- 2017夏 キルギス旅行編 その6 アルアラチャの山岳リゾートをタンノー -



実はこのページを完成させたあと、次ページを同一ファイル名のまま上書きするという大失態。トホホの再制作です。

さてアルアラチャ渓谷へは一旦ビシュケク郊外まで戻ってから再び山に入ることになります。その郊外の片側3車線道路や、建築中の中層ビルを見るに「うわぁキルギス経済回ってるなぁ」と羨ましい限りです(この日は日曜日ゆえ工事はお休み)。しかし気になるのが人口600万人、2016GDPが65.5億ドルのキルギスにおいてどこからこのお金が回ってくるのか?

どうやらそれは中国マネーの流入によるようです。あとの方のページで中国国境からこのビシュケクへ延びる道路はごく最近整備が終わったようで、それはそれはピカピカな快適道路でした(ただし崖の斜面や盛り土の法面部分などはただ削ったり土を盛ったままだったりするので、何年かあとには再整備が必要になる場所も出てくるような‥)。これがいわゆる「一帯一路バブル」でないことを望むばかりです。というかこの機を好機と捉えてうまく前に進んでいってほしいですキルギス。



渓谷を目指しているだから当然ですがどんどん山がちになっていきます。先ほどのアラメディンと同じく流れる川の色はしっかり白濁系。その一方で空気は乾燥しており、車の後部座席にて窓からの風で温泉タオルを乾かしていたら、到着前にほぼ完全に乾いちゃいましたっけ。途中のゲートで入域料を支払い(外国人だけでなくキルギス人も支払います)、さらに進んでいきます。

写真は撮らなかったのですが、このあたりの川沿いや木陰ではあちこちにBBQ等のデイキャンプにいそしむ方々がおられます。ビシュケクに住む皆さんのお手軽なリゾートエリアのようです。ちなみに車を降りたあと「スイカ割り」を行っているグループを見かけたのですが、帰り道にその場所を見てみたらスイカの破片とかも含めて全て持ち帰っていたようでした。散歩道にもゴミはほとんど見られず(皆無ではありませんでしたが、それは日本でもどこでも同じことでしょう)、キルギスの皆さんのアウトドアマナーは概して良いようです(嬉)。



最後はダート路を進み道路終点までやってきたら、あれまものすごい車の数。多くの方々はデイキャンプだと思いますが、やっぱり夏場の日曜日ともなるとかなりの混雑です。

で、ここからは渓谷沿いを歩いて見晴らしのいいところまで行きましょうということで、一般車通行止めの川沿い遊歩道を歩いて行きます。何だか上高地から徳沢、横尾へと進む道に似ています。でも目を山に向けると‥





いや別に上高地からの穂高連峰周辺の山々を下だととらえるつもりはありません。上高地には上高地の良さがあることはわかっていますので念のため(春夏秋冬全て訪問しています。冬の釜トンネルも何度も歩いています)。



途中でリスの姿を見つけてパチリ。ん?でもリスが口にしているのは‥残念ながらお菓子の包みビニールでした。ペロペロまではいいけれど、それごと食べちゃダメだよ。せっかくなら近くに美味しそうな実があるんだからこっちを食べなさいよと思いつつ、念のためわれわれがその実(右上画像マウスオン)を口にしてみると‥(あのね)。



とまぁ、リスの気持ちに成り代わり一瞬でペッペッと吐き出した次第です(苦笑)。



もう少し進んでいくと本流に架かる橋があったのでとりあえず記念写真でしょ(右上画像マウスオンでTakema画像に変わりますが変わり映えしません)。



でも橋の上から見る山々の姿はなかなかです。川岸にはヤナギランの群生もあってほっこり。

さてここからもう少し進んでいくと、この散歩道のメインエリアへと到着です。その展望はというと‥



先ほどの山はぐんと近くなり(ズームはしてますけれどね)、



そしてまさに上高地河童橋周辺をホーフツとさせる広河原!



さらには針葉樹林の林がお洒落アクセントとなってます!かなりアルプスチック!(行ったことないですが)。



さて沢まで降りていったおしんこどんによると(厳密にいえば計測したのは本流ではなく支沢でしたがまぁ似たようなものでしょう)、この日の水温は9.5度。この場所の気温が30度近かったことを考えれば十分に低い水温です。さすが氷河由来のグレイシャーミルク!

ただ一方で気になる発言も。ジャミラさんはここに6月にも来たそうなのですが、その時の川の水は透明だったのだとか。もちろんその時期ゆえ氷河が溶けるよりも前に残雪の雪解け水がじゃんじゃん流れていたのだとは思いますが、問題は「昔から夏はグレイシャーミルクだったのかどうか」というところです。

たとえば自分が知る限りNZはMt.Cook国立公園を流れる水は1989でも白濁していたと記憶&記録しています。しかしその一方で、2011訪問時、Mt.Seftonの東斜面に存在する氷河は小さくなってしまいましたし、Tasman Glacierの末端部はすっかり溶けて巨大な氷河湖に変貌していました(この件に関する該当ページはこちら)。

地球温暖化というものがあるとして(「ない」と断言してはばからない超大国大統領もいるようですが)、それが単純に平均気温や海面の上昇につながるだけでも大きな問題なのに、そこに「予測できない大きな気候変動」が加わるとすれば大変なことになります。ただ、科学者によるシュミレーションだけを鵜呑みにするのも正しいとは言いきれません。また「環境保護より経済だ雇用だ」という「目の前の現実」があるというのも難しいところです。



おしんこどんが足を水に浸けていられたのは2秒だけだったようです。

しかし不思議ですよねぇ、9.5度の水に2-3秒しか足を浸けられないという状況がある一方で、Takemaはかつて知床界隈で18.9度とはいえ某野湯に全身浴していましたっけ(左上画像マウスオン)。おしんこどんよりも明らかに水風呂系に弱いTakemaだったのに‥不思議です。

ちなみに現地では事前情報なしにこんなつぶやきをしていたことを思い出しました(笑)。


おバカなツイートですが、10件のイイネが付いているあたりに各氏の「温泉バカ一代」系思いが伝わってきます(笑)。

それではここで、ここまでの動画をダイジェストでご覧いただきます。



このあたりでしばらくのんびりし、あとは来た道を15分くらい戻ればおしまいだなー、いい景色だったよーと満足していたわけなのですが、遊歩道のスタートまで来たところでジャミラさんから予想外のご発言がっ!





ええっと、目指そうとするのはここから1.5km先にある英名「Broken Hearts」なのでありますが、この写真を撮っていたのはすでに16:30。日本の山であればこれから片道1時間のハイキングなど考えられません。ゆえにすっかり油断していたわけなのですが、「夕立」という気象がそもそも存在せず、しかも21:00でもまだ明るいこの時期のキルギスであれば十分に行動開始可能時間というわけなのですね。

しかも「軽いハイキング」という事前の案内であったのでTakema&おしんこどんの靴はスポーツサンダル(さすがに靴下は履いていましたが)とスニーカーのようなものでありました。そして目指すBroken Heartsの標高は2380m!この場所の標高が2140mでしたから標高差は240mあります。

まぁ荷物はないとはいえこりゃひと汗掻きそうだなと思いつつも、せっかくここまで来たのだしということでいざ「そこそこちゃんとしたハイキング」へと向かったわれわれでありました。



最初のうちはほぼ平坦な歩道です。デイキャンプにいそしむ方々も見えています。考えてみればこの方々も「日が長いからまだ片付けに入るには早すぎる」ということでくつろいでおられるのでしょう。やはり日本の夏とは感覚が違いますね。

それと、ちょっとびっくりしたのが「蚊やブヨ、アブ等のうざったい虫がほぼ皆無だった」こと。日本ではもちろんのこと、NZでもイギリスでも森のあたりにはサンドフライやらミッジやらが当然のようにいるのに‥うらやましい。



まだ樹林帯エリアではあっても季節柄花も咲いているのでジャミラさんに「あれは云々」などと話しながら余裕のお散歩です。実は右上画像のおしんこどん、「あれはトリカブトじゃないですか?猛毒ですよ」と説明していたわけなのです。この時は自分も「あの花の形はそうだな」と思っていたのですが、今さらながらに右上画像マウスオン画像を見直してみると、葉の形が違うみたいですね。




登っていくにつれていろいろの花々が姿を見せてくれました。ただ、徐々に登りがきつくなり息が切れ汗がどんどん出てきたのも事実。夕方近くとはいえ登るにつれて日陰がなくなりアブラレまくりでしたからねぇ。それと、予想外に「ジャミラさんの足が速い!」。さすがに20代と50代の違いをまざまざと感じましたよ(苦笑)。



途中、馬で楽々と降りてくる御仁とすれ違いました。ま、ここではともかくわれわれも旅行中盤戦に「馬力を利用させてもらう」計画を組み込んでいますからね、ここでは歩いて登りましょっと(謎笑)。



傾斜はきつくなりましたがそこそこ登ってきましたよ。



そんなわけでこの大岩こそが「Broken Hearts」展望台です!約55分で到着です。




(スポーツサンダルでここまで来たことがバレバレの画像です(苦笑))。

「Broken Hearts」。あくまで現地語を訳したと思われる英名ですが、要は「大きな岩(心臓)が大きく2つに割れている場所」ということのようで、キルギス国内にはもっと有名な同名の場所もあります(あとのページで出てくる予定)。

と、ここで思い出しましたが、新潟は佐渡金山の「道遊の割戸」もある意味「Broken Hearts」と名乗る権利も少しはありなのかなと。




こちらが旧佐渡金山の「道遊の割戸」です。詳しくはこちら

ただ、この「道遊の割戸」の場合は江戸時代から山を人力で削りに削ってこのような姿になったわけで、自然に割れたわけではないですから、語順が逆となった「Heart Broken」なのかもしれませんね(そうかな?)。

まぁそんなことはいいので話を進めましょう。アルアラチャのBroken Heartsの続きです。



岩の上はこんな感じで、展望台としてはかなり良いのですが休憩するにはちょっと斜面が急なんですよね。と思っていたら‥



大胆にもおしんこどんは岩のエッジ部分に足を引っかけて寝転がりました(笑)。この人は案外どこでも寝転がるわけで、以前、剣沢小屋前の広場端の石垣で寝転がっておりましたっけ(左上画像マウスオン)。今回はマジに寝たわけではないですが、剣沢の時は爆睡していたようですからねー(当然石垣から向こう側は崖になっているわけで‥)。

なおちょっとびっくりしたのが、この場所に蓋なしのゴミ箱があったことです。大型哺乳類としてユキヒョウが生息するこの界隈ですが、クマ系はいないとはいっても小動物は先ほどのリスも含めてたくさんいるでしょうに‥このごみ箱で大丈夫なんでしょうか?蓋を付けるか、いや、そもそも有人小屋があるわけでもないこのコースにごみ箱は必要ないように思うのですが‥。



支沢側には見える範囲に氷河こそありませんが、流れている川はやはり白濁しているので山陰に隠れた高山には氷河があるのでしょう(ちなみにこの登山道はこの先本格登山のBC(ベースキャンプ)となる小屋に続いているようです)。で、左上画像の乾いた山肌にも、よく見ると滝が落ちておりました(右上画像)。

そんなわけでこの展望台を降り始めたのは17:50くらいだったのですが、何と途中で「この時間に登ってきたお子さん連れ家族」とすれ違ってびっくり(笑)。まぁまだ日が暮れるまでには3時間くらいあるか‥。



下り坂はさすがに早くて登山口のロッジ(宿泊は自炊のみらしい?)まではほぼ30分で降りてきました。帰着時刻はほぼ18:00、なんだ、あんなに気持ちよかった展望台なのに今にして思えばあそこには15分くらいしかいなかったのね(大体そんなもんですわれわれの行動パターンって)。

それではこのミニハイキングをダイジェスト動画にて。





で、山をふり返りつつも里(というか首都)に戻るわけですが、右上画像、実にいい景色でした。集落自体は水の豊富な谷沿いに位置し、そのすぐ上には放牧のエリアを設置、さらに上はせいぜい小灌木しか生えることのできない山ゆえ手を付けず、おそらく飲料水の取水エリアになっているのかと。そしてさらに高い森林限界以上はもちろんそのまま。美しい風景です!

さてそんなわけでビシュケクに戻って夕ごはんといたしましょう。

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