− その9 「おぉ鴻之舞!」のあと塩別つるつる、そして謎の温泉スタンド経由で糠平へ −



ああ、ここに今来られてよかった@鴻之舞。

西興部の朝はどんより曇り。実は夜には霧雨も降っていたんですが何とかタープ&テントは半乾きだったのでそのまま収納し、ここからは南下なのですがまずは道道137を南下して滝上町まで出たはいいものの、そこから丸瀬布方面に続く道道137は未だ未開通。わたしにとってカーナビは補完的な存在でありましてやはりメインはTマップル、しかしその北海道編は2009年バージョンということもありなかなかどうして時には苦しむのであります(笑)。

で、山越えダート路を走り抜け(雨が降っていたためドロドロ)、越えた先には「丸瀬布に続く道道305号」という名の立派な舗装路があったわけです。このあたりにくると雨も霧雨程度になっていたわけですが、そもそもこの日の目的地は糠平ということもあり「あー、こりゃ楽だわ」という意識で車を走らせていたわけです。しかし?



というわけでUターンしてページトップの建物へと舞い戻りました。鴻之舞?ハイわたしは小学線の時代からその地名を知っていました(地理と時刻表大好きだったんで)。日本を代表する(した)金山です。そう、一度は行ってみたいと思いつつ、でも丸瀬布側に抜ける道が近年までダート路だったこともあり、これまでこの地を訪問したことがなかったののがここ鴻之舞だったのです。

そんなわけで修復された建物@上藻別駅逓へ。「駅逓」とは、明治政府が北海道の開拓を進める過程で整備した施設で(だから本来的に鴻之舞金山の付属施設ではない)、現在の建物は大正15年の建築だそうです。今でこそ外観はその古さを感じさせませんが、平成16年ころから活動を開始した「上藻別駅逓保存会」のサイトによると、修復当初は屋根も抜けた荒れ放題の状況だったのだそうです。

閉山後は顧みられることもなかったここ鴻之舞ですが、かつては推定16,000人が生活していた「街」の記録を残そうというムーブメントの中で「この駅逓を資料館として復活させよう」という流れとなり、ご高齢の方々が最初は手弁当で復活作業にあたり、ようやく今に至っています。

しかしこの時にはそういう事情も全く知らなかったTakema。どんな感じなんだろうとサイロ内にある掲示を眺めていると‥お年を召した男性が登場し、サイロ内の写真やその奥の展示物を説明してくださいました。



「扇風機を作った人もいるんですよ」(左上画像マウスオン)。当時の鉱山鉄道車両もきっちり保存されていました。

そして途中からは別の男性に案内役が引き継がれ(あとでわかりましたが保存会の副会長さんでした。ちなみに会長さんはすでに故人だそうです)、駅逓本館内の説明をしてくださいました。



一つ一つの写真を丁寧に説明してくださいます。金の混じった石はずっしりと重い。



当時この地で使用されていた様々な現物が所狭しと展示されています。今は無人の地にかつては映画館まで‥。



このお風呂に浸かってみたかった(もちろん復元保存‥ん?2本の蛇口が‥もしかして?)。そして野球部のユニフォームまで。

なお、何とも生々しかった説明が左上画像の「芸者 金八」でした。巨額の富を生みだす鴻之舞金山、その生産物たる「金」は、普通なら下流の湧別や紋別に運ばれるはずですよね。しかし、峠を越えた反対側にある丸瀬布側がここで巻き返すべくこの芸者さんを思いきりプッシュ!その詳細に何があったのかは存じませんが(笑)、とにかく「搬出は丸瀬布側に」ということになったそうなのです。

その功績により峠の名称はめでたく「金八峠」となり、そしてその名称は峠をパスするトンネル(2009年完成)にも引き継がれたというわけです(あとで画像が出てきます)。

副会長さんによる説明はかなり長いものとなりました。ちなみにわれわれともう1人の男性とがお話を伺っていたわけですが、と、ここで副会長さんが「鴻之舞ソング」を収録したLPに針を落としてくれました!
「おぉー鴻之舞!」
そんなわけで約40分ほどこちらに滞在していたわけですが、途中で合流した男性と一緒に外に出てみると‥あれれ、地球にやさしくない1台のアイドリング無人車が。すると‥

「あの流れ」恐るべし!(大笑)。でも、ここを訪問した方は是非とも説明をじっくり聞くべきです。紋別市の学芸員がどこまで聞き取り調査をしているかどうかは存じませんが、少なくとも「当時の現地を直接知る人からお話を伺える」機会はもう決して長いものとは思われません。だからこそ是非!(エンジを止めてからね)。

このあとは峠越えで丸瀬布へと向かいます。あ、例のトンネルだぁ!



トンネル手前の広場にはキタキツネがうろうろしてましたが逃げません。誰だぁエサをやったのは!(左上画像マウスオン)。

それはともかくとしてトンネル名はやっぱり「金八トンネル」です。それにしても群馬のみなかみ町境の坤六峠のように「時のお偉方の名前がそのまま峠の名になる」ことはともかくとして(それはそれで異論もあることでしょうが)、ここのように権力者そのものではない人名(しかもまず間違いなく「源氏名」ですよね)がその名の通り「名を残す」というのは、少なくとも近代以来の日本においてはからり稀有の例なのではないでしょうか?個人的にはこういうの大好きだなぁ(笑)。

さてそんなわけで上川と遠軽の中間点に位置する丸瀬布へと下りてきました。この道(R333)もなかなか通る機会がない道なので、是非ここは「あの湯」に立ち寄ろうじゃ有馬温泉か!(あ、1字多いですね)。

そんなわけで途中から道を外れて瀬戸瀬温泉へと急行アルプス!(古)。と、ところがぁ!




(右上画像マウスオンで拡大)。

宿泊も出来る宿なのに(あ、そりゃ宿だけに当然なのですが)定休日があるとはっ!完全に油断してましたまさかこんな形でうっちゃられるとは思いませんでした(苦笑)。しかしまぁこりゃしょうがないよなぁ、清冽な湯に身体を沈めてまったりするのは次回へのお楽しみと相成りました。

あ、右上マウスオンで写り込んでいるTakemaの手がやたらに黒いのは北アルプスの日焼けです。最近は日焼け=皮膚ガン云々といわれることが多いですが、そもそも東洋系人種は日焼けに強いはずなので全然心配していないTakemaです。ただその昔の山行中「3枚目がむけた」時にはちょっとビビリましたが(すでにリンパ液か何だかがダラダラだったし)。

ここからはなぜか来た道を戻って生田原方面へ(道道592のクネクネ道経由のほうが時間的にも早かったと思うのですが)。で、留辺蘂まで出たところで道北の王道R39を石北峠方面へと進みます。

温根湯温泉、あー大失敗下調べもしてなかったし先も長いので無念の通過(帰宅後あらためて調べてみるとちゃんといい湯もあって大後悔時代)。ついでに道の駅おんねゆは駐車場満杯につきムカっときて駐車待ちせずぐるりと回って通過(もうお盆間近の8/8のお昼時でしたからしょうがない)。

でもそろそろお昼温泉ご飯も何とかしなきゃいけないので温泉へ。前回訪問時は旧「滝の湯センター」のほうに立ち寄ってそのツルツル度にびっくらこいたのですが(その時のページはこちら)、今は経営母体が代わり「夢風泉」という名前でちょっとお洒落な感じになって頑張っているようです。でも今回の訪問は至近エリアの「塩別つるつる温泉」。メジャーな方にまだ入っていなかったので。

うーん、でもこのように宿泊と入浴の入口が分けられているっていうのは個人的にあまり好きではないです。お客の判別がわかりやすいという点で効率的と考えてことだと思いますが、何だか入口時点で入浴のみのお客が軽んじられているような感じがしちゃうんですよ。ま、ここのように「ある種立派な入口」だとまだいいのですが、中には貼り紙のみで勝手口みたいな場所から入らせられるところもあって「あーあこれ系かよ」と入浴前から気分が萎える宿もあるんです。

お昼ご飯も食べたかったので「食事セット@1000円」を選択します。ちなみに入浴のみだと500円なのでまぁ相応のセットなのですが、あらためて調べてみると夢風泉のほうは入浴料360円というところに‥


(たぶん肉も入っていないところにオプション具材を追加していく方式)

格安であげようとすれば何と「610円で入浴&ランチがOK」という恐ろしいことになっているようなのでビックリ(笑)。でもこの時はすでに塩別つるつる温泉に来ていたので比較するつもりもありませんでしたがね。

まずは温泉から始めましょう。温泉は2箇所あるようで、しかも片方は内風呂と露天があるらしいので「いろんな意味で期待しまくり」です(謎笑)。で、まずは大浴場へ。うーん先客さんが湯に浸かっておられますが‥窓の外の露天湯は無人。それ急げ!

そうこうしているうちに洗い場にいた先客さんが露天風呂に相次いでやってきた‥これまたそれ急げというわけで内風呂へダッシュ!



そんなわけでとりあえず撮影ミッションだけはクリアした次第です。

しかしですね、何だか予想と違うのですよ。「塩別つるつる「」ですよね。でも‥

「旧滝の湯センター」は間違いなくツルツルからツルヌルのレベルだったんですが、源泉が変化したのかどうなのか?それを確かめるべくもう1つの浴室(旧館)の竜神の湯へと移動しました。



旧館(本館)とはいえ館内はきちんと手が入れられていてとってもきれいです。

いざこちらの湯に入ってみると、浴槽が小さい&湯浴み客が少ないことにより鮮度良好、湯触りも明らかに大浴場のそれを大きく上回る「ツルツル」です!ここ塩別つるつる温泉に来たら間違いなくこの竜神の湯を目指せっ!

ちなみに内風呂ですが窓が大きく採られており景色良好(右上画像マウスオン)。でも冬場は湯気でモウモウ必至な気がします(笑)。。

湯上がりには冷たい水でクールダウン。くぅー、ウマイ!連続して3つの湯船に浸かってきた身としてはサイコーです。そんなわけで食堂へと移動して今度はランチですが、上にも書いたとおり温泉と食事がセットなのでお値段にビクビクする必要がないのは安心です(でもセットじゃ頼めないメニューの方が美味しそうだったんですが)。



そんなわけで味噌ラーメンとカツ丼を注文。お味はまぁ普通でした。

そんなわけで今宵の目的地糠平へと向かうわけですが、その前にちょっと寄り道するところがあります。メインロードから離れ、集落もなくなったあたりにその目的地はあるのです。

とりあえず陸別の駅まで来たのでちょっくら駅構内を眺めてみると、うーん今日は運転体験もやっていないようですね。ちなみにこのシーズン(2012)から体験運転の区間が大幅に拡大され、Lコースの修了者にかぎり、1.6kmの区間を往復する「銀河コース」にトライできることになりました。TakemaはすでにLコース修了者なので(詳しくは2009年ツーリングのこちらのページを参照)チャレンジ権だけはあるわけですが今回はパス。ちなみに運転方法などほぼ忘れているんですがそれでも大丈夫なのでしょうかね(苦笑)。

そしてここからはしばし隠密行動(ってほどでもないですが)。そして到着したのは‥



町内に温浴施設のない陸別町ではありますが温泉設備は唯一ここにありというわけです。ここの源泉は町が掘削したそうですが、国道からかなり離れているのと湯温が低い(35.9度)ので加温等に固定経費がかかることを考慮し、温浴施設の建設を断念したものと思われます。

しかし、せっかく掘った源泉施設ですから全く使わずに封印してしまうのももったいないというわけで、地域住民への福利厚生という意味合いなのかこうして温泉スタンドとして使われているわけです。

ちなみに利用料は無料。、み上げ時のみポンプの電源を入れて起動させ、電源をオフにすると配管内部の残り湯が水抜きされた状態でストップするという仕組みになっています。最初は水そのものの温度ですが、出しっぱなしにしておくと徐々に湯温が上がっていきます。ネットで見た話では「20分間出しっぱなしにしておくと30度以上の湯温で安定する」とか何だとか(訪問時にはそのような掲示はありませんでしたが)。

電源の入れ方使い方については左上画像のように案内表示がありますので初心者でも安心です(笑)。というか右上画像にあるスイッチボックス内の電源を入れるだけですので、チンパンジー程度の知能があれば操作は可能でしょう(何のこっちゃ)。右上画像にマウスオンすると配電盤画像に変わります。

そんなわけで電源をオンにすると‥しばらくゴボゴボといっていた直後、ざざざドバーどひゃーっと源泉が溢れ出てきました。いや、溢れ出るという形容はこの場合正しくないかも知れません。とにかく「うわぁモッタイナイ!」と嘆くほどの量、例えるならば茨城県高萩市の手綱の湯をホーフツとさせる量の源泉が排水口内に勢いよく排出されるのです!(手綱の湯についてはこちら)。

しばらく出したところで湯温を測ってみると「28.3度」。うん、最初の頃に比べればかなり上昇しています。そうかぁ28度かぁ、かなりぬるいけれど「入れない温度ではない」よなぁ(意味深笑)。そして荷室から取り出したるある「折り畳み装置」‥そう!


(「やっぱり浸かる気満々だったのね」と思っていたあなた、大正解っ!)

2本あるポリタン汲み用ビニールパイプ、そこから溢れ出る湯をダブルで携帯湯船に投入すると、あーれ難なく湯がたまるぅ!(もちろんこの間もメイン排出管からは余り湯が怒涛のごとく捨てられていました)。そんなわけで必要にして十分の湯がたまったあとは、当たり前ですがもうこれしかありませーん!ちなみにこの時の気温は16度でしたんでかなり涼しかったんですが‥





ちなみにこの角度に車を停めた理由は、この角度のずっと先に1軒だけ人家があったからです(苦笑)。

そんなわけで陸別温泉入湯の儀

そんなわけで湯をタンノー後はちゃんと着替えてから携帯湯船の湯を流し無事撤収です(笑)。なおローカルロード沿いでしたが、自分の記憶する限り入浴作業中に車はほとんど通りませんでした。着替えたあと、自転車で通りかかった中高生が1名と車が1-2台かな。しかしいかに住民が少ないエリアだとはいっても「公道のすぐ近く」ゆえ公序良俗上気をつけなければいけませんね(説得力ゼロ)。

さてこの後はショートカット路を通りつつ今度こそ糠平のキャンプ場を目指します。この道はホントに何度も通っているよなぁ。釧路沖の地震のあとは一部がかなり凸凹だったことを今さながら思い出しましたが、東日本の時はあちこちがそんな感じになっていたっけ。やっぱり地震って恐いです。

到着は17:00ころで、ちょうど係員さんが料金徴収のタイミング。ここのキャンプ場は国設ということもありちゃんとゴミが(分別して)捨てられますので安心。何だかこれまでよりも「古墳系盛り土」のテントサイトが増えていませんか?(昔はなかった)。でもテント底に水がたまる心配がないのでこれはこれで安心安全。というのもこの日の夜は雨が降ったり止んだりでしたんで。

で、実は順番が前後しますが乾杯の前にお風呂に行ってました。どこの宿に行こうか迷いましたが(いつもの通り下調べなし)、たまにはこういうのもいいだろうということでコテージ施設の「プライマルステージ」の湯へ。宿名とはちょっとイメージの違う感じのおじさんに(笑)入浴料500円をお支払いしていざ湯へ。ちょうど各コテージとも夕ご飯の最中だったのか男女とも誰もおらずよしよし。



糠平温泉はどこの施設も源泉かけ流しなので嬉しく安心です。清掃整頓ともきちんとしていました。



場所柄展望はない露天湯でしたが、イルミネーションがちかちかと。ま、いろいろとご意見はあるでしょうが。

テントに戻ってからは「おしんこどんさっさと就寝、Takemaダラダラ飲酒」といういつものパターンです。ブヨとも違う気がする虫がそこそこくすぐったいうざったいですが、邪魔になるほどではないので翌日の計画を立案します。明日は天気もよくなるらしいし初訪問のあの湯にと思いつつ、かがり火を見つめながらの夜は更けていったのでありました(あまり意味はありませんが右上画像マウスオン)。
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