- 2015/8 キューバ旅行記(14) モアまでの悪路走破のあと、いきなりレールバスに遭遇するの巻 -



予期せずいきなりキューバでレールバスに出会ってびっくり(笑)。



朝になり屋上へ上がってみると、少し離れた場所にトラックバスが1台止まっており、そこに人々が吸い寄せられるように乗り込んでいくのが見えました。6:30発のモア行きのようですが、わずかにしか開口部がないところ、そしてそもそもトラックのサスペンションであること、さらにはここバラコアからモアまでが大荒れの道であることなどを考え合わせると、間違いなく「厳しい移動」となること必定かと?

右上画像のように外国人旅行者も乗り込んでいきましたが(左上画像マウスオン)、選択肢がないならともかくとして、もうこういう移動の旅はきついよなぁ(ジジイ化発言)。まぁ自分と同じような時期にキューバを安く(できるだけ公共交通機関利用で)旅行していた別のブロガーも「バラコア~モア間をトラックバスで移動するバックパッカーはかなりの猛者」と評していたわけで、今のわれわれは猛者振る舞いを好んでしたいわけでもないので同じ道をレンタカーで後追いするわけです。が、その前にまずは朝ごはんっ。



ええっと、貧相に見えますがちゃんと美味しい朝食でした。というかC/Pを考えればこちらのカサ・パリティクラルはいいですよ。ただし1月とかの冬の時期にはお湯が出ないとキビシイと思いますが(笑)。



そんなわけで出発前にお宿のご夫妻と(ただしご主人とはこの時が初対面みたいなものでしたが)。


さてそんなわけで8:40に出発です。今日のルートはざっとこんな感じで、440kmとは、たぶん今回の移動のなかでも一番長距離なんじゃないかな。しかも、ここバラコアからモアまでは複数の人から悪路との情報をいただいており、となると、「暗くなる前に目的地Niquero(ニケロ)まで到着できるのだろうか?」と思いっきり不安にもなっちゃうわけですが、まぁ自分が決めたコース取りだからねぇ(苦笑)。

ちなみに上記グーグルマップでは所要時間を「6時間1分」と表示しておりますが、はっきり言ってそんなの無理です。平均時速75km/h計算って何よ(笑)。ちなみに休憩時間等込み込みですが(トータルでせいぜい1時間)、実際には9時間半ほどかかったことを付け加えておきます(笑)。



バラコアの市街地は一方通行路が多く、GPSナビがなかったらどこでどう曲がればいいのかわからずに難渋するかも知れませんが、まぁ拙サイトをご覧の方がキューバに行かれるときは間違いなくスマホのGPSアプリを使われるでしょうから問題はないかなと(笑)。

道路端に何だか板みたいなのが直立しているなぁと思ったら、なんとビシタクシーの修理中でありました(右上画像マウスオン)。このあたりはまだ街中なのでいいのですが、町を出たらどんな道になってしまうのか?しかし、町を出てもしばらくはちゃんとした舗装道路が続きます。いきなり悪路になるわけではないようで一安心(でもいつかは必ず大荒れになるはずですが)。やがて‥




(ちゃんと椅子やテーブルまでセットされているところがニクイです。)



しかも、カルシウム成分が濃厚な土壌なのか、鍾乳洞でもないのに太い石柱群も!ちなみにこの庇の上部は平らになっていて(右上画像マウスオン)、どう考えても「地下水が豊富」だとは思われません。なのにどうしてこんな地形が成立したのでしょうか?地学のセンセに是非ともお教えいただきたい!

ちなみにこのあたりには放し飼いにされたニワトリがうろうろしているばかりでとっても静か。少なくとも「観光地」ではないようです(笑)。あ、放し飼いの豚もいたりしましたが、どこかに行っちゃったりしないのかなぁ?(左上画像マウスオン)。

さてこの先あたりから一気に路面状況が悪化します。ただのダートではありません。「その昔は舗装路だったが、その後のメンテナンスが行われていないためかえって面倒くさいことになっちゃってるロード」なのであります。下の短い動画を見てもらえればわかるかと。




アスファルトが綺麗に全部剥がれてくれていればかえって走りやすいんですが、それが放置されているがゆえに凸凹が生じまくっているというわけです。それと、そもそもの舗装時に「砂利を入れて整地したところにいきなりアスファルトを入れ単層舗装した」ようで、それじゃ剥がれやすいよなぁと。幹線道路であれば下舗装をするのが普通だと思うのですが‥まぁ今さらしょうがないか。

しかし、悪路区間はそう長いものでもなく、しかも途中からは地元の人たちなのか道路管理のお役人なのかわかりませんが穴に土砂を入れとりあえず埋めてくれていたのでだいぶ助かりました。



舗装もすっかり回復しスイスイと走っていたら、朝6:30発のモア行きトラックバスに追いついちゃいました。2時間ちょい前に出発したバスに追いつくって何だかわれながらスゴイ(笑)。いや、バスがスロー走行なだけなのでしょうが(サスの関係で乗用車並みのスピードで走れないこと必定でしょう)。

交通量は至って少なく、路面も良好になったことからスイスイと走っていくと(ただしいきなり悪くなる場所もあるので油断は禁物)‥





正面に見えてきたのは?よくわかりませんが、このあたりにはニッケル&コバルトを産出するMoa鉱山があるらしく、道路が赤くなったのはニッケル鉱石等を含む産出土絡み、で、正面の工場は精錬所なのかも知れません。このあと工場の写真を撮ろうとして停車したら、待機していた警備車両が一気にやってきて「No Photo!」と警告されましたので全貌を写した画像はないのですが、かなりの規模の工場でした。これって、公害とか健康被害は大丈夫なのかなぁ?(やましいことがなければ警告用車両を常時待機させておく必要もないでしょうが‥)。

道路脇には鉱石を取りだしたあとのスラグ(残土)なのでしょうか、大量の土砂が積み上げられており(左上画像マウスオン)、ふと陸前高田の土地かさ上げ事業を思い出してしまいました。

ちなみにここの鉱山はカナダ資本との合弁会社が運営しているそうで、年間でニッケルを32,000t、コバルトを3,400t生産しているのだとか。ついでにいえばキューバは隠れた鉱物資源国で、ニッケルの推定埋蔵量は世界第3位、コバルトは第5位。そのほかにもクロムやタングステンなどの資源なども豊富なのだということ。国交が回復したとはいえいまだ経済制裁等を続けているアメリカとの関係改善が進めば、一気に鉱山開発も進んでいくことになるのでしょう。公害には気をつけてね。



さて、どこがモアの中心部だかよくわからないながらとりあえずこんな彫像があるくらいだからこのあたりで休もうと思いガソリンスタンドそばの駐車場に車を止めました。さて到着時間を見ると‥



このバラコア~モア間約74kmの移動に何時間かかるかが出発前から一番気にかかるところだったので、この一番のアヤシイ区間を想定よりも早く抜けられて何よりでした。ちなみにグーグルマップよ、今検索してみたら「同区間の車での所要時分=ジャスト1時間」と表示しましたぞ。じぇったい無理ですので信用しないでください(まぁ現状では現地でネット接続はできませんが)。



バラコアからノンストップで運転してきたので、ちょっと冷たいものでもということでコーラ。なおGSの建物内にはなぜかUFOキャッチャーが設置されていましたが当然やっている人はなし。しまった、せっかくだからマシンをよく観察しておくべきだった、もしかしたら「日本から流れ流れて」やって来たのかもしれなかったのに(笑)。以前ラオスのビエンチャンの中央市場内にあったプリクラなんかは完全に日本の中古品だったものなぁ(左上画像マウスオン)。



ここからはしばらく州都のオルギン(Holguin)方面へと進みます(右上画像マウスオンで拡大)。しかしですねぇ、





まぁこの区間は州都への道とはいっても人口の少ないエリアだからと思えば当然のことなんですが、そもそも自動車の普及率が低いキューバですから、あとからふり返れば地方道はどこもこれと似たような感じではありました。今後どんなふうに変化していくのかなぁこの国は‥。



州境ではありませんが地域の境界と思われるモニュメントがあるところにちょっとした駐車スペースがあったのでちょっと休憩。快走路なのですが特に見どころもないし駐車帯もないので止まる場所もないわけです。このあたりから何だかエアコンの効きが悪くなってきたので、休憩中はエンジンを止めてドア開放(右上画像マウスオン)。結果的にはこれが良かったんですけれどね(謎笑)。いやぁ、それにしてもこの日は高温安定で風もなく暑かった!



ちょっとした集落も、基本的に牛馬がメインでした。



さてグアロ(Guaro)という町に入っていくと、踏切がありましたので「町だし、駅があるはずだからちょっと行ってみよう」というわけで左折して、駅に行ってみたわけですが‥右上画像をよーく見てみると、奥の方に車両が停まっているのが見えますよね。となれば、「鉄の血」が意味なくにわかに燃えたぎるというわけですよ(笑)。

そんなわけで、線路沿いにしつらえられた公園の通路を歩いていきます。なおベンチで休んだり談笑しておられた方々は東洋人が珍しいのか「オラー」と声をかけてきたり(かけてこない場合はこちらからかけました)、「チーノ!」(直接的な意味は「中国人!」で、これについてはおしんこどんが毎回「ハポネ(スorサ)!=日本人です!」と再確認しておりました。しかし現地の方々にとってみれば「チーノ=東洋人」という程度の認識だという話もあります。それはたとえばわれわれにとって「チュニジア人とアルジェリア人」の違いがわからないのと同じです)。

で、歩いていくと‥





レールバス。鉄道ファンでもない限りその名を聞いたこともない方も多いと思いますが、要は「バス等自動車の装備を最大限に利用した簡易ディーゼルカー」というところでしょうか。しかしまさかこんなところで現役レールバスを見られるとは!

というわけでさらに近づきまさにあと少しのところまで来たタイミングで‥






ん?でもこのあと、われわれが車を止めたあたり(駅)に止まったみたい?というわけで来た道をすたこらさっさと戻ります(「すたこらさっさ」というのも死語でしょうね)。で、‥



このページトップにもあった車両の撮影と相成ったわけです。しかし、両上画像を見ると気になることが。右上画像のフロントマスクは運転席の窓も大きいしバンパーにあたる部材も立派、さらに2灯のライトなんですが、左上画像はそのそれぞれが何ともお粗末なのです(エンジンがない分マスクがシンプルなのはしょうがないですが)。

窓の大きさとかはともかくとして、夜間走行の場合などやはりライトが1灯と2灯とでは全然明るさも違うはずですし、これはいったい?片側運転席車両?

ここで可能性として浮上したのが旧ソビエトの終点ループ方式でして、2013年にハバロフスクに行った際、片側にしか運転席のない車両を見た結果「ここもそれ?」と勘ぐったわけです(ハバロフスク関係のページはこちら)。

米グーグル社とて2015年現在ストリートビューの撮影車をキューバで走らせるわけにはいきませんが、キューバとて衛星画像のグーグルアースから逃れられるわけでもありません。しかしここグアロ駅の反対側(ちなみにこの駅が終点のようで、その先はいわゆる留置線)を最大拡大画像にしてもループ線はなさそうです(ループ線がそこそこ場所を取るのは当然なので衛星画像でも目視可能なはず)。

では「手作業でできるサイズのターンテーブルでも?」と考えて再び目を凝らしましたが(さすがに老眼が入ってきているのでメガネを外してディスプレイを凝視するというていたらく)、それもやっぱり確認できませんでした。しかしどこかに方向転換場所があるはずです。

この文章をタイプするにあたっていろいろ検索してみると(便利な時代ですなぁ)、このタイプのレールバスは今もキューバの各地を走っていることがわかりました。車両も似たような感じですから運行開始時期も同じ頃でしょう。で、その車内画像を見るとやはり片側にしか運転席がないのです(考えてみればレールバスは文字通り「レール上を走るバス」ですが、そもそもバスには前方にしか運転席がない!)。

で、キューバ国内のこちらのサイトには、われわれもこの旅行で訪問するトリニダ界隈で「思いがけず」レールバスに乗車した旨の記載があります。上記サイトの文章を読んでようやくわかりました。ん?そうか!



おそらくはこの終点における切り返しにもΔポイントがあるとみました!(留置線の線路脇には木々があるのでシンプルなΔポイントであれば上空からは見えないのです)。

なお駅まで戻ってきて上記実車を撮影したのはもちろんですが、実は留置線の先に「次の運行車両?」が見えているのを見逃さなかったTakemaです(上の車両はこのあと方向転換するはずですから)。でも、ズームをかけながらその車両を撮影した画像を見てそこそこびっくり。だって‥





ズーム画像なのでレールの歪みはより強調されて見えていると思うのですが、2014にボルネオ島内で乗ったサバ州立鉄道のテノム区間よりもはるかに歪んでいますよ(笑)。ちなみにその時のページ&乗車記はこちらです。



左上画像が駅なのですが、すでに多くのお客さんが集まってきており次の列車の発車もそう先ではないようです。あ、でも線路を斜め横から撮った右上画像でもかなり歪んでますね(苦笑)。それにしてもこの「バス」に乗ってみたかったなぁ(あの動いた時だけでも=200mくらいでしたが、あと3分くらい早くバスに到着した上でお願いすれば何とかなったかもしれない?)。

というわけで休憩終了。でもまだこの日の行程の1/3を過ぎたあたりなのでこのあともぐいぐいと進む‥はずが?

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