− 約60年ぶりに姿を現した旧共同湯を目指して −
− その1 まずは横道にそれて野湯見学、新蕎麦のあとは熱湯甲子園 −
行け行けー、まだ先は長いぞーっ!(R400、尾頭トンネル手前にて)
(2011年10月3日)
東日本大震災や原発事故の陰に隠れて、すっかり目立たなくなってしまっている「大災害」があります。それは7月29から30日にかけて新潟県魚沼地方および福島県会津地方に大被害をもたらした、通称「会津豪雨」(正式名は「新潟・福島豪雨」)です。実はこの当日、Takemaは会津の東端(猪苗代町)の宿に滞在していたのです。しかしこの大雨がいかに局地的なものであったかを示すように滞在中は雨もなかったどころか日射しまで出ていたので、この時の雨が会津西部、いわゆる「奥会津」に甚大な被害をもたらしていたとは思いもしませんでした。
豪雨から約2ヶ月が過ぎた頃、いつものようにネットで温泉情報を眺めているうちに気になる記事を見つけました。それは‥
「季節限定露天風呂」で有名なあの温泉(名前は書きませんがわかりますよね)を管理なさっておられるその民宿は、確かに只見川沿いに建っているのではありますが、でもダム湖の水面からは10m以上高台にあったはず、その建物の土台部分まで水位が上がったということは‥あの日、とてつもないことが只見川に起こっていたということになります。
そしてさらに(それと関連して)「気になる情報」が目に留まりました。それは‥
という「温泉好きには見逃しがたい情報」でありました。何と60年近くの時を経て再び姿を見せた温泉、しかもネット上でお名前をよくお見かけする湯の先達さんたちが「再び入れるように作業中」「入浴完遂」なさっている画像を見てしまっては、もう我慢できません、行くしかありません!そんなわけで体育の日の連休まで待ちきれず、たまたまあった平日休みを利用して日帰りで行ってくることにしたわけです。
そんなわけでちょこちょこ寄り道しながらでしたが「所期の目的」を完遂タンノーしてきましたので、しばしお付き合い下さい。日帰りとは思えないボリュームのレポートになりそうな予感(笑)。あ、今回はおしんこどん=仕事のためTakema単独&車での移動となりましたので念のため。
さすがに朝は早めの5時出発です。西那須野塩原ICで高速を降りてまずは塩原温泉を目指します。平日なので道路はガラガラ、快調に車を走らせます。お、塩原温泉エリア手前のトンネルはいつの間にか供用開始してましたね。塩原側出口のあの大カーブはちょっと危なっかしい気もしますがあれで完成なのかな?
つい先日、塩原の湯には浸かっているので今回はパスなのですが、そういえばしばらく行っていない野湯があったなーというわけで久々に甘湯新湯を見に行ってみることにしました。えーと、ここを曲がって、確かこの先の林道の下りはちょっと荒れ気味だったから気をつけて‥え、ええっ!?
画像ではわかりにくいかも知れませんが(というか全然わからないと思います)、相当量の雨が降ったのか道路には幾筋もの深い溝&ギャップができており、それをよけながらの走行‥その岩に片輪乗せてギャップを乗り越えて‥うはー、その先のそこはそのままじゃ無理でしょ、じゃしょうがない、すぐ脇の石を3つ4つ溝に埋め込んで‥あーん、こんなことなら上に車を止めて歩いてくればよかったよー!
しかし、細い林道ゆえ転回する場所もありません。記憶によればこの先の橋のたもとには広場があったはず、何とかそこまで行かなくちゃと覚悟を決めてじわじわと下っていくTakemaでありました。四駆で多少地上高の高いフォレスターだったから何とかなりましたが、普通乗用車だったら上がってこられなかったかも知れません(大汗)。
そんなわけで無事橋のたもとまでやって来ましたが‥えーいこうなったら野湯の近くまで車を進めちゃえ!(確か降り口の近くにも転回可能な場所があったのです)もうやけのやんぱちですが何とかなっちゃいました(笑)。
さて、以前に比べて不明瞭になった野湯への道を下っていきます。そのまま沢まで出てみると‥
いや、渡れないという意味ではありません。靴を脱ぎ、膝まで濡れるのを覚悟して裸足で渡れば大丈夫です(水量的には長靴持参でもちょっと厳しそうな感じでした)。問題はTakemaがそれをする気があるか否かなのであります。
ここが今日の目的地であれば間違いなくやるでしょう。しかしまだ先は長い‥どうしよう‥。しかしここで、躊躇するTakemaの気力をさらに萎えさせる場所が目に入りました。
この場所で一番お気に入りだったあの赤湯が‥どうやら大雨でこの沢沿いにもかなりの濁流が流れた時があったらしく、その関係で沢がえぐられ大石や岩が動いた(流された)ようなのです。左上画像にマウスオンすると在りし日の赤湯湯だまり画像に変わりますが、嗚呼これは何とも悲しいお知らせだ‥
そんなわけで今回の甘湯絡みは「見るだけ」で撤収といたしました。同好諸氏の手により赤湯がいつか復活する日を楽しみに‥とことん他力本願なのね(苦笑)。
続いては、なぜだか新湯に来てしまいました。何だかつい先週末もここに来たような気がするんですが気のせいかな(笑)。で、またも同じような場所に車を止めて(先週はバイクでしたが)、「ど・れ・に・し・よ・う・か・な?」。そんなわけで3つの共同浴場のうち一番「縁遠かった」むじなの湯に久々に入ってみることに!
いやはやいつ以来でしょうねこちらに来たのは?少なくとも2002年の改修工事よりは前のことなのは、「むじなの湯=混浴」という記憶しかなかったことからも明らかです。先客さんがおられたので浴室の画像はありませんが、聞けばここの「男湯」と「女湯」は1年ごとに入れ替わるのだそうです。今年は向かって左側が男湯になっていますが、源泉湯口は右側(女湯側)にあるので今年は男湯のハズレ年ということになるのでしょうか?(笑)。
ちなみに先客さん(地元の方)は、この日のお湯のぬるさが気になるようで、「さっき随分湯を掻き出したんだよ、そうすれば少しは熱くなるかと思ってさ。いま何度ある?そうか44度半か、全然変わらないな」ということでした。あのー、44度半ってまぁそこそこの温度じゃありません?しかしこの日帰り湯めぐり中、Takemaの前に立ちはだかる熱湯甲子園が待ちかまえていることを、この時のTakemaは全く知らなかったのであります(乞ご期待)。
このあとは尾頭トンネルを越え山王峠を越えていよいよ福島県に入りました。それにしても震災後は本当に福島入りすることが多いです。もう7-8回来ていると思います。というか他に行かなくなった?
さてここからは2つのルートが考えられます。1つは会津田島まで進み、そこからR400を延々と進み会津川口(金山町)に出るルート、そしてもう1つはR352で中山峠を越えて尾瀬方面に向かい、内川からR401を北上して只見町に出るルートです。しかしまぁ道中にある温泉の数からいえばやはり後者が正解でしょうということでR352、西に進路を取ります!
と、ここで急遽道の駅にピットイン!実はこの日、朝からまだ何も食べていなかったんですよ(この時点で10:00ちょい過ぎ)。そんなやや空腹Takemaに「新そば」の三文字はあまりにも魅力的だったのです。そういえばわたしは旅行先でほとんどラーメンを食べませんが、蕎麦を食べないことはほとんどないです。やっぱり好きなんだな。
店内には巨大マイタケがどどんと置かれておりました。でっけーっ!しかし2000円かぁどうしよう、実はこのすぐ脇に小さいのもあるんだけれど(右上画像マウスオン)‥結局買わなかったんですが、いま考えればミニの方を買っておけばヨカッタ。
そうこうしているうちに天ざる蕎麦到着!うんお蕎麦はまぁまぁ(でも格別という程じゃなかった)。しかし失敗だったのは、少食人種であるTakemaが「やや空腹」状態で食べるにはちょっと量が多かったということで、要は「ざる蕎麦」にしておくんだった(笑)。
と、蕎麦をすすっている間に入ってきたライダーさん1人。失礼ながら結構古そうな広域地図を手に店員さんに道路状況を聞いています。当然耳ダンボでやり取りを聞いていたわけですが、そのうちに「え、ええ?」的現況がわかってきたのでありました。
ライダーさん | 「只見から新潟側には抜けられますか?」(Takemaの心の声=たしかあの災害で通行止めだったと思うぞ)。 |
店員さん | 「残念ながら六十里越の国道は7月の大雨のあと通行止めが続いています。」 |
ライダーさん | 「となるとここから新潟に抜けられる道といえば‥」 |
店員さん | 「会津坂下まで上がって、そこからR49か磐越道で行くしかないですねぇ‥」(うん、それしかないよね)。 |
ライダーさん | 「そうですか‥いや、何となく新潟に抜けようかなと思っていた程度なので問題ないです、わかりました。」 |
店員さん | 「あ、でも只見川沿いの道も通行止めですから注意してくださいね」(え、ええっ何ですと!?) |
ライダーさん | 「それはどの区間ですか?」 |
店員さん | 「只見町から金山町に抜ける区間のR252が復旧作業中なんです」(う、うそっ!これからそこを通ろうと思ってたのに!) |
Takema | 「それ本当ですか?具体的に教えて下さい!」(まだ口の中にお蕎麦が入ってました(笑))。 |
店員さん | (突如乱入してきたTakemaにビックリしつつ)「実はこんなことになっているんですよ(と、右上画像の紙を提示)。」 |
突如会話に乱入してきた非礼をお詫びしつついろいろとお話を伺い、「そうかそれじゃR401経由で昭和村に出るしかないな」と思った瞬間、何やらの記憶がよみがえってきました。
まぁでもしょうがないなと思いつつ、再びお蕎麦をすすりはじめ(笑)、食べ終わってまったりしていたら、品物の搬入をしに来た軽トラが1台。どうやら旧南郷村名産のトマトを使った缶ジュースを運んできたようです。わたしゃ震災後、福島に来たらいろいろと買うことにしていますんで‥「それ、1箱下さい!」即購入20缶でありました(左上画像マウスオン)。
さてそんなわけでちょっと大回りになりそうな気がしますが、せっかくこの界隈まで来たんだし、前回はある種ビミョーだった湯の花温泉の「あの湯」へ寄ってみましょうかね。
そんなわけで湯の花温泉へ。前回宿泊で滞在したときには(その時の様子はこちら)清掃直後なのか湯がたまりきっていなかったところにかろうじて入った石湯共同浴場だったのですが、やはり完璧な状態の湯に浸かってこそナンボのものですよね(そうか?そうなのか?)。ということで前回同様「星酒店」さんにて入浴券を購入した上でこの橋を渡り、いざ行かんきっちり湯のたまった石湯へ!
湯小屋の戸を開けてみると‥うむ、どなたもおられず貸し切り湯OK牧場!しかも湯船周辺も完全に乾いており、かなりの時間どなたも入っていないということがビジュアル的にも確認できます(カタカナ語で格好つけなさんなって)。
ということで脱衣後まずはかけ湯&身体洗いの儀式から始めました‥が?
この「ニオイ」については、実際に嗅覚に作用するsmell的なものを意味するものではありません。具体的な類例を挙げるならば「死の臭いのする街」、ただしそれは決して腐敗臭ではなく‥という意味なのです。なお、この何とも文学的なる表現はもっとわかりやすく言い換えることも可能でありまして、その場合の訳語はといえば‥
ということになります(笑)。そんなわけで急いで温度計を取り出して計ってみると‥
(右上画像マウスオンで浴槽底の画像に変わります。ここからも湯が出ているのね)
これまでいくつもの湯に浸かってきたTakemaではありますが、実は「47度前半の湯には何とか入れても、それ以上は無理!死んでしまう!」というのが実情だったのであります(というか、それ自体が一般的な感覚じゃないと思います。普通は43度あたりで「熱いなー」と感じるのが常識ですよね)。
しかし、いま目の前にたっぷりと湛えられている湯はそれどころの騒ぎではないわけです。浴槽内で48.8度、湯尻でさえも48.0度、おまけにこちらの湯は湯口からの投入のみならず足下自噴湯もあるというのですから「上だけ熱い」ということも考えられません。Takema、どうする?誰も見ていなくても、湯めぐり関係の先輩後輩がお前のこのレポートを見ることになるんだよ、さてどうするどうする?(大笑)。
そうなると湯船の縁でいろいろ考えましたよ。「入ったことにして画像なしだと卑怯だよなー」とか「そもそも何で無理して入らなきゃいけないの?」という自問自答とか、また「ここにはホースがあるんだから加水すればいいでしょ」との甘い魅惑もありました。そして出した結論、それは‥
という、まるでかつての東映ヤクザ路線大波じゃっぽーんそのものだったのであります!(大笑)。そんなわけで地獄のエンドレスかけ湯をスタート!ぐはー、ぐはー、うっひゃー!そしてその上で‥
ただし実際の入浴時間は撮影を含め10秒くらいでした(笑)。というか湯から上がった後はアーフーハーフゥと息を切らせておりました。やっぱり「死のニオイたっぷり」でしたわ(笑)。
このあとはメイン湯船脇の「洗濯場」へ。はふぅシアワセ、この湯温ならいつまでも浸かっていられそうです(大笑)。
【湯の花温泉 石湯共同浴場】
そんなこんなで湯の花温泉石湯の荒行を何とか乗り越え、そろそろ本来の目的地へと向かわねばいけませんね。
道沿いにはこの周辺ならではの蕎麦の実が「ボクらもそろそろ収穫?」という感じでこちらを見ておりました(笑)。
さてしかし、ここから先は徐々に「会津豪雨」の爪痕がいまだに癒えていない現状、そしてTakemaの身体的窮状があまりにもわかりやすくが見えて来るのでありました(うふふ)。
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