- アイスランド2010夏 (15) いざ向かわんLandmannalaugar(ランドマンナロイガル)!-

さてタイトルの通りこの日の目的地(宿泊地)はLandmannalaugar(ランドマンナロイガル)という場所で、事前にキナ臭い大爆発の噂が絶えなかった「Katla火山」の北側に位置する山の中。標高は600m、アイスランドでは「ハイランド」に分類される場所です。またここに至る何本かのルートは全てダート路、それぞれのルートによって運転の難度は違いますが、どうせ最後には川渡り必須という、今回のレンタカー旅行の中でも一番「走行に気を遣う」箇所であり、それ故最低地上高が高い4WD車をレンタルしたわけなのでありました。

いずれにせよ少しでも早く到着するに越したことはないので、レンタカー屋で買った地図はあっても、それプラス「電脳お助け船=カーナビのルート選択」に頼るのが一番だろうと考え、目的地を入力してルート検索をかけます。すると、おお!地図には載っていないルートを選択してくれたではありませんか!しかもこのルート取りなら走行距離もかなり短縮されそうです(かなり南側に回り道するしかないと思っていたのでこれは嬉しかった)。というわけで、ナビの発する音声案内に従って進んでいくと‥

とある分岐を曲がると少ししてダートになりました。ふむふむ、地図にも載っていないような道なんだからダートはもちろんあり得るよな、でもそのための4WDなんだしと思いつつ車を進めていくと‥

でもこういう時って、「これまでの努力=せっかくここまで走ってきたんだから戻るのはモッタイナイ」というようなさもしい貧乏根性が顔をもたげるんですよね。しかも「技術の粋を集めて作られたカーナビ様が案内するんだから間違いないはずだ」というような高度成長期的な科学信仰も手伝って、「冷静に考えるとこの道は何だかあまりに変じゃないか?」という疑問を抱くことは一切ありませんでした。何だかTakemaは太平洋戦争末期の頃に「日本は精神力では米英を凌駕しているはずだからまだまだ勝機はある」という、全く根拠のない上層部大本営側の発表を「なるほど確かにそうだ」と疑いなく受け容れただろうタイプの人間のように思われます(苦笑)。

しかし実際はご覧の通り。大荒れ区間が終わったと思ったら手作りのゲート(横張ワイヤーあり)がわれわれの行く手を阻んでいたというわけです。最初は「家畜用のゲートかな?(この場合ゲートを開けた後元の状態に戻せば通行可)」とも思ったのですが、反対側に掲示されていた看板を見たところで(右上画像マウスオン)Takemaの科学万能主義意識が一気に揺らぎました(笑)。つまり、

というわけで「やっぱり戻ろう、急がば回れだ」ということにしたわけです。あとで確認してみたところ入りこんだのは2kmほどでしたが、やはり無理して入る道ではなかったみたい。遅ればせながらの好判断と、現代科学の限界を実感した次第です(このことってそんな大層な問題なのか?)。帰り道にあらためて見ると、最後の人家の先には砂利が山盛りになっていました。これは「この先進入不可」の意味だったのね。道理でそのあと一気に道が荒れたはずだ‥。

そんなわけで戻って回り道してみると、これまたダートとはいえ「制限速度80km/h」の標識のある「広くて立派な道」を走ることができました。やっぱり急がば回れ、先人の教訓を生かすも殺すも自分次第なのでありました。

このダートも長くは続かず数kmで一派な舗装路に。ただしアイスランドの地方路の場合「いつ何時(なんどき)いきなりダートに変わるかわからないので油断は大敵」です(リングロードのR1にだってダート区間がありますから=2010年現在)。

さてこのあとはしばし牧草地帯を走ったあと、内陸部の未利用地帯へと進みます。土地自体が利用されていないわけですからそこで生活を営む人家などあるはずもなく(というか火山灰土の土地ゆえ草木がほぼ生育しておらず生業を営むことはほぼ不可能)、ただ広大な平原を貫く舗装路を走るばかりなのです。

ちなみに右上画像の撮影時間は18:00。この時間でもチャリダーが元気に走っています。夏期に限定されているとは思いますが、アイスランドではチャリダーの姿をかなり多く見かけます。1990年代前半頃の北海道と同じくらいかな。複数人でのマスツーリング、そしてソロのツアラーもそれぞれ多いです。興味とやる気が関係しますので一概には言えませんが、ここ数年Takemaが北海道のキャンプ場で出会ったチャリダーってカナダ人のRobくんだったり韓国人のキーちゃんだったりで、そもそも日本人チャリダーと出会う機会がえらく少ない気がします。ま、バイクのライダーそのものが激減(&高年齢化)しているんで、バイク以上に体力勝負のチャリダーの場合はその傾向がより顕著なのでしょうが‥ナンダカサビシイ。

しかもこの国を走るチャリダー(その多くはヨーロッパ諸国から来ていますが)は「数十kmのダートをものともしない」のにぶったまげました。これについては後述します。

R32からR26へと進み、Hrauneyjar(クラウネイヤー)へ。ちなみにここに至るまでの数十km区間は人家すら数えるほどであり、ここが唯一の休憩及び給油のスポットです。しかしさすがに18:15ともなるとここに止まっているほとんどの車は「ここに宿泊」の様子で、建物内の従業員もも「お泊まり客最優先」で料理の準備をしているようでした。実はこの日は「お昼ご飯」も食べていなかった(というか食いっぱぐれた)んですが、まぁいいやLandmannalaugar(ランドマンナロイガル、以下「Land・・・」と略)での自炊夕食まで我慢しようっと。

ここからすぐ先にLandmannalaugar(ランドマンナロイガル)への分岐(F208)があります。そういえば休憩したHrauneyjar(クラウネイヤー)から出るところにヒッチハイカーが2人いたけれど、彼らはどこまで行こうとしていたのでしょう?まず間違いなくLand・・・だったかなという気がします。乗せてあげればよかったかな?(今更時既遅)。

さてF208分岐からLand・・・までは全線ダートで36kmほどあります。その道中はこんな感じ‥であればほぼ問題はないのですが(そこそこフラットに見えるでしょ?)、実際はかつての火山活動による火山弾落ちまくりの場所も多く、そのエリアでは大小さまざまの石ころだらけ、もちろん火山灰に埋もれていたりもするので乗り心地はかなり悪いです。というか、タイヤには決していい影響を与えないでしょう。とにかくこんなところでパンクしたらどうしようもないですから!(タイヤ交換くらいならTakemaでも出来ますが、その予備タイヤが空気圧までしっかりチェックされた上で貸し出されているかは甚だ心もとないです。アイスランドのみならず、予備タイヤの空気圧まで定期的にチェックしている会社なんて極東某国の大手レンタカーだけだなんて話を聞いたこともあります(笑)。

さてそんなこんなでダートを進んでいくと、おお、ここにもチャリダーが!(撮影時刻:19:00)。

まだ先は長いですし、Land・・・に近づくにつれて登り下りも多くなってくるのでかなり大変そうです。ガンバレーと応援しつつ追い越して後に残すは砂煙(ごめんね)。そしてずんずん進んでいくと「交差点」に差し掛かりました(右上画像)。とはいえ周辺には何もありません。草すらほとんど生えていません。すぐ上にも書きましたが、このエリアはまさに火山の噴出物に覆われた、いわば不毛の大地なのであります。しかしこの交差点から先に進むにつれて僅かながらも「緑の息吹き」が感じられるようになるのが不思議です。

ページ上方の画像でもそうでしたが、平地は不毛の大地に見えても山の斜面には僅かながら植物が着生していることがわかります。でもこれらは全て火山活動によりできた山ですので、ところどころにその痕跡を見ることもできます。左上画像はその山の1つですが、斜面途中にある突き出た岩はどう見ても溶岩が何かの理由で塔状に残った感じですよね(左上画像マウスオンで拡大)。われわれはこの岩をその形状から「サリーちゃんのお父さん岩」と名付けましたが、このネーミングが普遍的通称になることだけはありますまい(苦笑)。

まぁそんなこと波動砲でもいいとして(うわ、ちょっと無理ある作為的表現でゴメンナサイ)、そろそろ目的地Land・・・に到着です。この頃になると前方にキャンピングカーが数台列をなして進んでいくのが見えてきましたから、最後の難関である「川渡り」も、先行車両の「お手本」を見て学習したあとで安心して進めるかなとちょびっと安心(笑)。で、その様子は動画でお楽しみ下さいませ。
「F208経由でLand....手前の川渡りへ」

ちなみに2回目の川渡り直前にウォッシャー液を出した記憶が全然残っていないTakemaです。たぶん川渡りと「この車がどこまで頑張ってくれるのかくれないのか」のイメージがつかめずTakemaなりにキンチョーしていたのでしょう。何たってまだ実質的には借り出して2日目みたいなもんでしたから。この数日後になると「イケイケどんどん」になっちゃってたんですけれどね(もっともそういう時にこそ事故を起こすリスクが高まるので注意=自戒)。

ちなみに川渡りの手前の駐車場にも車が駐車されていましたが、そのうちの何台かは普通乗用車でした。F26からF208を南下してLand・・・に入る場合、川渡りは最後の部分だけですし、確かにここまでは普通乗用車でも来られると思います(なおこの翌日に通ったレイキャビク方面からのメインルート=F225には途中に川を連続して斜め横断する場所があります)。

この川渡りの向かい側にはLandmannalaugar(ランドマンナロイガル)のキャンプ場やHutほかの建物が見えており、実は歩行者専用(自転車も可能、バイクはどうなんでしょうか?=未確認)の橋が近くに架けられてもいるわけです。ただし。

つまり「Land・・側に2WDの乗用車は1台たりとも見かけず」、そして川渡りの手前駐車場にはそんな乗用車(数台)でやって来た人たちが無理をせずに駐車し、人力でテント等の荷物を運び出したというわけですね。

前の方のページにも書きましたが、川渡りを含む「Fロード(例:F206)」に進入する予定がある場合は4WD車をレンタルするのが鉄則です。そして「F」ロードの場合は常に天候の変化に気を配り臨機応変に行動予定を変更する必要も生じます。沢登りの経験がある方であれば晴天時と雨天時の水量の違いを文字通り身に染みて感じた経験があるでしょうが、車での川渡りの場合水深が一定限度を越えればすぐに渡れなくなります。その点で一番弱いのはエンジン設置位置(正しくはエアインテークの設置位置)が低い2WDの乗用車です。

アイスランドの現地情報を間違いなく日本人以上に収集しているはずと思われるヨーロッパ人旅行者、そんな彼らの借りている2WDレンタカーがほんの数台だけ、しかも川渡り手前の駐車場にだけ停められていたことを考えると、普通乗用車で川渡りした方々のネット情報は「この人が行ったときは条件が良かったので大丈夫だったが、自分たちが行く日に天気が荒れたら無理」という前提で読むべきだと思います。そしてこの国の天気は「晴れと曇りと雨が同時に来る」と言ってもいいほど目まぐるしく変わるのですから‥。

何だか妙に長い説明になってしまいましたが、到着は19:30を回っていました。まだまだ夕暮れまでにはたっぷり時間がありますが、まずはテントを立ててしまいましょう。

実はこのテント、まっさら新品のICIゴアライト(左上画像を見ると、フレームがビニール袋に収納されているあたりがいかにも新品系です)。Takemaの山岳用テントとしては5-6代目、ゴアライトだけでも3代目でして完全にお気に入り、山岳縦走用としてもバイクによるキャンプツーリング用としてもこのコンパクトさは捨てがたい魅力です。お値段が高いのはしょうがないですが、先代までを「減価償却ばっちりレベル」まで使い倒したわれわれですから、これからは登山用をも含めてどんどん使っていきたいと思うのであります。

テントを立てるとおしんこどんは「ちょとごめんね休憩するわ」というわけで寝袋にくるまっていきなり爆睡。で、Takemaがテント前に移動してきた石に座り込んでのんびりしていると、サイトの管理人さん(女性2人組)がやってきました。テント場代をお支払いし(おぼろげですが確か1000kr/人)、どこから来たのかを聞かれましたので「Japan」と答え、ついでに日本からの旅行者がどれくらいここを訪れるのかを聞いてみたら「Very Rare(ごく稀に来るくらい)」とのことでした。まぁ確かにそうかもしれん、ある種のチャレンジャーはもっとチャレンジングな地域に行きそうですし(笑)。

ちなみにざっと数えてみたところこの日のテントは約110張。ハイシーズンゆえの混雑だとは思いましたが、そもそもの敷地が広いので十分に問題なし。というか、われわれがテントを張った後も続々と川渡りをして入場する車多し。何時だと思っとんねん!(大笑)。



そんなわけで夕ごはん前にビールのおつまみとして‥日本から持参した「かにみそ」!かなり美味しかったですわ。



本格夕ごはんは‥アフリカでも食べた尾西のご飯とトマトスープ(茹でジャガイモ+マッシュ入り)。旨し!

いやこれでお腹も満足。あとはのんびり眠くなるまで‥といきたいところなのですがそうは問屋が卸しません!あ、最近は問屋さんを通さない直接取引とかがどんどん増えていますからこの言葉もやがて死語化するんでしょうか?いやそれはともかくとして左上画像のような「まさにチャリダー系」テントも気になります。しかし一番気になるのはやはり右上画像に見えている「湯けむり」ですよね。

ではでは夕食後、「木道の先にあるパラダイス」を目指してみましょう!
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