多和平×雷=すんごい怖くてやってられん!

それはある夜明け前に突然やってきた。いつものように宴会を終えてテントに戻る。最近は年のせいか宴会終了時間も着実に早くなってる。21:00ころには眠くて目明けていられない!なんてこともたまにあったくらいだ。しかしこの夜はそんなこともなく、「満天の星空」を眺めながら「あれが天の川、あれが…、あ、流れ星ぃ!」なんてメルヘンチックな夜を過ごしていたのだった。そして就寝。今日も終わった。そう思った。

そして夜中の2:30だったか3:00頃だったろうか。ふと物音で目を覚ました。物音というか、なんだか低いうなり声のような感じだ。「はあ、雷鳴ってるな。距離はどれくらいだろう。ピカッ!…1.2.3......13.14ゴロゴロゴロ!はあ、まだまだ遠いな。(340m/秒×14秒=4760m)・・なんて思ったが、一度目がさめてしまうとやはり何だか寝つけない。暇なので「ピカ」と「ゴロ」のタイム差を計りながら寝ていた。しかし!どんどん秒数が少なくなってくるじゃないのさ!5秒になり3秒になり(この距離になると「ゴロゴロ」という音の形容はふさわしくない。あえて表現するならば「ズバガバガリバリリドカーン」といった感じだろう)、そして、来たあカウントゼロ!おそらくは展望台横の避雷針というかアンテナか何かに落ちたのだと思うが、ものすごい音。地鳴り。テントの中はオレンジ色に染まる。「ひえぇぇぇぇ何とかしてくれぇ」と思うが雷のほうは容赦ない。何とか気を紛らわそうとラジオをつけるが、NHKは「ラジオ深夜便」という番組をやっていて、内容は御老人からの投書特集か何かでちっとも面白くないのだけれど、ばりばりいう音の陰でちょっとは現世 とのつながりをもつ自分を実感した。

さしもの雷も、やがてはカウント7.8位まで離れていった。「はあぁびびったびびった」と、妙に明るい気持ちになる。まだ外は真っ暗。「さて、もう一眠りすっか」とラジオを消す。まだ雷は鳴っているが、まあいいやと思っていた自分が…バカだった。ん?また近くなってきたぞ!1.2.ガラガラズドドーン!おーい、2回戦始まっちゃったよぉ(泣き声)。またもや至近距離直撃弾あり。やめてくれーっ、多和平は360度の展望が売り物のキャンプ場。ということはここ数キロ四方の中でいちばん高いところにあるってことだよなあ。しかも自分はその中でもいちばん高いところにテント張ってるわけで、やばいぞヤバイぞやばいのだ!

結局、雷軍団はご丁寧に3回も我がテント周辺にお遊びに来られた。ラストの回が終わりかけた頃、もう空はしらみ始めていたのであった。午前4:30頃再就寝。うとうとする。

そして朝になった。テントから顔を出す。空は雲の間から青空をのぞかせ、数時間前のことがまるで信じられないような顔をしてのほほーんとしている。南東、はるか遠くのほうではまだゴロゴロゴロとやっているのが聞こえる。ところで、たしかあと10張りくらいあった他のテントの皆さんのご様子は?ん?何だかあまり生体反応が感じられんぞ。数も半分以下になってる。トイレがてら様子見に行ってみると、何と皆さん、夜中のうちにセンターハウスのほうに避難してたんですね。朝まで耐えたのはどうやら自分ともう一人のソロライダー(マジェスティの人)くらいしか居なかったみたいだ。そしてセンターハウスは完全に難民キャンプと化していた。びしょぬれになった衣服や寝袋を乾かす人、濡れた寝袋のままで眠り続ける人。あたりにはキャンプ用品(濡れ系)が所狭しと広げられている。「うーん、みんなすごいことになってるなぁ」と実感。自慢じゃないが、自分のテント内は完全に乾いている。濡れもの一つないのだ。いくらゴアテント+フライとはいえ、下からの浸水は本来避けることが出来ないのだが、やはりしろくま防水液効果は素晴らしい!(しろくま防水液について知り たい人は、「二輪便利帳」HPの中の「投稿!耳より情報」に行ってみてね。)しかも前回の塗布からすでに何度も使っているのにまだまだ十分な防水効果を維持していることに満足満足。残務処理に追われる人たちを見ながら「ふふふ…」と嫌らしい優越感に浸るTakemaであった。

さてこの雷事件だが、結果として我々キャンパーには被害をもたらさずに去ってくれたわけだが、やはり影響はあったようだ。

(1)お隣の別海町で、嵐を避けるため木の下に避難していたウシ14頭、木に落雷したため即死。
(2)多和平キャンプ場の公衆電話が使用不能になり、洗い場の電気も故障。ついでに言えば場内にあるコンセント(携帯の充電等に利用価値大でした)も使えなくなった。
う〜ん、1歩間違えばこっちも大惨事だったな。運が良かった良かった。20年前、雷鳴る中北アルプスの稜線を歩いたときも怖かった(後で「自殺行為に等しい」と言われた)けれど、今回もなかなかだったな。