- その4 テクテク歩いて山の鼻、鳩待峠へ。バス乗り換えで一気に帰着 -



咲き始めのレンゲツツジの若株の真ん中に咲く黄緑の花は何というのだろう?



(2018年6月15.16日 その4)

そんなわけで東電小屋から出発します。左上画像の別館は無料休憩所を兼ねているのかな?多くのツバメが巣を作っていましたが、まだヒナの鳴き声は聞こえなかったので巣作りまたは抱卵中かな?場所柄エサとなる虫には不自由しそうにないですから安心?

歩き出してしばし、木道の脇にがありました。湿原と樹林端との距離が近いところでは熊が湿原を横断する可能性があるため、この鐘を鳴らしてクマにこちらの存在を知らせるために設置されているわけです。それはいいとして、‥





もちろん鳴らすおしんこどん。ちなみにここ以外の鐘は全て右画像のような「正しい鐘」でした。

ま、これがラオスとかだとこういう再利用品が軒並み「ベトナム戦争時の『ホーチミン・ルート』に落とされた米軍の弾薬の殻」だったりするので冗談では済まされないのですが(たとえばこんな感じです)、いっぽうで尾瀬に爆弾が落とされた歴史があるとは思えないので、単純に笑って済ませることといたしましょう。



相変わらず花は少ないんですがでもところどころに咲いていて目を和ませてくれます。



東電小屋経由で牛首まで続く北側ルートを歩くのは中学生以来なのですが、案外いい感じのルートで気に入りました。牛首-竜宮小屋-下田代のルートは変化が少なくて飽きちゃうんですよ。

ところで途中の小川を木道で渡る場所で、ミズバショウの未成熟の果穂(正しくは花にあたる部分。白い部分は苞であり花びらではありません)が折られて川に浮かんでいるのを目にしました(右上画像マウスオン)。

こ、これは‥心ない登山者が興味半分というかふざけて折り取ったのか?いや、でもミズバショウは川岸に生えており約1mの水際まで足を踏み入れたとしたら斜面の植物にも踏み荒らされた痕があるはずです。さらには、木道より上流側にも同様な果穗が引っかかって止まっていました(左上画像マウスオン)。

わざわざ登山者が木道を外れて川の脇を上流側に進み、ミズバショウの果穗をむしって捨てたりするとは考えられません。もしかして‥と思ったらネット上にこんな記載を見つけました(以下引用)。尾瀬における記載ではありませんが大いに参考になります。

さて、ミステリーがあります。保護のために敷かれた木道上に図16のようなミズバショウの果穂が放置されており、その犯人は?ということなのです。

実況検分
1 放置されてから相当の日数を経て干からびた果穂と前日あたりに放置されたらしい新鮮な果穂が見られる。
2 新鮮なものを見ると、トウモロコシをかじった時のようなはみ跡が見られる。
3 HP上の写真でも分かるように、地上で食べられたものや空中で食べられたものもある。
4 食べられているのはいずれも完熟前のものである。

犯人は誰か
1 人間説……見学者がちぎってバラバラにした。 この時期の自生地へは、よほどの物好きでなければ見学にくるとは思えない。しかも何度も。まして、かじるなんて……
2 熊・狸・狐等説 ……熊がザゼンソウやミズバショウを好むと言うことを聞いたことがある。熊にしては、食べ方が上品(?)すぎるようです。四つ足の小動物が、安全のため、見晴らしの良い木道上で食べたのかも知れません。木道上には少なくとも新旧5本の果穂が見られた。
3 猿説……猿が花柄をちぎって、木道上で食い散らかしたと言うのが最も妥当と考えられるが、猿がミズバショウを好むかどうか、また、群で行動する猿にしては食べた数が少ない。最新の情報では、このあたりに猿は出没しないとのことです。

みなさんも、謎解きをしてみませんか。

毎年、この場所の見学をしているのですが、その後も継続的に見ることができました。林業試験場の熊に詳しい方に間接的にお聞きしたところでは、犯人は「熊」だろうとのことです。熊は意外と器用で、そういう食べ方をするらしいです。


(上記引用文の元ページはこちら)。

場所は違いますが、やはりこちらもクマの仕業なのでしょう。そうなるとクマ除けの鐘があるのも「お飾りではない」ことがよくわかります。ちなみに尾瀬ヶ原北側の景鶴山やその奥一帯は「クマの巣」であると聞いた(のか読んだのか)ことがありますからそれともぴったり符合します。尾瀬保護財団の公式サイトにも「山裾の湿原で、ミズバショウの実などを食べています」とありますから、クマはいます、明らかにこの界隈に!(ご注意を)。



さらに進んでいくと木道脇に置かれた木材群が。老朽化した木道の交換用資材のようです(ま、わざわざそこに座りにいきはしませんよ)。木道の寿命は10年ほどらしく(場所にもよるでしょうが)、一度設置してしまえばOKということではありません。というかそれって設置と更新のいたちごっこですよね(永遠に続く半公共事業?)。

一部では試験的にプラスティック製の木道も設置したということですがごく一部。というかこのあと通った時には気づかなかったなぁ。ただ、木道の基礎部分(湿原に直接接しているので腐食しやすい)には木以外の素材も用いられ始めているということです。

木道には要所要所に「いつ、誰が設置したか」がわかるように焼き印が押されています(右上画像マウスオン)。こちらは東電関連の事業者が2017年に敷設したもののようですね。ちなみにこのあと、おしんこどんがこの焼き印記録マニアになりましたんで後述します(笑)。



牛首までの中間点となるヨッピ吊り橋までやってきました。ヨッピ川は只見川の源流部にあたると同時に尾瀬ヶ原の水を集めて下る主流であることから川の流れも太いです。もちろんここを流れる水の全量はあの三条の滝で落差100mをズドンと落下することとなります。で、この橋を渡ると竜宮小屋との分岐となるわけなんですが‥




(一部言語が乱れていてゴメンナサイ)

こうやって見ると、木道そのものに使われる木材だけでなく、その木道を支える支柱も相当の量であることがわかります。こりゃ大変に手間のかかる工事であることが見てとれるわけです。ありがたいことですなぁ‥。



そんなわけで分岐部で少し休憩。木道は2018ですが(左上画像マウスオン)、この指導標は前年に設置されたようです。

さてここから先、おしんこどんがこの焼き印マニアになっていろいろと撮影してくれたので一気に見ていただきましょう!



まずは直近3年の木道です。1年ごとにどんどん色が褪せていくのがわかります。



あれ、2015年(平成27年)までは元号表示だったんですね。こうやって元号が使われなくなっていくのか‥。



残念、H22版は見つからなかったようです。年によって作業箇所も変わりますしねぇ。



耐用年限?が切れかかりつつある木道ですが、この木道たちはまだ大丈夫そうです。



H17はともかく、H16はもう端が壊れ始めていますね。こうなり始めると傷みかたのペースに加速度がつきそうです。なおTEPCOの木道ばかり紹介してきましたが、、場所によっては環境省「環」の焼き印木道も見られます(右上画像がそうです)。昨年の竜宮小屋界隈のルート付け替え部は環境省の管轄だったかなと。

また未確認ですが、当該町村による木道の設置もなされているようです。これは大清水とか七入とかの国立公園外のことかもしれませんが‥。さて再び話を尾瀬ヶ原そのものに戻しましょう。



この時の尾瀬ヶ原に多く見られたのが左上画像のヒメシャクナゲ。マウスオンで周辺画像に変わり、そこそこあちこちに咲いているのがわかると思いますが、いかんせん‥地味(苦笑)。まだズミの花のほうが木花ゆえ高い位置にあるだけに目立っています。


地塘に目をやると、まだ池の花は咲いておらず昨日白砂湿原で目にした花(ミツガシワ)があるくらい。でもやっぱり今年は全体に開花時期が早いみたい。



時折青空も顔を覗かせますし太陽が出る時もありますが基本的には曇りですし時々小雨も降ります。周辺の山々のガスも取れないし、こりゃ苦労してアヤメ平に登ったとしてもイイ思いはできなかっただろうなと、われながら「正解の選択」によしよしでした。



で、この「東電下(しも)の大堀橋」あたりまではまったくもって元気だったおしんこどんなのです(Takemaは新しい軽登山靴がフィットせず結構キツかった)。このあと牛首までは大丈夫だったかな。



左上画像、何やら析出物らしい色合いです。こういうあたりに油膜ができていることもありますが、これらは皆バクテリアの所業なのだそうです。当然ながらアブラ臭もありません。特に鉄系の成分が多い土壌や水分のあたりで見られるのはみなそれだということなので、サビ色の水が出ているところに油膜っぽいのがあってもそれはちがいますよぉ!(温泉ファンの方々へ)。

橋を渡った先にはズミの花が綺麗に咲いていました(右上画像マウスオン)。



自分が鐘の写真を撮っていた後ろで、おしんこどんが「そんなTakema」を撮っていたとは!(うそです別の時の画像です)。



やっぱりガスが低くて絵的にはイマイチです。まぁこればっかりはしょうがないのですが。



おしんこどん、何を撮っているのかと思ったら、まさかの「自撮り」でありました(笑)。



雨でへたっていますがヒオウギアヤメでしょうかね。残念、オゼコウホネの開花にはわずかに早かった!

牛首でちょっと休憩したあとは山の鼻を目指します。ここからはある意味平行ルートもない「単線」ですし、この日夜行便を使い鳩待峠経由で入山してきた人が通る「幹線」でもあり、すれ違う人の多さに圧倒されます(沼山峠と並び一番楽な入山ルートなので)。



「逆さ燧」までやってきましたが、わずかに山腹が写るのみ(右上画像マウスオン)風はないんですが。

と、ここでおしんこどんに異変発生!「股関節が急に痛くなって歩くのも結構キビシイ」ということで、ここからはマイペースで(休憩しつつ)先にいってもらうことに(Takemaが先を行くとプレッシャーがかかるようなのです。そりゃそうだ)。



休憩しながらそれでも黙々と歩くけなげなおしんこどん。まぁ歩いてもらうしかないんですが。



山の鼻では大休止してコーヒー&トーストランチ。昨年横田代でTakemaマイブームとなったトースト+バター+マヨネーズ+サニーレタス系+生ハムをいただきます。今回は生ハムがイマイチでしたがまぁまぁおいしくいただきました。

さてここからは「下山という名の登山」です。尾瀬の場合どこから下山するにも峠に上がらなければなりません。その唯一の例外は奥只見側の小沢平ルートですが、たぶん今年(2018)も徒渉ありでしょう?(2017年の同時期、支沢に架かる橋は3本ともみな落ちていました)。ついでに交通も相当不便です。



鳩待峠への道は土曜日のお昼前ゆえとにかく人が多い!(当然山の鼻を目指す人のほうが圧倒的に多い)。何とすれ違った女性2人組から「あれもしかして‥Takemaさん‥ですよね?」と声を掛けられるサプライズも!(古いお知り合いでした)。しかしこのあたりまで来ると青空の範囲が増えてきたりして「明日は天気がいいんだろうな」と思わせられます(予報も回復傾向なので)。

おしんこどんはマイペースでゆっくりゆっくりと登ってきます。「足を手で持ち上げると歩けるんだよ」と言っていましたからかなり重症でしょう。普段はヨガとかバレエとか、Takemaより圧倒的に身体を動かしているのに、こういう時に故障してしまう‥そういえば2012の北アルプスでも、欅平に向かう水平歩道ではずいぶん苦労していたっけ。もしかして持久力の問題かも?



しかし何とか鳩待峠まで辿り着きました!ここまで「荷物を持とうか?」とかを言わなかったのは鬼でもなんでもなく、そうしてしまうと本当に動けなくなってしまうことを危惧したからです。荷物がなくなれば動けると思うでしょう?それで動けるうちはいいんですが、万が一気持ちが萎えてしまった時にはもはや荷物の有無は関係なくなります。その時に荷物でも本人でもを背負えばいいんです。登山の現役時代に学んだことです。

ま、50台半ば&体力も落ちているTakemaですから、その場合「まずおしんこどん、ザック*2はデポしておいてあとから回収」だったでしょう。30歳台には屋久島の太忠岳山頂のすぐ下から屋久杉ランドの登山口まで女性を背負い下ろしたこともありました。あの頃はまだ体力あったもんなぁ(その時のページはこちら。そのことはページ内には一切書いてませんが、この時同行のPOPEYEさんはその時のことを覚えていて下さるはずかと)。

さて鳩待峠から戸倉までは乗り合い(ジャンボ)タクシーという心積もりだったのですが、12:40にバスが出るということ、乗り合いタクシーはバスが出てから人を集め始めるとのことで、休憩は戸倉ですることにして乗り込みました。お客は‥何と5人だけ。



ちなみにバスも乗り合いタクシーも料金は同一の980円です(共通券なのは運用的にもヨロシイかと)。



戸倉では公共温泉の「ぷらり館」へ。かけ流しだしお湯はかなりのツル感があるし悪くはないのですが、いかんせんオーバーキャパなんですよね。戸倉に車を止めている&鳩待峠からバスを乗り換える登山者数を考えれば明らかに浴槽も洗い場も小さすぎます。昨年(2017)はたまたま空いていましたが、今年は15人くらい先客さんがいてびっくりしました。

お湯のなまりはもうあきらめることにして身体洗いメインにしましたよ。それでもお湯のツル感は感じましたが。周辺の温泉宿は軒並み日帰り入浴をやめているんですね。何かあったのかなぁ(まぁ、下山客が午後に日帰り入浴すると、肝心の宿泊客が汗とかでなまった湯に入らざるを得ないという現実的な問題もあるとは思いますが‥)。



さて戸倉からは新宿行きの高速バスで帰ります。買い込んだお酒で乾杯!(実はワインのハーフボトルも買ったんですが、発車してから何とコルク仕様であることに気づいて愕然。紙コップをお願いした時点で気づいてもらえたらなぁ‥ま、こちらのチェック不足です)。



赤城高原SAでおやきを小腹の足しに購入、そしてなぜか川越駅を経由した上でバスタ新宿にほぼ定時到着となりました。このターミナルを利用したのは初めてですが、これまでの「新宿駅周辺でのみじめったらしい野良乗り降り」がなくなったのはスバラシイ!



地元まで戻って帰宅前に夕ごはん。今回はお天気がイマイチだったものの大雨ということもなくまぁ何とかという感じでありました。おしんこどんには「晴れた大展望のアヤメ平」を見てほしいと思うのですが(あと小至仏-至仏山の高山植物ね)、なんだかちょっと不安も残る幕引きとなりました。自分の軽登山靴も中敷きとかを調整しないと今のままじゃ絶対ダメだし。

そんなわけで2018尾瀬編は以上です。来年はどうなることやら。

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