− その11 川湯の「味楽寿司」さんは今後も安泰のようです(嬉) −



宿の夕食タイムだからか、川湯のメインストリートにほとんど人通りはありません。いや、その時間でなくとも最近の温泉街の人通りはこんなものだったかもしれません。それは同時に「何とか宿泊客に宿の外に出てきて散策してもらいたい」と願う土産物屋さんや飲食店さんと、「何とか宿の中でいろいろお金を落としてもらいたい」と考える宿泊施設のせめぎ合いの結果なのかもしれません。

でも、それでは少ないパイの食い合いに過ぎないわけで、入り込み客数が減少すれば共倒れにもなってしまいます。

また温泉街にある数少ない集客施設としての「大鵬相撲記念館」も、親方亡き今となっては入館者も増加は見込めないというか今後間違いなく減り続けるでしょう。「巨人大鵬卵焼き」という言葉すらもはや死語の仲間入りですから。

では何かないかな?でもそんなことは川湯の皆さんがずっとずっとずーっと考えてこられたことなので、門外漢のTakemaが「これはどうだ?」などと提案できるはずもありません。でも「物事の捉え方」を変えてみると新たな方策も見えてくるような気がします。



とある「東京都の離島」の観光系SNSアカウントからは「○○は10:00に開催予定ですが、お客さまが一人もおられない場合は中止いたします」というツイートがしばしば発信されています。

「誰もお客が来ないという状況」は、運営側からしたら「あってほしくない」し「考えたくもない」、そして「そのことが風評(人気がないと思われる)になることから知られたくない」情報でしょう。

でもそのアカウントからはしばしば上記のツイートが発せられている、それは島ならではの状況によるところがあります。すなわち、「船や飛行機が欠航になればその日新規の観光客は来ない」からです。

でもその状況と日常的につきあっているからこそ島の人たちの観光への力の入れ方は「肩の力を抜いた」感じです。実は自分がその島に滞在中にも、その日はクルーズ客船「にっぽん丸」が沖合に停泊し、客船のお客さんが通船(はしけ船)で大挙してやって来る予定でした。

でも荒天により通船の運航は断念され、「大量に(数百名は)来るはずだった外からのお客さん」はゼロに。島ではお茶会やら何やらで相当準備していたはずなのに?でも、その時のお茶の先生がお仲間たちにこうおっしゃっていました。「まぁ、いつものことだからしょうがないよね」。

入念に準備していたイベントそのものがポシャる。それを「しょうがないよね」とあっさり受け入れてしまう「懐の広さ」にびっくりした記憶があります(以上、すでにご想像の通りかもしれませんが八丈島での出来事です=この時です))。

観光に資金を投じる以上「その成果はあってほしい、いや、なければならない!」。いわゆるそんな「費用対効果」で物事を考えるとだいたいはうまくいきません(少なくとも中長期的には)。直近でいえば「中国人の爆買い」に対応して人員や設備の手当てをしたところは「上げた拳をどう下ろすか」に腐心していることでしょう。

そうではなく、「身の丈に合ったサイズでの振る舞い」=見てくれる人がいると思うから何か企画してやる予定、でもお客さんが来なければまぁそれはそれで仕方ないし、というようなスタンスが今後は必要になってくるかなとも思うんです。

宿泊施設の関係者、そして各店舗の従業員、実は皆さん何らかの形で「一芸」はお持ちなのでは?と存じる次第です。それは本当に小さな「芸」に過ぎないかもしれません。そしてその「芸」は地元の方々からすれば芸ともいえないあたりまえの知識や経験に過ぎないかもしれません。でも、「地域の日常における常識」はしばしば「地域外から訪れる観光客にとっては『へぇ、そうなんだ』『うそっ、面白い!』」系の非常識だったりするのです。そんな「芸」をお持ちの「手持ち人材」を活用できないかなと?

川湯や弟子屈界隈の昔について「昔はこんなこともあったんだよ」と語ることのできる方もおられるはずだし(語り部隊)、お祭りの太鼓や囃子、舞いをできる人もいるはず(イベント隊)。また地元ならではの料理もあったりするはずでしょうし(ご飯部隊)、中には「川湯温泉ディープ散策(自然に限らず温泉街の「実はここのそれ、アレなんですよ」とかのウォーキングツアー)をできる人(地元密着隊)もいるはずです。さらには少し離れたジャガイモ畑を訪問して農家の方に説明をしていただくのも都会人には新鮮な経験でしょう。そういう「ごくあたりまえの地元」を毎日「無料&日替わり」で披露してみるというのはどんなものでしょうか?

事前の準備や練習は要りません。地元の方がすでに持っている知識や経験をありのまま出すだけですから「あー、今日はお客がいなかったから中止ね」ということになっても無念の思いは少ないでしょう。だからこそ継続可能ではと思うのです。

上にも書いたように「地域の常識は地域外の非常識」なのです(いい意味でね)。その「非常識」とやらを川湯にお住まいの皆さんが売って売って売りまくるという発想はどうでしょう?

2004年のことになりますが、ミャンマーの片田舎たるティーボーで泊まった宿では「宿泊者専用の無料ウォーキングガイドツアー」が実施されており、その実際は「線路や田んぼのあぜ道を移動して民家を訪問する」という感じでしたが、自分も含めて参加者の評価は高かったです(その時の様子はこちらの以下を含む3ページ)。実は2016年末にはまたティーボーを訪問する予定です(リピーター)。こういうツアーの川湯温泉版はできないかな?というわけです。あとは長い目で見た場合ウーフとかの活用による「川湯温泉界隈の滞在経験者を増やすことによる地域外宣伝部隊の育成」などもいいのかなと。これは10年、20年後に効いてくるのではないかと思います。

会場は‥各ホテルのロビー持ち回りでもいいですしエコミュージアムセンター定点でもいいですし(ただし夜開催の場合は各宿夕食終了後の20:00スタートが無難かなと)。

以上好き勝手なことを書いてきましたが、ここ北のいで湯たる川湯温泉を愛する者としてついつい書いてしまった次第です。

さて話をタイムラインに戻しましょう。



やってきたのは「いつもの」味楽寿司さん。とはいえそもそも4年ぶりの訪問ですからさすがにご主人も最初はわからなかったご様子でしたが、話をしているうちに「ああ、千葉の!」としっかり思い出してくださりよかったよかった。ちなみに「味楽寿司のウェブサイト(こちら)を見ました」とお伝えすると、何と根室の地酒「北の勝」が1杯無料になるというサービスは現在も継続中でして、初訪問者さん用のサービスなのにまたも利用させていただきました(苦笑)。でも以前、「拙サイトを見てお店に来た方が時々いた」という話を伺ったこともありましたから、一応わずかながらお店に貢献したこともあるというわけでご容赦下さいませ(正当化)。もちろんそのあとはガンガン(お酒を)注文しましたよ(右上画像マウスオン)。





なおこちらの味楽寿司さんですが、息子さんがご主人のあとを継ぐべく修行中。今もカウンター内におられたり奥で仕込み作業ほかをなさっていましたが、ここに戻る前にも別のお店で修行なさっていたそうです。

ご主人としては二代目があとを継ぐという意味で万感迫るものもあるでしょうし、「きちんとした職人に育て上げるべく」身の引き締まる思いもあるのでしょう。そしてわれわれとしては「よかった、これからも川湯に来た時にはここに来れば何とかなる」(何が?)という安心感もあります(笑)。

でも、二代目はそればかりじゃないですよね。これからの川湯温泉のあり方に道筋を付ける重要な若手リーダーにもなってもらわねばなりません。外から見ていてもジリ貧傾向を感じざるを得ない多くの道内観光地ですが、今後二代目氏が川湯温泉にどんな一石を投じてくれるか、その意味でも大いに期待しております!(自分はジジイ化するばかりですが)。



ちなみにこちらのお店は故大鵬親方ごひいきのお店だったこともあり、親方にまつわる多くの相撲グッズが展示されています。でも今回しみじみとしてしまったのが親方の還暦土俵入りを描いた相撲絵でした(右上画像)。



実力のみの世界ですから関取衆が入れ替わったり引退したりするのはわかりますし当然のことですが、亡くなるとなると話は別です。特に九重親方(千代の富士)はあまりに若すぎる逝去でしたよ!(涙)。

ちなみにこの3人はいずれも北海道出身(大鵬=樺太出身・弟子屈育ち、北の湖=壮瞥町出身、千代の富士=福島町出身)です。そのほかにも北の富士や北勝海、大乃国など、北海道出身の元横綱は大勢います。でも、2016/九月場所段階では幕内に北海道出身の力士はおらず、十両にも十三枚目に旭大星がいるだけです。北海道が強豪力士の定番出身地だった時代は終わってしまったようですね‥。



そんなわけでまたいつもの通りご主人夫婦と記念写真。いやぁ、川湯温泉における我々の拠点はこれからもずっとあり続けてくれるわけで何よりです。このあとはてくてくと歩いてお宿まで戻り、お風呂に入っておやすみなさいでした。



そして朝一番、よーし誰もいないしタイルも乾きまくりで今朝の一番湯!(ただし夜間に清掃が入ったかどうかは不明)。はー、やっぱり川湯温泉の湯はしゃっきりするわー!(意味不明?)。



朝ごはんはシンプルにして十分(これくらいがありがたいのです)。今日も良い天気だしよーし出発!の前に、ちょっと川湯神社にお詣りしてきました。



ここでは夏の期間夜市というかイベントをやっていたんですが、テントがないところをみるともうやっていないのかな?でも連続でやるとなると関係者の負担も大きいですから仕方がないことかもしれません。あ、手水のお湯(ここの手水は温泉水なのです)が出ていない!何だかすっごく残念感が(苦笑)。

この神社のすぐ脇にあるのがかつての御園ホテル別館ラルゴの建物でした(右上画像マウスオン)。今は芸術家さん?たちがいろいろ改装しているらしく、2016/10初旬に検索してみたら9月中旬から一般営業開始&「ART-INN プレオープンパーティー」とのページがヒット。また新しいスポットが生まれたようで大歓迎です。

さてここからは内陸を北上します!

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