自家発電のジェネレーターさえ回り出せば全ては問題ないはず、今夜は快適に過ごせそうだぁ(‥謎笑)。

宿にて遅めの昼ご飯のあとは、いよいよボートでセピック川に繰り出すことになります。某日本語ガイドブック(絶版)によれば、ここでの主流は丸太をくりぬいたカヌーだとのことで結構期待しておりましたが、結局うちらが乗ることになったのは普通の船外機付きボートでした(ちなみにこのタイプの船は希少な存在)。

左写真のような「一木(いちぼく)造りカヌー」(ちなみにこのカヌーは短距離移動用。遠距離用船外機付きカヌーはもっと船腹が高くて安全そう)も風情があっていいんですが、やはりこの細い船に数時間乗り続けることを考えると、脇に寄りかかりつつ足を伸ばせる普通のボートのほうが楽ですねぇ。でも、できれば2日のうち1日は現地人御用達のカヌー(直立して船を操作する姿を見るだけですごいです)でセピック川を上り下りしてみたかったな。今考えてみるとお試し系でリクエストしてみれば良かった!大失敗!

さて、次のページではいよいよセピック川沿いの村(ここから先、道路は通じていません)を訪ねます!‥と思ったら、え、「ボートツアー兼、『夕食の買い出し』?」(笑)。

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