寝苦しき忍耐の夜、そしてセピック2日目!

− その1 さて出発! −

さて、Magendo1.2の村訪問を終え、アンゴラムに戻って来ました。手持ちの芋焼酎はすでになくなっているので、船着き場近くの家でSPビールを6本仕入れて宿に戻ります。標高が低い地域の川沿いエリアということもあってかなり蒸し暑い状態です。さて、部屋に戻って電気のスイッチを‥つきません(悲)。エアコンのスイッチを‥ウンともスンともいいません(大悲)。身体もべとべとなのですが、水シャワーすら出ません(大涙)。仕方なく、唯一水がちょろちょろと出た水道の水で濡らしたタオルで身体を拭くことに。う〜ん、でも電気さえつけばエアコンも使えるし、ビールだって冷やせるしということで、電気の供給が始まるのを待ちます。

あたりが暗くなり始めた頃、母屋の方で自家発電を回し始める音がし始めました。さてこれで快適生活の始まりですぅ!しかし現実は‥

自家発電、不調のまま終わっちゃいました(悲笑)。実はここアンゴラム村には電気が来ているのですが(村全体に電気を供給するための発電設備あり)、故障していて供給なし、というわけでこの宿独自の自家発電設備を回そうとしたんですが、ジェネレーターの不良ということでうまく動かずということのようでした。

そうなってくると、ますますもってこの蒸し暑さが身体にこたえます。この夜は全くの無風、夜になっても気温は下がらず部屋の中は蒸し風呂状態。かといって部屋の窓やらドアやらを開けっ放しにしようものなら蚊の襲撃に恐れおののくことになります。ハマダラ蚊は夜間は行動しないということですが、普通の蚊だって十分にいやですわ(笑)。んでもってビールはすっかりぬるま湯の温度になっちゃってるしねぇ。

おしんこどんの発案で、濡れタオルを上半身の素肌にかけて寝ることにしました。いわゆる「寝冷え促進スタイル」とでもいうべきものですが、実はこれがかなり正解でした。とはいっても噴き出る汗を拭いながら寝るという基本的な状況には変わりなかったのですけれど。夜半を過ぎてようやく気温が下がり、少しは安眠出来るかと思ったら、何だ、すぐに朝じゃないかぁ(笑)。

開き直って7:00過ぎに朝食。パンと目玉焼き、コーヒー(インスタント)のごくありきたり系朝食を終えて船着き場へと向かいます。



宿の前に出たら、市場へ向かうお二人が通りかかったのでご一緒に♪

さて船着き場へは市場を通っていくという絶妙のルートどりなので(とはいっても歩いて10分足らずですが)、ゆっくりと屋外市場の風情を楽しみながら歩いていきます。売っているものはある種PNGの市場ならどこでもありそうなものばかりでしたが、朝日を受けながらのマーケット見物はやはりいいものですね。

さて船着き場に到着です。朝ということもあって到着するカヌーの数も多く、活気を感じさせます。ちなみに桟橋乗り場(とはいってもごく小さいんですが)のすぐ手前、何やら柵で囲われた中に雑草とは思われない草が育てられています。しかも、場所を考えれば何やら実験的に育成している感じです。これはもしや‥と思って聞いてみるとやはり米だとのこと。

日本の石油メーカーが「パプアニューギニアでお米を作る運動を援助している」ということは聞いていましたが、その直接間接の流れがこの村にも響いてきているということでしょうか。

【おまけコラム】


この部分を書くにあたり、その「援助事業」についての真実および是非を問うサイトを見てきたのですが、何だか読んでいていやになってきました。実はその石油会社のCMには別の場所で撮影された映像が使われていたのですが(会社自身がそれを認めています。ただしPNGでその事業を行っているのは事実。)、それに対して何だか「鬼の首取ったぁ!」的なエラソ系のNPOコメントばかりが出てきたわけですね。

考えるに、「現地の人達にとって一番喜ばれ、かつできるだけ自然にダメージを与えないものは何なのか」。その方法を試行錯誤する中での選択肢の中に「稲作を奨励する」というものがあってもおかしくはありません。また、石油会社の過ちが、その流れを紹介する上で「一般受けするように」ねつ造したことであるのは確かです。

しかし、NPOに深く関係している方による、「私も最初あのCMを見た時には『これで環境が守られるから良かったね』と子供に話をしたのですが、真実を知るにつれて怒りを覚えてきました」というような子供を絡めるネタで自分たちの正当化を図るコメントを見るに至って怒り心頭(笑)。子供ネタで迫るのは感情操作でありルール違反ね(笑)。

何なんだ環境保護のNPOって。それじゃ昔の「自○党には何でもハンタイ、社○党!」と同じ臭いしか感じられません。セミプロ(私はもともとNPOをプロだとは思っていませんし、プロでないからこそ出来る仕事を扱うのが本来のNPOだと思っています)ゆえの傲慢を感じずにはいられませんでした。行動に移す予算がないけれど中途半端に現地の状況については知っている、だから口は出すけれど手は出さないんでしょうかね。誰か(団体)が何かを始めると、細かくチェックした上でのあら探し。そしてことあるごとに「そのやり方では伝統文化の破壊が危惧される」とのコメントが。

稲は立派に育っていて、もうひと月もすれば収穫の時期を迎えそうな感じでした。そして何よりも、こちらが「この苗は何?」と尋ねた時、「これは米なんだよ!」と答えてくれた人の誇らしげな顔は忘れられません。そこには、自分たちの食文化に新たな食品を迎え入れる可能性への期待があったのではないでしょうか。

むろんアフリカ乾燥地帯のように、米の自給が不可能な場所に対する米の現物援助については長期的な問題があると思います。しかし、ここでは(むろん地域によりますが)米の自給が可能なところはたくさんあります。しかも新たな土地を拓くことなく、連作障害のない稲作を導入することについて肥沃なこの地域ではまず問題はないだろうということ、また、前ページで紹介したサクサク、その原料となるサゴヤシの多くは上流部から運んできている部分も大きいのだともいうのです。つまり「完全自給」は行われていないということであり、自給できない食物に頼っている状態を「伝統的食文化のために維持せよ」と、現地の人達に面と向かって言えるのでしょうかね。

食文化の維持については日本を考えてみれば一つの参考になります。鎖国していて海外の文化から隔絶された状態にあった中で、明治以降突如として「四つ足」に対するタブーがある種一気に消え去り、誰もが豚や牛の肉を食べるようになりました。このことについては日本の近代化の特質としてしばしば文明論の引き合いに出される内容ですが、しかしそれと同時にかつての食文化が滅んだというわけではありません。今現在に至るまで。食に関する選択肢は広まったとしても。

石油会社はもちろんそうなのですが(訴える側が表現内容のねつ造を行うなどもっての他であるのはいうまでもありません)、NPOももっと現地全体、各地域を考えるべきなのではないでしょうか。何だか小さな縄張り争いと足の引っ張り合いに終始しているようで、まさに熱帯雨林を巡る論議の中で「木を見て森を見ず」としか思えませんでした。ゆえに今回拝見したPNG関係環境保護NPOのサイトに対して共感を覚えることは出来なかったわけですね。
うっはぁ愚痴が長くなっちゃった(苦笑)。とはいっても船着き場の稲の写真はないんですけれど、ついつい長く書いてしまいました。

さて朝方ということもあって、各地の村からやってくる&品物を仕入れて帰っていくカヌーも多く見られます。しかし右上写真のように、なぜか全員(4-5人)が立ったまま去っていくカヌーは不思議でした。川とはいえそれなりに波はあるし、エンジン付きカヌーが通ると結構波が立つんですけれどねぇ。定員オーバーだったのかなぁ。でもあれはやりたくないなぁ(笑)。

今日は支流を遡ってカンボット村まで出かけます。1日コースとしてはちょうどいい距離&時間のようで、戻ってくるのは15:00頃になりそうとのこと。天気もいいし、日焼けしそうです。でも楽しみウキウキ!



不思議とみんな真っ白な服を着た3人組カヌーとすれ違います。これぞセピック川、かっこいい!

というわけで、いよいよ支流のケラム川を遡ります。しかし、突如としていやなトラブル??

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