2010春、神津島、式根島、新島、大島の温泉行脚

− その21 大島編(4) 何と小雪&強風の中三原山お鉢めぐり − 

「せっかくここまで来ているんだから行っちゃおう!」。この言葉に心動かされて三原山ハイキング決行を決めたわれわれではありましたが、宿の建物を出て傘を差したところでビックリ。

いわゆる「雪あられ」という感じの小さな粒が辺り一面に降りまくっておりました。もっともしばらくすると霧雨に変わりましたが、このことからもこの日の気温がいかに低かったかがおわかりだと思います。もう3月29日なんですけれど(笑)。

三原山頂上バスターミナル(御神火茶屋)に車を止めて歩き出します。おみやげ物屋は一応オープンしていますがみごとに開店休業モード。まぁこんな天気の平日(月曜日)ですししょうがないのか。ちなみに、われわれより少し先を5-6名の若者たちが歩いて行きます。おお何だか心強い若者だぞ、でもその軽装は何だか不安なんですが(笑)。



というわけでスタート地点で記念写真。何とここから外輪山縁までは舗装されているのです!

と、先行する若者軍団が突然歩みを止めた様子です。どうしたのかなと思いながら追い抜き、しばらくして後ろを振り向いてみると‥

まぁそれはいいでしょう。たぶん彼らがあの服装でお鉢めぐりをしたら相当に寒い思いをしたに違いありません。でもなー、若者ゆえの無鉄砲シーンも見たかったんだけれどなぁ(最近そういうのを滅多に見ない気がする)。

このあたりは外輪山と内輪山の間の火口原ですから風はほとんどなく、気温が低いことをのぞけば快適です。しかも時々頂上部にかかるガスが取れたりして山体がその全容を見せる時もあったりして(右上画像マウスオン)、「もしかして一気に天候回復とかしないかなー」と淡い期待を寄せたりしつつ歩いて行ったわけです。

しかし徐々に内輪山への登りとなるにつれて風が強くなってきました。とはいえ風上に傘を向ければまぁしのげる程度ですから特に問題はありません。というわけでお鉢めぐりの縁まで登ってきました。と、そこに先行者さん(単独&年配の方)がおられたので写真を撮ってもらおうとしたあたりで、その岩陰をふと見ると‥



ほんのちょっとという点では何だかパプアニューギニア最高峰のMt.Wilhelmと同じような感じですが(詳しくはこちら)、あっちは熱帯エリアとはいえ標高が4500mを越えてますからね。ここ三原山は764m、しかも黒潮が流れるエリア近くに位置する島ですから滅多に雪が降らないはず?しかも「あと3日で4月」というこのタイミングで雪って?下界では早咲きとはいえ桜が満開モードだったのにここでは雪っていったい何なのさ!

少し先に休憩所兼避難所があったので行ってみると‥

おお、建物の風下側にはうっすらと積雪が!(やっぱりね)。というわけで足形を付けてみたりミニミニ雪だるまを作ってみたり(by おしんこどん)でそこそこ楽しみました(両画像ともマウスオンで別画像に変わります)。しかし、お鉢めぐりの本領発揮というか大荒れ気候はここからが本領発揮だったのであります!



休憩所から少し歩いて行くと一気に風が強くなりました。そしてルートを示すロープにはご覧の通り氷の結晶が。

「風が強いんです」
一番最初のあたりで、吹き抜けるガスの移動速度がわかると思います(一瞬なのでお見逃しなく)。下界が見えていましたが元町から野増集落の方かな?

このあたりが一番風が強くて、実はTakemaは北アルプスの稜線あたりでも結構傘を風よけにして縦走したりすることが多かったんですが、この日の風はだいぶ別格、傘そのものがおちょこになることはありませんでしたが(風の吹きつける方向は一定なので当然)、しかし‥

そのグニグニ度は恐るべしという感じでしたが安物だからなー(笑)。このあとは雨具のフードをかぶって歩きましたが、身体が風に振られるというほどでもなく「強風地帯だな」という感じるくらいのレベルでありました。風といえば南八ヶ岳の冬から春はすごいよなー。あ、話がそれました昔語り系になりそうなので中止!

ところで「お鉢めぐりコース」とはいえ内輪山全てのピークを踏むわけではありません。最高地点まで登る公式のルートもありません。どうしてもという人は勝手に行くのでしょうが、われわれはピークハント至上主義者ではないのでそのままパスです。



たぶんこの左上が最高地点でしょう。別に立入禁止の柵はありませんがまぁいいか(このあたりは風の陰で無風で快適)。

風下エリアをしばし歩いて行きますがやっぱりかなりの寒さを感じます(もちろんこの時期この場所でという意味ですが)。というわけで気温を測ってみると‥



ちなみにこのお鉢めぐり時の気温計測では「-1.2度」が最低温度でした(右上画像マウスオン、ただし電池がへたれていたんで一部の液晶表示が薄くなってます)。で、徐々に風上方面に向かっていくわけなんですが(半時計回りです)、風が分散しているのか大した風ではありませんでしたね。その分散風が地形の関係で一気に集められてあの強風になったと思われます(この時は内輪山の西側)。

水蒸気が上がっているのは見えますが、火山性ガスの臭いは一切しません(そりゃそうです風上側)。そして風が止んだときにも火口方面からのガス噴出音が一切しなかったのが不思議でした。昨夏に行った雌阿寒岳のほうがはるかに元気だった気がしますが、人間のサイクルで火山のサイクルを考えてはいけませんね。以前は火山の分類で「休火山」というのがありましたが、あれはまさに「人間の尺度」による分類でしたからなくして当然です。

「とりあえず内輪山のどこかで記念写真を」と思いましたが、看板はどこにもありません。よって、火山活動観測機器があった場所で写真を撮って万々歳です(右上画像マウスオンでTakema画像にチェンジ)。このあたりはほぼ無風、ご覧の通りのガス満載ですがおかげさんで雨粒雪粒の類は一切なし、ゆっくりできました(ま、写真を撮ったらすぐに移動したんですが)。

このあとはお鉢めぐり最終エリアというわけで散策路をのんびり降りてきたわけですが、とにかく火山観測機器が多いのには驚きました。本当に(登山道から見えるだけでも)何基あったかわからないくらいの機器が設置されていたわけで、おそらく世界でも有数の観測態勢にある火山でしょう。前回の噴火が「全島避難」という稀に見る大規模な対応だっただけに、予防的自衛策というかこの場合は「国策」として準備がなされているのでしょうね。こういう場に税金が投入されているのは大歓迎です(右上画像マウスオンで内壁からの水蒸気噴出画像に変わります)。

お鉢めぐりから下ってきたらガスも取れて東側方面の展望も開けました。左上画像は何もないように見えますが、一番奥の外輪山の縁に大島温泉ホテルが見えています。とはいえこの画像では小さすぎるので左上画像マウスオン!

で、あっちまで見えるのならと思いながら下り、ふと後ろをふり返ると「あれま、全山丸見え!」でありました。何だか悔しいような、でも「久々に本格登山気分」が味わえて楽しかったような?



お互いにお疲れさまでしたー。ほどよい疲れで気分爽快タイムです。

ここまで戻ってくれば「あったかい場所でゆっくり」したくなるのが世の常というかまぁ普通の心理というか真理ですよね。山頂バスターミナル(御神火茶屋)付近にある施設はその多くがお土産屋さん系なのですが、唯一「喫茶店」の体をなしているお店がありましたので迷うことなくそのお店へ。

店内に状態極上のベスパが置かれているこのお店、お鉢めぐりの後に寄り道するには絶好のお洒落系喫茶店です。われわれは午後の船で帰ることになるのでここで「半ばお昼ご飯を兼ねた軽食」を食べたわけですが‥美味しかった!(両上画像ともマウスオンで軽食画像に変わります)。

マウスオン左上画像のお汁粉は大きな小豆(変な言い方かな)がゴロゴロ。この小豆でこの味が出せるのかとおしんこどん感動。マウスオン左上画像の岩のりチーズトーストは「この手があったか!」という感じで風味豊か、そしてトーストが厚いだけでなくふんわり!伊豆大島を訪問する時には是非このお店に!と言えるくらいいい感じの「茶屋」でありました(ただしTakemaの主観であることはお忘れなく)。

さーて、そんなわけで8泊9日の長きにわたった伊豆諸島北部行脚もそろそろオシマイに近づいてきました!「あとは帰るだけ」なのですがもう1ページだけね。
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