- 2017夏 キルギス旅行編 その16 アルティン・アラシャンから新旧アク・スー温泉経由でカラコルへ-



この日はアルティン・アラシャンを去る日。雲はやや多めですが天候回復。

明らかに前日よりも天気がいいなと。ということは前日もしホーストレッキング+約30分の急登で3800mの峠まで上がったとしても、もしかして雨&ガスの中の極寒行軍だった‥と思うことにしておきましょう(慰め感極大)。



ご覧のとおりの上天気で、この日は宿の太陽光パネルもお仕事をしてくれそうな感じです。うーむもう1日遅ければ、いや、もう止めておきましょう。1日遅かったとしてもやはり馬が来なければ云々ですから(なぜか「自分で歩いて登る」という選択肢を考えない元山男のTakema)。



朝ごはんはとってもシンプルなご覧のとおり。いわゆる「トマトスープリゾット的なもの」でしょうか。ま、朝からがっつり派ではないので問題なしです。いいお天気だから、今ごろはテント泊のあのロシア人団体さんもトレッキングを楽しんでおられるかと。



そんなわけでちょっと飛んでみたりして。右上画像マウスオンで出てくるTakema画像、足の開きがイマイチ(年だな)。



出発直前に気づきました。宿の入口にはこんな看板があったのね(右上画像マウスオンで拡大)。



さてそんなわけで予定通り9:00に出発です。ちなみに出発直前、ジャミラさんから「トレッカーの中に靴擦れが酷い女性がいて、同乗させてもらえないか」というお話があり、もちろんOK。困ったときはお互いさまですって。ただし彼女がドライバー氏に料金を支払ったのかどうかは自分のあずかり知らぬことですが。

運転席には針葉樹の枝が飾られておりました。これが習俗的または宗教的な意味を持つのかどうかを含めて聞いてみればよかったよなぁ。実はこういう枝が売られているのを見たりもたので。



まず最初に小さな鞍部まで上がりますが、鞍部の前後は当然大荒れダートなわけで、われわれはもうわかってますが、ロシア系(だったと思う)同乗者の彼女はそこそこびっくりした声を上げていました。まぁしばらくお付き合いくださいなすぐ慣れます(笑)。



往路と同じく途中で休憩。もっとも下りメインなのでエンジンのヒートは往路よりもましなはずですが、どうやら空気圧をも調整していたようです(悪路での接地面を増やすために圧を下げるというのはオフローダーの方々ならおわかりかと)。つまりは「ここから下は路面がマシになるので圧を増す」というわけです。



とはいえ日本的感覚でいえば全然マシではないのですが(苦笑)。





途中で牛を移動させる地元の方々に遭遇。というか右上画像などはまだ子どもが御してますね。さすがだなぁ。



と、向こうから大型車両がやってきました。山道では「上り優先」だし、こちらの方が明らかに小さくて小回りが効くのでバックするかなと思いましたが、何とバックしたのは対向車のほうでした。少し下に開けたすれ違い可能エリアがあったからかな?いずれにせよこの道に入ってくる車(ドライバー)は状況を熟知しているはずですからね。なお右上画像マウスオンですれ違い場所画像に変わります。



その後水たまりなどもありましたが、ほぼ1時間半でメインロードとの合流点に到着。そしてここにウームルザックさんの車も待機していて、われわれはここで車を乗り換えます。かの女性はそのままロシアンジープでカラコルへダイレクトトゥゴーとなりました(やっぱりお金は払ったのでしょう)。

さてわれわれがここでザックさんの車に乗り換えた理由は他にもあります。下調べの段階で「この分岐近辺にも温泉施設(サナトリウム)があるらしい」ということで、あらかじめ行程に組み込んでもらっていたのです。しかしどんなところなのか画像は全く見たことがなく、「行ってみてからのお楽しみ」というわけだったのですが‥。



やってきましたアク・スー温泉!ほほーう、かなり整備された施設のようで、別棟にはレストランも。しかも結構大人気のようで駐車場はほぼ満杯(右上画像マウスオン。実は奥にも駐車場がありました)。これはまさかの芋洗いの予感?。いや、ロシア系エリアでは大浴場の発想がない(貸し切り)ので、順番待ちかも?



館内に入ると、通路には案の定順番待ちの方々が。あちゃーと思いましたが、受付で支払いを済ませたジャミラさん、「それでは行きましょう」とわれわれを案内し始めます。どうやらわれわれは左上画像マウスオンで表示される料金の「家族用バス」に案内されたようです!予約していたのかな?(あまり考えにくいですが)。確かに料金はですからねぇ。

んでもって、浴室に入ってびっくり。何と浴室にバスタブは3つもあり、さらにシャワー(これも温泉使用)まで完備されているというまさにVIPバスルーム!



源泉はかなり熱くて加水必至(しかし大馬鹿Takemaは温度計を車に置いてきたので計測できず。でも間違いなく50度オーバーでした)。こちらの湯もアルティン・アラシャンの湯と同じくラドン系の温泉ということでしたが、これらの高温湯パワーはどこから来ているんだろう?周辺に火山絡みのマグマはないはずなのに?

でも、パミール高原(中国やタジキスタン)やここキルギス、さらにはネパールに至るまで「火山由来でない褶曲山岳エリア」にも各所に温泉(しかも高温の)が湧いているんですよね。これは実に不思議なことであると同時に、地球大地の活動としては「何の不思議もないただの必然」なのだろうとも思うわけです。

もっとも同じように火山がないタイで高温湯(100度近い湯)が湧く理由として、「断層沿いに地下水が深くまで入り込み、そこで温められた湯が別の割れ目から噴き出している」というなるほどもっとも系の説明を見ましたが、でもそれも結局は「それ以外に考えにくい」という仮説にすぎないのではないかと(タイの高温湯湧出ページはこちらです)。

まぁそんな話は自分としてはどうでもいいのです、今は湯に浸かるのですタンノーするのです!







無色透明湯で見た目のインパクトはありませんがお湯はツル感のあるなかなかのもの。

しかし、ものの本によれば「サナトリウムの湯はぬるい」ということだったような?これだけの施設だしもしかして加温しているのでしょうか?だとすればとみに珍しい(経費増加を厭わない)施設だといえるでしょう。なぜそう考えるのかについてはすぐあとで述べます。

このあとのこともあるので30分ほどタンノーした上であがりました。ええっと、ふとこの時をふり返ると、われわれの貧乏性というか倹約節約の具現化というか、何だかとても不思議な行動が思い起こされます。それは‥



今にして思えばなぜ「Each own バスタブ」でそれぞれに楽しまなかったのかがあまりにも不思議ですが、この時のわれわれ夫婦はこれが当然のように疑問も差し挟まずに行動しておりました。オバカだぁ!(苦笑)。



なおわれわれが入浴していたのは左上画像の白いドアの部屋ですが、奥というか入口方面へと続く廊下も見えてます。ちゃんとドライヤーとかマッサージ椅子も備わっておりました。ロシア製のマッサージ椅子もちょっと体験してみたかったなぁ。あ、この時代ゆえロシア製とは限らないか(苦笑)。

このあとは敷地内にある別棟の食堂へ移動してお昼ごはんです♪



なかなかせり出し具合が微妙な絶景食堂です。川の水音も間近というか真下から聞こえます(左上画像を見ると窓も開けられているのがわかりますし)。さてメニューを見ながらどれにしようかな?シーザーサラダを頼んだのですがこの日はできないということ。こういう「メニューにはあるが今は無い」あたりは何だか旧ソ連の趣。



そんなわけでキュウリとトマトのサラダ(結局のところ夏の定番というわけです)、それとポテトと牛肉のソテーでしたがこれがかなり美味しかった!(しっかりこちらにもキュウリ&トマトが添えられてますが)。惜しむらくは飲み物ラインアップにビールがなく、チャイを飲みながらぱくぱくというところなのですが、これ、ホントにイイ!ポテトを厚切りにしてソテーしているので、そこにデミソースに絡めたビーフをのせて食べるとこれが何とも食べ応えもあるし美味しいんです。とはいっても少食人種夫婦ゆえそれぞれの皿をシェアして食べたわけですが(苦笑)。

ご飯を食べたあとは車にのってカラコル‥いや、前ページラストで書いたようにもう1箇所寄り道です。それは‥このサナトリウムの旧施設。

こちらの温泉サナトリウムは、旧施設がキャパ的施設的にキビシクなってきたということで新たに設置された施設なのだそうで、それでも旧施設はいまでも営業しているのだそうな。それならそちらも見に行ってみようというわけなのです。



細くなった道(でも舗装路)を進んでいくと対岸に3階建て(とはいえ3階部分は何だか増築したような感じでもありますが)は現在閉鎖されているとのことでした。そしてそこからさらに上流に向かっていくと‥





いうまでもなくとても懐かしい感じの建物で、堀辰雄が中から出てきて「やぁ、よく来たね」って声を掛けてくれてもおかしくない感じです(笑)。あ、戦前に多くの作品を発表した小説家である堀辰雄には、本人の経験もありサナトリウム(療養所)を題材にした小説が多かったんです念のため。

それにしても窓の面積が広い造りの木造施設で、夏の時期はともかくそれ以外の時期は寒くてしょうがあるまいという感じなのですがどうなんだろう?もっとも(聞きませんでしたが)旧ソ連諸国に共通するお湯の供給、ここは温泉ですから温泉暖房が完備されているのかな?

ちなみにこちらの施設も先ほどの新施設も、源泉は別の同じ場所から引いているので同じものだということです。というわけで見学にとどめたわけですが‥いま考えてみれば!





貸し切り浴室を見学です。休憩室にはテーブルやソファー(ベッド)も設置されていてかなりゴージャス!



脱衣場ももちろん完備。こりゃVIPルームですね。浴室にはバスタブが2つとセンターにシャワーも。

「にゃーん」。浴室も空いていたし時間的にも余裕があったのに、何で湯に浸かろうとしなかったのか、これはかなりの後悔なのですが、実際に入らなかったのですからまぁしょうがありません。しかもお湯の蛇口をひねったりもしなかったわけで‥(あくまで見学ですから)。これは今後この温泉サナトリウムを訪れる温泉ファン(じゃなくてもいいですが)のレポートを待つしかありません。うーん失敗しました。たぶんジャミラさんにお願いすれば、最悪実費負担であっても入浴は可能だったろうに‥。



施設は古いですがメンテナンスはなされているし、宿泊も出来るとか?ここに泊まればよかった‥。

そんなわけで後悔先に立たず系ではありますが、これが哀しき現実というわけでカラコルへと帰りましょう。

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