− その2 漣・林・平治、そして鹿沢温泉 −

【漣温泉 のぞみの湯】

ま、まさかこんな所にシブい系の共同湯があるとは、訪問の前日まで知らなかったんです。驚いたぁ。すぐ脇の道路はそれこそこれまで何十回も通っていたはずなのに「この地区に温泉はないはずだ」と完全に油断しまくっていたわけで、いやぁ思いこみって恐ろしいことです。

ちなみにこの日は何とデジカメを忘れてきてしまい一瞬途方に暮れました。しかし、

と気づいてホッとした次第です。「ナニ言ってんの、そんなの当たり前でしょ?」とおっしゃるあなた、実はついこの前までTakemaの携帯にはカメラが付いていなかったのです(笑)。しかも、今の携帯に変えてからも付属カメラでの撮影は「お試し程度に」2-3枚撮ったことがあるだけでしたから、この時点では全然使い方も理解していなかったわけです。というわけで急いで何枚か撮りながら使い方を理解してと‥「よし、何とかなる(はずだ)!」と勝手に思いこんだところで撮影開始と相成りました。もっとも途中で「画質を落としすぎていた」ことに気づいたわけですけれど、まぁウェブサイトにアップするには問題なしということで‥(ちなみに携帯オンチのTakemaは、いまだに携帯メールを使いこなせません。なーに、しゃべれればいいんだって電話なんてものは!(やけくそ))。



湯小屋の前には何ともウッディな休憩所までありました。

さて、こちらは地下約600mからくみ上げた湯をさらに沸かしつつも掛け流すという何とも贅沢な使い方をしております。それでいて入浴料は何と100円(つい最近までは50円だったらしい)!何とも格安の共同湯なのであります。ちょうど居合わせたおじさんに「あのぉ、地域外の自分でも入ってよろしいですか?」と聞いたところ、「入浴料を払えばいいよ」ということでしたのでホッ。もしかして地元民専用だったら悲しいなぁと思っていましたのでよかったヨカッタ。

浴室内部の写真は先客の方に遠慮して撮りませんでしたが、ど真ん中に深めの浴槽がどどんと鎮座するシンプルなもの。もちろんシャワーなんてものはなく、身体を洗う湯も浴槽から汲むというシステムです。湯口のお湯を飲んで&匂いをかいでみたらきちんと硫黄臭。ふむ、この近くの温泉はあまり硫黄硫黄してないんですが、こりゃなかなかどうして貴重な湯かもしれんです。

このあと温泉以外の用事で行くところがあったのですが、おじさんに「この源泉を頭からかぶって上がるとすっきりするぞ!」といわれ、かぶりたい衝動を抑えるのに苦労しました(笑)。次回は絶対かぶり湯です!

ちなみに前出のおじさんいわく「ここはまだ仮設の建物だからなぁ」。ということは、そのうち本格的な施設になる可能性があるということでしょうか?何となくその可能性はあまり高くないのではないかと思いつつ(少し足を延ばせば温泉がたくさんあるエリアですからね)、と同時に「この建物ならではの雰囲気が捨てがたいと思うんだけれどなぁ」と旅行者系の勝手な思いを抱きつつこの共同湯をあとにしました。また立ち寄る可能性はかなり高そうです。



【林温泉 かたくりの湯】

八ッ場ダムの建設工事により、川原湯の周辺地域はその様相を大きく変えつつあります。現国道を走っている限りではあまりわかりませんが、住民の移転先となる地域の造成工事やら国道145号線の付け替え工事やら、とんでもない山の中で大きな工事が行われているのです。それにしてもさんざんすったもんだの挙げ句のこのダム、「ここまでやったけどやっぱり建設中止」なんてことにはならないんでしょうかね(中止したらこれまた大混乱となること必至でしょうが)。

それはさておき、そんな地域丸ごとの移転工事に伴う住民サービスということなのでしょう、これまでなかった場所にいくつかの共同湯が作られているという話は以前から聞き知っていました。もっともこの日はこの方面に来る予定がなかったので、というか思い切り気を抜いていてロードマップすら持ってこなかったTakema(いわんやカーナビなどという文明の利器にはますます縁もゆかりもありませんので)、そうなると、あとは僅かな記憶と(ただし細かな位置までは知らない)しらみつぶし大作戦しか方法は残されていません。

というわけで、この奥は何だ?と思われる場所にはどんどん車で入り込んでみました。中には工事用の道路脇にずずずぅっと「送湯管」が続いているところもあって、


(源泉からのこぼれ湯があったりしたら、もちろん「携帯湯船」登場でしょう!)

という新たな欲望に駆られたりもしましたが、まぁ今日はいいやと思い直した次第です。というかこの送湯管は何kmも続いてたんであきらめたんですけれど‥ちなみに天気も悪かったんで。

さて、目指すは何軒かある共同湯のうちの「林温泉」。実は温泉の名前もここしか思い出せなかったんです。しかし観光地でもない地区で地元住民用に作られた施設ですから一切の案内看板がない!となれば、道路を走りながら「あやしい」建物を一つ一つあたっていくしかないわけで(笑)。で、なかなかわかりにくい位置にあった(別の建物の裏側にあるもんだから)湯小屋を無事発見!



この共同湯ができた経緯が経緯だけに建物は新しいです。

「カラカラカラ‥」と引き戸を開くと、おお、誰も入っていません!というわけで脱衣場にある料金箱に300円也をチャリチャリ投入し、いざ(携帯とともに)浴室内へ。すると‥

「アブラ臭」。何のことだかわからない方も大勢(いや、圧倒的に多く)いらっしゃると思いますが、数ある温泉、白濁あり黒湯あり、食塩泉あり硫黄泉あり重曹泉ありと、見た目の色や泉質によって「好きなタイプの温泉」は人によって分かれることでしょう。その一基準としてあげられるのが「臭い」。硫化水素泉のあの「タマゴの腐ったような臭い」を好むか好まないかは人によって意見が大きく分かれることだと思いますが、それ以外の特徴的な臭いの種類の中にこの「アブラ臭」があるわけです。

イメージとしては石油に近い臭いですから、最初はあまりいい臭いとは思えませんが、これがまた慣れてくると何故だか「おお、アブラ臭!」と嬉しくなってしまうのが不思議なところ。とはいえ、その嬉しさの裏側には(特に自分の場合)「その希少性を喜んでいる」節が無いとはいえないような気もしますけれどね。もっとも臭いがアブラ系であっても、湯船に油膜がギラギラしているわけではありませんのでご安心下さい(笑)。

湯船はこの一帯に作られたいくつかの共同湯のデフォルトであるポリバスです。まぁ管理のことを考えればこれが一番楽なのかなと思う一方、この施設を作ったダム建設側の上層部の人たちが「共同湯の風情」というものを考慮していなかったことも読み取れてしまうような気もします。まぁ誤解かもしれませんけれど。

しばらく誰も入っていなかったらしく洗い場タイルはかなり乾いており、そしてこんこんと流し込まれる源泉によって湯船の温度は‥

という感じになっておりました。こりゃ体感で45度くらいあるぞ、しゃーない水を投入するかとも思いましたが、ちょっと待てしばらく誰も入ってないということはもしかしてというわけで湯を思い切りかき混ぜてみると‥ふむふむ、予想通り底の方はぬるくなってたわけですね。おかげで何とか「程よい熱めの湯」に入浴できましたわ。

千葉に戻ってきてから改めて調べてみたら、何とか残り二箇所の共同湯の場所も見当が付いたような?次回訪問時の宿題ですね。でもアブラ臭はここ林温泉だけとか?



【平治温泉】

いやはや参った、上記「漣温泉」もそうでしたがこの平治温泉も「まさかこんな場所にこんな湯小屋が!」と驚愕させられました。まぁ確かに、知らなきゃ絶対立ち入らないような場所なんですけれどね。



山ん中の細道ちょっとした小道の先にその湯小屋はひっそりと鎮座しておりましたです。

「平治温泉」という名前を聞いたときは、名前からして湯西川(栃木)の方なんじゃないか、やっぱり平家の落人がらみの名前なんだろうなと思っていたのですが、あにはからんや何と個人の名前を関した温泉名(というか通称)だったんですね。個人所有の湯を、平治さんが亡くなられたあと地域の人たちが共同で管理なさっているようです。こちらもまた無人の共同湯ですが、これまた「カラカラカラ‥」と引き戸を開けてみると‥





貼り紙には、揚湯ポンプ関連の寄付で10万円以上が集まったことへの感謝の言葉が綴られておりました。無人湯なのにすごい。

この日は日曜だったんですが、先ほどの林温泉に続いてここも貸し切りで湯っくり入れることに感謝しつついざ浴室へ。‥う、うむ!

とうとうと湯が(勢いよく)流し込まれています!基本的に透明な湯ですが、日によっては含有する炭酸の関係で白濁して見えることもあるのだそうです。この日は白濁状態ではありませんでしたが、いやぁちょっとぬるめの湯が気持ちいい心地よい!

「初めて撮ったぞ携帯動画 in 平治温泉」

最近の携帯ってすごいんですねぇ、動画まで撮れるとは知らなかったです(宝の持ち腐れともいう)。でも、保存形式が「Asf」(以前Takemaが使っていたが見切りをつけた形式)ってのはどうかなぁ。どうしても細切れになりやすいのに‥。

Wmv形式(変換しました)、783KB、17秒
しばらく湯っくりしていたら3人グループの男性陣が入ってきたので、十分堪能したTakemaはこれにて一人でおひらきっと。

さて、午後もそれなりに遅くなってきたので(とはいえ午後2時半頃だけど)、基本的に「暗くなる前に家に着く(&高速が本格渋滞になる前にそのエリアを通過する)のをモットーとしているTakemaはそろそろ帰らなきゃ。しかしせっかくなのでもう一つくらい入って帰ろうかなぁ。というわけで、以前入浴したことのある鹿沢温泉へ。



【鹿沢温泉 紅葉館】

実はこの鹿沢エリアには子供の頃から縁があるTakemaでして、少しくだったところにある新鹿沢温泉エリアには子供の頃から何度となく来ていたのであります。でも、「近すぎるとなかなか行かない」世の常というべきか、鹿沢の湯に入ったのはつい数年前でしたっけ。この時は他のお客さんもいてちょっとせわしなかったんで、「もし貸し切り湯状態なら」という勝手な条件付きで向かったわけです。

新鹿沢を過ぎたあたりから雨はその強さを増してきました。この日はとにかく天気がめまぐるしく変わった日で、晴れたり曇ったり土砂降りだったり、何だか不思議な日でしたなぁ。鹿沢温泉に着いた時=宿の写真を撮った時は小雨でしたが‥



何とこの約30秒後、一気の土砂降りとなりました(笑)。

「車から傘を出すよりとにかく宿まで走れ!」とのアドレナリン指令により玄関へ。‥うむ、よしよしお客の靴は見る限り一足もなし!しかしついでに玄関で声をかけても誰も出てこなーい!(笑)。勝手に上がって階段の上めがけて「すみませーん!」と呼んでみたらやっと気づいてもらえました。で、入浴料500円也を支払っていざ浴場へ。



この鄙び系が結構好きなんですよねぇ。ちなみにこの廊下を「一切ミシミシ音を立てずに」通過できたらすごいです。

お風呂は予想通り当然の助動詞貸し切りなるべし。よしよし、少なくともかれこれ1時間は誰も入っていない雰囲気です(ま、林温泉も平治温泉も同じような感じでしたが)。お湯は平治と同じく金気臭がある感じで、ここから引き湯している新鹿沢温泉でずっと昔から記憶しているお湯でした。

ちなみにここの温泉にも洗い用シャワーなるものはありませんが、打たせ湯があるので嬉しい限りです。あれ、お風呂セットを持参して乗り込んだのに何で身体を洗わなかったんだろう?(忘れてました)。

というわけで群馬の共同湯ミニ巡りはこれにて終了です。ふと考えついたことがありまして、実は新鹿沢は個人的にまだベースとして活用することができるわけで、案外夏などに「海外などにも、そして北の大地にも東北にも」足を延ばさず、ここをベースにして「周辺をしらみつぶしに」回るのもいいかなぁと。

ただ、もう少し「人間的に枯れてこないと」厳しいかもしれません(笑)。やっぱりまだまだいろいろと出かけたいもんねぇ。というか、近場の楽しみはもう少し先にとっておくべき?(あれま人生の「守り」に入ってますな(大笑))。



東御市側に下ったところの新参系お蕎麦屋さん。これで800円はどうかと思うがそば湯が絶品だったので「よし」です。

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