Dune45という名の砂丘に登る。し、しかし!

 

絶好の展望のなか、150mの高さの砂丘に登る。靴を脱いで
裸足で歩く人が多かったが、実はごくまれにサソリもいるとかいないとか(^_^;

さて、バルーンのあと宿に戻ってのんびりした我々、翌日はいよいよナミブ砂漠の奥へと足を進めることに。ナミビアで一番の観光資源とされる(だからといって一番開発・俗化されているわけではないのだが)砂丘群、その中心となるのがSossusvlei(ソーサスフレイ)、そしてその手前にあるDune45なのだ。

Duneとは「砂丘」の意。従って「第45番砂丘」とでも訳すべきなのだろうこちらの砂丘だが、ゲートのあるSesriumから奥に進む道路(なぜかSesrium〜Sossusvlei手前の駐車場までは全線舗装)のすぐわきにあり、とても目立つ。砂の色はご覧の通りの赤茶色。ものの本によると、この砂は内陸のカラハリ地域の土壌がオレンジ川(ナミビアと南アの国境を流れる)によって海に運ばれ、それが海流で海岸に堆積したものだということらしい。300-500万年前のものだというからすごい。でもそんな起源などはどうでもいい。バカや煙と同族のTakema一行、ここまで来たんだ、さぁさ高いところに登らなきゃ。

しかし、アクシデントは突然起こった。下から100mほど登ったところで砂丘のエッジにまたがり、左上の写真を撮った。そう、そこまでは良かった。さて立ち上がろうと、ねじれた態勢のまま身体を伸ばしたとき、その地獄絵図は突然やってきたのだ。

ぐわっ@★◇●+▼×※△◎!!」

腰のあたりにピキーンと鋭い痛みが走った。激痛。立ち上がるどころか息すらできない。うぅーっ、うぅーっ。声にならない声おしんこどんに非常事態を宣言する。しばらくして、少しずつではあるがかろうじて息ができるようにはなった。でも動けない。その場にしばしうずくまる。なんてことだ、よりによってこんな場所でこんなこと=生まれて初めての激@腰痛になるとは。ギックリ腰を連想させるこの痛み(もっともギックリ腰説はおしんこどんによって一蹴されてしまった。「ただひねっただけでしょ」って)。腰痛持ちの方は「何だよ、そんなのしょっちゅうやってるよ」とお思いのことでしょうが、わたしゃ登山を20年やってきても腰関係の激痛には無縁だったんですよ。

しばしその場にて養生。そうっと手を取ってもらってようやく立ち上がることができた。動けるか?歩いてみる。一歩ごとにズズーンと太い針を刺すような痛みが走る。痛い。

しかしここで貧乏根性がまたもや頭をもたげた。「あと50mで頂上だよな。」痛い。確かに痛いがここまで来たんだ。「砂丘は逃げないよ、次回にしたら?」というようなきれいごと系の声も頭の片隅で聞こえないでもなかったが、貧乏神は「次回っていつの話だよ、もし次回があったとしてもホントにここにリベンジしに来る保証がどこにあるんだよ、ついでに言えば今日はこの後ソーサスフレイの砂丘登りもあるんだぜ、ここくらい登れなくちゃあっちなんか行けるはずもないだろ!」と、ありとあらゆる角度から「行け!」を強制するのである。

結局Takemaはそんな貧乏神の強制に従うことにした。小股で一歩一歩じっくりと登り始める。幸い腰のひねりを極力抑えれば激痛×半分くらいで歩けることがわかった(とはいっても、人類は腰をひねらなければ一歩も前に進めないのでありますが)。そして、亀の歩みの末にとりあえずの頂上へ。

 

なぜ正座しているかって?腰を曲げると痛いんですよ。
その一方でおしんこどんは「お控えなすって」のポーズ。夫をいたわりなさい。

この頂上からも、稜線は更に更に奥へと続いている。身体に重大な異変の起きたTakemaを捨て置き、おしんこどんは「じゃ、わたしはちょっと行ってくるわぁ」と歩いていってしまった(右の写真にマウスポインタをどうぞ)。はるか彼方でポーズをとりまくる彼女に対し、力なく、されど慎重に(腰に負担をかけぬように)シャッターを押していたTakemaなのであった(笑)。

話は変わって、ここナミブ砂漠には変わった生物がいるというのを聞いていた。たとえば「砂の暑さに耐えかね、足を空中に上げたままで静止するトカゲ」、これなんかはCMなどでご覧になった方も多いのでは?しかしTakemaはそのお姿を発見できず。おしんこどんは目撃したらしい。だったらその時呼んでくれ。で、もう一つは「身体についた霧の露を飲み水にする昆虫」。これは見た。というよりも、体感した。ん?体感とは?


このような虫がやってきた。たしか英名でOnymacris plana、和名ではゴミムシダマシ(一説には「サカダチゴミムシダマシ」とも。ほんとかな?)という虫、ゴミ虫の名の通り虫の死骸などを主な食料としているということです。しかし不思議なのは、こいつが砂丘の頂上にいるということ。もともと餌になる虫のいない砂丘の、しかも頂上にいて何が獲れるというんでしょ。歩きは上手というよりは達人の域で、特に下りなんかは人間が「いくぞぉっ!」って感じで一気に下っても追いつけないほどの素早さ。ということは、無理に砂丘の頂上まで上がってこなくてもいいのに。しかも砂丘の下には結構虫の死骸があったぞ。

まあそれはともかく、この彼らが頂上でうろうろしていた。「お、前にTVで見た昆虫だ!」ということで写真に撮りたいと思ったわけですね。しかしTakemaのレンズはオールマイティを売りとする28-300mm。しかし難点はある。接写ができないのですよ。マニュアルはもうどっかにいっちゃったのだけれど、たしか最小撮影距離は1.2mくらいだったような気がする(あ、これは前のTamron28-200mm=ホーチミンで盗難済みのデータだったかな)。したがって、こういう「動く虫を大きくビシッと撮影」するのはきわめて苦手なんですね(そのかわり、近くで撮ったら必ずや「撮影料」を要求してくる輩にはとっても有効なんですけれど)。というわけで、これ以上の接写は不可能でした。

で、こいつら(つがい?)は撮影者であるTakemaをめがけて近づいてくる。「お、これはシャッターチャ〜ンス」と思ってそのまま足を出したままにしていたら‥「ガブッ!」しっかり噛まれました(笑)。チクっとながら痛かったあ。考えてみればあたりまえの話で、彼らからすれば自分の身体についた水分を吸ってとりあえず生き残るより、目の前の「餌」である「血(または体液)」を吸う方がいいに決まってる。水は栄養ないけれど、体液はご飯だもん。というわけで、この段階で迂闊にもマウスオンに気付かなかった人は上の写真をクリックしてみてくださいね。その「痛っ!」の瞬間の画像がご覧になれます。

んなわけで、Dune45の頂上はこれにて終了。しかし!腰に爆弾状態のTakemaには、これより恐怖の下りという地獄が待ちかまえている… はずであった。どーなることやら。