− その4 嬉しい地元御用達湯のあとは、屋上露天風呂ほかを堪能 −



ああっ、この湯はかなーり気に入りましたぞ。

さてそんなわけで高山にやってまいりました。さてしかし、「古い町並みこちら」系の看板もたくさん見かけたのですが、ついさっき「古い集落の風情」をタンノーした(観光客はわずか数組のみ)われわれとしては「町中はいいわ」とあっさりパスした次第です。そんなわけでさらに移動を開始したわけですが、ここで「ここまでの移動の軌跡」をちょっと地図上で見てみましょう。



一部に「高速を使ったのにそうじゃなく表示されている」ところもありますがお気になさらぬよう。

あくまで最終ゴールが奈良県中部であることを考えれば「かなりの遠回り」であることは一目瞭然です。しかしそれでも、着実にゴールに向かって近づいていることだけは確か?でありまして、このままR41号を南下していけば名古屋まではもうそう遠くもないのであります。しかし、「このまま素直に南下するとは思えないぞ」とお考えのあなた、そのご高察には心より頭が下がる次第であります(苦笑)。

さて、まずは豪雪地帯を通り抜けてきてすっかり身体も冷えましたんで(もっとも五箇山を歩き回っただけで、あとはずっと車の中でしたが細かなことは言いっこなしでヨロシク哀愁(古))、そろそろ温泉でぬくまって来ましょうかね。

そんなわけで高山市の旧丹生川村折敷地(おしきじ)にある「荒城(あらき)温泉 恵比須之湯」へと向かいます。ちなみに、平成の大合併により高山市はとてつもなく広大な市となったようで、今や岐阜県の面積の20%が高山市なのだとか(そのかわり総人口は10万人に届かないそうです)。

様々な事業の効率化を考えてのことでしたが、住民にとっては必ずしもいい話ばかりではないようで(というかこういう場合あまりいい話は聞こえてこないのが常ですが)、この日の夜はそんなお話の片鱗を聞くこともありました(後述します)。

さてこの恵比須之湯ですが、Takemaが使っている「ツーリングマップル2008」には載っていなかったので、地図上に直接メモ書きをしておりました。「500円、加温かけ、茶にごり」。このメモを書き入れたのがいつだったのかは全く記憶がないですが、もうこの情報3点セットだけで十分ですね(笑)。

先客さんがおられたので最初はカメラを持ち込まなかったのですが、浴室の扉を開けた瞬間、「こ、これは何としてもカメラで撮りたい!」という気持ちが急速にフルモード満開となったのでありました!なぜなら‥



ここの温泉は平成17年開業ということですからまだ6年くらいしか経っていないはずなのに、すでに床は津軽の白馬龍神温泉というか秋田の矢立温泉の赤湯浴室状態ではありませんか!ちなみにすでに表面は研磨機で削られている状態ですので、こりゃまー何とも成分が濃いぞぉ!

そんなわけで浴室の先客さんがお1人になったところで撮影のご了承をいただいて撮ったのが上画像ほかというわけです。ちなみに奥の浴室の露天?には他に3名ほどおられたのでそっちの湯船だけは撮れませんでした。ま、内風呂さえ撮影できれば十分に満足です!



ご覧のように薄茶みかん色の湯がなみなみと注がれています!



浴槽の縁もしっかりコテコテで、すでに縁の部分は浴槽内側に張り出し始めています(約1cm)。

ちなみに源泉は25.5度ということで当然加温しているわけですが、加温前の源泉は薄緑色系です(右上画像にマウスオンすると源泉浴槽画像に変わります。25度ということでTakemaはトライしなかったんですが、あとで聞いたらおしんこどんは果敢に入浴したそうです。くっそー負けた!)。ちなみに地元の方によれば温泉スタンドで購入した源泉を家で沸かすと一気に赤くなるということです。しかしこれだけ成分の濃そうな湯を家のお風呂で加温し続けたら内部の傷みも早そうだなぁ(いらぬ心配)。

なお泉質は含二酸化炭素-ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩泉で、成分総計は4,744mg。金気臭に鉄系うす塩味(ただし飲用許可のある湯ではありませんので念のため)。源泉は800m?奥から引き湯しているのだそうです。もちろん地元の方に大人気の温泉で、土曜日のやや早めの午後ではありましたが駐車場はほぼ満車、そしてわれわれの車を除く全車両(たぶん)が地元飛騨ナンバーでありました。いやぁここは来てよかったわ。

というわけでここからは奥飛騨へと向かいます。R41号南下で下呂温泉へはやっぱり向かわないのであります。というか、下呂温泉は行ったことはないものの断片的にイマイチ系情報を聞くことが多いので、「イイ情報」が耳に入ってこない限り触手は伸びないような気もします。それに岐阜県は今回の恵比須之湯に限らずまだまだ興味深い湯が多いので、もっと優先すべき場所が多いのです。ってあんまり調べてないけど(苦笑)。

さてしかし再び山あいに向かうに従いどんどん天候も悪化してきました(そうだろうとは思っていましたが)。五箇山界隈より降るペースはゆっくりでしたが、標高差のこともあり気温はやっぱり低いですね(平湯トンネル直前=右上画像)。道路は圧雪系路面だったので特に問題はなさそうでした。

さて平湯まで来たところで新穂高方面へ。ここからは結構な下り道ですがほとんど車の通行なし‥って、この日は土曜日だし、しかも飛び石ながら4連休中の真ん中なんですが、さすがに年末のこの時期に雪たっぷりのエリアをうろうろしている観光客は少ないですね。なお宿の予約はいずれも出発1-2日前に入れたんですが、結局満室で泊まれなかったのは前述の氷見の「民宿あおまさ」さんだけでしたっけ。この年末連休と年始の連休とは、スキー場近くを除いてはかなり狙い目時期といえるでしょう。

さて今宵のお宿は蒲田温泉の「宝岳館」さんであります。2日前に「トクー」で予約を入れましたが問題なくOK。で、宿への到着は16:00ちょっと前。まだ先客さんがほとんど到着していなかったようで、屋根付きの駐車場に入れさせていただきました(ラッキー)。



あとから来た車は宿の向かいの吹きさらし駐車場なのです。朝の除雪が面倒なんだよなぁ。

さて、ご覧のように「ちょっと懐かしい佇まい」の宝岳館さんですが(母屋は55年モノらしいです)、実はなかなか嬉しい設備があるのですね。それは‥

鉄筋コンクリート造の新館部分(上画像の左奥)の屋上あたりから何となく湯気らしきモノが立ちのぼっているのがわかるでしょうか?そう、あの部分に2つの露天湯があるというわけなのです。その他に「通常の露天風呂」もあり、これら3つの湯は貸し切り専用というわけです(もちろん男女別の内風呂もあります)。そんなわけで「いろいろな風情を楽しむのにはかなりヨロシイ宿ではないか?」ということでこちらに宿泊をお願いしたわけですね。

であれば当然!チェックイン後まずは屋上露天風呂に行っちゃいましょう!貸し切り中の札をかけ、脱衣場(暖房はないのでかなり寒い)でさっさと服を脱いで浴室へのドアを開けてみると‥



湯桶の裏側やステップに雪が付いているところを見ると、どうやらここしばらく誰も入っていなかったのかな?(ちなみに洗い場の脱衣場側も真っ白でした)。そんなわけでまずは入浴‥って、こんな時でも(いかに寒くても)、ちゃんと身体洗いと掛け湯はちゃんとしましょうね(どうも最近は「掛け湯することなくそのまま湯船にドボン」系の不逞の輩が増えているように思います。しかもTakemaと同年代以上の世代で‥)。



にょほー、湯に浸かってしまえばこっちのもんですわ。



時折、風で屋根の雪が舞い上げられても(左上画像)、この湯口さえあれば全てが解決!

ちなみにおしんこどんは近くに積もっていた雪を固めて「手足付きの雪ダルマ(矛盾した言い回しですが)」を作っておりました。でも設置場所が場所だけに、いつまで残ったことやら?(右上画像マウスオンで画像が変わります)。



空いていたのでお隣の「寝湯」に移動!ほらー床も真っ白でしょ(おしんこどん、また雪ダルマを作ったな)。

そしてさらに、今度は階下に移動して「いわゆる普通の露天風呂」も一気に制覇してしまいましょう!

建物の裏側へとつっかけサンダルで移動していくと、おお、男女別の脱衣場がありますね(ただし内部は混浴なのでここも貸し切りでの利用となります)。しかしここでなんともびっくらこきました。それは‥

足ふきマットの下などもつるつるになっていて、下手にちょっと勢いよく足を乗せようものならすってんころりん間違いなし!しかもマットの表面自体は特に濡れているわけでもないのですから油断しますよー(笑)。脱衣場を靴下履きで歩いても最初は滑るし、やがて体温で表面のうっすら氷が溶けると靴下が濡れてしまうというわけで‥うーん、何とかゴム系滑り止めの設置を願うところではありました。でもね、



ぬるめの露天風情は決して悪くはありませんから、ここは春から秋がやっぱりいいのでしょう。

どういえばどこかで似たような経験があったなーと思い出してみたら、福島は湯の花温泉の共同湯である「石湯」の朝一番がまさにこうだったことを思い出しました。あの時は棚に置いたメガネが滑り出したもんなー(笑)。

そんなわけで最後に内湯へとやって来ました。もちろんシャワーも設置されているのですが、これまたしばらく誰も湯に浸かった形跡がなかったので(もちろん湯汚れも皆無)、身体洗いも全て湯船の湯を使いました。絶対こっちの方が気持ちいいものね。



ここ宝岳館さんに限らずこの界隈の湯宿源泉は高温のため加水されています。でもやはり温まり度は真湯とは全く別物。

そんなわけで到着直後から駆け足で全ての宿湯制覇(笑)。これで心おきなくくつろぐことができます(貧乏性丸出し)。と、ここでお宿の紹介もしておきましょう。

玄関正面あたりはこんな感じで、帳場の脇にはただ一羽のカナリアが飼われていました。女将さんにはとても慣れていて、女将さんが声をかけるとその声かけ毎にちゃんとさえずりますからスゴイ(でもインコじゃないので言葉は発しません)。いろいろ聞いてみると最初は3羽飼っていたのが、さすがに山あいの地だけあってどこからか蛇が侵入してきて犠牲になってしまったのだとか(だから現在は洗濯バサミだったかで鳥かごの扉がロックされてます)。

そういえば実はこのあたりの目立たないところにまだ何か飼われてましたね。ハムスターだったかウズラだったか‥うーむ思い出せない(やっぱりそろそろ国内旅行もメモを取らないとダメかな?)。そうそう、それはともかくとして、こちらの女将さんがなかなか(いい意味で)お話好きの方でした!ふと下北半島は下風呂温泉の「北明館」の女将さんを思い出してしまいました。

そういえば、こんなお話もなさっておられましたっけ。
「この宿の母屋はもう建ててから55年経っているので、廊下などもギシギシいうところもあって、常連のお客さんには「ウチは『築55年の鶯(うぐいす)張り』だからね」なんて言ったりするんですよ。でも建物自体はまだまだ大丈夫。55年前の建物だからこそがっしりと丁寧に作られているんですよね。」
「ここ蒲田の温泉の中でもうちは昔からの住民なので、源泉についても自前源泉を含めて湯量が豊富なんですよ。そして源泉が熱いものだから加水はしているんですがそれでも使い切れなくて、特に夏場なんかは2/3くらいはそのまま川に流しちゃってますよ。源泉管理はこの界隈の宿の方と共同で行っていますが、やっぱり屋上露天風呂までやっていけるのは(分湯の関係上)ウチだけだと思います。
「水も山から引いている水を共同管理の簡易水道で使っているんですが美味しいですよ。よくいろいろなところで『名水』というところがありますけれど、うちに来ていただいているお客さんの中には『ああいうところの水は確かに名水なのかも知れないけれど、上流域まで全部管理されているわけじゃないからある種コワイですよね。こういう共同管理による簡易水道の水はその点安心できます』とおっしゃって下さいますよ」(ちなみに確かにおいしい水でして、30リットルほど持ち帰ってきました)
「ここは旧上宝村に属していますが、大合併で上宝村も高山市の行政区分に入ると同時に行政サービスもこれまでとは大きく変わったわけです。でも私たちにとっては『地域差を考えてくれない画一的な行政サービス』に対する不満もあるんですよ(この件についての詳細は部外者ゆえ差し控えますが、道路除雪頻度の減少による積雪期路面状況の悪化や、水道料金の請求方法変更に伴う近隣地区での負担増などについておっしゃっていました)。
「うちはあまりお客さんの前に出てあれやこれやしたりしないんで、お客さんもそれぞれのペースでのんびりして下さいね。常連さんも「この自由さがいいんだよ」っておっしゃる方が多いんです。バイクの常連さんとかも毎年いらっしゃいます。

ちなみに、たとえば布団も到着時にはすでに敷かれている方式です。これについては賛否両論あると思いますがTakema&おしんこどん的には大歓迎です。というか、「食事中に仲居さんが布団を敷きに来る」というやり方が本当にお客さんのニーズに適合しているのか、どなたか検証なさっていたりするのでしょうかね。食事前にも部屋でゴロンとしたい人や(あ、それはわれわれのことか(苦笑))、自分たちのいない時に部屋に入られるのを嫌がる人もいると思うのですが‥。

あ、Takema個人としては実は「部屋食」があまり好きではなかったりします。食べ終わってから布団が敷かれるまでのタイムラグがどうもあまり落ち着けなくて‥。さらに言えば「いろいろてんこ盛りの夕食」、あれも苦手なタイプです。何たって結婚直後におしんこどんに「夕食の品数と総量が多すぎるからを減らしてくれー」と頼んだくらいの小食系男子なので‥(笑)。

あれま話がかなりアンドロメダ方面にそれてしまったのですが、こちらの夕食はわれわれにとっての誉め言葉にあたる「常識的な量」でございました。そんなわけで適食に満足し、あとはお風呂に入って寝るだけです!

そして翌朝。朝一番で屋上露天風呂をタンノーしたわけですが、またもおしんこどん何やらトリさんやアサヒビールの屋上オブジェみたいな謎の物体ほかを作ってました(「雪だるまの上に載っているのはなに?」と聞いてみたら「バケツ!」ということでした)。

この日もお天気は小雪でありますが、雪国の冬なんだからまぁしょうがないですね。窓から外を見ていたら、道から一段下がった場所に何やら小屋が見えてます。もしやと思って聞いてみると、やはりあそこに自家源泉井があるのだとか。探索は‥いや、やめておきましょう(笑)。

豊富な源泉は玄関前の消雪にも利用されていますが、熱すぎるので山の水も流し込まれています。聞けばこの水も簡易水道の水ということで、せっかくなので汲ませていただくことに。車からポリタンを出してきて‥



ただいま給水中です!氷にしても透明部分が大きい=不純物が少ない、おいしい水でした。

さてそれではいよいよ奈良に向けてしゅぱぁつ!‥いや違った、今日中に奈良に行くわけではないので「最終ゴールである奈良を目指して」とりあえずしゅっぱぁつ!

しかし、なぜかこの日は「奈良から離れる方向」に移動なのであります(大笑)。さーてまずはどこに向かうのでしょう?
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