【2021夏ページもくじへ】



- その9 野湯の汚れを黄金温泉で落とし、見市温泉でウマウマ! -



お蕎麦の提供はなくなりましたが、「次の世代」が頑張っておられます!

(2021年7月-8月 その9)

さて車に戻り山を下っていきます。当初の計画では「鏡池界隈でかいた汗を今はなきY温泉(の野湯状態)で洗い流そう」と考えていたのですが(もっともその計画もある意味無謀で、汗の代わりに(へ)ドロドロが付着するだけかもしれません)、今のわれわれの体表面には無機物という名の小湯沼土壌が付着しまくっており(洗い流したとはいえしょせん気休め)、これらをきっちり洗い流したい思いが渦巻いておりました。というわけできっちり身体を洗えそうな営業温泉であるニセコ黄金温泉を目指したわけです。

実はこの前日のビール買い出しの時もこの温泉の目の前まで来ていたわけですが、施設前のテーブルに多くの人が見えて、こちらに向けて手を振ったりしていたことで「ああ、混んでるんだな」と考えて駐車場には車を進入させなかったわけです。しかしあの人たちは「お客さん」じゃなかった!



到着してみると、多くの方々がかつて蕎麦処のあった場所の建物を普請中でした。皆さんお若い。聞けば、先代のご夫妻から施設を引き継ぎ、皆さんでこちらを盛り立てていこうということなのだそうです。長く使ってきた施設なのでここできっちり手を入れようと作業中なのだとか。なおご夫妻は引退したとはいえ現在もお元気だそうで何よりです。

ニセコ界隈を取り巻く状況はコロナ前から激変し、外国人や外国資本の流入が激しく(そのため地価が上がっています)、その一方で古くからの宿がどんどん閉じてしまっています。今回訪問しようとしたニセコ鯉川温泉もそうですし、そのほかにもYもNもなくなっちゃいましたよね。

そんな中、こちらが世代を引き継いで「まだまだやっていくよ!」という気概を見せているのは実に嬉しく思った次第です。入浴中は工具の音がいろいろ聞こえていましたが、うるさいなんてことはなく「いいなぁ、これからもヨロシク!」的な気分になりました。

さて外観こそ変わっていませんが、館内に入るともとのまま使える部分(脱衣棚とか)には手を入れず、でも水回りやトイレはすっかり新しくなっていました。そして内風呂へ進むと‥





以前は自然石でしたが(左上画像マウスオーバー@2018年)、滑りやすいところもあったような記憶があります。おそらくは藻の繁殖等を抑制する塗料なのでしょう(全然滑り感がありませんでした)。

そしてピカピカ新設のシャワーは2器!以前は1器だったような?(これは記憶違いかも知れませんが)。そして失礼ながら湯圧は全然駄目だった&鏡も「無理矢理付けた」感じだったのが、まさに恒久的な設備になっています。これはしっかりお金をかけていい感じに仕上げています。

そして露天へ。露天風呂は今までどおりで、炭酸泉の四角浴槽*1と丸浴槽*2はそのままでしたが、






前日ほどではないとはいえやはりそこそこ温度が上がってきたこの日ゆえ、内風呂で温まった身体にこれは実に心地イイ!ついでにいえばアブもかなり少なかったので(皆無ではなかったですが)かなり心地よく打たせ湯をタンノーすることができました。



湯上がりに喉が渇いたのですが(普請中ゆえか)自販機がないということで残念に思っていたら、女性の方が「しっかり冷たい麦茶」をお持ち下さいました。これは皆さんのぶんなのでは?と申し訳なく思いつつもおかわりを含めてしっかり飲み干しました(笑)。

外には花壇、そして足湯も出来ていて、関係者の皆さんがこの温泉の一層の発展を目指していろいろと考えていることがわかります。今後出来上がるであろう管理棟では何が楽しめるのかも含めて、黄金(こがね)温泉からは目が離せません。

さて黄金温泉からはしばらくR5を進みます。しかしどこかでお昼ごはんを食べたいなぁと思っていたところで!





すでに13時をとうに回っていたので、「こりゃ食いっぱぐれたらセイコマで何か買うしかないかなぁ」と思っていたのです。長万部までのR5って大きな町はないですので。



なかなか面白いエントランスです。ちなみに店内まで靴のまま入れます。

このエントランスは「待ち席」のようですね。この場所でそんなに並ぶんだ‥。あとで調べてみたら、長年札幌市内で蕎麦店を営んでいたご夫妻が、令和3年3月3日にここ黒松内町初のお蕎麦屋さんを開業したのだとか。人気のお店なんですね(役場にも近いし)。「着麺」までには少し時間がかかりましたが、いただければ何の問題もありません。というわけで‥。





蕎麦はコシが実にしっかり、そして香りもしっかりです。ツユはもしかしたらやや濃い目の味付けだったのかも知れません(自分は「つけとろ」で卵を含めて味がマイルドになる系の注文でしたので)。おしんこどんはうめおろしそばでした。



最後に出された蕎麦湯は、蕎麦粉を追加したもので実に濃厚でした。自分は(貧乏くさいのか)こういう「濃い蕎麦湯」を出されるとそれだけで嬉しくなります。こちらの蕎麦湯、長野安曇村稲核の「わたなべ」さんと比べてどっちが濃いだろうか?

ちなみにSNS経由でこの蕎麦湯画像をご覧になった温泉関係のお知り合いは「万座レベルですね」とおっしゃっていました。確かに‥。

お店を出た時には「本日終了」の看板が。でも早い日には13:00過ぎに蕎麦が売りきれることもある人気店のようで、われわれはラッキーだったということでしょう。というわけで再び雨が降り始めた中を長万部方面へと向かいます。雨降りの中くるくるパンダさん&移動式オービスは稼働していないはずだとは思いましたが、「+α」レベルで進みます(100mほど後ろのトラックと同速度をキープ)。



とにかくこの区間のR5は交通量が少ないんです。ただし長万部に近づくとさすがに車は増えますし、長万部でR37と合流してからは一気に「大名行列」となります。

大名行列から抜けだし、近年SNSでつながったお店に立ち寄ります。





廃校となった学校を改装して工場と店舗にし、お菓子を製造直売しているお店なのですが、自分のところのお菓子だけでなく全国各地の、「なぜここで販売しているの?」系の食品がずらりと並んでいます。人気店なのか店内はお客さんでいっぱい(何よりです)。店内では振る舞いコーヒーがセルフで無料でした(カルディみたいな感じですね)。

それらの商品の中には、コロナ禍の中販売不振に陥った各地域のお土産系食品を引き取って「安く」販売しているものも多いようです。「困った時はお互いさま」的なその営業姿勢、なかなか好きです(ネットでも購入可能)。

自分も今年、高級果物である「夕張メロン」をこちらから購入しました。高級系だけに普段の販路(飲食店等)からの引き合いが激細になり売り先を失いかけていたメロンを、こちらのネットショップで大々的に売り始めた(個撰品だけでなく共撰品も)というのはなかなかのアイデアだったと思いますし、ええ、もちろんしっかりした品で美味しかったです。勿論売れ残り品などでは毛頭なく「入荷順に発送」しておられましたっけ。



エントランス風景。店内のPOPだけでなくこの手作り感が何ともいえません。



「中の人」(社長さん?)にはお会いできませんでしたが(できるとも思ってもいませんでした)、少々のお菓子を購入させていただきました。来年もしコロナ禍が収束に向かってもメロン販売は続けてほしいものです!

さてそれでもまだ時間には余裕があります。どこかいいところないかなぁと思ってアナログ地図を見ていたら、どうやら牧場系の展望台があるようなので行ってみることに。お天気はイマイチですがだいぶ回復しつつあったので。



牧場系の展望台って、どこも開けた場所にあるので好きですねぇ。



というわけで八雲町乳牛育成牧場展望台へ。正しくは「監視塔」っていうのかな、一応本来は「牛たちの状況を確認する」という目的で(予算が付いて)建てられたものでしょうから。しかし訪問者は少ないようで、駐車場からの歩道はご覧のとおり。おしんこどんは「アブがアブがアブが!」とあたふたしていましたが、これまでそんなにアブを恐れてきたことはなかったはずなのになぁ。



遠くに八雲町の市街地が見えています。天気がいい日なら羊蹄山なども噴火湾越しに見えるようですが、まぁ、この日はお天気が不安定でしたからしょうがないか。さっきまで雨が降っていましたし。

そういえば、八雲町は平成の大合併で熊石町と合併した結果、全国唯一の「太平洋にも日本海にも面した町」になったのだそうです。うーん、確かにほかのエリアは幅がありすぎるし(笑)。それにしても2町の合併に関して、日本海側の旧熊石町が自らの町名を新町名に組み込もうとしなかったのは潔いなぁ。普通なら「八熊町」とかになりそうなものですが(「熊八」「八石」「雲熊」とかは響き的にも考慮されなかったことでしょう)。



ご覧のとおりわれわれ以外に誰もおらず「三密」どころか「三疎」状態です。ウシさんははるか遠くに20頭くらいいました。さて、そろそろ今宵のお宿へと向かいましょうか。



丘を下り、国道を日本海方面へと向かい雲石峠へ(この峠名は両町名から一字ずつ取っているんですね)。でもこの先の日本海側も八雲町です。





ただねぇ。駐車場に車を駐めるやいなや怒涛のアブ軍団襲来!ずっと以前は(この時です)、気温が低く天気も良くなかったこともあり、河原の野湯でもそれほど難渋した記憶はなかったのですが、今回はいろいろと厳しいかも?

この日の日本海側はどうやら天気が良かったらしく(だからアブの活性度も高い)、外気温も長万部などに比べてぐっと高かったようです。ゆえに客室内温度も‥扇風機はありますがエアコンはなく、風もない日だったのでファンは空しく室内空気をかき回すばかり。入口ドアは開けっ放しにしましたが、涼しくなるにはやはり夜を待たねばならぬのか‥。



なお、当然のように玄関外の灰皿設置場所で煙草を吸っていたら、お宿の方が「喫煙室」を教えて下さいました。何とわれわれの部屋のはす向かいで、室内には机の上に灰皿、そして扇風機もあるしブラウン管TVも(もちろんアナデジ変換機器装着済み)。何よりも、こちらは山側の部屋なので、窓からは「山からの冷気」が入ってきておりこちらの部屋のほうが涼しいのですよ(畳の表面温度からして違いました)。あー、この部屋、うらやましい(苦笑)。

さて、でもまずはお風呂ですね。到着は早めだったので(とはいえほぼ同時にチェックインした家族連れもおられましたが)、今なら一番湯も楽しめるはず。よぉっし行ってみましょう!(日帰り入浴の方はいないようでした=車なし)。



茶系の薄にごり湯であることは記憶していました。浴室に入るとムワっとした熱気が。こ、これは何とかしたいと思って露天風呂出入口の扉を開けようと思ったら、その外側にはアブ軍団が「開放の時」を今か今かと待ち構えているようでしたのでこりゃ駄目だと断念。上方に換気用の窓があったので操作しますがこちらは全く動きません。

あまりにサウナ状態だったので、本来はよくない行為だと思いますがしばらく脱衣場側に熱気を逃がすことにしました(脱衣場側の窓は網戸設置で開けられた状態でしたので)。

さて、しばらく誰も入っていないことを示す湯花析出を確認しいよいよ入浴です。まずはかけ湯から。



体感ですが45度は軽く超えていたと思います。おそらくは45.5度近くあったかな(自分の体感はそう外れることがないと何度か確認しています。いっぽうおしんこどんの体感はあてになりません(笑))。

というわけでまずはざばっと内湯に身体を浸し、「一瞬」(撮影のためだけに)ダッシュで露天風呂へ。



両上画像を撮影した次の瞬間、猛ダッシュで内湯へと舞い戻ったことはいうまでもありません。アブは写り込んでいないのですが、窓貼り付き組を含めると数十匹が「待機中」でした。ちなみにそれでもしっかり食われた(1匹)ことはいうまでもありません。

で、カメラを脱衣場に戻してここからは普通に湯浴み‥というタイミングで先ほどほぼ同時にチェックインした家族連れのお父さん(たぶん自分より年上)が入ってきました。聞けば神奈川から、この日に函館まで飛行機でやってきてレンタカー、こちらが初日の宿なのだとか。

しかし気になります。このお方、この湯(温度)は大丈夫なのか?と!



いや自分は加水に関しては「全然構わない」派なので、熱ければ水を入れてぬるくするのは当然だと思っています(加温だってそれをする必然性があるのですからやむを得ない派です)。でもこのお父さんは何もいわずにしっかり入りました。もしかして温泉達人系の方だったのかな?

なお湯から上がったあと女将さん?に「ここのお湯はなかなか熱いですね」と申し上げると、「それを求めてやってくるお客さんも多いのであえて熱めのままのお湯にしています。熱ければ水を入れても全然構いませんよ」という、



というわけで湯上がりの汗を拭きつつ(扇風機のパワーを大いに借りつつ)くつろいだところで夕ごはんタイムとなりました。山の中の宿ですが実は海(日本海)からはほど近く、そして旧熊石町となれば「アレ」でしょというわけで、この日の予約時には‥







あわびがじわじわ踊るだけの何の変哲もない動画です。


以前熊石のアワビ養殖場で、ある意味無理に(苦笑)その場で剥いてもらって生アワビを食べたことがあります(その時のページはこちら)。おそらくはあそこで育てられたアワビなのだろうとは思いますが、それでも立派に育った蝦夷アワビをたっぷりタンノーいたしました。



四合瓶の地元酒を驕り、アワビをいただくシアワセといったら!



もう「悦楽園」というしかありません(あのね)。右上画像のいかソーメンに至っては「醤油を軽くかけ、ウニを溶かし込んでお召し上がり下さい」というとてつもないご案内が。えぇっとですね、そんなのもったいなくてほぼできませんでした(最後の最後にちょっとだけやった)。



その他にもいろいろいただきました。お隣のご家族連れ(ちなみに娘さんも大学生くらい)も同じプランでの予約だったようで、背中から「これ、アワビだよね、すっごい美味しい!」系の発言が。

人生を振り返ってみればアワビって、自分が24-25歳のNZワーキングホリデー当時に初めて食べたんじゃなかったかな(30年以上前です)。スチュワート島で大量に食べた時、「もうこんなに食べることは今後の人生でないかも知れない」と思いましたが、確かにねぇ。あの時は、


このページの記載を引用)。

という自己記録があります(確か20個以上/1日の喫食)。いっぷう変わった生き方をしてきたと思うこともある自分ですが(そういえば調理人として生きていく可能性もありました)、これはこれで面白かったかなと(ところで何故人生を振り返る?)。



夜になればアブ軍団も退散するのでゆっくりと露天風呂をタンノー、そしてアナログTVで東京オリンピックのマッチを観戦します(喫煙室)。もともと自分は直接観戦するつもりもなかったのですが(おしんこどんはチケットのリクエストを出したが全て敗退)、まさかこのような形で東京オリンピックを見ることになろうとは思いもしませんでした。これも一つの「歴史」となるのでしょうかねぇ(たぶん間違いなく)。



朝早い時間はアブもほぼおらず湯っくりできました。



朝ごはんもきっちりいただき(実に適量!)、このあとはなぜか再び太平洋(噴火湾)側へと戻ります。

【2021夏ページもくじへ】 【次へ】