− その8 三毛別の地、幌加内蕎麦、tettさん、そして西興部にてキャンプぅ!−
森の中にポツンとあるだけに、何だか「違った空気」が流れていました‥。
この日最初に目指したのは「三毛別(さんけべつ)」。上画像の復元家屋とヒグマの模型からもわかるように、ここには大変悲しき「歴史」が眠っています。が、その前に‥。
現地へはR232の通称オロロンラインからR239の霧立国道を行けば間違えることもなく到着できるのですが、くまげらさんご夫婦によると「ショートカットできる走りやすい道道がありますよ」ということでした。そこで「力昼」という集落で右に曲がり道道1062号線に入ったわけですが、と、集落内を少し進んだところで‥
あれれそうなの?ま、舗装路だし集落エリアを出たら道も広くなるのかなと想像して言われるがまま左折進行。しかし、道はどんどん登り坂となり、あれれエリアを抜けたらいい道になるどころかダートになっちゃったんですがっ!
「こりゃ明らかに直進だったな」と気付きましたが、でもその一方で「このナビがあえて左折を指示したということは、少なくとも反対側に抜けられるということだよな。ならば滅多に通ることもない道なのでこのまま行っちゃえ!」という思いもあり結局後者を選択。
(直線が続くように見えますが実際は山越えでクネクネしてました)
ま、これがCBR1100XXブラックバードでの訪問だったら、「ダート路を目にした瞬間即座にその場で転回行動開始」だったでしょう。今回は車なんで旅のラクダが行きましたモードなのであります。で、山越えルートの最後の部分だけ舗装に変わったと思ったら(左上画像マウスオン)、はいはーい、あまりにも走りやすそうな新道に合流しましたね(笑)。
ここからは快調に現地へと進み、そして最後の200mのダートを走り抜けると(この区間だけダートにしてあるのは往時の雰囲気を壊さない為なのだろうと理解)、目的地である三毛別ヒグマ事件の現場に到着しました。
「三毛別ヒグマ事件」とは、1915年(大正4年)の秋に起きた、ヒグマによる殺傷事件であり、同種の事件としては近代以降最悪の被害をもたらした事件でもあります。現地の案内看板にもそのあらましが書かれていますが(右上画像)、どうやらこれは「この場所で何が起きたのか」を説明する内容にとどまっており、事件全体のあらましについては正確性はともかくとしてwiki等のサイトの方が充実しています。この事件についてよく知らない方はそちらからご覧になった方がよろしいかと。そんなわけで‥
もちろん復元民家ではありますが、ここで起きた惨劇を想うには十分すぎますし、同時に「当時の開拓農家の質素さというか粗末さ」にも心を打たれます。こんな小屋で生活しながら開拓を続けていたのかという‥。すきま風どころか下手をすれば風が吹き抜けるような壁の家(もちろん実際にはもう少し手を入れていたと思いますが、構造的には同じようなものだったでしょう)、こんな家に住みながら開墾を続けておられたのでしょうね。それはもちろんここだけでなく道内の至るところで。
そんなわけでこの場所に来たのは初めてのTakema&おしんこどんですが、さすがにジャンプしたり足を上げたりの所行は慎みました(苦笑)。上にも書きましたが、この地には約100年の時を超えて「別の空気」が流れているのです。右上画像の注意書きは厳守しましょう。それこそ洒落にもなりません。
さて、左上画像に見えている通り鐘がしつらえられていました。「おそらく鎮魂の鐘なのだろう」と判断し、想いを込めて打ち鳴らせていただきました。
「鎮魂の鐘のつもりで‥」 |
最後の方で画面が上下に揺れるのは「礼」をしているからです。再生して初めて気付きましたが、まぁ失礼なことではないのでOKかと。
ちなみに左上画像のヒグマですが実は上半身のみのハリボテだったりします(左上画像マウスオン)。少しずつ傷み始めているようなので今のうちに手を入れた方がいいような気もしました。ところで右上画像の樹木に刻まれた文様は何を意味しているのでしょう。この事件はこの場所だけが現場ではないことからよくはわかりませんが、ヒグマの爪痕を縁取りしたということなのでしょうか?いずれにせよ今(2012)から97年前のことではあれ、この地は今なお「鎮魂の地」なのであります。
そんなわけで午前中から「心静かに祈りを捧げる」時間を過ごしましたが、この地を離れるにつれて現実問題としての「今日をどう過ごしどこを目指すか」が喫緊の課題としてのし上がりまくってくるわけです。
北上するか?しかし、お天気はこれから下り坂予報で特に道北は数日雨が続く流れです。このまま日本海を北上すると「今やライダーの聖地」となりつつある有名なお店があるのはわかっているのですが‥雨かぁ、というわけで!
(いや実際はテントを濡らしたくなかっただけですが)
ということで霧立国道を幌加内方面に向けて進んでいきます。この道を走るのも本当に久しぶりだったのですが、平地部分が終わると本当に人家がなくなりますね(そりゃ当然なんですが)。で、峠を越えて下り始めたところで「ん?このまま東進していくとtettさんのエリアだぞ」と思い出し(実際は北上を断念した段階で気付いてたんですが一応ストーリーとして連続するよう脚色してみました(バラしたら意味なし芳一)。そんなわけで直メールを入れたあと幌加内に到着。
まだ11:00過ぎだったのですが、幌加内といえば蕎麦、蕎麦といったら幌加内というわけですから(幌加内町は全国一の蕎麦の生産地)、ここで早めのお昼ご飯とすることに。
ただし朝ごはん終了が8時くらいだったこともありここはさっぱり軽めにしておきたいところ。そんなわけで天ぷらに手を出す危険は犯さず、ざるおろし蕎麦(消化に良さそうでしょ=Takema)と鴨せいろ(おしんこどんは結構鴨そば系がお気に入り)を注文。
待っている間にtettさんから電話があり「仕事抜けて行くから名寄の駅で待ち合わせましょ」とのこと。うはぁ世の中平日(月曜日)で申し訳ないっ!そうこうしているうちに(おしんこどんはゆったり待ちモード=右上画像マウスオン)お蕎麦が到着です。
食後の印象としてはうーん、よくないわけじゃないんですが何だかごく普通の感じなんですよ(まるでグルメ系サイトの講評みたい)。「おおっ!」とくるインパクトには欠ける感じで、よくある普通の手打ち蕎麦という感じでした。いや一定レベルにはあると思いますよ、でもだからこそ「幌加内ならではのインパクト」が欲しかったかなというのが正直なところでありました。ただし「同じ感じだったらまた行く?」と聞かれたら「うん、たぶん行く」と答えるんじゃないかな。つまりは過剰に期待しすぎていたのかもしれません(笑)。
というわけで広大に広がる蕎麦畑を左右に見ながら北上して朱鞠内湖へ。その昔ここのキャンプ場に泊まったときは押すな押すなの大混雑で「もうここには泊まらない」と心に決めて以来、確かに一度もここでキャンプはしていないのですがもうその封印も解いていいんじゃないかな。「時期を外せばどこもガラガラなんだ」ということをその後のツーリングで学びましたから。
そんなわけで道道688号の名母トンネルでワープして名寄へ。そうなんだ「自衛隊のまち」なんだ名寄って。かねてより自衛隊ファンのおしんこどんが喜んで撮ったのが右上画像です。わたしも仕事柄海上自衛隊の方と話をする機会が多いのですが(ってどんな仕事だ=ヒミツね)、東日本大震災直後の自衛隊の活動が高く評価されたにもかかわらず、入隊希望者はそれほど増えていないそうです。心ある若者よ、国防に携わる仕事を誇りにせよ!
名寄駅前には待ち合わせ時間よりかなり早めの到着となりました。しかし駅前なのに誰も歩いていません。駅の改札口あたりにも誰もいません。ヒトがいなけりゃ何ごとも進まないよなぁ、これはうーむと思っていた時にtettさんが到着です。
tettさんは士別市在住なのですがお仕事は名寄ということでこの界隈には詳しいのです。しかし「お勧めのお店が定休日なんですよ」と無念のご様子。しかもお仕事抜け出しというわけで遠出も出来ず(重ね重ねゴメンナサイ)、しょうがなくイオンモールへと向かったのでありました。
そしてそのイオンモール館内には平日だというのにそこそこの人出が。もちろんこれは嬉しいことではあるのですが、このような大規模郊外店が駅前エリアの小売店を凌駕して閉店に追い込み、そのあげくに本店上層部が「採算云々を理由に閉店を指示」する事例があとをたちません。大規模商業施設を運営する側の人間は、「自分たちが出店することによる影響」までも考えて行動してほしいのですが、これまでの流れをみるに東京本社にいる経営側はそのことがわかっていないようで悲しいんです。だってさ、
ここ名寄の駅前商店街の淋しさは確かに目にしました。だからこそじぇったい撤退するなよこの地で頑張れよイオン!
あ、すっかり旅行ネタから離れちゃいましたんでぎゅぎゅっと修正。右上画像の通りここで仕事の打ち合わせ(明らかにうそ)tettさんのお仕事成果拝見タイムです。うはー、これみんな!tettさんいわく「何でもやらなきゃここでは商売になりません」。はい、甘えてましたTakema、頭が下がります(しみじみ)。
もっとも最近のTakemaも営業の仕事がメインとなり(名刺が木の葉のように飛んでいきます)、その関係で拙サイトの更新ペースがこれまでの半分くらいに落ちていることに浄蓮の滝の皆さまはお気づきだと思います。実はこのページをタイプしているこの日も昼間には約200人のクライアント諸氏に向けて40分ほどお話ししました(プレゼンソフトを使うのは案外インパクトがないと思っているのであえてボード使用)。やっぱり本業と違う仕事は疲れますが、でも「何でも出来なきゃ(やらなきゃ)いかん」という思いで日々やり繰りしている自分でもあります。以上、自己正当化ね(苦笑)。
tettさんとお別れしたあとは名寄から下川国道(R239)を東に向かいます。下川市街の脇道のうどん屋さんにも久々に寄ってみたいと思いましたが(こちらね)、さすがに中途半端な時間なのでそのまま通過。この時点での目的地は「キャンプ場内に居酒屋」という奇特な場所なのですが(笑)、でも「夕ご飯はテントで食べる必要あり&朝ごはんは自前しかない」という特殊事情がありましたんで‥
下川町中心部のセイコーマートにて諸般の買い出しをすることにしました。だって西興部には買い出しできる場所がなさそうだったんだもの(その読みは現実的に大正解)。ここでは晴れてましたがこのあとは再び曇天モードになったまま、はいはーい、本日のキャンプ地「西興部村森林公園キャンプ場」に到着です!
さて到着してみると「テントサイト」に先客さんのテントは1つもありません。となると日本人であれば百人が百人、右上画像の「受付」へと向かうはずですよね。もちろんTakemaも向かったわけですが、その手前におられた関係者さんに行く手をさえぎられました(笑)。その方がおっしゃるには‥
うわーい無料なんですね!しかも国道沿いに広がる村の中心部のすぐ脇の山側にあることから、キャンプ場からお風呂までは歩いて行かれます(ホテル森夢のお風呂を利用できる。400円だったかと思いますが残念ながら温泉ではありません。なおキャンプ場利用者でもランドリーの使用はOKとのこと=ただし時間制限あり、確か21:00くらいまでだったかと)。またホテルにはレストランもあり、夕食もここで食べることが可能です。
さらにはキャンプ場の脇にも食堂兼居酒屋があり、自分のテントを指呼の間に見ながら冷えた生ビールをきゅーっとやることだって可能です(笑)。もっともわれわれはやりませんでしたが。そもそもここはキャンプ場メインではなく公園施設であり、また冬はスキー場のゲレンデの一番下のエリアなのでこういう施設があるということなのでしょう。
また野外ステージもあって、もちろんステージ部分には屋根があるのですが「雨の日は屋根下ステージにテントを張ってもいい」そうです(われわれの時は言われませんでしたが)、雨の日の到着時にはあまりにも嬉しいサービスだと言えるでしょう(もちろん事前に確認して許可を得てください)。
こんなに至れり尽くせりで無料とは!わたしの考えとしてはこのような場所にあるキャンプ場が無料である必然性はないと思うのですが、西興部村は太っ腹だなぁ。もっとも「お盆でも人で溢れることはない穴場キャンプ場」というのが世の評判らしいです(笑)。
ただしログハウスは1棟1泊10000円するそうです。われわれは野外ステージの裏手にテント&タープを張りました。
左上画像もログハウスですがトイレです。もちろん水洗で紙もあり。右上が食堂兼居酒屋でちょっとカワイイ。
この日はすでに夕食を持参&買い込んできていたのでこの居酒屋を利用する予定はなかったんですが、後学のためにメニュー等を知っておかねばという前向きな思いのもとお店を見に行ってみると‥(実は軽く一杯飲む気満々だったのですが)。
あちゃまー何だよ、この日は定休日だったのかな?ちなみにある意味この居酒屋の「開拓者」であるおとうによると「そんなに大したつまみはない」ということでしたが(笑)。
夕方近くになると結構冷え込んできましたんで、近いんですが車でお風呂へと向かいます(すぐ着いちゃうんですけれどね=キャンプ場からも見えてる)。
ご覧のように立派な外観であり、どう考えても純粋民間経営であるとは思えません(笑)。うーん、村の財政は大丈夫なのでしょうか?キャンプ場だって「客がいようといまいと固定費はかかる」わけで、わたしなどは上にも書いたとおり「安くてもいいから料金を取るべきなのではないか」と思っちゃうんですけれど。
【よせばいいのに系コラム「道の駅車中泊」】
最近「車中泊旅行者」が増えているようで、観光地近くの道の駅などは「夜中も大盛況」なのだといいます(しかもその多くがリタイヤ系の方々らしい)。ただ「敵を作る」かも知れませんがあえて言います。
たとえばトラックドライバーの方々にSAPA、道の駅、またコンビニの広い駐車場などで長居するなとは決して申し上げません。それは睡魔に襲われたときの休憩だったり、現着への時間調整だったりするわけなのでそれはそれで仕事上やむを得ない利用方法だと思います。また、極端に早い時間に出発しなければならず宿に泊まるわけにもいかないような人がやむを得ず車中泊をするのもよくわかります。
しかし、最初から「道の駅を使って車中泊で安く上げて云々」という計画‥リタイアなさった方々とはいえ旅行をする余裕資金をお持ちの方々であることは間違いありませんよね。若者が駅寝するのとはわけが違うはず(最近は少ないですが)。
道の駅は「無料宿泊所」を前提に作られた施設ではないはずです。しかし想定外による利用があまりにも膨らむとそのための経費がかさむのは当然のことで、そうなると下手をすれば今後「夜間閉鎖」「夜間はトイレ閉鎖」という流れになってくることもあり得るはずです(すでに「ゴミ箱撤去」の道の駅があることを考えれば当然の流れでしょう)。
旅行に出たならばその出先で何らかの「負荷」をお願いせざるをえないのは当然のことです。そしてそれに対する対価を支払わねばならないことも。「このほうがわれわれにしては経済的合理的=安い」と考えるのはやめて、「お出かけした先できちんと宿泊の「対価」をお支払いし、その分を楽しむべきなのだと思うのです。
そうしなければ、一定の代価を支払い放棄したわれわれ旅行者により「観光地という名の地方」はどんどん疲弊してしまうのですから。そしてそのツケは必ずや可愛い子孫の世代に重くのしかかります。ま、そこまで考慮してなおの行動であればもうわたしとしては何も申し上げられませんが。
要は中高年齢世代にもっと経済を回していただきたいのです。たとえば草津だって思いきり安くていい湯の宿はたくさんありますよ!素泊まりだって全然問題なし!そこで回ったお金が地域の経済のみならず文化を守る原動力となるのだと思っているTakemaです。
というのが私の思いであります。それがたまたま無料施設 or 格安だったら最高じゃないですか!そしてそこには必ず一定の直接コミュニケーションもあるわけですから!
さて話と姿勢を戻してと。すっかりあったまったあと、すっかり涼しくなったキャンプ場へと戻ります(やや寒)。でもこれからがわれわれの夕ご飯タイム。ただし最近は調理の手間をすっかり省くようになったのでセイコーマートで買ってきたご飯がメインですが、その前におつまみをいただきます。
これも漁師のHさんから回ってきたものかもしれません。あ、足がやたらに少ないのは諸般の事情です。tettさんに足だけおすそ分けしたともいいます(笑)。んでもってサクサク切り分けた上でいただきました。ちなみにわさび付きで、えーっとくまげらさん、どうしてわれわれがわさびすら持参していないのをご存じだったのでしょうか?(大笑)。
やがて日も暮れてあたりは真っ暗‥というわけでもないのですが(住宅街の端っこですから)、かがり火を焚くと夏の北海道の風物詩である虫が‥やってきません。それだけ冷え込んでいるということなのでしょう。確かにこのあともあまり「夏っ!」という陽気ではありませんでしたし。
さて翌朝はずずずんと南下開始です。