− 紅葉前の黒部峡谷温泉めぐりっ!(2/6) 黒薙の露天風呂にてまず湯ったり −

さてここからは徒歩で黒薙温泉を目指すわけですが、トロッコ列車の支線のトンネル(暗いけれど平坦で距離も近い)を行くか山道(山越えなので高低差があり歩行距離も長い)を行くかの二者択一らしいと聞いていたのに、今は一般客のトンネル歩きは禁止されているようでした(実はこのあたりにビミョーな「阿吽(あうん)の呼吸」的部分があるみたいなんですが)。

まぁそれでもたいした距離ではないので、パプアニューギニアの最高峰Mt.Wilhelm(4507m)登頂経験もあるおしんこどん(あ、Takemaもか)を先頭に、山道ルートを進むことにしました。しかし‥。

うーむ、駅からはいきなりの階段急登がお出迎えです。看板がなぜか現実に合わせたかのように斜めに掛けられているところに厳しさを感じないでもありません(笑)。でもまぁ、高低差から考えると帰りの方がしんどいんだよなぁ(憂)。ああ、筋肉から乳酸が!

坂をあらかた登り切ると、しばらくは秋の日射しを浴びながらのお散歩モードとなります。いやはやこのあたりは気持ちいいですね。

ちなみにご存じの方も多いと思いますが、宇奈月温泉のあの場所には温泉の湧出場所はありません。宇奈月のお湯全ては、今から行こうとしている黒薙温泉からの引き湯なのであります。で、その引湯パイプが見えてきました。



すんごいパイプが谷を渡って山肌に吸い込まれています。宇奈月温泉の生命線なんですよね。

と、ほどなく谷のはるか下方に、湯気とともに何やら建物らしきものが見えてきました。おお、あれが黒薙温泉なのか!はやる心を抑えつつ、ここからは九十九(つづら)折りの道をぐんぐんと降りていきます。もっとも、この時見えていたのは宿併設の露天風呂(とはいえ宿から棟続きではない)だったんですけれどね。

木の間越しに沢がどんどん近づいてきた頃、あの通行禁止トンネルルートからの道を合わせたところで温泉宿に到着です。どこかのサイトに「とにかく全てが壁にへばりつくように」というような形容がありましたが、確かにすごい場所にあります。この黒部峡谷沿いはその急峻な地形ゆえ泡雪崩(Wikipedia)に代表されるような恐るべき雪害が起こる可能性を秘めているわけですが、ここでは雪崩は大丈夫なのかなぁ。いや、たぶんこの宿の歴史はイコール「雪との戦い」だったんじゃないかなぁと思うんですが。

もっとも穂高連峰の岳沢ヒュッテ(信毎新聞サイト)だって、50年もの間ずっと大丈夫だったし、自分も春山中心にいつもベースにしていて場所だったのにやられちゃったしなぁ。このまま建物が無事であることを祈りつつ‥。



おそらくはこの屋根だって雪害で何度も‥。

さて、玄関脇の受付で入浴料500円也を支払います。従業員の方の応対はとっても丁寧で、メインの露天風呂および内湯についてもきちんと説明してくださいました。ちなみにこの時点で他のお客さんの姿はなし、よし、とっても広いというここのメイン露天風呂の貸し切り可能性も高そう。というわけでいざ!露天風呂へ向けて歩いていきます。

歩道を歩いていくと、徐々に湯気が立ち上るエリアになってきます。とはいえこの湯気は露天から立ち上るものではありません。左上画像で、左側は歩道(ガイドロープ付き)、一番右側は沢なんですが、その間に見えている枯れ沢のように見える場所、ここは実は全てコンクリで埋められています。実はここが、あのパイプで宇奈月まで運ばれている湯「七号源泉」らしいんですね。

この露天風呂はその源泉のおこぼれ、いやいやそれじゃ本末転倒だ、本家本元の新鮮湯を堪能できる湯だというわけです。

しかし、ひろーい露天風呂には先客の若い男性がお一人。あれま、貸し切りの野望は断ち切られたわけね(笑)。と、遠慮深い先客さんはマッパーのまま上流へと歩いていってしまわれました。ということはありがたいことにやっぱり貸し切りだぁ!(お気遣いいただきありがとね)。



広ーい湯船、源泉は90度以上ありますが、よく湯船温度を維持できるよなぁ。



それぞれがゆっくりと湯に浸かりました。ミニ山越えで一汗かいたあとの朝風呂は最高です。


「谷間の露天風呂、お湯も景色も最高」

こんな上天気の中で貸切状態の広ーい湯船。たまりませんなぁ。

Wmv形式、791KB、19秒
このあとはお湯から上がり湯船から一段上がったあたりにて、先ほど魚津のコンビニで買ったサンドイッチやビールでゆったり朝食です。谷底ゆえまだ陽は射し込んできてはいませんが、湯上がりゆえ寒くもなく適温。それに、まだ午前9:00を回った頃だというのにこの時間からぷはぁ系のビールが何とも嬉しい!(普段は車の運転があるからこうもいきませんからね)。朝から至福の時間を堪能いたしました。

しばしまったりしたあとは、この「七号源泉」のこぼれ湯がないかどうかの探索に出かけました。露天風呂のすぐ下の川原からはあちこちに湯が出ているのはすぐにわかりました。しかし源泉は激熱で、その一方で沢水はとっても冷たいし‥。それに、何といっても「立派な露天風呂のすぐ下で野湯を探して造るというのもなんだかなぁ」という気持ちが強いです。



おしんこどんはそのあたりにて足湯を堪能していたみたいです。

そこで、露天風呂の上流部分に何かないかと、河原の岩を飛び越えながら探しに行ってみました(ちなみに先客さんはこの時には露天風呂に戻ってきていましたんで)。砂湯に出来そうなところが一箇所あり、心ひかれましたが「いや、せっかくなら湯に浸かりたいよなぁ」ということでパス。滝の先まで岩場づたいに行ったところで「ここから先は岩脈が違いそうだ」と考えて戻ってきましたがその帰り道に‥ん?んん?

最初はただの水たまりに見えましたが、手を付けてみるとこれが結構絶妙の湯加減になっておりました。ただ惜しむらくは?しばらくこのあたりが沢水に洗われていないのか、砂の表面に少しばかり泥の堆積が見られ、湯に浸かると一部に泥がコーティングされてしまいそうでした。よって今回は見るだけにとどめたわけですが‥

泥はほんの僅かだったし、そもそも自分が入ってしまえば泥も砂も一緒になっちゃうから泥だけが付くなんてことはないですし、そして何よりも泥や砂まみれになった身体をきちんと洗える「お風呂」が50mほどの下流にあったわけでしたからねぇ。

実はこの時、タオルやバケツ(or 洗面器)などを持って上流に上がればよかったんですよね。取りに戻るのも面倒くさがっちゃった‥。とにかく大失敗です。次回は‥いや多分この場所は来シーズンになると雪融け水ですっかり様相を変えていそうだし、とにかく一期一湯の野湯アンギャーとしては(何のこっちゃ)後悔しております、ハイ。

さてこのあとは内湯もいただいて、次なる湯を目指します。怒涛の観光客による「無数の眼」を気にせずに入浴できるのか in 鐘釣温泉?いやいやこれがまた!(謎笑)。
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