(NZワーホリその14)

 

 NZ南島のトランピング(その7) Mt. Cook周辺 

マウントクックは言わずと知れたNZの最高峰(数年前頂上直下が崩壊したそうですが)。標高自体は富士山よりも低いものの、氷河を抱いた姿は富士山とはまた違った趣があります。(余談ですが、北島にはMt.Egmont という、見事に富士山型の山があります。富士山よりも鋭角でとても美しい山です)。ハーミテージホテルから、またはパブから山自体を眺めるだけでもきれいですが、やはりここまで来たらぽこぽこと歩いてみてはいかがでしょうか。
フッカー谷からのクック
 
フッカー小屋への道は最高の散歩道

(1) KEA POINT

一番安直、いや、手軽にいけるルートで、ホテル泊まりの人もちょくちょく散歩しに来ます。でも、展望自体は、「苦労と感動は比例する」といったところでしょうか。

(2) SEALY TARNS

ミューラーハットから
ケアポイントの近くから一気に斜面を上がっていくと(危険ではありませんが、急です)山上湖のほとりに出ます。そこがセアリーターンズ。村から大体1.5H位はかかるので、まあ、上での昼寝なども入れて半日かけるつもりで行って下さい。写真がないので残念ですがとっても気持ちのいいところでした(冬だったのであたりは雪だったけれど)。なお、山上で一泊するつもりであれば、下から4時間ほど上がったところにあるミューラーハットがおすすめ(出発前にPHQで届け出を)。かなり冷え込みますが、Mt.Sefton の氷河を間近に、マウントクックを遠望、眼下にはミューラー谷の氷河がずっと続いているのが見えます。宿泊用具一式をお忘れなく。小屋まで、ルート自体は危険ではありません(でも高度感はすごいよ)。ただし、小屋からMt. オリビエまではやせ尾根もあり、靴はしっかりしたものが必要。この写真の時は8月(冬です)だったので、念のためピッケル持っていきました。

なお、ピッケルやアイゼンなどは、いざとなれば村の中にある「Alpine Guide」でレンタルすることが出来ます。自分が行ったときはそこで働いてる日本人がいたのですが、彼はまだあそこにいるのだろうか。(1999 3月にはいませんでした。当たり前か)

(3) フッカー谷
フッカー小屋を見下ろす
時間がある程度取れるならフッカー谷のハイキングがおすすめです。ただし、小屋まで往復すると完全に一日行程です(2000-6注参照)。行きと帰りのタイムもさして変わらないので、適当なところ(氷河湖)で引き返すのも手です。軟弱派は2つ目の吊り橋を渡ってちょっと行ったシェルターのあたりでいかがでしょうか。お弁当を食べるのに絶好です。
この写真は小屋の上方からクック村方面を向いて取ったものですが、なかなか良さそうでしょ?途中で吊り橋を渡りますが、川の水は完全にグレイシャーミルクで、いつでも白っぽく濁ってます。手を入れてみるとものすごく冷たいのと、雲母らしき破片が手の中に入ってきます。是非おためしあれ。あ、水は持っていった方がいいです。途中の脇沢から取れることもあるけれど。
あと、この小屋は結構な人気なので、夏は満員になることも多いようです。泊まるつもりなら早めの到着を心がけるとともに、公園事務所で入山の届けを忘れずに。一泊いくらかだったかをお支払い下さい。何たってこっちの小屋はベッド式だから、詰めて寝ることが出来ません。
1999 3月注 自分が行った頃と今とでは小屋への宿泊システムが変わっているような気がします。「他の国立公園でのHut Ticketはこのエリアでは使えません。」という掲示がされておりました。それにしても宿泊代が随分高くなった!

2000 6月注 現在、そして今後しばらくのあいだ、氷河湖からフッカー小屋までの区間はエキスパート以外の登山者は通行止めと思った方がいいでしょう。登山道の崩落が激しく、通行する場合は必ず登山用ヘルメットを着用のこと、という掲示がなされていました。

(4) MT.WAKEFIELD 方面
タスマン谷

ちなみにこのルートは「勝手に適当に登る」ルートです。基本的にトレースはありません。もっとも現地のガイドブックには載ってますが。タスマン氷河のLookoutに行く途中に橋があり、川を渡った所がスタート地点。何だか道のない斜面をひたすら登っていきます。登るごとに、クック村は眼下に小さくなり、かわりにタスマン谷、プカキ湖に続く川の流筋がはっきりと見えてきます。残念ながらクックは見えませんが、のんびりするにはいいと思います。ランチもってビールもって、のんびりと過ごすのが幸せです。なお、Mt.Wakefield まで行くとしたら本格的な装備が必要ですが、そのずっと手前の草原がいいです。うーん、でも、これ見てここに行く人はいないだろうなあ。道ないし。ただし迷うことはないけれど。

なお、ガイドブックに載っているWAKEFIELD TRACK とは、同じスタート地点から川沿いを歩くルートのことです。それとは違い、道のないところを歩くことになるため、山なれた人におすすめです。天気の悪いときはあっさりあきらめて、パブで昼間っからビール飲みながらクックが見えてくるのを待つほうが幸せです(どのルートにも言えることです)。

1999 4月追記 WAKEFIELD TRACK は現在閉鎖されています。
2000 6月追記 相変わらず閉鎖されていました。


(5) COPLAND PASS
Copland Shelter

今回紹介する中で、ここだけは山の初心者不可。また、尾根歩き・無雪期だけの登山経験しかない人も不可。何たって氷河登りがあります。ピッケル・アイゼン必携。アイゼンは12ポイント以上のものを。前の二本だけを使って登ることになります。相手が氷河ゆえ、蹴りこんでも堅いところでは1センチ弱くらいしか食い込みません。複数で行くならザイルが必要。もちろんビレイの出来ることが条件です。

峠の往復だけならクック村から1泊2日で行けます。初日はフッカー小屋経由でコープランドシェルターまで上がります。ドラム缶を大きくした感じの小屋ですが、作りは堅牢です(写真)。水はないので下から持っていきましょう(雪というか氷河を溶かせば取れるけれどきれいじゃない)フッカー小屋からの登りはきついです。800m以上登ります(確か)。それだけにMt.Cook の眺めはここが最高です。本当に間近に見えます。
傾斜
傾斜はこんな感じで、所々にクレバスが口を開けています。氷河自体は堅いので、クレバスに来ると落ち着いて休め、ほっとします。当然ですが、ここで足を滑らすとフッカー谷まで一気に落ちることとなります。慎重に!特に、「何だこれくらいの傾斜」と思ってご覧になる方は、おそらく日本の春山の早朝のクラストををイメージしているのかと思いますが、あれとは全く違います。登っていくに従い、股の間からシェルターが見えるようになります。終わりの方になると傾斜がぐっと緩くなり、ほっとしますが、気を緩めずに!
氷河上部からのクック
傾斜が緩くなると、あたりの景色を楽しむ余裕も出てきます(気を緩めるなって!)。ね、クックも近いでしょう。

手前眼下に見えている氷河よりも、実際登るルートの方がクレバスも少なく快適です。でも傾斜はこっちのほうがあるなあ。
Copland Pass
分水嶺でもあるパス自体はナイフリッジです。立つことは出来ず、何だか昔の拷問用具であった木馬にまたがるような感じです。もっともクック側に数メートル降りると雪原があるのでそこでのんびり休めます。

さて、帰りはさっき登ってきた氷河を下ることになります。当然ですが下りの方がコワイです。自分の時は、下ってる最中、遙か下のシェルターのあたりにガイド付き登山の白人グループが上がってきているのを股間から見つけ、あ、ここで今滑落しても、とりあえず人知れず朽ち果ててくことはなさそうだなと、妙にほっとしたのを覚えてます。さて、シェルターまで降りてきたら、さっきまでこいつの一挙手一投足を見ていたそのグループが「氷の状態はどうだ?」と聞いてくるので、「とっても堅くてびびったよ」と答えました。そうしたら、どうもグループの中に初心者がいたらしく、「私やめようかな・・」なんて言ってるので、悪いこと言ったなあと反省しました。

さて、シェルターから村までは、知った道とはいえ疲れてるから遠いこと遠いこと。覚悟して下さい。

おまけ : 「クック村」について。

(1) 基本的に村とはいっても、そこに住んでるのはハーミテージホテル及びその他の施設の従業員のみ。だから一軒だけある雑貨屋も、品揃えは貧弱で値段はものすごく高いです。出来る限りクックに来る前の町(TWIZEL)で買い出しを終わらせておくことをおすすめします。

2001注: 今やハーミテージ内の売店を利用するしかありません。事前の買いだし必須!


(2) PHQ(公園事務所)の展示などはなかなか充実してます。是非一度足を運んで下さい。なお、小屋を使う場合は必ず届け出ること。入山前に料金を払って下さい。

(3) パブリックのパブは完全に観光客用ではありますが、窓際に席を取ってビールを飲みながらクックを眺めるのは最高の贅沢です。是非ご利用あれ。

2000/6注:3月に行ったら、この懐かしいパブ、建物の影も形もなし。「えええっっ???」と思って聞いてみたら、なんでもこの同じ場所に、レストラン形式の新しい建物を建て、パブはその中に入るんだということ。でも、あの独特の落ち着いた雰囲気まで再現されることはないでしょう。というわけで、この(3)の記述は完全に過去のものになってしまいそうです。

(4) キャンピングエリアもあります。ただ、村の中心(ホテル)からちょっと離れたところ(ケアポイントの近く)なので、村に行くにはちょっと不便かも。もっとも、車があるならエリアまでは直接行けますので便利。やってはいけないことなのですが、肉などの保管はこっそりYHの冷蔵庫を利用させてもらってました。さて飯か、と思うとYHまで車で行ってたわけですね。そうすると大体日本人がいる、そうすると「パブ行きませんか?」と誘う、というパターンが何度もありました。(1999 3月追記 久々にMt.CookのYHに行ったので、10年前の悪行をワーデンさんに懺悔しました(笑)。ものすごく怒られました(うそ))。

(5) ここに限ったことではないにしても、村のまわりには何も光源がないからか、この村からの夜空は大変きれいですよ。ぜひ堪能して下さい。ただし、雨が多いこともお忘れなく。

さて、こうしてクック周辺の散歩も終わり、このあとは一気に島に渡ります。南島最南端のブラフという町から漁船サイズのフェリーで、吐きまくりながら耐えること4時間。スチュワート島の最高峰、Mt.Anglem に登ります。登るだけじゃなくて、ずいぶんとおいしいものも食べました。勿論ただで。その「おいしいもの」とはいったい何か?日本で食うと高いぞ。その種明かしは次のページで。では!


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