− その2 スミマセン小沢平からのルートを甘く見てました(苦笑) −



ブナの木々が立派なのはいうまでもなく、新緑の広葉樹林帯はサイコーでした。ただね(苦笑)。



さていよいよ尾瀬赤田代へと向かいます。この日このルートで登るのは自分だけですが、まぁすれ違う人もいるだろうしね(結果=誰ともすれ違いませんでした)。

歩き始めはエゾハルゼミの合唱の中を進みます。お天気はいいし気温も湿度も高くなく、梅雨の走り時期たるこのタイミングに尾瀬行きを選択した自分大正解!と満足しながら歩きます。と、支沢の音が聞こえてきました。そういやいくつか沢を橋で渡るんだっけ。というわけで橋‥はし‥ハシ?‥えええっ!?





ええっと、「でも大した水量じゃないみたいだしうまくすれば石伝いに対岸に渡れそうだし?」とお思いになった皆さん申しわけありません。わたしが動揺してろくな写真を撮っていませんでした。ええっと、そんな「石伝いにピュンピュン丸」というような忍者レベルではありません。水量も多くて深い‥となれば、



というわけで膝下5cmという感じで徒渉完了。あーあ、靴の中までびっしょびしょだよ悔しいなぁ‥と思ったところで‥



という思いに行き当たりました(笑)。今の沢は膝下で何とかなったけれど、この先の沢の水量がもっと多いとするならば(雪融け時期だし)‥。いや、もう考えないことにしてさらに進みます。



ちなみに沢前後は急登がデフォルトだったりします(苦笑)。

やがて次の支沢の音が近づいてきました。「頼むし橋よ架かっていてくれ!」と祈りつつ、いざ橋が見えるところまでやってきてみると‥







くっそぉ、今回は「尾瀬のハイキングをのんびりまったり」という感覚でやってきたのに、気がつけばこれは「勝負の徒渉」ですよ(大苦笑)、なんてこったい!(もう嘆くしかない)。

ちなみに徒渉のベストポジションを選んだつもりですが、それでも水流はTakemaの膝上5cmまで達しました(深いけれどそのぶん流れが緩やかな徒渉場所を選んだのでしょうがない)。おーい、尾瀬のさわやか楽勝ハイクどころか、久々に気合い入れていくぞ押忍!系になっちゃってるんですがぁ!まぁ、もう何とかバンバンするしかないですわ。

なお登山道も途中からそこそこ荒れてきました(当然か)。登山者が多く歩いていればそのうち道の脇に蹴り出されるはずの小枝はもちろんそのままですし、小枝ならぬ大枝、いや幹そのものが道をふさいでいる状況がごくあたりまえに(=多数)見受けられます)。倒木の乗り越えって面倒なんだよなぁ、でもしょうがない、行きます!



絵的にいい場所では写真も撮りますよ。しかし実際にこんな「穏やかな登山道」でないことは間違いないです。



このあたりには珍しく開けた場所で悠々と伸びたブナの木?もありましたが、これは周辺の木々が倒れた(または伐採した)ことによるものなのでしょうね。ふとボルネオの熱帯雨林を思い出しました(参考ページはこちらとか)。

なお、このような往年の「幹に彫り込み系の落書き」もあちこちで見られました。その是非は今さらどうこう言わずとして、こういう落書きがあるということは「この道が昔から多くの人により歩かれていた」証拠です。でもこのままだと、いつまでこのルートが維持されるのやら?



しょうがない、ガクアジサイ?の中央部にたくさんの「星の子どもたち」がいるのを見たりして癒やされましょう。



なおこのルート上に指導標はほぼ皆無なのですが、いっぽうで、今はもうなくなってしまった(2015に解体)渋沢温泉小屋の看板はところどころに残っています。これはこれでもう外しておいた方がいいんじゃないかとは思いますが‥。

湿り気の多いあたりの倒木には苔が付き、その苔を台座としてキノコや新しい木の芽が顔を出したりしています。いわゆる樹木の天然更新ですね(右上画像マウスオン)。そしてこの登山道も徐々に自然に還りつつあるというところでしょうか。ピンク色のテープが要所要所に付けられているのでルートを外すことはないでしょうが、登山道自体がだいぶわかりにくくなっている場所はそこそこあります。人が歩いていないので落ち葉が被さったままで一見ただの斜面にしか見えない場所をトラバースしていたりとか。



不動大滝って‥木の間越しに見えているアレのことかな?(左上画像マウスオン)。と、歩いていくうちに、いきなり残雪部に出ました。改めて地図を見てみると、標高では1000mをわずかに越えたあたり。赤いテープが見えているのでルート的に間違ってはいないようですが、6月も半ばのこの標高で残雪とは、よほど雪が深く吹きだまった場所なのでしょう(この先御池からの燧裏林道との合流部まで、ここ以外に雪を踏むことはありませんでした)。

で、ここを越えると急に沢の音が大きくなってきました。本流に近づいているわけではない‥とすると、おそらく上流部に大滝を擁する渋沢でしょう。大きな支沢ゆえ、この沢の橋だけは頑張って残っていてほしいぞ、頼むぞぉと心の中で念じつつ進んでいくと‥





思わず大声で「あーあぁ‥」と声が出ちゃいましたよ。まいったなもう。もっともよく見てみると「あれ?手が入れられているんじゃない?」と思われる形跡が。



落橋箇所のすぐ下流部が何やら人工的に広げられているように思えます。ゆえにその分水深が浅くなっており、結局この沢の徒渉が一番楽勝で足首上まででした。

というわけで2017/6現在、このルートに架かる3本の橋は全て落ちていたというわけです。特に最後の渋沢に架かっていた橋は、昨シーズンからすでに落ちていたのではないかと思われます。以前は渋沢温泉小屋がありましたので、小屋の関係者により(仮設での)再架橋も比較的早く行われたことでしょうが、今やそれも期待できず‥再び橋が架かる日は来るのでしょうか?

ちなみにここで鉄砲水が出ても戻るわけにもいかないし、お天気が悪い日はこのルートに入るべきではないですね。結果オーライでヨカッタ。



というわけで川を渡ったところでひと休みとします。顔も洗ってさっぱりしたところでひと登りすると、トラロープが張られた場所が。どうやら到着したようですね渋沢温泉小屋跡への分岐路に(右上画像マウスオン)。

上にも書いたように小屋自体は2015年中に完全に解体され、現在は更地になっているということです。それほど遠くもないはずなのでロープを越えて歩いていくと‥





ハイ、拙サイト読者各氏ならこの言葉の意味はおわかりですね。そう、ここにあった山小屋には温泉があったのです。つまりは「1湯ロストしちゃった」というわけです。

あ、でもさらに察しのいい読者諸兄はさらにお気づきなのではないでしょうか。Takemaが「ただ山小屋跡地を見学するためだけにここまでやって来たわけではない」ことを!(大笑)。



もちろん事前に「渋沢温泉小屋 ○○ **」等のいろいろなキーワードを組み合わせてネット上の情報を検索しましたよ。しかしそもそもの情報が少なく、しかもその多くが小屋の営業時代の訪問記であり休廃業後の訪問記録はほとんどありません(行っても何もないわけですから普通は行かないでしょう。ちなみに渋沢温泉小屋から燧裏林道の天神田代に至る登山道は道形不明瞭のためすでに通行止めになっています。刈り払いが行われないとすぐにこうなってしまうわけですね)。

唯一見つかったのが朝日新聞のネット記事で、それによると「空になった露天浴槽の傍らで休憩」とありました。しかし在りし日の画像を見ると少し離れた源泉小屋からパイプで湯を引いていたことがわかります。まさか動力で揚げていたとは思えませんから、湯はどこかに放たれているはず‥というわけで少し歩いていくと、











そこそこの量の源泉が斜面の途中から湧出しています!触ってみると‥「ん?30度もないよなぁ?」。確か営業時代のここの源泉は「33度」だったということなんですが‥というわけで、出発直前に探したけれど見つからなかった温度計、仕方なく電池切れ直前の古いやつを持って来たわけですが、かろうじて液晶表示が見える状態のそれを使って計測してみると‥(右上画像マウスオン)。



次に味覚検査です。鉄系の湯であることは見た目からも間違いないのですが、後味に甘みが残るちょっと美味しい湯ですね。この味、嫌いじゃないです。ちなみに炭酸味はほとんど検知しませんでした(自分の舌では)。というわけで動画をどうぞ。





さて続いては浴感および入浴検査‥なのですが、周辺には旧露天風呂およびその痕跡を示すような構造物がないようです。おそらくは人工物ということで小屋の撤去と同時にこちらの露天風呂も撤去されたのでしょう(まさかとは思いますが、ここが小屋から比較的近いところにあったので、もう少し離れたところに本当の露天風呂があったのかもしれません)。

また今回はこちらの探索&入浴がメインというわけでもなく、従ってスコップや子ども用プールも持参していませんでした。そしてこの赤茶‥足を踏み入れて作業すれば当然靴も靴下も真っ赤に染まること必定、無理してお尻をつけようものなら(以下自粛)‥

というわけで今回は「手湯」のみにて終了とした次第です。でもね、お湯(22.4度ですが)は出ているので、奇特なアウトドア系温泉ファンの皆さま、是非バンバンしてみて下さいませ。なお現実的なのは子ども用プールであることを申し添えます(笑)。



さて小屋跡の広場に戻ったところでお昼ごはんといたしました。パンのつもりでしたが、ここまで来る途中、登山道のど真ん中に生えていた太めのネマガリタケを「登山道維持」の観点から2本除去し、歩きながら皮を剥いてきましたので、そいつを有効利用すべくラーメンといたしました。味噌ラーメンにコーンを浮かべ、茹でたネマガリタケも。最後にバターを落とし込んで贅沢なランチとなりましたよん。

さて、このあとはまだまだ長いですので次のページにて。

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