- 2015/8 キューバ旅行記(15) 車のトラブルを何とか解決した上でいざグランマ地方のニケロ(Niquero)へ -



歩いているときに見つけたこの標識は何?馬車専用?馬車も通るよ注意?なんだか輓馬(ばん馬)のように足の太い馬です(笑)。



そんなわけでずんずんと走っていきクエト(Cueto)の町へ。踏切(レールバスではなく本格鉄道線)を渡ったすぐ先でメインロードが右折になるのですが(そのあとすぐ左折)、左折すべき交差点の直進方向に駅が見えたのでちょっと立ち寄ってみました。

この路線はハバナとサンティアゴ・デ・クーバを結ぶ幹線ではなくいわゆるローカル線なのですが、小さいながら駅舎もあるし、何やらその手前には人物像まで?(右上画像マウスオン)。

この像のモデルとなった方ががどんな人物なのかは存じませんが(当然)、なぜか右手に持っているのはギターのハードケースだったりします。駅舎の壁にもギターと、この方とおぼしき人物が描かれていますから(左上画像マウスオン)おそらくここクエトが輩出した名士なのでしょうが、いろいろ検索してもやっぱり特定はできません。どういう人なんだろう?

ただ、列車に乗って小さな駅に帰ってきたとおぼしきこの方、そしてこの帽子にいでたち‥



そんな不思議な思いを抱きつつさらに先へと進みます。暑さのせいかますますエアコンの効きが悪くなってきまして、たまらず窓を開けてクールダウンを図りますがやっぱり暑いわ。と、ちょっとした集落内に小さなカフェテリアがありましたんで立ち寄ることに。



もちろんオープンスタイルですが、何とアイスクリームを売っていたのですかさず購入。気温が高いので溶ける早さとの勝負でしたが、よい休憩となりました。われわれにとっても、そして車にとっても。

実はこの直前に一度「温度警告灯」が点灯しまして(右上画像マウスオン)、これはおそらくラジエーターでの冷却がうまくいっていないんだろう、ということは冷却水の不足か?実際、ボンネットを開けて予備タンクを見ても何だかほとんど残っていなかったようですし(タンク底までは見ませんでしたが)。でもそれ以外の原因も考えられるわけで、GSか修理屋等があったら立ち寄ってみようと考えていたのです。

しかし、ここから先にはしばらく大きな町がありませんのでそれも期待薄、だましだまし走っていくしかなさそうです。



ところでこのあたりを走るローカルバスはたぶんほぼ100%が左上画像のトラックバスです。内部には座席こそ設置されているようですが乗り心地は推して知るべしなのと、この高い側壁を考えると座った状態では外の景色がわかりませんよね?皆さんどうやって降りる位置を確認しているのだろうと心配になります。

定期的にというわけではありませんでしたが、日陰があると右上画像のようにエンジンを止めて休憩したりもしました。幸いこのあとしばらくは警告表示が出ることもなくて助かりました。だって‥





サトウキビ畑の中をひたすら直進するわれらがフルーエンス号(あ、車名ね)、頼むぞ何とか行けるところまで行ってくれ‥もちろん理想はGSまで!間違ってもこんな畑のど真ん中でエンコしたりしないでくれよと祈るばかりでありました!

幸いなことに未舗装路とはいえ路面状態は良好で穴ぼこもほとんどありません(ま、交通量そのものが圧倒的に少ないですし)。ただ途中、やや幅広の川を渡るところだけは‥



昔の舗装絡みの大きな段差があったりしてちょっとヒヤリとしました。なお川はせき止められていて、子どもたちが水遊びに興じておりました。これって、大雨の後には道路が沈下橋状態になっちゃうんだろうなぁ、うんたぶんそうだ間違いない。



さらに進んでいくとようやく町が出てきました(ヒグアニ=Jiguani)。しかしGSもガレージも見あたりません。しかしここからはキューバの東西を結ぶメインロードを行くことになるのでGSくらいあるだろうし‥少なくともこの周辺きっての都市であるバヤモ(Bayamo)まで行けば間違いなくあるはず。多少楽観的になりつつ車を進めていったわけですが‥





まいったなぁと思いつつ、とにかくエンジンを止めてこれ以上の温度上昇を抑えます。エンジンを切ってもファンは回りっぱなし、数分経ってようやく止まる始末ですからかなり事態は悪化してきています。

この時点でバヤモまではあと10数kmと思われ、何とかそこまで保ってくれと祈りつつ、遠雷を聞きながらタバコをぷかりぷかり。そして再び車に乗り込んでエンジンスタート、よぉっし警告表示が消えたぁ!(嬉しかった)。

この日は折悪しく日曜日でしたが、たとえばモアのスタンドはちゃんと営業していたし、まぁ何とかなるはずと思いつつバヤモの街中へ。あ、GSの看板があったヨシ!‥あ、‥お休みなのね(悲)。しかしそこから少し行ったところに大きめのGSが絶賛営業中なのを発見!よぉっし神はわれわれを見捨てなかった!(笑)。



給油スペースに車を止めると当然店員さんがやってきたので、「水温計表示が高く警告表示が出るのでちょっとみてもらえないか、自分としてはラジエーターの水不足だと思う」と英語で説明するも、彼はスペイン語オンリーみたいでどこかへ行ってしまいました。そうだよなぁ、語学力ってこういういざというときにこそ必要というか「試される」んだよなぁなどと思っていたら、その彼が別の人を連れてきてくれました。

さて現れた方はGSの制服も着ていないし、たまたま併設のショップにでもおられた方なのか、それともGSの関係者なのかはわかりません。しかし流暢な(&聞き取りやすい)英語を話してくれるのでこれは助かりました。上記同様の説明をすると、「なるほどその可能性は高いね、ちょっとボンネットを開けてくれるかい?」。



「後ろから前からどうぞ♪」の図です。何言ってるかわからない人はいつものスルーでね。

「確かに予備タンクに冷却水が入っていないようなのでアグア(水)を補給してみよう。あ、ちょっと離れて、予備タンク内にも圧がかかっている可能性があるからね」と、メカに詳しそうな方で助かったぁ!自分だったら何の警戒もしなかっただろうしなぁ‥ん?今思ったんですが、この方ってもしかしてこちらのGSのオーナーさんだったりしたのかも。それだとメカに詳しいことも英語に流暢なことも説明がつきそうな気がしてきた(笑)。

タンクに水を満水にしたあと、「じゃ、エンジンスタートしてみてください」ということでキーを捻って始動してみると‥


(バックミュージックは例のリフォーム番組のアレでよろしくです)

運転席からそのことを伝えると、この方というかオーナー氏(仮称)がおっしゃるには‥



いやぁ助かったぁ!ちなみにこのあとはレンタカー返却に至るまで水温計はずっと中位安定、もちろん警告灯の点灯もなく、そして効きが悪くなっていたエアコンもバリバリにその機能を遺憾なく発揮し始めたのでありました!

しかしレンタカー屋よ、せめて最低限の整備というか確認くらいしてから貸し出してくれよなぁ。また今後キューバでレンタカー旅行をお考えの皆さま、借り出すときにボンネットを開けて冷却水の有無やオイル交換時期の確認、さらにはスペアタイヤの空気圧確認などを強くお勧めする次第です。今回は結果として問題なく終わりましたが、仮に途中でトラブルに見舞われた場合「旅が終わる、且つ後々面倒なことになる」こと必定ですからね。いやはやアブナカッタ‥

おっと、でもこれでこの日の行程がおしまいであるわけもありません。この日の目的地であるニケロ(Niquero)まではまだここから約140kmほどあるわけなのですから!でもヒヤヒヤとは無縁になったわけでよかったヨカッタ。



そんなわけでメインロードから分かれてグランマ地方へと南西方向に延びる4号線を進んでいきます。たまに日が差したりしましたが基本的には曇りか雨。幸いなことに「どっしゃー系」の大雨にやられることはありませんでした。まずはマンサニヨ(Manzanillo)を目指します。うわ、左上画像をよく見ると一番下に「LA HABANA 760km」とありますね。遠いなぁと思いつつ「さらに遠くなる方向」へと進んでいくわけです(笑)。

ちなみに道中の町中にあった道路沿いの植え込みはしっかりとソファーの形に刈り込まれており、町の人々の遊び心が如実に表れておりました(右上画像マウスオン)。



だいぶ進んできて、Media Lunaエリアに入るところで最後の休憩。地域境界にはほぼ間違いなくこのようなモニュメントがあるのがキューバらしいところ。ただの看板で済ませないのがこだわりなのでしょう。



そしてこの日の宿「Hotel Islazul Niquero」に到着!実は今回の旅行計画で最後まで悩んだのがこの日の宿でありまして、ここニケロ(Niquero)にはそもそも宿が少なく、数軒のカサ・パルティクラルもあるにはあるようですが、わずかに発見できた宿画像などを見るにどうも気乗りがしなかったのです。ハバナ市内を歩いていたときに「あれ、ここの家もカサ・パルティクラル登録しているんだ、でも‥ここにはあまり泊まりたくないな」と思ったりもしたのですが、それと似たような感じが画像から想像できてしまったので‥。

となるとホテル‥ですが、ここニケロにあるホテルはどうやらこの1軒だけ。どうやらHotel Islazulはキューバ国内のホテルチェーンのようで、検索してみるといろいろな場所に同名のホテルがあるのですが、何だか「華」を感じなかったのですよね。というわけで消去法の結果この宿にしたわけです。結果としてはそう悪くもなかったですし、いちおう朝食付きで£換算で20弱/2人だったので、かえってカサ・パルティクラルより安かったのですけれどね。

さて到着は17:30近かったのですが、チェックイン&最初に案内された部屋に水漏れがあったのでルームチェンジのリクエスト、でもって最初の部屋よりずいぶん広い部屋をあてがわれたのでOKとしました。そして荷物を置いたあとはさっそく夕ごはんを食べに宿の外へ。この町に入って宿に至るまでほとんど飲食店を目にしなかったので、食いっぱぐれ防止のためには早め行動が大切です。

しかし外国人観光客や地元富裕層を狙ったような「レストラン」は全然見つかりません。最初GPSナビアプリに表示されていたレストランマークをあてにして歩いていったのですが、レストランというよりは‥店内も暗くハエの数もすごかったのでパス(まぁハエはしょうがないことでしょうが)。

続いて方向を変えて歩いていくと、向こうからカメラを手にした白人夫婦が歩いてきました。これは間違いなく英語の通じる旅行者のはずというわけでどちらからともなく声を掛け合いました。以下そのイタリア人ご夫婦との会話。

Takema 「こんにちは、旅行者の方ですよね。この道の先に、どこかよさそうな感じのレストランとかはありましたか?」
ご夫婦 「自分たちもそれを目当てにけっこう先の方まで歩いていったんですけれどね、レストラン自体がまぁみごとに全然ないですよ。しょうがないから、ここからだと少し行った左側にあるピザ&パスタメニューのあるお店で食べました。地元民用のお店なので値段を考えたらホテルのレストランよりマシだろうと思いまして。」
Takema 「なるほど。で、そのお店の料理はどうでした?イタリア人として?
ご夫婦 「うーん、あれを『ピザ』とか『パスタ』と名乗ってほしくはないですね!(大笑)。」

聞けばやっぱりわれわれと同じ宿に泊まりなのだとか。というわけで、ここニケロは宿も食事もあまりに選択肢のない町なのでありました。ホテルで出会った旅行者然としたお客もこのイタリア人ご夫婦と自分たち以外にはいなかった気がするしなぁ。

さてご夫婦と別れたあとは、その食堂を目指す‥え、ナニコレ煙い中にも香ばしさを含むこのうっすら臭は?というわけで進んでいくと‥



何やらBBQでしょうか?でも何だかそれにしては大物。というわけで許可を得て近づいて見てみると‥







はい、ジュージュー系動画です(28秒)。

これ、美味しそうだなぁ‥。現在進行形で調理中というわけだし、もとより自分ら夫婦がこのご相伴に与るもっともらしい理由すらもないわけですから(笑)、これで食欲アドレナリンを満たした上で‥



こちらの「イタリアンレストラン」でございます!‥いやそういう説明には語弊があるかな。ここキューバがスペイン系文化の影響を受け継いでいる以上(というか、実はスペイン統治時代にキューバの先住民族は滅んでしまっています。詳しくはこちら)、現在のキューバにおけるピザ屋台等はイタリア文化の影響というよりはスペイン文化の延長線上にあるわけですから。

もちろんパスタ1つとっても、インドのカレーと日本のカレー、中国の拉麺(面)と日本のラーメンのように「ある料理が伝播地域で独自の進化」をあげたりもするわけですが‥さてここキューバはニケロ地元民御用達の料理はいかに?



さっそくピザを注文しようとしたら「今はない」とのことでパスタに(ちなみにこのお店では「スパゲッティ」と記載)。で、マンゴージュースとチョリソー入りスパゲッティを注文したところ出てきましたよ!まずはぱくり、そしてその印象は?以下に当時の日記記載を引用します。



うーん‥。CUP払いのお店でもこれまで美味しいごはんをいただいてきたんですが(ここここ)、こちらのお店は何だか切なかったなぁ。親子連れも来ていましたが、日本だとこういうハレの場で「これ美味しいよお母さん!」的なはしゃぎぶりがあったりしてもおかしくないのですが、残念ながら親子揃って黙々と食べておられましたっけ。

いや、だからといって「美味しいものが食べられない」ことを不幸せだと決めつけるつもりは毛頭ありません。かえって「美味しいものを知ってしまったがゆえの不幸」もはっきり存在すると思います。その意味で「レストランなのだから美味しくて当然でしょ」という発想そのものが逆説的に精神的貧困の賜物なのかもしれませんしね(何だかタイプしていて切なくなりますが)。というわけでごちそうさま、夕ごはん終了です。



帰り道に見た豚丸焼きはまだぐるぐる中でした。左上画像のように歴史のありそうな建物もありましたが、そろそろ夕方なので宿の隣のビアガーデン?へ。生ビールもあるみたい?でも何だか勝手がわからず‥



缶ビールで乾杯。ちなみにキューバ国内でほぼどこでも買えるビールといえばこのバカネロとクリスタルなのですが、クリスタルはその名の通りサッパリ系&度数低めなので、Takemaはもっぱらバカネロばかり飲んでいたような気がします。

ベンチのすぐ脇にはマウンテンバイクが駐められていましたが、ここにもDIY(Do it yourself)系の味わいがありましたね(左上画像マウスオン)。まさか木製のそれを加工して設置しちゃうとは!それとも専用の部材?木製ゆえにあり得ない話でもないような‥(キューバですから何でも作っちゃいそうです)。

このあとは部屋に戻ってアメリカ映画を見ながらちびちび飲み。さて明日はカマグエイ(Camaguey)まで。気がつけば日程的にはもう後半戦なのね(キューバ滞在6泊目/全10泊)。

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