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- その8 まさかまさかのニセコ小湯沼に再訪 -



ん?植生に埋もれかけたこの指導標は?

(2021年7月-8月 その8)

というわけで、今宵の泊まりははニセコ湯本温泉です。となれば「雪秩父?」とお思いの方も多いことでしょうが(そういえばまだ泊まったことがないなぁ)、このコロナ禍ゆえ、大規模施設は出来るだけ避けたいというわけで、その近隣の別荘地内にある個人経営の宿「ADAGIO(アダージョ)」さんを予約していました。

何でも新館だと部屋付き露天風呂があるとのことで(ただし本館の大浴場には入れないとのことですが)、まぁ他者との接点を減らすにはそれも仕方が無いかなと。



大湯沼はいつもの通り。魅惑的な噴き出しがありますねぇ(笑)。

ただしこの時は小雨が降り始めていたので散策&探索はしませんでした。ま、肝心な場所はほぼ立ち入り禁止確定でしょうし。で、このあと宿の前まで行ったわけですが、まだ早いので、買い出しを兼ねて「気になっていた温泉」に行ってみることに。2018に宿泊はやめて、今は日帰り温泉とカフェだけの営業となっているという「ニセコ鯉川温泉」です!




(ほぼ「永遠のロスト」となってしまった気がします)。

残念ですがしょうがないですね。というわけでビールを買いだした上で宿に戻りチェックインといきましょう。



小洒落たペンションという外観でしたが、多少の鄙び感もありました。で、北海道だし山の上(標高は580mくらい)だしということで当然の助動詞的にクーラーはありません。いや、かつて同じ時期に五色温泉に泊まった時は寒いくらいでしたし、さらに昔、五色のキャンプ場に泊まった時は「マジ寒い!」という感じだったわけですが‥



だったのでありました。あ、「クーラーはない」と書きましたが、かつては設置されていたようですね。





ただまぁ、硫黄成分による腐食により電化製品が長保ちしないのはこちらに限った話でもありませんのでしょうがないかな。なお同様の理由から冷蔵庫も各部屋にはなく廊下に設置されたものを共同使用となっています。湯治宿かいな(ほめ言葉です)。とりあえずビール等々はここに入れて問題なし。室内禁煙、この冷蔵庫の隣に椅子と灰皿があって吸えるようでしたが、結構メイン通路部なので自分は常に玄関の外に出て吸っていましたっけ(外に椅子あり)。

さてそれではお風呂タイムといたしましょう。専用風呂ありということですが脱衣場はなく、「部屋からドアを開けたらいきなりお風呂!」というスタイルです。



このコンクリート打ちっぱなしの雰囲気が共同浴場っぽくて何だかヨロシイです。最初に検温すると右上画像のように42.6度ということでした。あ、左上画像だとオーバーフローがなく溜め湯のように見えますが、実際は木枠の下に隙間が出来てしまっているようで、そこから湯が漏れているようでした(ますますジモ泉っぽくてよい)。湯は常時チョロチョロ投入されていましたが、



湯口では53.8度と激熱でした。さてしかし、お湯をセットしてから誰も入っていないということは‥うん、そうにちがいない!というわけで攪拌攪拌!





というわけで快適に硫黄泉をタンノー♪湯上がりにビールをんぐんぐプハーとしたことは申し上げるまでもございません。



そして夕ごはん。案外少なめの品数ですが、われわれにとっては適量でよしよしでした。ちなみにこの日の(新館)宿泊客は4-5組だったと思いますが、食堂で食べたのはわれわれともうお1人のソロ客のみ。子ども連れのご家族ほかは部屋食になっていて、宿の工夫で「密」を避けていたようでした。

部屋に戻って翌日の予定を考えます。無論もともとは「鏡沼」に行こうと考えていたわけですが、どうやら天気予報によると「雨は降らないにしても曇りベース」、つまり山はガスで「鏡沼に映るニセコの山々」は期待できないということかぁ。というところで「鏡沼」へのモチベーションはダダ下がりとなりました。

と同時に、旅行出発前には考えもしていなかった「第二の候補地」がホーハイとして浮かび上がりました!



というわけでスマホで検索してみると、何度かお会いし野湯にも同行したことのある某女史がそこそこ近年小湯沼に行っているレポートを上げているのを見つけました。しかもその訪問記によると「ショートカットルートがある」ようなのです!

しかし、「地理院地図」にはそんな歩道は記されていません。これは現地に行ってみて探すしかないよなぁと覚悟を決め、おしんこどんにこう伝えました。



長靴はわかるとして、「ペットボトルの水」とはどういうことかというと、小湯沼には透明な水などありません。泥湯上がりだと以下に身体を拭こうにも全身に泥というか砂が付着しまくりなので、それを洗い流すためのいわば「洗浄水」が必須になるということなのです。どうぞお忘れなく(笑)。

そして翌朝、朝食前のタスクとして出発は5:30過ぎ。うまくルートを見つけられれば朝食(7:30)前に戻って来られるはずです。



というわけでとりあえずここに車を止めました。



ここから山道を下りていくわけですが、うーむどうにもわからない。沢を渡りましたが結局戻りました。



実に気になったのが左上画像、「わざわざ掘り起こされたミニバケツ(手前に穴が見えています)」でして、しかし見た限りその先に踏み分け道はないように見えます(見えただけであったのかも)。というわけでショートカットルートを見出すことは出来ず「第一次探索」は時間切れで断念。



いったん宿に戻って汗を流し朝食&チェックアウト。

しかしもうおわかりですね、「第一次」とくれば「第二次」があるということが。何だかこのまま敗退するのが悔しくてならず、もう一度、今度は自分たちがかつて進んだルート(この時です@2007)、いわば「正攻法」で小湯沼を目指そうと考えたわけです。



車を駐めた場所からの出発は9:00。ここからしばらくはかつての「林道」を進みますが、もはや歩道としても歩きにくく覆い被さる笹をかき分けながらの進行です。でもここなんぞはまだまだ序の口的に歩きやすいのです。



かつての「林道終点広場」はもはや広場でも何でもありませんでした。プラのボトルが落ちていたあたりで「ここだったかな」と目星を付け、ここからもはや「旧歩道」というしかないようなルートを進みます。もっとも篤志家の方が布マーキングを付けてくれているので参考にはなります。ただしこのエリアには工事関係者もマーキングをたくさん付けているので、迂闊にマーキングばかりを信用してはなりません。初めての方はGPSも利用すべきかと。



道形はしっかり残っていますが笹覆いが酷く、直立歩行はほぼ不可能です。

前回の訪問は2007年でしたからもう14年も前のことでしたが、当然のごとく当時よりも道は荒れていて、山慣れた人でないと遭難する可能性すらあります。わかりやすく言えば「当時はヤブの下をくぐり抜けられたが、2021ではかき分け必須」ということです。道形は残っていると書きましたが、それは山慣れた人ならわかるという程度です(自分は長年山登りが趣味でしたんで)。

出発して30分が過ぎたのに、一向に先行きがわかりません。前回の記録によると「20分で硫黄臭」とあったのに?(それだけ道が荒れたのだとご理解下さい)。しかしここで、ふと藪の中に!





記憶によれば、ここからは下りですぐに小湯沼到着でしたっけ。ハイ、すぐに臭ってきましたよ硫黄臭♪



ここからは藪がマシになりました。ということは(!)。





ではではまず、湯沼の湯温測定とまいりましょう。ここから湧いた湯は大湯沼に流れ出していますので、まずはその流れ口で測定します。





ここを目指す多くの方々は、ここから川を下り適温箇所を目指すようなのですが、「もう、疲れちゃったよラスカルパトラッシュ‥」的な心情を抱いていたわれわれ(Takema)としては無理に下らなくてもいいかなと。



というわけで時計回りに沼の縁を歩いていきます(反時計回りは絶対無理)。そしてその先にあったのは!(あると思っていましたが)。





この時、一番安定して入れたのは一番奥の湯でした。広いのとややぬるめなのと、そして何よりも「下から熱い湯があまり吹き出ていない(皆無ではない)」というのがその理由です。というわけで‥







湯温もほどほどで、野湯としてはベストといえるでしょう。



続いて一番手前の湯ですが、こちらは湯底からの熱い湯噴出があり、落ち着いての入浴が出来ません。先人さんが深く掘り進めすぎたのだと思われます(笑)。

真ん中の湯はそもそもかなり熱く、湯底からどれだけの熱湯が出ているかもわからないので尻火傷を危惧して今回は浸かりませんでした。











無意味に喜びを表現するアラ還暦夫婦(笑)。



沼のほうはこのようにぶくぶくとアワアワでありました。熱くて入れません(当然)。





というわけで、一連の小湯沼動画をアップしました。



ところで帰り道ですが、先ほどの倒れた指導標のところに「間違いなき分岐=ショートカットルート」があり、帰り道はそちら経由で進むことにしました。



それでもこんな道ですが、邪魔笹を寄せれば通れます。往路に比べれば楽勝です。



そして国道に出てきました。とはいえ国道からの入口にはマーキングテープがありません!右上画像を見て入口がわかる人はまずいないでしょう。こりゃ無理、わからないって!

でも、ここから国道を少し下ったところでわれわれは気づきました。



というわけで、ショートカットをして林道脇に駐めた車まで最短距離で到着できましたとさ。車の到着直前に大粒の雨が降り出しましたが、特に支障なく良かったヨカッタ。国道経由で戻っていたらびしょ濡れになったはず。うーん、何だかこの界隈の地形と歩道(全面的にあれていますが)の繋がりについてもだいぶ理解しました。ただしこの記憶を再度活用するのかしないのかは不明です。9:00出発で往路は約40分弱、帰路はショートカットで駐車位置まで25分弱、10:54帰着でした。おしんこどんは「まったくひどい目におうたわ」と嬉しそうに嘆いておりました(笑)。

というわけで、野湯の汗(というか泥とか砂とか)を流しに、あそこの湯へ行きましょうかね。

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