− その18 黒薙温泉でまったりの翌日、いよいよ車をピックアップ!−
キーキーと車輪のきしめく音を聞きながらも「何て楽なんだ、足を動かさなくも先へ進むという文明の利器のシアワセ。しかも今夜は温泉旅館泊まりだぜい」とまったりしながら黒薙温泉駅へ。しかし現実論としてそうはいかないのでありますよというか、どう考えても知っていたでしょ確信犯!
でもまぁシジミ坂のような激しさはないのでただ黙々と歩くだけ、でもこの日も暑かったんでかなり大汗小汗をかきました(この場所で軽く30度を超えてましたからね)。
温度計測等の科学的証拠はありませんが、岩肌を流れる沢水に手を浸けるおしんこどんの姿を見てもらえばすべて納得かと。
山小屋じゃないのに歩いてしか来られない、そうなると山小屋と旅館の違いって何なのよという気持ちにもなりますが、とりあえず間違いなく個室が与えられるところは明らかに違います(笑)。いずれにせよ「客層が違う」のは確かで、登山靴を履いた「山帰り」はわれわれだけみたいでした。
そんなわけで、長旅の汗を流すべくまずは内風呂へ(とはいえここ数日はいろんな湯に浸かってますけれどね(笑))。こちらの宿には2006年の秋に立ち寄り入浴でおじゃましておりますが宿泊は初めて。無色透明微硫黄臭の湯にゆったり身体を沈めます。にゃふふー最高!(右上画像マウスオンで湯足画像に変わります)。
もっとも、この「最高!」については湯もさることながらこれまでの山の湯と違う開放感を含みます。それは「もう明日の道のりに思いをいたす必要がない」という安堵から来る開放感であり、もっとぶっちゃけ系でいえば「ヤッター終わったー!」なのでありますよ(くどいね)。
内湯男風呂の外脇には、大々的には宣伝されていませんが源泉を飲める場所があります。浴室に注がれる湯は熱交換器を通っていますから、源泉そのまま系にご執心の温泉ファンにとってここは重要なる要訪問施設となっているのであります(笑)。ちなみにTakemaがなぜ見つけたかというと、その手前が喫煙所になっていたからです(笑)。源泉の湯温はこの場所で70度弱、あれ、結構近くに泉源がある割に低めなのはバルブを絞っている(=引き湯管内の滞留時間が長いのでその間に温度が下がる)からなのでしょうか?(ちなみに源泉温度は97.2度だそうです)。
さて続いては露天風呂へと行ってみましょう。宿の前のベンチは湯上がり休憩するのに良さそう。薬師堂には必ずお詣りしましょうね。ということでこの宿の名物大露天風呂へ。‥し、しかぁーし!
おしんこどんと別行動のTakemaが行ったのは先客なしの撮影最高条件タイミングでした。「撮影禁止」の掲示は母屋と露天の中間あたりにあるので当然のごとくカメラを手にしていたTakemaでしたが、「見なかったことにしようかな」との温泉デビルマンの入れ知恵系お誘いがありました。一方でかけ流しエンジェルが「だめだよTakemaくーん」とささやきます。その結果は‥ご覧になりたい方は2006年の訪問記をご覧下さい(基本的にほとんど変わっていませんので)。
さてしかし、湯上がりだからというだけでなくこの日も暑かったんです。しかも沢沿い&温泉地ということでアブがぶんぶんとうっとうしい!(実際油断して2箇所被弾=この後ずっと痒かった)。男女別の脱衣場それぞれがそこそこ「厳重な造り」なのもわかります。そして奴等は露天湯から離れてもずーっとついてくる!
アブ叩きダンスを宿まで連続披露するつもりはないですしそもそも勘弁。しかし少なくとも5匹のアブは移動するTakemaの周囲をぐるぐると。何か妙策は‥その策はすぐに浮かびました。いわば「アブという野生昆虫に対抗するにはこちらも自然を利用するのが一番」というわけです。それはすなわち‥
という推論でありました。そう、黒部峡谷鉄道の黒薙駅からこの温泉までには関西電力黒部専用鉄道の支線があるのです。この件については後述するとしてまずはアブとの戦いね(笑)。
このトンネル出口からはものすごい冷気が吹き出ていました(ちなみにこの日この時間の黒薙温泉の気温は30度くらいあったと思います)。さて彼らの本能的執念「血ぃ吸うたるでぇ」と、同じく本能的危険察知「寒すぎ危険待避セヨ」とのせめぎ合いやいかに?結果は‥
やはりこの冷気はタダモノではないのね(笑)。ちなみに真夏の湯上がりクールダウンスポットとしても最適です。ああこのトンネル出口がわが家にもあったら(3階ですが)‥たぶん寝冷えで夏風邪引きまくりでしょう(苦笑)。あ、でもそれよりもここの湯口がわが家の風呂場にほしいぞ(ないものねだり)。
ところでこのあと女性タイムになり、宿の前ですれ違った女性2人組に「いってらっしゃーい、でもアブにご注意を」と声を掛けたのですが(軽いなー)、あとで聞いたところによると「アブがすごすぎて入れずに退散した」とのことでした。あー、言ってあげればよかったな「アブは暗くなると出ませんから食事後に再度チャレンジなさってください」って‥。
さて夕食タイムとなりましたんで食堂へ。あたりまえのことですが山小屋じゃないので2回戦とかではありません(笑)。でも考えてみれば今回それ系の混み具合だったのは剱沢小屋だけだったよなぁ。「混雑する小屋とそうでない小屋」の差は歴然で、そうなるとTakemaとしては「何とか日本百名山以外の山に行こう」という意識が強まってくるぞ(笑)。
夕食は比較的質素ではありますが必要にして十分だし(左上画像マウスオン)天ぷらはちゃんと揚げたてを出してくれますんで好感です。そんなわけで宇奈月の地ビールで乾杯!はふーごちそうさまでしたというわけで、部屋に戻ったあとはほどなく就寝(笑)。身体がすっかり山時間に順応しているので寝るのが早いのさっ!
しかし、翌朝の出発は遅かったのであります。上り列車の始発が10:13と激遅なのですから仕方がありません。朝ごはん前後に当然のゴルゴ13で湯に浸かり(何だか意味ない修飾句だな)、富山到着後に使うモノと使わないモノを分別し、いろいろやっているうちにちょうどいい時間になったので出発。最後の「峠」を越えて黒薙駅まで戻ってきました。
ちなみにその昔、といってもたぶん10年くらい前までは、駅やら温泉宿まで支線のトンネル(左上画像のね)を歩いていくことが可能だったようです。もちろんほぼ水平移動だしそれはそれは楽だったようなのですが、それはあくまで現地当局の黙認というか「いやいやまあまあ」系の阿吽の呼吸のもとに成り立っていたようなのです。
しかしどうしたわけかコトが明るみに出てしまい「鉄道営業法上まかりならぬ」という、運輸省だか国土交通省だかの「キビシイ通達」が入り、今ではこのページ上方の画像の通り黒薙温泉側のトンネル出口には鍵付きのゲートが設置されているというわけです。でも、少なくとも6年前(2006年)にはあそこにゲートなどなかったしなぁ。
いらんことするなよ中央官庁!地域の実情に応じた裁量範囲を可とせずマクロでしかモノを考えない(&先人の判断ミスを認めようとしない)役人風土は大嫌い!(役人が嫌いというのではなくあくまで風土がいやだという意味なので誤解めされぬように)。あと「牛レバーとユッケの刺身はダメ、でも豚はOK」とかの「食中毒事故が起きたからダメにしよう」系場当たり対応も勘弁。あ、これは2012年現在の厚労相がダメだったのか。同性の議員に「女性の敵」とまで言われながらも嫌煙に大臣生命を掛けるあの人が(笑)。
うーん、火星探査機の地上映像をTVで見ながらたぬきうどんをすすって「出汁がちょっと強すぎるね」とツブヤクくらいに、話が全然とんでも八分歩いて十分、発奮するのはいいけれど脱糞は勘弁という感じになってきたのでもうやめましょう。でも最後にね、厚労省は規模が大きすぎるんで分割して他省庁に合流させるべき。
こんなふうにブツブツ言っているうちに(いやこの時は全然考えてませんでしたが)、ようやく上り始発列車がやってきました。
そんなわけで乗り込みますが、あれれそこそこお客さんが乗ってるぞ。そりゃ当然のことで、下りの始発列車が折り返しでそのまま上りの始発となるわけですし(単純往復の観光客もそこそこいるでしょう)、名剣温泉や祖母谷温泉などに泊まっていた人たちもこの列車で下界に下りるはずですしね。
まぁでも、右上画像の通り座席は余裕のよっちゃん酢漬けイカ状態なので問題もなく、このままするすると宇奈月まで下っていくわけです。
【鉄系の方々以外には少々退屈な動画】 |
そんなわけで宇奈月までやって来ました。乗り換え時間がやや中途半端だったので、駅前の「黒部川電気記念館」をじっくり見たかったおしんこどんには悪いことをしましたねぇ。食事は富山で食べることにして、富山地鉄を端から端まで乗り倒す「宇奈月温泉−電鉄富山」の乗車券を購入です。
地方鉄道の経営を考えれば仕方ないのですがやっぱりちょっとお高めですね。でもまぁ途中停車37駅で1時間半以上乗るんだから仕方がないか。ちなみに後続の特急だと約1時間でOKですが料金が410円かかります(自由席なら200円)。うーん、やっぱり余裕こいて特急に乗ればよかったかも。だって‥(以下後述)。
そんなわけで終点電鉄富山駅に到着。あれれ、お隣に止まっているのは関東人のTakemaでもどこかで見たことのある面構えの‥京阪テレビカー3000系ではありませんか!ここで頑張っていたのね(今はTVはありませんが)。ちなみにちょっと調べてみたら、京阪電鉄の軌間は1435mmの標準機なのに対して富山地鉄はJRと同じ狭軌の1067mm、ということで台車は地下鉄日比谷線(1067mm)のものを履かせているのだとか。標準軌でも狭軌でも車格が変わらないから流用できたのでしょうが何だか不思議な気がします。
あ、そういえば富山地鉄の特急車両は西武のレッドアロー号です。やっぱり特急にすべきだったなー。
電鉄富山の改札を出て向かったのはもちろん地鉄経営の有料駐車場。足かけ7日間止めさせていただきました。室堂直行バス利用ということで一応無料で利用できるということでしたし「無料券」もいただいています。しかし、別筋からの話で「無料なのは4日分だけ」という情報もあり、さーて果たしてこの券を差し込むとゲートはそのまま開くのか or Not?
ちょっとドキドキしながら差し入れると、あれまーあっさり「ありがとうございました」の表示とともにゲートオープン!(右上画像マウスオンで拡大)。
というわけで「7日間も止めっぱなしにしたにもかかわらず無料」という、あまりにありがたいご配慮をいただいたわれわれでありました。ちなみに近隣のTimes駐車場は「1日最大800円」という料金設定でありまして、その料金体系を仮にあてはめてみると‥
せめてその恩義に報いるべく「気持ちよく特急に乗るべきだったか?」という思いだったのではありましたが、まぁしょうがないですね。また山に来るときにご恩返ししなくちゃ。
さてこれで登山関係はオシマイなのでありますが、実はこの旅行そのものはまだまだ続くのであります。とりあえずはあと2泊分の湯めぐりその他でお楽しみ下さい。お話は新潟まで続くことになります。