- 2011年末NZその5 カイコウラからR70経由でハンマースプリングスへ、天気最高交通極小!-



こちらのB&B、ガーデニング部門で賞をもらったこともあったのだとか(奥さま談)。この屋外宴会スペース、憧れるなぁ(え、観点が違うって?)。

ご主人は早朝からお仕事ということで朝ごはんは奥さんがサーブしてくださいました。イギリスの流れを汲むとはいえNZのB&Bでの朝食はコンチネンタルが基本で、タマゴやベーコン、ソーセージなどの温かい&調理しなければならないおかずは付きません。なるほど、これならご家庭の「本業」にも大して支障がないですね。

幸いなことにTakemaはこういう食生活の経験があったので(というかもっと粗食だった=シリアルと牛乳のみ)問題ありません。そして、前ページでも書いたように少食夫婦ゆえにおしんこどんも問題なし。というかNZに限らず白人系の食生活って夕食に土管、いや違ったドカンと食べ過ぎる習慣が如何、いやイカンのではないですかね?そういやカナダもそんな感じだぞ(実はカナダには仕事でのべ80泊位しています)。あと当然ながら油モノね。

もっともトータルとして今回のNZ旅行は「後になればなるほ粗食」でした。普通に戻ったというのか‥。郷に入りても従わずがいい場合もありますね(大笑)。

宿の近くにあるLookoutポイントからはカイコウラ市内が確かに一望!でも展望台も含めて元々は飲料水タンク設置のために作られた場所であることが濃厚です(笑)。

さて、タウンセンターでNZドル現金をそこそこ仕入れた上で今日の目的地へ向かいます。ここからはウェストコースト方面に向かうのですが、そもそも大きな町が少ないことと(ウェストコースト最大の都市であるグレイマウスは通過するだけだし)、この途中で非クリスチャンにとっては恐怖の「12/25」を迎えるわけですから‥。
ニュージーランドのクリスマス12/25は旅行者にとって「一番何も計画してはならない日」であります。その昔のワーホリ時代、12/24に「明日からホリデーとはいってもなんでこんなにスーパーが混んでるの?(入場制限してました=New World)」と思っていたら、翌25日はびっくらこいたことに「まさに市機能が完全停止=見事にどの店も開いてない!」。翌日もBoxing Dayでペケ、さらにそのまま年末年始休業になだれ込む商店もありました。

今回の旅行でこの日は12/23、日本では天皇誕生日ですがNZでは平日です(そりゃそうだ)。しかし曜日は金曜日、ということは明日24日のイブは土曜日‥すでにこの土曜日を以て休みに入る商店もあるでしょうし、そうでなくても土曜日ゆえ営業時間短縮のオフィスも多いというわけで大事を取ってお金を下ろしたわけです(万が一ローカルのTakeawayが開いていても、カード不可だったらThe Endでしょ)。

。というわけでクリスマス前後にNZを旅行する方々はお気をつけ下さい。各種ツアーも12/25は休業のところが多いです。完全に観光客相手の前記ホエールウォッチングツアーでさえも12/25は休業ですから!

この日最初の目的地は「Hanmer Springs」。ローマ字読みでそのままOKの地名なのですが、そこに行き着くまでのルートは今まで通ったことのない70号線なのです。だって、ワーホリ時はもちろんのこと、1999のバイクツーリング時に購入した現地地図(昔のツーリングマップルサイズ)の補足情報にさえ、

と表記されていたのです。たぶん日本のオフロードバイク乗り各氏にはたまらないルートだったのでは?
ちなみにNZではここ20年の間にメイン国道やショートカットルート、さらには観光ルートがずいぶん整備されました。テアナウからミルフォードサウンドの道は今では誰もがシーニックルートと思うでしょうが、1990にはディバイドの手前にある湖の界隈ルートはデロデロベムベラベロ!(長いな)モードだったんです。要は「雨の後はデロデロのぬかるみ、そこを大型観光バスが深い轍をつけるもんだから、そのしばらくあとに通る乗用車は脱出できないこともしばしば、況んやバイクをや!」。Takemaも当時「エロエムエッサイム!」モードで泥沼モードから脱出した記憶があります(笑)。

あと、ワナカからハーストに抜ける道もダート路だったんですよ。もちろんある程度の整備はされてましたが(というか整備状態はミルフォードロードよりはるかに良かった)、当時のTakema車がおんぼろだったことで(1977製MAZDA323&再生タイヤ装着)、「ここで何かあったらどうしようもないよなー」(他車にお願いして連絡はOKでもその整備工場まではおそらく100km以上!)ということで、今以上に「行くぞイスカンダルのスターシアにどっこい大作!」という無謀な勇気が必要だったわけです)。
話がそれましたが(いつもの通り)、さらに古いロードマップではある区間がほとんど未舗装表示でした。1990年当時にはたぶん70kmほどの「峠越えを含む」気持ちいい(人によりますが)オフロードが続いていたんでしょうね。もっともオンロードまっしぐら人生20年ライダーのTakemaですから決して走ろうとは思わなかったはずですが(笑)。

この日最初の訪問地であるハンマースプリングス(Hanmer Springs)までは126kmとあります。えーっと、この地名からもうすでに「そこに何があるのか、何をしに行くのか」は一目瞭然だと思いますが(笑)、その件についてはこのあと十二分にご紹介しますんで‥。

この70号線ですが、いやまぁ交通量が少ないこと。そんなわけでいくつもある橋のほとんどは「One Lane Bridge」です。右上画像には「橋の両サイドに同時に車が到着しは対向車が優先」を示す表示が見えています。



道路脇には夏ゆえ多くの花が。

左上はルピナスの黄花、右上の花はEchium vulgare(和名シベナガムラサキ)で、特にシベナガのほうはNZ南島のどこでも見られる花です(右上画像マウスオンで拡大)。しかしどうやら牛や羊はこの草を食べないようなのと、どこにでもある=繁殖力が強いらしく、農牧業に従事する方々にとっては厄介者だと思われます。

と、厄介者とタイプしたところで思い出しました。テカポ湖周辺で特に多く見られるルピナスも実は外来種なんだそうです。よく考えてみればルピナスが生えているのはほとんどが道路沿いなわけで、おそらくは種が車に付着したり巻き上げられることによって道路沿いに生息域が広がりつつあるのだと思われます。何でもMt.Cookの周辺(たぶん国立公園内)では「生えているのを見つけたら引っこ抜く」ことにより侵入を阻止しているのだとか。

あと、特に南島南部でよく見られる真っ黄色の花の群落はエニシダで、あちらも外来種。花粉を多く飛ばすことから花粉症の人は要注意です(でも今回おしんこどんは大丈夫なようでしたが。Takemaはまだ花粉OK人なので問題なし)。



あー、気持ちのいい道が続きます。でもおしんこどんは睡魔大王との格闘中(笑)。


さてさらに走っていくと、道路の両側に雪を降らせたような木々が広がり始めます。実はこの木はマヌーカ(Manuka。「マヌカ」とも)、「マヌーカ蜂蜜」はNZお土産の定番だったりするので聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。ちょうどこの季節は花の時期なんですね。小さな花が一面に咲くので、遠くから見ると雪のようにも見えるわけです。



近くで見るとこんな感じ。「ん?でも花がどんな感じなのかよくわからないぞ」という人は右上画像マウスオン。

ちなみに「マヌーカハニーがあるくらいだから花の蜜も甘いのかな?」と思って花をかじってみましたが(笑)、期待したような甘みはほとんど感じられず。そのかわりに独特のクセのある味が残りました。おしんこどんいわく「そういえばマヌーカハニーってちょっとクセがあるもんね」。なるほどねぇ(実はその味自体をすっかり忘れているTakemaであります)。

さて70号線を4/5ほど走ってきたところで何やらヒツジが集められている場所に出ました。そして何人かの人が何かやってる?ははぁ、シアリング(Shearing)=ヒツジの毛刈りですな。

NZのヒツジは、全部とはいわないけれどその多くが羊毛を取るために飼育されています。春から夏にかけてのこの時期、ヒツジ牧場農家は「春先に生まれた子ヒツジの尻尾切り(Tailing)」、「ヒツジ親子の分断・断乳(Weaning)」、そしてこの「毛刈り(Shearing)」等々でやるべきことが満載です。

実はTakemaも22年前のワーホリ中、上記のうちの「Tailing」作業に参加したことがあります。今はどうだかわかりませんが少なくともその当時その牧場では、

という流れで作業していました。その作業工程の一瞬の画像はこちらのページに残されています(ページ内に、若き日のTakemaがかなり小さな子ヒツジを手にしている画像あり)。しかし生後2週間から3ヶ月の子ヒツジとはいっても、

いやーキツかった(笑)。あの日の作業後のビールは旨かったはずです(覚えてないけど)。

ちなみにTailing、尻尾切りをなぜ行うかといえば、それはヒツジの品種改良の歴史と大いに関係があります。犬や猫を思い起こしてみればわかると思いますが、彼らは「大の排泄時」に尻尾を上げてコトを行いますよね。そうすることによって尻尾および肛門付近に汚物が付かないようにしているわけです。

一方、ヒツジは「いかに多くの羊毛を採取するか」を念頭に数百年単位で品種改良が続けられてきました。その結果体毛はものすごく多くなり、それは尻尾にも及びました(その昔「Tailingを逃れたとおぼしき」大人のヒツジを何頭か見ましたが、尻尾は見かけの太さが6-7cmくらいあったように記憶しています)。しかし尻尾の筋肉が体毛の増量に合わせて増強されたかといえばそうではなく、結果として「自力で尻尾を上に上げられない」ヒツジを作り出してしまったというわけです。

そのため人間が「じゃまな尻尾を生後すぐの段階で切り取る」という作業が必要になりました。それがTailingです。もしTailingを行わないと、多くのヒツジのお尻に汚物が付着したままとなり、そこにウジが発生し汚物のみならずヒツジ自身の体皮なども食べてしまう結果、ヒツジの致死率はぐんと高まってしまうというわけです。見た目にはのんびりと暮らしているように見えるヒツジですが、実は人間による管理なしには生きられない動物なんですね。



シアリングが終わり解き放たれたヒツジたちは、また何事もなかったように草食を開始するのでありました。



別の場所ではウシも一ヶ所に集められていましたが、彼らはなぜ集められているのか不明(笑)。



よーしそれではここから100km/hで爆走‥したくはないなぁ、ワンレーンブリッジ上だぞ(笑)。

そんなこんなで、南島を東西に結ぶ7号線に合流し、さらに進むとハンマースプリングスへの分岐へ。あと少しです!

分岐から少し行くと、高度のあるワンレーンブリッジを通過します(右上画像は渡ってしばらく行った所から撮影したもの。橋付近は駐停車禁止ですので)。実はこの橋には以前35mのバンジージャンプサイトがあったのです(オペレーターはAJハケットではありませんでした)。が‥、2010年7月5日にジャンパーが川に転落する事故が発生したことでサイト閉鎖となり、それ以降はステージも撤去されてしまいました。

ハンマースプリングスには1999年のバイクツーリング時に来たことがありましたが、この橋の記憶はうっすら程度しか残っておらず、その記憶によれば「確かジャンプサイトには客はもちろんスタッフもいなかった」気がします。スタッフがいたら絶対に飛んでいたはずですからね(笑)。

と、12年前に思いを馳せながら橋を眺めていたら、下流側から一隻のジェットボートが上がってきました(右上画像マウスオン)。お客は乗っていないようで、どうやら川から撤収するようです。お、すぐ真下に置かれたキャリアに載せるみたいですが‥。



さすがジェットボート、自力でキャリアの固定位置まで乗り上げちゃいました。

さてそんなわけでハンマースプリングスへ到着となるわけですが、そこにいったい何があり、またわれわれは何をしようとするのかというあまりにもわかりやすい謎については、次のページで解き明かすことにしましょう。
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