− その12 根ぼっけのお寿司ほかを「特別に」ぱくぱく、恵山の湯を上がり湯にいざ函館&出港 −
さて一期一湯に出会えなかった悲別とともにさらなる南下です。とはいえ水無海浜温泉に用はなし!(あそこは一度行けばいいや感強し)というわけで山越えルートで津軽海峡側へ。ここに道の駅「なとわ・えさん」があるのですが、実はここで是非とも味わっておきたい地元ならではのオリジナル料理があるのです!それは‥
千葉に生まれ育ったTakemaにとって、ホッケとは「開きになった干物」であり、大学生の頃には居酒屋で「安くて量も多いがパサパサしていて塩がきつい」つまみとしてかなり重宝した記憶もあります(味が濃いのでツマミとしてながもちする)。その結果「ホッケとはこんなもんだ(=さして旨いものではないが)」と思うようになっていたのでありますよ。
その昔、利尻の鴛泊港で「ここの埠頭では何が釣れるんですか」と聞いたら「ホッケだね」と言われ、「よーしそれならばここで釣って登山口のキャンプ場で刺身にして食ったれ」と釣り糸を垂らしたものの結局ボウズだったこともありました。
しかし、この時にホッケが釣れなかったことはある種ラッキーだったのかも知れません。実はそのずいぶん後に同じ利尻でキャンプ宴会という流れになったとき(この時です)、Wさんに「ホッケは寄生虫(アニサキス)がいるから生は恐いよ」と言われて初めて自分の無知を実感したわけです。「そうか、だからホッケの刺身ってないんだ」と。ちなみに脂分が多いため鮮度が落ちやすいのも刺身に出来ない理由だということです。
でも今年の6月、Takemaが定期購読している道内の情報誌「Ho(ほ)」に、この道の駅の食堂で「根ボッケの蒲焼き丼」という料理があることを知り、さらに調べていくと何と根ボッケの炙り寿司まであることがわかり、「これはどう考えてもここでホッケを食べるしかあるまい!」というのは、もうとにかく昨日のうちから考えていたことだったのであります!(あ、「何だよ昨日レベルかいな」というツッコミにはお返事いたしません(笑))。
ちなみに「根ボッケ」というのは、回遊せず(ホッケは本来回遊魚)海の底でエビなどを食べて育った真ホッケのことで、何でも2kg前後の大きさで脂のノリは回遊ホッケに比べて抜群なのだとか。要は運動不足なのかな(笑)。
そんなわけで施設内の食堂にやってきました。予想通りというか、根ボッケの横断幕が目に入ります。地元産の新鮮ホッケをあぶり寿司で‥うーん胸が高鳴ります。しかし、まだ時間的にさっきのお蕎麦がお腹に残ってるんです。そんなわけで作戦としては「1人前の寿司と、もう1人は飲み物系でもいいかな」くらいの気持ちであったわけです。しかし、メニューを見てビックリ!
「蒲焼き丼」はあるんですが、えーと、食べたいのはあくまでお寿司だったわけで‥(茫然自失)。そんな中、店員さんが注文を取りにやって来たわけです。うーん、一応確認してみようっと。というわけで以下会話の再現です(ちょっと誇張しているかも?)。
「あのぉ、根ボッケのあぶり寿司はもうやっていないのでしょうか?(with 哀願系の目線)」。 | |
「そうなんですよ、今は蒲焼き丼だけで‥。」 | |
「そうですか、楽しみにしていたんですが‥それじゃ、」 | |
「お客さん、どちらからお越しですか?」 | |
「は、はい、千葉からなんですけれど。」 | |
「あら、遠いところから‥。ちょっと待っていて下さいね、出来るかどうか確認してきます!」 | |
「は、はい(心の中では『うはーもしかして食べられるかも♪』とテクマクマヤコン)」 | |
(しばらくして)大丈夫、出来るそうです。『遠くからわざわざ』っていうのに心動いたみたいで(笑)。」 |
そんなわけでいざ注文なのですが、二人前はちょっとキツイかなと思いつつ腹具合のお話をすると「じゃ、1人前のお寿司を分けて食べればどうですか?」とのアドバイスが。ありゃー、それでイイんですかそれで!(笑)。
そんなわけで待つことしばし。いざいざやって来ました根ボッケあぶり寿司!
こ、こ、コケッコーこりゃケッコーっ!(コーフン雄叫び)。いや本当、脂がたっぷりのっていてとてつもなく旨かったのでありますっ!ちなみに塩とタレがありますがわたしとしては塩かな、でも塩とタレの寿司を交互にいただくのが大吉でありました。
と、ここでまさに予想外の出来事が巻き起こりまくったのであります!先ほどの店員さんが何かを持ってこられました。そして‥
いやっほー、何と「根ボッケ蒲焼き丼ミニ」が登場しちゃいました!(大感激)。ただのイチゲンさんであるわれわれに、こ、ここまで‥(感涙)。身はほくほくしていてこりゃまたもウマイじゃあーりませんか!
このあとマスターの藤川さんとお話する機会があったのですが、「Ho」を定期購読している千葉人がいることにちょっと驚かれていたようです。でも拙サイトのこのページで紹介させていただきましたので、たぶん来年は3人くらいこちらのお店を訪れる人がいるはずですよ!(3人いればいいんですが‥(小心))。でもあぶり寿司はあくまでメニュー外ですので念のため。でも、かの店員さんの「遠くからわざわざ」がもしかしたら必殺ヒミツ用語かもしれません(笑)。
さてここまで来れば函‥いや、せめて道内の〆湯に行かせて下さいっ!(とにかく函館まで遠いのね)。そんなわけで向かったのは恵山温泉でありました。
ずっと前から気になっていながらようやく訪問が叶ったこちらの湯。玄関で「たのもぉー!」と申し出ると(うそ)、奥さんが出てきて下さり入浴OK!かなりいい湯だということなので期待しまくりです(わくわく)。
石鹸が効かないというトキメキの湯はもう目の前!ちなみに脱衣場入り口が完全に左右対称なのでとっても感動(笑)。
男女とも完全貸し切り状態なのはほぼわかっていましたが(だって駐車場に一台も車が止まってませんでしたからね)、服を脱いでいざ浴室の扉を開けてみると‥
浴槽奥からたっぷり投入される源泉湯はもちろんそのまま湯縁から放流されています。そしてその脇の不思議な上がりスペースはまったり用なのでしょうか?そして洗い場も広くて、「これまらトド寝も安心さ♪」という感じです(何のこっちゃ)。あ、一応念のため別角度からの画像も載せておきます(上画像マウスオン)。
たっぷり投入の源泉は「酸っぱいんだけれど甘い」不思議な味でした。源泉そのものの湯温がさして高くもないので大汗をかくほどでもありません(ちなみに加温もしないため湯がぬるくなる冬期は原則休業です)。しかしまだ夏バリバリの8月下旬だし、こんないい湯はなかなか無いぞー!
ということで、おしんこどんが出てくるまでの約5分、ちょっといろいろ考えました。いや「考えた」ことといえば「今晩はここに泊まっちゃうのもイイんじゃない?」という軟弱丸出し東北復興はどこいった系の思いだったわけですが(大笑)。しかし湯上がりのおしんこどん発言「それでもいいけどさ‥」で我に返りました。
(言ってることとやってることとの乖離についてのご批判は甘んじてお受けいたします‥)
すでに12ページもの長きを費やしながらまだ北海道から脱出できない自分は何なんだー!というわけで恵山温泉旅館の宿泊はやはりパスした次第でありました。でも今度はここに泊まるのもいいなー。恵山に登るのも大吉だしそのついでに云々(あとはヒミツ)。
ここからは海沿い‥を走るのもナニなので(都市近郊の国道だし)あえて内陸の道道41号経由でいよいよ函館へと向かいます。で、市内に入ってみれば‥え、ここは!
まさに間違いなく湯の川温泉のど真ん中を通るルートだったのであります(驚)。
しかし湯に入る心の準備がないというか、どこに車を止めていいのかわからないこともあって何だかなー。そんなわけで湯の川温泉はスルーすることにしました。というか、都会の温泉って実はあまり興味なかったりするんです。
さて函館に来る途中で津軽海峡フェリーの乗船予約も済ませておきましたから(函館22:00発−青森1:40着)、あとは夕食を食べるだけ(「あとは焼酎をあおるだけ」というわけにはいきませんが(激古))。この時時間は18:30頃でしたので、夕食場所の選定等のためいったんホームセンターの駐車場に車を止めて検討開始です。
22:00出港で、遅くとも40分前までには乗船手続き完了ということは、ターミナルまでの移動時間を考え合わせると21:00前には市内を出なきゃいけませんがまぁ余裕でしょう。問題は、特に下調べをしていない「函館の夕ご飯場所」の選定なのです。北の大地最後の夕ご飯、どこで何を食べましょう?
そんなわけで再び「Ho(ほ)函館編」の登場となるわけですが、地方都市の例に漏れず函館でも多くのお店は早仕舞い。そりゃラーメン屋や居酒屋はやってますが、わたしゃ特にラーメン食いではありませんし、居酒屋でアルコールを飲まない夕食は悲しすぎるというか精神衛生上甚だよろしくないです。というかそのことがトラウマとなって居酒屋恐怖症候群などを発症したら大変です(笑)。となれば、函館到着前におしんこどんに話していた「あのローカルファストフード屋さん」しかないですかね!
(最初人見店を目指しましたが駐車場がわからず松蔭店に突入です)
ご存じの方も多いと思いますがこの「ラッキーピエロ」は函館の誇るご当地バーガーチェーンでありまして、函館市内を中心に現在15店舗の展開です(離れ小島のように江差にも1軒あることをいま初めて知りました)。しっかり函館市民のハートをわしづかみにした「濃い」味わいはかのマクドナルド(4店舗)をもはるかに凌いでいます。
ここでしか食べられないファストフード、しかも「日経プラス1」の調査で「ご当地バーガー全国No.1」に輝いたということであれば、これはやはり行ってみたくなりますよね。しかも「夜の早い」函館で、何と0:30まで営業(松蔭店)というのはとっても嬉しいお話です。
そんなわけで「ミルクで乾杯」です。店内の雰囲気はお酒を出すお店と見まごうばかり。でも健全なのさっ!
「注文を受けてから作る」というお店のポリシーゆえ、しばしは席で待つことになります。それはもちろん問題ないことなのでありますが、しばしのあと、席に運ばれてきた注文品を見るにつけ、己の詰めの甘さとラッピの真実を実感するに至ったのです。それは‥
こ、こ、これっていったいマジンガーZ系のぶったまげです!(意味不明)。しかもバーガーもサイドメニューも結構なボリュームがあり、マックで「ビッグマックのセット」を食べ終わるとその後数時間は使いものにならなくなるTakema(食べ過ぎると思いきり眠くなるんですよ)とすれば、これは「悪魔の夕食」に他なりません(大笑)。
しかし時間だけはたっぷりあるので、ここは「ゆっくり成敗」を心がけて無事完食。時間がたっぷりあったことを八百万の神々に感謝しないではいられません(笑)。そんなわけでそこそこの時間をこちらのお店にて過ごしました。少食人種の方々、ラッピではバーガーと飲み物で十分、サイドメニュー不要です!大食い人種の皆様にはもちろん「The フトッチョバーガー」をお勧めします(Takemaはおそらく死ぬまで不可能)。
さてこのあとはちょこっと函館駅を観察したあとフェリーターミナルへ。何とTakema車の乗船は普通車の中で最後でした(ちょっとビックリ)。しかも‥
(ちなみに後方にはしっかりスペースがありました)
まぁいいやというわけで船内へ。ちなみにおしんこどんは徒歩乗船でしたが同じく車両甲板からの乗船だったそうです。聞けばこの津軽海峡フェリー、車両の同乗者は乗下船時とも車に同乗していいそうなんです。こういうところ、各フェリー会社である程度統一するか、または大きい掲示等できっちり周知してほしいです。奥尻島のフェリーの同乗者の扱いも、あの新日本海フェリーの「バイクの括り付け荷物は全て降ろす」というローカルルールも、妙にアバウトだったり徹底されていたりで「知る人ぞ知るルール」が多すぎるように感じるのですが‥。
で、束の間のベッドとなる船室まで来てみるとこれは予想されていたとはいえビックリ!
深夜便ということもあるのでしょうが、2等雑魚寝部屋はご覧の通りの広々モード。このあと2組4人がお越しになりましたが、まぁー各人の専有面積やいかにというところです(笑)。もちろんロビーのソファー席は無人状態で、到着まで誰も座ってなかったぞ。ただ、トラックドライバーの部屋はそこそこ埋まっていたんでしょうね(かなりギリギリまでトラックがどんどん乗り入れていました)。
そうなると、階上の「かつては軽食コーナーだったんだろうな」とおぼしきスペースにはさらに人の気配がありません。3台並んだ無料電子レンジも「誰か僕たちを使ってよ!」と無言の訴えかけをしていました(わかる人だけがわかるのよ)。ちなみにこの隣には冷蔵食品の自販機があります(右上画像マウスオン)。
さて船内観察を終えた後は屋外甲板へ。夜間航行時は外に出ることが出来ないので今のうちにうろうろしてみなきゃ。
「ナッチャンWorld」。旧東日本フェリーが津軽海峡の海路事情を刷新すべく、2007年後半に「ナッチャンRera」とともに導入した高速フェリーです。そのスピードたるや何と最高時速80km/h!しかしその直後の原油高騰のあおりを受けて減便、さらには東日本フェリーそのものが身売りの憂き目に。結局「定期便」として運航したのは1年にも満たない期間に過ぎませんでした。
その後、東日本フェリーの後継として発足した(現)津軽海峡フェリーが船体を含め会社を継承したわけですが、高速ゆえに「道草ならぬ油を食う」ナッチャンたちはある種の厄介者となってしまいました。で、ここ数年は函館港に係留された「World」だけが、夏のハイシーズンのみ運航されているというわけです。ああモッタイナイ。
でもこのパターンって、小笠原航路に就航予定で完成しながらも就航がボツって岡山県の港に係留されたままになっているというテクノスーパーライナーと同じじゃないですか。「モッタイナイ=Mottainai」。かのワンガリ・マータイさんが提唱した日本的価値観への賞賛ですが、奇しくもこのページをタイプしているのはかの女史がお亡くなりになったというニュースが流れたその日であります。でも最新鋭船を「燃費」だけの問題で放置してしまうのって?(いや実は高速船が巻き起こす大波による漁業被害もあるようですが)。
しかしそうなると気になるのが「ナッチャンWorld」よりほんの数ヶ月前に就航した「ナッチャンRera」の行方です。フェリー会社も「Rera」については身売りした等も含めてまったくコメントしていません。調べてみると(未確認ながら)室蘭港に係留されているらしいんですが、この船を防衛省が購入しようという動きがあるみたいです。高速なのはもちろん車両も積めるという利便性で「非常時の大量輸送が可能」というところに目を付けたのはさすが自衛隊というか防衛省。自主設計&委託製造したらとてつもない予算が必要になるはずですから、これは何としても購入&改造して欲しいところです。積む「車両」はキャタピラ付きなのかも知れませんが、是非有効利用して欲しいぞ。
さてこの話はこれくらいにして、甲板から眺める函館山の夜景を見てみましょう。普通は山の上から見るはずの夜景ですが、たまにはこうやって山を見るのもいいかな。
ちなみにこの時はデジカメの「高感度モード」で撮影したのですがいざ見てみると全く見た感じとはほど遠くざらつき度満点で到底そのままでは使えないほどです。よって上画像は再度画像修整ソフトウェアでいじくってます。これなら最初から普通に撮ればよかったよ(ちなみに右上画像マウスオンで函館山頂上付近ズーム画像に変わります。さすが24倍ズームです)。
出航後はおとなしく寝ました。どうせすぐ起こされるはずでしょうが、横になってぐっすり寝られるのは今だけです。下船後はどこかで朝まで車中泊予定。好きじゃなかろうが何だろうが到着時間を考えたらそれしかありませんので‥。
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