− その6 満身創痍の弘前駅からどう脱出? −

というわけで弘前駅到着は10:00を回ったころ。駅付近はものすごいドカ雪状態。五能線の運行状況については駅で聞いて下さいということだったので「さすがにもう行っちゃっただろうなぁ」と思いつつ、でもその一方でわずかな可能性に望みをかけながら改札口方面へ向かいます。しかし、駅員さんに聞くよりも早く電光掲示板の表示にびっくり!



ん?真ん中の赤い字は?(マウスオンすると拡大画像に変わります)

こちらでひょっこり動画でも(8)

「悲しき電光掲示板」

間に合わなかったことが致命傷にならなかったこと、そして、「所詮無駄なあがき」だったこと‥

Wmv形式、347KB、11秒
拍子抜けというかがっくりというか。何のためにここまで来たのさ!(いや、たった6駅しか来てないけどさ)。

しかし、まぁしょうがない五能線はまた次の機会にリベンジするしかないとして、さてここで、そのために余ってしまったこれからの時間をどう使えばいいのか?という新たな問題が生じてきました。

東京へは秋田新幹線で帰る予定です。予約しているのは17:06発東京行きの列車。その始発駅である秋田まで、五能線が使えないとなれば奥羽線を使うしかないのですが、特急を使うとなれば(各駅停車でもいいのですが、ダイヤが乱れた場合どう考えても特急を優先的に動かすだろうと考えて)、次の2パターンが考えられそうです。この時、この時時刻は10:10ころ。決断を急がねば!
A案 弘前10:27-(かもしか2号)-秋田12:32 秋田発
17:06
弘前で15分、秋田で約4時間30分の空き時間
B案 弘前14:16-(かもしか4号)-秋田16:24 弘前で4時間、秋田で40分の空き時間
ふぅむふむふむ!さて、このページをご覧の皆様ならどちらを選びます?そしてその場合、弘前と秋田のどちらでそれぞれ何をしようと考えるでしょうか?ちなみにこの時Takemaはこんなふうに考えてました。
ということは‥どうやって過ごす?
A案秋田で飯を食べるくらいしか思いつかない‥
B案温湯温泉の共同浴場でまたも湯ったり!
となれば、これはもう有無を言わせずB案を採用!といきたくなります。というわけで一時は温湯方面への弘南鉄道切符売り場まで行ってみた我々なのでありますが‥。しかし、そんな我々が最終的に選択したのはなぜかA案でありました。その大きな理由は‥

という余計な心配をしてしまったからでした。というのも、この時点で特急かもしか2号は約15分遅れとはいえもう弘前駅のすぐ手前まで来ていましたから、これに乗って早めに秋田へ着いておけば、とりあえず今日中に東京へ帰れることは確実だろうと考えたのです。今考えれば何とも安全第一で面白味に欠ける選択でしたけれどね(苦笑)。

というわけで、急ぎみどりの窓口へ行き、かもしか2号のグリーン席を予約しました。最初のページにあった「三連休パス」の写真で、「弘前」のハンコが押されていたのはこの時のものだったんです(まぁそんなのはどうでもいいことですが)。さて15分遅れということで、駅ビル内にあるドトールコーヒーにてホットドッグなどを買い込み、キオスクで弘前の地酒、300mlの「じょっぱり 生貯」(六花酒造)を入手。よぉっし、これで万全、あとは列車の入線を待つばかり‥のはずでした。

しかし、「人間辛抱だ」とはむかぁしむかしの二子山親方による台詞(知らない人も多いでしょうな)。そしてここから、まさに辛抱を地でいく「演歌が似合いすぎる時間」が始まったのでありました。



弘前駅前もご覧の通り雪かきでこんな状況になってます。まだ一月上旬だというのにねぇ‥。

定時+15分で到着するはずの「かもしか2号」でしたが、15分はおろか、30分たっても全然到着しません。駅の放送では「ただいま2つ手前の川部駅に停車中です」とのこと。そのうちに、「弘前駅構内のポイントが雪のため動かなくなりました。ただいま復旧作業中ですのでしばらくお待ち下さい」とのアナウンス。ひゃー困ったねぇ。

しかし事態はこれだけでは終わりません。さらに30分ほどして、「弘前駅近くの踏切でトラックが脱輪しています。ただいま復旧作業中です」。そしてとどめはその数十分後、「再び駅構内のポイントが動かなくなりました!

自分たちを含めた乗客たちも唖然&完全にあきらめモードです。特にかわいそうだったのは自由席に乗る予定で早々とホームに並んでいた方々で、せっかく列の前の方に並んだという既得権を手放しきれず、結局1時間近く、吹雪の吹きつけるホームに立っておられました。うーん自由席と指定席、たった500円の差はあまりにも大きかった!

しかし、本来の出発時刻から約2時間が経とうとする頃、ちっとも来ないかもしか2号に「指定グリーン」の予約を持つ我々もさすがに何となく不安になってきました。それは‥

そう思っても不思議ではないくらいのトラブルがどどんと続いていたのですからねぇ。ついでに、自分もすることのないまま構内をうろうろしているうちに、ふとしたはずみで「じょっぱり」入りのKioskビニール袋を落としてしまい、あわれじょっぱり、一口も飲まれぬまま結局コンコース掃除のモップ繊維に吸収されていきましたとさ(悲)。というわけで悲しいかなまた1本買い足したんだっけ(嘆)。

さてそんななかば諦めモードのなか窓の外を見てみると、ホームの外れあたりで保線員の方々が何やら作業をなさっています。どうせすることもないしというわけで、ホームの端っこまで見物に行ってみることにしました。



ふむふむ、向こうの方でやってますね(マウスオンで画像が変わります)

というわけでホームの端っこまで行って見物していたら、復旧作業の様子を見に来た駅員さん登場。せっかくなので「いやぁ大変ですね」と声をかけると(こういう会話は結構得意なTakemaだったりします)、次のようなお返事が。
「いやぁ、お客さんに迷惑をかけちゃって申し訳ないんですけれど、こちらとしてもこの3日間はボロボロですよ。でも今日は一応列車を動かしてるからまだましです。昨日なんか全面的に止まっちゃって大変でした。」
ありゃま、昨日は動いてなかったんだ!全然知らんかった!となれば、やっぱりTV付きの部屋に泊まるのって、情報収集という点で意味があるのね(大笑)。まぁ状況を把握できたところで動いてないものはどうしようもないとも言いますが。

とか何とかのあいだにも、どんどん雪は降り積もっていきます。

引き込み線に止められていたラッセル車の屋根にも、そして停車中の列車の行く手線路にも、すっかり雪が積もり始めました。ちなみに右上写真はこのページの壁紙画像でもあるんですが、実際は風もあって結構キビシイ状況でした。
考えてみれば下り青森方面も、かれこれ1時間ほど前に「遅れております大阪からの寝台特急日本海、まもなく入線いたします」って放送があってから実際の入線までは随分時間がかかったし(確か30分くらい?)、弘前始発の八戸行き特急つがるも、何とか運休は免れたとはいえ発車番線がギリギリになって3番線に切り替わるなどのハプニングがあってお客さんは右往左往していたっけ。

そもそも3番線はわれらが乗るはずの特急かもしかが入るはずだった番線であって、しかもそのかもしか号は「ただ今隣の撫牛子(ないじょうし)駅まで来ています」とのアナウンスがあって随分たつものだから、不安になった秋田方面のお客さんはホームに降りてきて、あたりの人に「これ、秋田行きの特急?」と念のための確認作業。もちろんTakemaも複数のおいちゃんおばさんに聞かれましたのだ(笑)。

というわけでホームでは駅員さんがマイクも使わず「今この3番線ホームに停まっているのは八戸行きです!決して秋田行きではありませーん!」と大声を上げる始末。しかしサボ(行き先表示板)は相変わらず「回送」のままなんだから。そりゃ誰だって不安になりますよねぇ。

結局、容赦なく雪の降り込むホームでのミニカオス?を経て、かもしか2号が到着したのは13:00前。グリーン指定席を定時直前に予約してから2時間半近くになっておりました。「あ〜あ、やっと乗れたよ」という思いと共に考えたのは「結局弘前駅では思い切りロスタイムを食らったけれど、乗ってしまえばこっちのモノ。B案で考えていたら絶対今日中には東京に帰れなかったはず!」という「選択正解!」のひとことでありました。



ようやく来てくれたのね、かもしか号♪

さて、自由席車両の大行列を眺めつつしっかりグリーン車へ。とはいえこの車両もまた「入口側半分は自由席、奥半分がグリーン車」という変則的な座席設定ではありますが、自由席の方々が乗り終わった後に悠然と乗り込む気分は何とも言えずよいものです。こりゃやみつきになるかも?いや、このチケットじゃなければ絶対グリーン指定なんか乗ろうとしないだろうけれど(笑)。

ちなみにグリーン車の先客はたったお一人だけ。荷物の中に「函館朝市」関係のお土産を拝見いたしましたから、函館から青森まで来て、「さて帰るぞ」と乗ってからずっと車内カンヅメになっておられたことでしょう。後ろ姿ながら「何だかぐったり」というオーラを発しておられたような気がします。そして結局グリーン車はこの方+うちら2名のまま秋田まで。そして自由席はといえば、途中おしんこどんがトイレに行こうとしたら「あまりに混んでるんで様子見しただけで挫折」という状況でした。

そういえばこの車両にもこのような家庭用?エアコンが!なんだミャンマーと国鉄と似たようなことをJRもやってるんですね。え、何言ってるかわからない!という人はこちらから見に行ってね。
というわけで、発車してみれば「かもしか」の名前の通りぐんぐんと走りだしたこの列車なのでありました。要はここ数日の豪雪で悲惨な状態になったのは青森〜弘前間だけだったのね。そういや今朝乗ってきた大館方面からの各駅停車も、県境の陣場駅まではほぼ定刻運転だったものなぁ。

ちなみに、この2005年冬の豪雪はこの地域でもピカ一(この表現は変ですけれど)のものらしく、こんなニュースがありました。消えちゃうと悲しいのでリンクと共に引用させていただきます。
河北新報 2005/2/16 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050216-00000008-khk-toh

雪「うんざり」積もる 弘前121センチ、観測史上最高】

青森県内は15日午前、上空を気圧の谷が通過した影響で、各地でまとまった雪が降った。ここ数日の雪で弘前市の積雪は121センチとなり、観測を始めた1982年以降、最高を記録した。弘前市のほか県内4観測地点の積雪は、野辺地町163センチ、青森市151センチ、五所川原市127センチ、むつ市45センチとなっている。

県内には、大型の低気圧が接近しており、16日昼ごろから全域で雪になる見通し。県は13日に豪雪対策本部を19年ぶりに設置したが、県内61市町村のうち32市町村が15日までに豪雪警戒・対策本部を設置している。



東奥日報 2005/2/07 http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2005/0207/nto0207_9.asp

【奥羽線運休で通勤、通学客ため息】

月曜の朝、通勤の足の突然の運休。しかし奥羽線を利用する通勤・通学の乗客は、今冬十回目とあってあきらめ顔の人も多く、「何とかならないものか」とため息をついていた。

JR弘前駅の改札口では、奥羽線運休を知らせる電光掲示板や案内板の前に通勤・通学の駅利用者らが集まり、戸惑いの表情を浮かべながら代行バスの出発予定を駅員に尋ねていた。

弘前市内の高校へ通学している対馬拓弥君(16)は「学校が迎えのバスを出してくれることになったが、もう一時間以上待った」と、うんざりした表情。青 森市へ通う男性公務員は「遅れは毎冬のことだが、今年は三回ぐらい運休している」とあきれ顔で話し、職場への連絡などに追われていた。

JR青森駅では代行バスに長い列ができた。弘前から朝、代行バスで青森に着き、用事を終え弘前に戻ろうとした女性(70)が「もう十一時なので、運行が再開したかと思ったのに困ったわね」と肩をすくめていた。
こちらでひょっこり動画でも(9)

「かもしか走るよどんどん走る」

最初からこうだったら何てことなかったのに‥。いや、吹雪の中保線作業にいそしむ方々を見ればそんな甘いことは言っちゃいけないんですが。

Wmv形式、400KB、13秒
というわけで列車は遅れを多少挽回して2時間15分くらいの遅れで(確か)秋田駅に到着です。やるじゃないか、かもしかっ!

しかし残念なのは秋田での滞在時間。あと2時間しかないとなれば遠出もできないし(そもそも秋田駅周辺に温泉はないし、あっても掛け流しを期待できない温泉にはあまり入りたいとは思えないし‥この辺は同じ県庁所在地とはいえ鹿児島とは大きく違うところですね)、となれば‥しょうがない、駅周辺でお土産を眺め、そのあたりでメシでも食べてと‥。何だかちょっと悲しい流れではありますが、こればっかりは誰にもどうにも文句の付けようがないしねぇ。

てなわけで上記の通りに駅ビル内で全ての用事&時間つぶしをこなしちゃいました。まぁごはんをつまみにお酒も飲んでゆっくりできたからこれはこれで良かったなぁと‥思うしかないですよね(笑)。そんなこんなで17:06発の「こまち26号」にいよいよ乗車です!

さすがに新幹線、雪がほとんど付いてませんねぇ。最後のお酒は新政ワンカップ。いや、これを飲みたかったわけじゃないんですが、やっぱり4合瓶を買うのは気が引けて(笑)。ちなみにこの後車内販売にてビールとワンカップとを追加注文したわけですからやっぱり最初から「男は黙ってどかんとお酒!」のほうがいさぎよかったかな(笑)。
こちらでひょっこり動画でも(10)

「グリーン車でエラソなTakema」

ね、何だか動作そのものにエグゼクティブな香りを感ずにはいられないっしょ?
(そんなわけあるかい)

Wmv形式、268KB、8秒



最後の晩餐‥、いや違った最後のおつまみはこんなもんでした。

さすが新幹線、遅れない!と思いきや、出発は下りこまちの行き違いということで微妙に遅れ。まぁそんなのは誤差の範囲です。それよりもはるかに気になったことはといえば‥

ハイ、結論を申し上げます!B案の場合に利用予定だった特急「かもしか4号」ですが、何と秋田には僅か約15分の遅れで到着いたしましたとさ!余裕で間に合っちゃったのね、あっちゃまー(複雑)。



というわけで東京、いや千葉に帰ってきました。当初の目的である「雪の五能線でほっこり」はダメでしたが、日景温泉はまぁまぁだったし、JRのトラブルもまぁこれはこれでしょうがないかなという感じです(こんなことが海外旅行中に起きたらさぞかしあわてふためきフェノールフタレイン沸騰状態のパニックに陥ることでしょうけれど)。というわけで楽しかったぁ。また行くぞ!

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