− その10 石巻の日和山から見学後追分温泉へ −



日和山に来たのは震災後2回目です。今回はちょうど桜が満開でした。

* このページ内画像は2012年4月下旬訪問時のものです。

そんなわけで石巻までやってきました。前回訪問時(こちら)は市内の信号も消灯したままで、各都道府県から応援に駆けつけた警察官が交差点で誘導にあたっていました。あの時は有り難いと思うと同時に悲しい気持ちになったことを思い出しますが、震災から1年2ヶ月近くが経過した今回、少なくとも市内中心部の「見かけ」はだいぶ「普通」の状態に戻っていました。あくまでも「見かけは」ですが。

今回は関西在住のおしんこどん母が同行していますから、是非ここ三陸の被災地を見ていただこうという思いが強かったんです(前ページにも書きましたが)。このページをタイプしている2012/6中旬、マスコミによるニュース報道はといえば「大飯原発を再稼働するのかしないのか」一色で、悲しいかな津波被災地発の報道はまずほとんどありません。ニュースバリューとして「大きな変化がない津波被災地」よりも原発問題を取り上げる方が受けがいいのかも知れませんが、その結果起こってしまうのは‥

以前から拙サイト各ページで書いていることですが、過疎化と高齢化の進行により三陸沿岸各地域の経済規模は決して大きくはありません。復興活動の拠点となっている仙台はインフラが整い復興需要を受け入れる宿泊施設も機能していることから、夜の繁華街などは「復興バブル状態」だというネット記事を読んだことがありますが(自分では未確認です)、「仙台が拠点となっている」ことは同時に「各被災地には受け入れる余裕がない」ことを意味します。

一部に観洋さんのような大規模ホテルはありますが、そもそも三陸沿岸各被災地の宿泊施設といえば小規模な旅館か民宿しかありませんでしたし、そもそもそれで十分(需要と供給がマッチング)でした。

しかし経済規模が小さいということは「自助努力で出来る規模も小さい」ということです。「祈復興 ふんばれ」というような幟も見られましたが、ふんばり過ぎればかえって地元の有為な人材が疲弊してしまうでしょう。

今のところ日常生活において「ふんばらねばならないほど」追いつめられていないTakemaとしては、「現地を訪問してそこで少しでも現地経済に貢献すること」、そして「現地の産品を購入すること」が大切だと思っています。拙ページをご覧の皆さまも、現地訪問はできなくてもネット上の直売市場で是非三陸の産品をご購入いただければ!それが被災地復興の血となり肉となっていくのだと思います。

というわけで市内中心部へと進み日和山へ。まずは神社(鹿島御児神社)にお詣りしました。

折しも桜がちょうど満開で、公園の入口には露店が並んでいました。この日はGWの合間の平日でしたが人出もそこそこで、この光景だけを見ればまるで災害などなかったかのように思えてしまいます。しかし現実には、シートを広げてお花見宴会に興じる人の姿はありません。



正面の参道のはるか先北上川の向こうに目をやると、そこには今も3階建て以上の高さの震災がれきが(右上画像マウスオン)。



そして、かの石巻市立病院‥その奥の海沿いにはいまだ処理されていないままの車が野積みに。震災から1年以上経ってもまだまだ。



川のすぐ脇なのにいまだに陸に上がったままの船。もしかしたら船主さんご一族に何かあったのかも。

でもそのこと(船)を詮索するつもりは毛頭無いので、前向きな世界を考えることにしましょう。まずは石ノ森章太郎萬画館から(「漫画」の「漫」じゃないところにこだわりがありますね)。

北上川河口の中州という凄い場所に(もちろん津波が押し寄せたという意味で)ありながら、階上は何とか被災を免れ、貴重な資料も何とか保持されたようですがまだまだこれからの萬画舘です。ちなみにネーミングはこの地形からアメリカはNYの「マンハッタン」をもじったという話も(笑)。

なお、ご覧&現地の状況の中、2012/5/8現在においても現地における電気・ガス・水道のインフラは復旧していないようです。そのため現在は休館のようですが、それでも一部の限定特別ツアーはスタートしているようで‥ならば!


(2012年7月から開館に向けた修繕工事が始まるそうです)

思い起こせば漫画好きだった姉の影響で子どものころから漫画は豊富に読んでいて、サイボーグ009なども全巻ありました。ベトナム戦争について知ったのもたぶんあの漫画だったでしょう。考えてみれば結構時事ネタだったんですね。



なお、桜並木のある沿道には新たな植樹がなされておりました。が?「どうしてアーモンドなのか?」(左上画像マウスオン)は謎です(笑)。

さて日和山から北上川側に降りてここからは北上です。このあたりにも建物がそこそこ残ってはいますが、やはり使える状態ではないのか(または居住禁止なのか)、封鎖された住宅や店舗が目に付きました。



でも皆さん無事に仮設商店街で頑張っておられるようで何よりです(屋号等にはモザイク処理をしています)。

市内でガソリンを入れたあとはいよいよ今日の宿に向かいます。ちなみにこの日は、最近すっかり温泉ライダーとなりつつある「おとう」と同宿なのですが、そのおとうはわれわれが石巻入りする前に「もう着いたよ、今どこなの?」とプレッシャーをかけてきていました(笑)。そんなわけで急いで現地へと向かいます。宿は石巻市内なのですが‥



どんどん山の中へと入っていきます。あ、屋号が見えてますねあと2km!



このお宿については震災前から存じていまして、何でも「海鮮系の夕食が凄いので覚悟めされよ」ということだったような(笑)。しかしなかなか足を延ばすことが出来ないままあの「3.11」を迎えてしまいました。

宿自体は山の中にあるので津波とは無縁で、また地盤もしっかりしていたため宿の施設自体にも被害はなかったと言います。しかし山の中の一軒宿ゆえ市内の状態がわからない状況において、海沿いから避難してきた方々が続々と‥このあたりについては「種プロジェクト」のこちらのページおよびそこからのリンクページが詳しいですので。そんなわけでわたしもこちらのお宿には「サポーター登録」をしていたわけです。

で、震災後約7ヶ月もの間「二次避難所」として使われていた間通常の宿泊営業は完全休業になっていたわけですが、通常営業を再開したというわけで、ならば是非泊まりに行こう!そしてただ前払い分を浮かすだけではナニなので今回はおしんこどん母、さらにはおとうをも巻き込んで(笑)お宿の復興支援に少しでも役に立とうという計画を立てたというわけなのです。

そんなわけで現地着は16:30過ぎ。「木造の小学校みたいな」と聞き知ってはいましたが、現地についてビックリ。

というくらいにかなり大きなお宿でありました。部屋数も相当ありそうで、なるほどこれなら相当数を受け入れる避難所として機能したのだろうなと納得です。でも基本的に全て木造なので規模の大きな施設としての「威圧感」は全然なしというか、あるのは「ほのぼの感」(笑)。



何たって左上画像のように売店がこれだけ広いんですから。いくつもの建物が渡り廊下でつながっています。



館内は多少複雑な造りではありますが概ねよく整理整頓されており好感が持てます。ウッディそのものだし。



おしんこどん母子のお部屋はご覧の通り広々。そうそう、渡り廊下の途中には「川渡り」もあってちょっとビックリしました(右上画像マウスオン)。

さてそうしたらごはん前にお風呂でしょう。そんなわけでお風呂へと向かいます。時間的に一番混んでいるタイミングですがまぁそれはしょうがないので、以下の画像は翌朝に撮影したものです。



念のため申し添えればここ追分温泉の湯は鉱泉であり当然沸かし湯です。そして循環&塩素による消毒も行っているそうです(もっとも朝の湯浴みでも塩素臭は感じませんでしたが)。でもここではそんなことはどうでもいいんです。とにかく「ここのお湯がこれまでどれだけ人々の心を和ませ続けてきたか」、震災前後でそれぞれ意味合いは違うと思いますが、でもそれぞれの「和み」は間違いなくあったと思いますので‥。



普通「鉱泉沸かし湯」の浴槽といえば小さいのがあたりまえですが、ご覧の通り広くて大きい!(あ、同じか)。



もう1つ、小さい浴槽がありました。浴槽底の形状から見るにこちらは本来ジャグジー?(作動していなくてちょっとラッキー)。

さてそんなわけでそろそろ夕ご飯タイム。部屋食ではありませんが(あまり好きじゃないのでそれはそれで嬉しい)、別の個室でいただきます。




(右上画像マウスオンで乾杯画像に変わります)。


ちなみにこの配膳後にもいろいろ出てきましたし、あとで聞いた話によると「種プロジェクト」に賛同していたとのことで追加料理も出ていたのだとか。そりゃー完食が苦しいはずだと納得(でも食べきりましたよ)。

そんなわけで明けて翌朝。館内の掲示には「宿泊利用の場合朝は6:00から」と書かれていましたので、念のため5:30過ぎに浴室へと向かいます(フライングしすぎ?)。しかしその手前の休憩場におられた方はこともなげにこうおっしゃるではありませんか!

でも、脱衣カゴを見てこれまたビックリ。何だよもう4-5人入ってるし!ただこの時の皆さんはおそらく温泉ファンの方々で復興作業で長期滞在している方々ではなかったでしょうか。観光客系の朝食時間にはすでに駐車場の車の数がずいぶん減っていましたから。そんなわけでこのフライングは「作業開始時間を考慮すればある種やむを得ない」ことなのかも知れません。



ご覧の通りこの日の桜はみごとに満開そのものでした(曇っているのが残念でしたがこればっかりはしょうがない)。



お宿の前にはお宿のモノと思われるクラシックカー。ナンバーが付いているのがスゴイです。あれ、おとうBMWバイクもスーパー過積載に?

そうこうしているうちにマイクロバスが上がってきて、「本日昼間シフト」の従業員の方々が出勤となりました(右上画像マウスオン)。そう、これが地方の「元気なお宿」のあるべき姿なんですが、そうもいかない宿もたくさんあるんですよねぇ。さてそんなわけでよし行きます北上します!
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