(あまり意味はありませんが上ロゴマウスオンで英語表記に変わります)

− 2013 カムチャッカ旅行記その19 「まずは見ただけ」のダチニエ温泉と‥噴気帯脇の野湯!−



前ページのラスト画像です。中央下部に湯気と湯船が見えますよね!

さて!あれが本日のメインイベントであるダチニエ温泉であるということなのですが‥何ですかこのあまりにも素晴らしいロケーションはっ!蓮華温泉の「仙気の湯」をホーフツとさせる環境で、もう血湧き肉躍るというかここからマッパーになって走っていきたいというか(意味ないけど)。

しかも野湯よりも整備された野天風呂であるように見えます(何となく湯縁に木枠が見えますよね)。ということはかなーり快適な湯浴みタイムを満喫できそうな予感大。そしてさらに、「今ならもれなく貸し切りでご利用いただけまぁっす!」とお風呂の方からお誘いの声まで聞こえるではありませんか!(完全に幻聴)。

というわけでこの位置からぐぐっとズームしてみましょう(早く行きたいんじゃなかったの?)。

ふむふむ、お風呂脇の湯気の出ている穴から源泉が出ていて、その湯が浴槽に導かれているようです。で、浴槽縁は木枠かと思いましたがどうやら板は置かれているだけで、湯縁は石組みかコンクリなのかな?いずれにせよ見た感じでは結構しっかりした造りのようです。そしてこの湯の色!灰色濁りの湯が満たされており、これはもしかして浴槽底には泥パックOKの堆積物が期待できちゃったりしませんか?

そんなわけでここまででもご飯がすすむクンみたいに湯欲アドレナリンが大量分泌されているのはおわかりかと思いますが、ここから先、温泉に続く天国プロムナードがこれまた素晴らしかったのであります。




(右上画像マウスオンで拡大画像に変わります)。

嗚呼、カムチャッカの奥地に湧き出る湯が大自然の輝きとともにわれわれを歓待してくれているとでもいうのでしょうか、とにかくこの時のテンションは上がりっぱなしでありました。そんなわけで、いよいよダチニエ温泉に到着です!



予想通り噴気穴から湧き出る湯が‥あ、あれれ思ったより少ないぞチョロチョロだぞ。実はこちら側からの激熱湯は一部が浴槽に導かれているだけでして、2つ上の大きめ画像をよーく見てもらえるとわかるのですが別の場所からホースで引かれた源泉がメイン湯となっているのです。ほほー、確かに噴気穴からじゃ源泉供給量が少なすぎるもんねぇ。そして肝心の湯温ですが「フムフムややぬるめ適温」です!

そんなわけで撮影タイム終了、いよいよ「入浴の儀」をスタートさせますかというわけでTakemaがデイパックから「どこでもお着替え」を出そうとしたところで、登山ガイドのジマさんがロシア語で、そしてターニャさんがそれを日本語に訳した上で次のようにおっしゃいました。



適温なんですよ貸し切りなんですよサイコーの天気なんですよ!とは思いましたが、まぁたしかにこの時点で発電所手前の広場に他の車両は止まっていなかったし、さらに奥があるとすればそれもヒジョーにナニな案件であることは確かなので、とりあえず仰せのままに先へ進むことにしました。それが吉と出るか凶と出るかはともかくとして‥。

さらに先へと進みます。部分的にはかなり滑りやすいところもありますが(おしんこどん何とかセーフ!=左上画像マウスオン)、基本的には雪融けの早いエリアに踏まれた道を奥へと進みます。右上画像の右下にはコバイケイソウの葉っぱも見られますし、それこそ植生を見る限りでは日本の北アルプスや北海道とほぼ同じ感じですから「違和感を感じないことに対する違和感」を感じたりもするわけです(笑)。

というか、特に本州の中部地方というはるかに低緯度の地域によくあれだけの北方系植物の植生及び生態系が残ったよなとあらためて感動する次第でもあります。ただ最近は山岳地域にも低地系の動植物の侵食が見られるわけで、一概に礼賛し続けるわけにもいかないとは思いますが‥。

で!

歩みを進めていった先に何とテント発見!聞いてみると、ここは夏場にはキャンプを楽しむ人たちが(もちろん地元の)そこそこ多いのだとか。うっそぉ早く言ってよ!(笑)そういう場所だと知っていたらダチニエ貸し切り湯を最優先したのに!

‥ええっと。ハイすみません実はこのネタはちょっと(いやある意味かなり?)「盛って」います。キャンプ地があることはもちろんここで初めて聞いたのですが、実はここムトノフスキー発電所には何と宿泊施設があるのです(左上画像マウスオン)。ただしこの宿は今回われわれが手配を頼んだエージェンシーとは直接の取引がないらしいのです(お2人とも「あの宿は営業しているのかなぁ?」レベルの認識でした。

そういえばバヌアツ共和国でも似たようなことがありましたが(詳しくはこちら)、あちらの場合は完全に個人経営の宿でしたのでわからないでもありません。でもこの「宿」はこれだけ大きな施設なのに外国人旅行者の受け入れを考慮していないとしたら‥

日本からテントを持参してここでキャンプ湯浴みというのはなかなか大変かと思いますが、宿泊となれば「星空を眺めつつ」の湯浴みも可能でしょう。拙ページを見て万が一にも前ページとこのページの温泉(このあと紹介するところも含めて)に行ってみたいと思われる方は「ムトノフスキー地熱発電所の近くにあるホテル」についての手配可否を確認してみてください。ただしその場合、ドライバーほか(われわれの時は3名)の方々の宿泊費用も負担しなければなりませんが‥。なお、もしかしたらホテルじゃなくて発電所の職員宿舎なのかも知れないのでそうだったらゴメンナサイ。

さてそんなわけでポコポコと歩いていきますと、よぉっし見えてきましたトキメキの噴気帯!なおこの場所からは沢沿いの噴気しか見えていませんが、実はこちら側の斜面上方にも別の噴気があり、歩道はまずそちらを目指して登っていきます。

左上画像がその斜面上方の噴気です。山の上方にあるため地下水脈に乏しいのか、下り落ちる湯の流れは皆無。下を流れる沢水を汲んで噴気の上から流してみれば造成泉‥というかただ水が温められて泥湯化するだけでしょうから、よい子の皆さんはやめておきましょうね(笑)。

というかそんなことをしなくても、最初に見えた沢沿いの噴気帯(右上画像)は大いに期待できるのですから!

左上画像は「目的地到着のヨロコビにうちふるえるTakema」なのですが、それもそのはず!(右上画像マウスオン)。あの妙にリアリスティックというか人造的な造形は何なのでしょう!ここで登山ガイドのジマさんに聞いてみると‥


(どんな念願なんだ)

というわけで対岸まで到達したところで綿密な作戦会議と入念な現場確認が行われます。いや実際は「あそこだよ、噴気には近づきすぎないでね」くらいのものだった気もしますが、それじゃTakema先鋭入浴隊長の威厳が保てないのであえていかめしく表現するように心がけた次第です(意味なし芳一)。

ちなみにここの噴気には有毒な硫化水素の臭いがほとんど含まれていないようで、遠くでも近くでもあの「例のニオイ」が全然しませんでした。ちなみにこの「遠くでも近くでも」というのが重要で、人間の鼻は高濃度すぎる硫化水素臭を感知できないそうなのです。「低濃度で臭ってるものが臭わなくなったらハイそこで人生終了」というわけで、その意味で「やや離れていても臭わなかった」というのは有難いことなのです。だって今回ガスマスクは持参しませんでしたから(というかそもそも持ってませんが)。

そんなわけでさらに近づいてみましょう。

このあたりまで近づくと噴気口からのガス噴出音でかなりうるさいです。しかし目指す聖地はこの沢の対岸上方、上画像でいけば右端あたりに位置しているはず。そんなわけでTakema先鋭隊長、さらに歩みを進めます。すると‥



そんなわけでとにかく服を脱ぎ‥いや違ったまだ脱ぎません、その前に学術的見地からのさまざまな調査を行わねばならぬのです!(笑)。

まずは視覚による現場状況確認(要は「見た感じ」)。うーん、先月石組みして沢水の流入を最低限度の適量に抑えたという効果は今もまだ機能していると思われますが、その防護壁の隙間を縫って流入する砂礫の侵入までは防護できなかったようです。つまり簡単にいえば「深さが全然ない」のです(最初から書けば済むんですが威厳の関係でつい)。実際のところ、深いところでも10cmはなかったのです。掘るしかないかぁ、でもさすがに今回はスコップも持ってきていないんで、堆積物は砂なので手掘り?

続いて理化学的見地からの調査を始めます。すなわち「検温度チアー」なのでありますが(「何それ?シャレ?」とお思いの方はそのままスルーしてね)、ほんの数m脇では右上画像のような「荒ぶる大地」があり、そのおこぼれが確かにこの湯だまりに流れ込んではいるわけですが‥その量たるや「極少」なのです(右上画像マウスオンで流れ込み画像に変わります)。

というわけでメイン湯だまりの温度を測ってみると‥たった21.6度しかありませんでした。雪融け水の流入量が増えたのか、それとも噴気湯からの流入量が減ったからなのかは定かではありません。しかし「すぐ脇でゴゴゴーと沸騰しているにもかかわらずこのまま21.6度の湯に尻湯で浸かる」というのは温泉ファンの隅っこにおじゃまさせてもらっている(と自分では思っている)Takemaとしては「為すべき道ならず!」と思ってしまうのです。

そこで土木工学的見地から検討を開始しました(あのね)。

湯温を下げている最大の要因は間違いなくこの沢水であり、その流入量を何らかの形で抑制すれば湯だまりの温度は当然上昇するはず。しかし沢と湯だまりを直接的に隔てている石積みは形状こそ原形を保っているもののその内部はかなりスカスカであり(設置当初には躯体と一緒に組み込まれた小石や砂が流出したと考えられる)、もはや設計当初の機能を維持してはいない。しかし一方で、この石積みを再度構築し直すというのはコスト的にも(=面倒)時間的にも(=このあとさっきのダチニエ温泉にも入るんだし)有用な方策であるとは思われない。

と、Takema脳内の諮問機関が答申を出してきたわけです(大げさでゴメンなサイ=「トイザらス」の模倣)。ともあれ「一からの再構築」が無理となれば「付け焼き刃的な対策」しかないわけですが、それは問題ありません。「後生畏るべし、焉(いずく)んぞ来者の今に如(し)かざるを知らんや(Takema抄訳「自分たちの次の世代を若造といってナメちゃいかんよ、彼らが今のわれわれレベルをはるかに超える境地に至ることだってあり得るのだから」)という孔子の言葉だってあるのですから。

え、似非土木工学ネタから漢文の孔子って?この展開がわからないあなたに朗報!シンプルに説明します!要するに‥

われながらカッケーっ!(もちろん「格好いい」の略です。「脚気ー!」ではありません=またも若人諸氏はスルーね)。そんなわけでTakemaが考えたのは‥

という、「誰がどう考えてもそれしかあり得ない」系の方策でありました。何だか人間ってやっぱり自然の前には微力でしかないのね(いうまでもなく)。そんなわけで、




(上画像マウスオンで別画像に変わります。なおTakemaはすでに黄色の海パンにはき替えてます)。

続いては当然二期工事=掘り下げ by 手作業なのですが、当然のごとくほんの数mの距離に噴気帯がある関係上その作業には慎重に慎重を期する必要があります。しかもこの作業に用いるべき重機(=スコップのこと)はありませんので全て手作業、その辺にある礫(手頃な石)を使うしかないのです。あー、何だか地味な作業になりそうだ(苦笑)。

しかしこれから浚渫すべき地下がどのような状態であるかを事前に確認すべきなのは先鋭隊員たるTakemaの使命です。表面水温はさっき測ったとおり20度ちょいだし、ほんのちょっと下からの湧出はあるみたいだけれど大したことはないだろうと思いつつ、温度計から突き出た約13cmのセンサー部分を半分くらい砂の中に差し込んでみると‥(右下画像マウスオン)。




(ちなみにちょっと場所をずらして再計測してみたら‥ハイ左上画像マウスオンでよろしくです)。

まさにどっかの原発のように「とてつもない想定外」とでもいうのでしょうか、それとも「地球なんてマントルの表皮にかろうじて冷えた地表があるようなもんだよ」と地学者が飄々と言い放つようなものでしょうか。

とにかくいずれにせよわたしには「己に勝手に課した使命というかミッション」があります。さまざまな現地状況はここに明らかになり(たぶん日々違うんでしょうけれど少なくともこの日この時については)、そして強き湯望とそれを阻む厳しい状況、そんな全てのインフォメーションは最後の二者択一、すなわち‥

というハムレットの亜種に収斂されつつその結論を逆説的に己に求めて来るというわけです(論理的構成はともかくとして、要は「自分でもどうすべきかすっごく悩んでた」とご理解いただければ幸いです)。

で、この時頭に浮かんだのがあの言葉。アントニオ猪木氏が引用したので往年のプロレスファンの方々には有名だと思いますが、「一休さん」のあのお言葉です(ただし実はそうではないという説も有力なようですが)。で、この文章って前にも使ったような気がするんですがそんなことは忘れたフリをしてと(笑)。

しかしここまでお読みになってきて「だからさぁ、ネタを思いっきり引っ張りすぎなんだからそろそろ結論にいこうよ!」と、もういらいらウダウダウララーウララーウラウララーという気分になっていた方々お待たせいたしました!(ネタ古はしょうがないのでお許しを)。




(「くわっ」以降Takemaの地獄ダンスがちょっと‥ってグリム童話かいっ!そんなわけで動画です)。

アッチチと格闘します(笑)。そうまでして座湯する意味があるのかどうかはともかくとして。

わたしの場合正式入浴の定義を「お尻を湯に浸けること」としておりますので、とりあえずこれで1湯OKです(笑)。なおこちらの野湯についてターニャさんは「ここはダチニエ温泉とは関連がなく特に名前がついていません。間欠泉の湯ということでしょうか」と説明してくれましたが、不定期に飛び出る湯は一度も見なかったので「噴気帯の湯」という呼称のほうがいいような気がします。

ネット上ではここの湯に浸かった日本語記録が見あたりませんので、日本語仮称として「ムトノフスキー噴気帯の湯」と命名することにしましょう。

ではでは、この続きは次ページにて。
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