(あまり意味はありませんが上ロゴマウスオンで英語表記に変わります)

− 2013 カムチャッカ旅行記その15 アバチャ湾&スタリチコフ島をクルーズ&カレイ釣り!−



後半はご覧のように晴れたのですが、前半(アバチャ湾内)は雨こそなけれど曇ってました。

翌朝は早め朝食ということで、看板には7:30開店とありますが7:00朝食ということに。このホテルのCafeはホテルの部屋数を考えれば広くもないのですが、だいたい何とかなっていたような気もします(団体客が入っているときの夕食時だけ満員で入れなかったりしますが。

ちなみにこのホテルで無料の無線LAN電波が飛んでいるのはここだけで、客室はもちろんロビーも圏外です。だから食事時間以外でもPCやIPodを持ち込んで結構利用していました(連泊しているんで面が割れていて、機器を見せると何もオーダーせずに無料で利用できました。ただしとてつもなく遅いのだけは覚悟してください。ネット黎明期、ダイヤルアップ接続の時代を知っている人なら大丈夫ですが(あの頃=1990年代前半は、ネットに接続すると電話の着発信ができなかったんだよー!)。


この日の朝ごはんはご覧のとおり。パンをトーストする習慣がないのがちょっとサミシイです。なお左上画像の緑の紙が毎朝の食事クーポン券なのですが、どうせ毎朝夕に来るしもうお互いわかってるしというわけでこちらも油断したのか、なぜかいまだに手元に1枚残ってます。いや、お金は先払いしているわけだから無銭飲食というわけじゃないですけれどね(笑)。

さてこの朝はどんよりと曇っていて気温もひんやり系。この日は船に乗るというわけで長袖を着用、登山用の雨具も持参。結果的には雨具を着ることもなくてよかったんですが、いつもの通り運がいいとしか思えません(おしんこどんは防寒のために着てましたが)。

港で車を降りてみると、漁港ならではのあの有機的ニオイがプンプン。日本だけじゃなくて確かアイスランドでもやっぱり漁港はこのニオイだったなぁ。自分としては嫌いじゃないんですが。


で、どうやらスタンバイOKというわけで、この日同乗のお客さんとともに船へと向かいます。右上画像に写っているのがその船で、かなり小さいですが「小さい方が小回りもきくしいろいろとあるかも」というのはNZのミルフォードサウンドでも経験済みなので、あとは揺れなければ問題なしです(その「揺れなければ」というのが大きな付帯条件なのですが)。


そんなわけで出港です。最初はお客が一堂に会して「朝のお茶」という感じだったのですがその時の写真はなし。ただ、自己紹介でわかったのは参加者の皆さんの出身地域。それは‥

というわけで、CIS諸国外からの訪問客はわれわれだけってことですね(ドイツ人のご夫婦はモスクワ在住ってことでここでは除外)。でも、このご夫婦の奥さんがとにかく活発系で「あ、あそこにアザラシが頭を出した!(英語)」とか、とにかくこの船旅の中盤以降は船長以上にある意味中心人物でありました。

ただ出航後しばらくはアバチャ湾を進むだけなので、ここでターニャさんといろいろゆっくりお話をすることができました。ターニャさんのお父さんがベーリング海で船に乗り込んでいること、ご両親ともかつてのソビエト時代にそれぞれの「共和国」から移住してきたこと(ターニャさんは何度かお父さんの故郷に行ったことがあるのだそうな)。

また将来のビジョンとして「結婚して子どもが出来たら2年くらいは子育てに専念するつもりだがその後は仕事に復帰します」というのも旧社会主義国らしくて好感。もともと女性の社会進出についてはるかに日本より進んでいましたから、こちらでは「専業主婦」などという発想が生まれにくいのでしょう。

ただ一方で、現在のカムチャッカについての問題も話してくれました。それは‥

なるほどそれが現実なのですね。ターニャさんは子どもたちに日本語と英語を教えているそうですがおそらくそれもパートタイム、そして今回われわれのガイドとして就いている仕事も間違いなく臨時雇いなのであり、やっぱり大変なのでしょうね。

さてお天気はイマイチながら鏡面のようにほとんど波のないアバチャ湾内を進みます。と、あの巨大な煙突は何?と思って聞いてみたら(火力発電所だろうと思っていたのですが)、

とのこと。これも社会主義時代の産物だと思うのですが、冬になっても温かいお湯が供給されているという安心感は当時の国家に対する信頼感に直結していたんだと思います。そして体制は変わっても、今でもそれはあたりまえのはずであり、晩秋に進むにつれて「そろそろ灯油を買いに行かなくちゃいけないかな?」と思っている自分とは根本的に大きな違いがあると思うのです。

で、このあと日本からやって来たコンテナ船とすれ違いました。え、何で相手船が日本からやって来たとわかるかって?だってですね!




(右上画像マウスオンで拡大画像に変わります)

今もどんどんと日本の中古車はカムチャッカの地に向かっているというわけなのですね。うちの今のクルマ(スバルフォレスター)も、もうすぐ10年高年式バリバリで走行150,000km、でもちゃんとメンテしているので不具合なしだし4WDだしいつかはもしかして?(いや、今のところまだ乗るつもりですけれどね)。

アバチャ湾の対岸には「閉鎖都市ビリュチンスク」が見えています。外国人はもとよりロシア人でさえも立ち入りには許可がいるという人口31,000人(24,000人というデータも)の都市、そこにはロシア海軍の太平洋艦隊潜水艦基地があるのです。何隻かの原潜もここを母港としているらしく‥お、お願いですから事故だけは起こさないでくださいね。

ちなみにこの船ではターニャさん以外に言語コミュニケーションが取れないかと思っていたら、ドイツ人ご夫婦の奥さんが英語ペラペラでいろいろと話を聞くことができました。

その奥さんと話すと、何でも観光客が滅多に行かない村に行ってきただの、ヘリでクリル湖に行ってきただの何ともウラヤマシイ。「カムチャッカは物価が高いですね」と問いかけると、「その通り。同じロシアでもバイカル湖あたりだともっとずっと安いわよ」とのこと。へぇ、いつか行ってみたいです。でも考えてみればモンゴルに行ったときに北部のフブスグル湖に行きましたが(その時の旅行記はこちら)、あそこからバイカル湖って200kmくらいしか離れていないんですよね。ならば行ったも同然か?(笑)。

飛行機の窓からも見えた通称「三人姉妹の岩」は、ここに津波が来たときに、彼女らが身をもって湾の入口を塞ぎ湾内を守ったという、いかにも人間中心の伝承ストーリーが起源だとか。ただ、そういう言い伝えが残っているということは当然ここアバチャ湾にも津波は押し寄せ得るということでもあります。ターニャさんは「湾の入口が狭いから津波は勢いよく入ってこられない、だからこの街は津波は大丈夫」というが、湾口の一番狭いところでも幅3kmといいますから、行き場を失った水の塊が勢いを増して入ってくることは大いにあり得る話です。そのことをわれわれは知ってしまったのですから‥。

さて湾外から太平洋に出ると、湾内以上に波がなくてびっくりです。これでも外洋ですよ!というわけで真下を見てみると‥(右上画像マウスオン)、

さて漁船とおぼしき船(底引き網船?)を横目にしながら、目的地のスタリチコフ島が近づいてきました。で、この島に何があるのかといえば‥何もないというか、実は上陸すらできないんです。

というのも、この島は鳥獣保護区に指定されており上陸できるのは専門研究者のみ。そのためエトピリカやウミガラスなどの稀少鳥類がたくさん生息しているわけなのです。え、でもここまでほとんど鳥の姿を見なかったんだけれど?という皆さん、そうなんですここまではできるだけ鳥さんが写り込んでいない画像だったというわけで、ここからはいきますよーっ。で、まず最初にいろいろ考えさせられる画像から。



「あれは潜水艦です」とターニャさんから聞いていましたし、かなりの大型艦であることを考えれば原潜であることはたぶん間違いないでしょう。ひとたび事故を起こせばという点においては原発以上に危険な存在なので、ここに原潜の基地があるということはいわばカムチャッカが何とも危なっかしいバランスの上にあるともいう‥あ、それは今の日本の方がさらにナニなんですが。





懸命に浮上しようとするエトピリカ(かなり大変そうですね=左上画像)。ウミガラス(右上画像)が潜水の王者=平均で水深50mくらいまで潜水しちゃうということを聞いてびっくり。それってある意味「陸海空どこでもOK」ってことですよね。もしかして対応能力は地球最強かも(笑)。ちなみにウミガラスの潜水についてはこちらのページが詳しいです。

ちなみにスタリチコフ島には50種類の鳥類が棲息しているそうです。ついつい主要な鳥ばかり追ってしまいましたが、やっぱりすごいよなー。



火山造形のオルガンパイプ(柱状地形)。そのそれぞれに鳥たちの生活の場がありました。



右上画像が、「近づいてみたら左上画像のような岩だった」という日を待ちつつも、たぶんそんな日は来ないのかなとも(諦観)。




(上画像マウスオンで別画像に変わります)

船は微速前進で島を一周。途中、水中カメラを下ろして海中の様子を見せてくれたりもしましたが、昆布やらナニやらの海藻で「海の森」みたいになっているのかと思いきや、意外にも海底の石にはほとんど着生がなくむき出しの状態。何だか「海焼けしてるんじゃないの?」と思うほどでもありました。

魚もあまり多くは見られず、「これでこの大量の鳥たちの『食卓』になってるんだろうか?」とちょっと不思議。まぁ何とかなっているからこそこれだけ大量の鳥が集まっているわけですけれどね。ちなみにこの島周辺には約50種類の鳥たちが生息しているのだそうな。

と、ここで例のドイツ人の奥さんが何やら叫びました!彼女の指さす方向に目をこらしてみると‥




(上画像マウスオンで少し拡大します)


スタリチコフ島周辺はこんな感じです。鳥は実際にはもっと多く見えます。

それにしてもあの奥さんものすごく目がいい‥いや実はあのご夫婦だけバードウォッチング用双眼鏡を持ってきていたわけです。われわれも、時々動物サファリとかをしているんだから双眼鏡くらい買えばいいのですが、なぜか全然買いに行こうとしないのは不思議なところです(笑)。

島まで来たところで太陽が出るというのは、どう考えても晴れ女おしんこどんの面目躍如というところでしょうか。右上画像にマウスオンすると「仲むつまじい夫婦を演出」している画像に変わります。い、いや、別に仲が悪いわけではないので演出じゃないですが(笑)。

海から突き出た左下画像の岩は「全方向鳥さん住宅満室御礼モードとなっておりました。ちょっとズームして撮影してみたのですが(左下画像マウスオン)、さて写りこんでいる中にいったい何羽の鳥さん(ほとんどカモメ)がいるのでしょう?

あ、わたしも数えたわけじゃないので正解は聞かないでください(笑)。「とにかくたくさん」ということでご容赦を。

で、「お昼ご飯でーす」というわけで船尾の部屋に行ってみると‥うーん、予想通り鮭のスープですか。そろそろ飽きてるんですがこれがカムチャッカのソウルフードなのですから文句は言えません。まぁ船の上でお肉というのも必然性および整合性がないのでしょうがないかなと。

で、このあとは釣りタイムとなりました。海老の疑似餌で何が釣れるのかと思っていたら最初にドイツ人の旦那が「お、来た!」。何とカレイでありましたが結構な大型で40cm近かったんです。次に自分にもアタリがきて「よっしゃ!」と思ったんですが30-35cmで大きさではかないませんでした(下画像参照)。ちなみにカレイは引きがあまりないのでちょっと釣りとしての面白みは少ないかもしれません。でも簡単に釣れるんだからこれはこれでいいか(笑)。

ドイツ人の旦那さんはファーストヒットでご満悦。Takemaの釣り上げたのは‥(右上画像マウスオン)。案外遜色ないサイズのようにも見えますが、並べてみれば一目瞭然です(左上画像マウスオン)。

その一方でおしんこどんは結局「ボウズ=1匹も釣れなかった」でした。うーん、昨日はイワナとニジマスvsカワマスで負けましたが、今日は何とか面目躍如。で、乗船していた皆さん全員で約10匹くらい釣れました(だいたいの大きさを理解してもらうために右上画像マウスオン)。

ただわれわれを含めた全員がそうなんですが、「釣果を宿に持って帰っても自分では調理するキッチンがない」んですよね。そのことを知ってか知らずか(まず間違いなく前者)、これらの釣果は前日のニジマス同様船内のどこかに運ばれていきました。この翌日市場に運ばれたかも知れませんし、そうでなくともどこかのカム人の胃袋におさまったであろうことは想像に難くありません(笑)。

さてこのあとはさわやかな青空のもと快適なクルージングです。風はそこそこひんやりしているので皆さん長袖ですが、それでもゆったりしています(ところで寒さに強いロシアの皆さんなのになぜ厚着?釣りタイム終了後のTakemaはフリースを脱ぎ長袖の服を腕まくりしておりました)。

さてラクダ岩および「本格的に釣りだもんね」系の船(それぞれ両上画像マウスオン)を見たあと、ふと何かを取りに船尾に戻り再び前に戻ろうとすると、右上画像で何かを指さしていた船長さんが「後ろに戻れ」とジェスチャーで指示。その手にはゆでられて真っ赤になった花咲ガニが!まだセット前なので全体アナウンス前なのですよ。となれば‥

というわけで船首にいたおしんこどんに日本語で(当然ですが)「はよ船尾においで!」と声をかけました。

うふふほらほら、このアバチャ湾クルーズ船ではこのような「カニ食べ放題、ウニも出るからね」というお楽しみがあるのですよ。だからこそ前日のうちにキッコーマン醤油をわざわざ買い込んだわけですし(右上画像マウスオン)。

ただ、上画像を撮影しているうちに同乗の皆さんもアナウンスに従ってどんどんやってきました。まぁカニも追加されるだろうし‥と思っていたらその気配はなし。へ?3杯だけ?それじゃ争いに(後述)。それと、一番期待していたウニが一切出てくる気配を見せないんですけれどぉ!

(時間経過)

さてCIS(旧ソビエト連邦)諸国の皆さんは何でそんなにカニ食に淡泊なのでしょう?(鮭のスープは皆さんほとんど完食していたのに)。というのも、ほとんど全ての皆さんが「せいぜい足を一本食べただけで終了」してしまったのであります!

ひえー、こんなにプリプリのカニ肉、そしてカニ味噌なんですよ。これに手を出さないってわけが‥わかる理由も一部にありました。

まず第一に、「海水で茹でているので基本的に塩味濃いめ」だということ。ターニャさんが足一本だけで「お茶が飲みたくなりました」と退散したのもその意味ではわかる気がします。そして内陸の方々はそもそも蟹に対して日本人のような欲求がないということ(この食習慣欲求=可食イメージは大きいと思います。内陸のウズベキスタンからきた2人は食べに来ることもありませんでした)

で、で、でもですね!

もともと醤油をたらして食べるつもりが「すでに塩味あり」というわけでそのまま食べることになっただけですし、気がつけばわれわれを除く全員がカニ食終了、でも脚がそれぞれ何本かもがれているだけとなればカニ味噌もしゃぶりたい!というわけで‥

ええっと、同乗のとある方の食後のお皿が左上画像、そして右上がわれわれ2人の食べ終わったカニ殻でございます!(大笑)。じぇーんぶ食べきったもんね!

ちなみにあとで聞いた話ですが、このアバチャ湾−スタリチコフ島をめぐるツアーにも「お値段によるサービスの違い」があるらしく、特に日本人の団体ツアーの場合は船をチャーターすることから日本人向けに「カニを淡水で茹で、生ウニも出す」ということのようですが(もちろんその分がツアー料金に上乗せされる)、今回われわれはロシア人メインのツアーに参加した(するしかなかった)ことで、いわゆる「日本人向けおもてなし」サービスの恩恵に与ることができなかった&そのぶん安かったというわけです。

しかし塩茹での花咲ガニも悪くはなかったですよ(あんがい喉が渇くこともなかった)。たださすがに醤油を垂らすほどでもなかったので、せっかく前日に買い込んだキッコーマン醤油を使う機会はなく、結局旅の最後ターニャさんに引き取ってもらいました。開封前だから押しつけ系の失礼ではなかったと信じます(笑)。

さて2人だけでワシワシとカニ喰い修行に精を出し、ようやく食べ終わったあたりで船長さんがロシア語で「何だまだ食べてるんですか?船は今シャーマンの岩に来てますよ」というようなことを教えてくれました(いや実際はあとからターニャさんが教えてくれたんで、船長さんからの最初の発言内容は完全に想像系です)。

で、船室から外に出てみたら‥うーん。あんまり大したことないなぁ。三姉妹(兄弟)の岩じゃなくてこっちがどうして信仰の対象になり得るのかもちょっとわかりません。しかし観光の対象になっているのは間違いないらしく、アバチャ湾内のみを回るツアー船も来ていました(さすがにこちらよりはるかに小型船ですね)。なおここではコインを投げると云々という話が通用しているようなので、おしんこどんは「世界平和」、自分は「宝くじ」と唱えて終了。

さてそんなわけでPカムチャッキー港に戻ってきました。8:30-14:30、約6時間のカムチャッカクルーズはなかなか楽しかったですよ(でも生ウニは食べたかったなぁ)。

さ、海風に吹かれてちょっとべとついたはずのお肌を洗い流すとしたら‥温泉しかありません!しかもなかなかヨロシイ関係の湯使い&オプションなのであります!

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