− その2 横向温泉「滝川屋旅館」に貸し切り宿泊っ!−
玄関正面には大岩がどどんと鎮座、かなりのインパクトです。
さてそんなわけで横向温泉へと向かうわれわれでありましたが、実はこの日は7月29日。今となっては「それがどうしたの?」と思う方もおられるかと思いますが、実はこの7/29.30の両日にわたり福島県(会津)や新潟県(魚沼)の周辺では前線の影響でとてつもない量の大雨が降っていたのです。只見では1時間に110mmもの豪雨となり、2008年に宿泊したことのある宮下温泉(三島町)の栄光館などにも避難指示が出され宿泊客と従業員全員が町民センターに避難したのだとか。
そしてその同じ日に同じ会津地域を移動していたわれわれですが、実際にはどのような影響があったかというと‥
あの豪雨がいかにピンポイント(会津西部&魚沼)で降っていたかを証明するかのように、湯野上から芦ノ牧、会津若松へと北上した時には時々強い雨が降るくらいであとは霧雨レベルか止んでいるかのレベル、そこから東部の猪苗代方面へと向かうにつれ、その雨もすっかり止んで路面も乾いた状態になっていたわけです。
それにしても、計画立案時点で今日の宿が予約できていなかったら「会津西部に足を延ばしていた可能性大」だと思うと‥われわれの運の強さというか日頃の行いの良さを改めて実感するしかありませんね♪
路面も乾いているし、日射しまで出てきましたよ♪山の上の方はガスが出ているようですが‥。
そんなわけでやってきました横向温泉。ここでは以前「中の湯旅館」のひんやり源泉浴を楽しんだことがあるんですが、今回はそちらではなくもう1軒の「滝川屋旅館」(下の湯)にお世話になるというわけです。
それぞれのお宿に続く専用道路を通っていきます。今日は滝川屋さん方面へGO。
そうして、いよいよやって来ましたよ本日のお宿っ!正面に見えるのは何と明治10年頃築の湯治棟なのだそうです。そもそも古くからの湯治場だったここ「下の湯」滝川屋さんですが、今は1日1組しかお客さんを受け入れていません。だから、このお宿に泊まれるというのは何とも僥倖のレベルなのであります(ま、そのぶんちょっとお高いですがそれはしょうがないことですんで)。
玄関正面に鎮座する大岩には驚かされますが、このあたりはもともと岩だらけの地盤なのだそうで、この岩も地上に出ているのは全体の1/3ほど、残りの部分は地中に埋まっているのだとか。何だか「地震には強そうな場所だな」と時期柄妙に安心してしまいます(笑)。
さて若女将に案内された本日のわれわれのお部屋は本館2階の「末廣」の間でありました。
二間続きの部屋+ゆったりとした広縁で、われわれにはまさに十分すぎるほどの広さです。というか入口側の部屋(この画像には写ってません)は結局通路としてしか使いませんでした(笑)。部屋にはすでに布団が敷かれてあり、おしんこどんにはあまりにも有り難い?(でも結局すぐには寝ませんでしたっけ)。
宿のすぐ下には小川が流れています。実はこの小川が源泉湧出と大きく関わっているというのは後述するとして、沢の本流は宿を回り込むようにして流れています。しかしこれは歴代の方々が長い時間と労力をかけて流れを変えた努力の結晶なのだそうで、本来の本流はこちらの小川だったらしい?
館内には湯治場時代に書かれた?掲示物がいくつか見られますが、右上画像の平面見取り図も歴史を感じさせてくれます。
古い成分分析および効能についての看板もあります。と、なぜか安達太良登山指標図が置かれていたりもしますが、ここから安達太良の頂上まではかなり遠そうだなぁ(笑)。
さぁてそれではそろそろ本日のセブンスターとでもいうべき「足元湧出自噴温泉」に行ってみましょうか!
浴室部分は大幅にリフォームの手が入っています。木をふんだんに使った造りなのでかなりいい雰囲気です。我が家の内壁も一部はこういう感じにすればよかったかなぁ(ちなみに我が家の壁や天井は全面的に珪藻土塗り)。
ちなみに右上画像のように通路部分に岩がはみ出しているのはご愛敬。というかこういうあたりにこの宿の「自然の地形を壊さない」姿勢がはっきり出ていますね、素晴らしい。ではでは、まずは女湯に行ってみましょう(「われわれだけの貸し切り」だから堂々と見に行かれるわけですよ念のため)。
脱衣場の壁にも大岩がその存在を誇示するかのごとくどどんと突き出ています。工事も大変だったろうなぁと思いつつ浴室へ。こぢんまりとした浴槽で、よく見ると成分の一部が薄い膜を作っておりました(右上画像マウスオン)。実際に入ってみると、沈殿していたモアモアがぬらりひょんと浮き上がってきましたが、これについては好みが分かれるところでしょうね(肝心なぬらりひょん画像を撮影し忘れたのは痛恨の極みであります)。
さーて、続いては男湯というか混浴湯へと行ってみましょう!
何かを出してどうするんですか(自己ツッコミ)。まぁそれはともかくとして、この湯船は前にも書いたように足元湧出源泉なので、いわゆる湯口(湯の流れ込み口)がありません(以前は上画像奥のお社部分からも流し込まれていたようですが現在はありません)。でも浴槽底は板敷きじゃないかとお思いのあなた、チッチッチ、まだまだですね(この場合「まだまだ」であるかないかについて大きな違いはなさそうですが)。よーし、出でよ防水カメラっ!
浴室内は全体としてやや暗めなので好感度、いや違った高感度モードにして撮影してみました。浴槽底をよく見ると‥四角というかひし形の穴が等間隔に開いています。この穴から源泉が浴槽内に供給されているというわけです。おそらくこの底板の下は岩盤なのでしょうが、岩盤むき出しの方が野趣という点ではまさっているにしても、浴槽内での危険度や維持管理の手間を考えれば板を張る方がいいでしょう。実際、ホントに湯ったりのんびりできましたしね。
【Movie】湯底からブクブクと‥
ちなみに泡が上がるときだけ源泉が上がってくるわけではなく、見えないながらも源泉は常時湧き上がっています。浴槽から常にオーバーフローしていますから間違いありません。で、そのお湯はといえばご覧の通りの無色透明湯で湯花等も一切なく、女湯とは微妙に別源泉なのかと思われます。
さて、この浴室の脇には小川から流し込まれた「池」があるのですが、もしやと思って聞いてみるとやはりそうでした。というのは、この池の水量によって地下水圧が変わるのだそうで、ここに池があるからこそ源泉が自噴できているのだとか。ちなみに「源泉の湧出エリアに手を加えてはならない」というのが代々受け継がれた「家訓」だということでした。女性浴室への通路に岩が出ているのもその「家訓」をしっかり守ったからなのでしょう。
なおその源泉ですが、東日本大震災のあと湯温が下がったままなのだそうです。体感で40度はないかな、39度くらいなのかなという感じでしたが、冬場はともかくとしてこの夏の時期にはこの湯温がサイコーでした。30分〜1時間浸かりっぱなしでもなーんも問題なし、まさに夏向きの湯です。もっとも脱衣場内の掲示には源泉は45度とありましたし(左上画像マウスオン)、秋から冬に向けて少しずつでも湯温が上昇してくれるといいですね。
そんなこんなで湯ったりのんびりしたあとは夕ご飯です。
怒涛の湯気は湯沸かしポットからなのでご安心下さい(笑)。さ、軽く飲みながら食べ始めましょ。
最初に出されたお膳はご覧の通り地場野菜中心。お肉は馬刺しのみでさっぱりしてます。グラタンも山芋だもんね。
右上画像の馬刺しやグラタンはもちろん作りたてを持ってきて下さるのですが、その度ごとに若女将さんからいろいろな話を伺いました。プライバシーに関わる部分も多いのであまり細かくは書けませんが、数年前までは自分が温泉宿の若女将になるとは考えてもいなかったということ、今は自分たち夫婦が一応宿のあれこれをやっているが、おばあちゃんから教わることがとても多いということ、そして「今の自分はこの暮らしが気に入っているということ」などなどをお話し下さいました。
ちなみに左上画像の左上にワラビの皿があったのでちょっと聞いてみると‥
えーっ、もうあと数日で8月なのにまだ採れるんですか!とびっくり系の自然反応をしたところ、「3日すると次のが出てきます、でも一株のうち一つでも葉を広げちゃうともう次のが出てこないんですよ、これで大丈夫って安心しちゃうのかな」。‥ふと「来年は大丈夫なのかな?」と不安にもなりましたが、考えてみれば全ての株の新芽を全部採りきることは明らかに不可能なのですから問題はないのでしょう(ちなみにこちらの宿の敷地は未確認ながら2万坪ほどあるらしいですので)。
ところで、7月末にもかかわらずテーブルの脇には炭火が熾されておりました。あったりまえのことですがもちろんそれは暖房用ではありません。そう、炭火BBQウェルカム!
やっほほーい!というわけで野菜とお肉をタンノーした次第です。実はこのあとお蕎麦と天ぷらが出てきたのですが、もうお腹いっぱいで‥いや出されたものを残すのはわれわれのポリシーに反するので全部食べましたよ。ただ、「写真撮らなきゃ」というウェブマスターの使命感はどこへやら、とにかく食べることに集中した結果撮るのをすっかり忘れてしまった次第です(笑)。
そんなわけで夕食後しばし、「湯船に浸かりながら腹ごなし」するのもええじゃないかということで(腹ごなしの役に立つのかどうか根拠はありませんが)長湯大作戦に入ったわれわれでありました。
おおーっ、夜の浴室もなかなかヨロシイ。ちなみに湯船周りはタイルではなく檜?の板が並べられています。
やっぱり高感度モードにすると綺麗に写りますね(左上画像)。通常モードで撮っていたら‥あ、おしんこどんが隣の湯船からVサイン乱入。
さんざん長湯をしたあと外に出てみたら天頂エリアに綺麗な星々が瞬いておりました。あー素晴らしい。もっともその後おしんこどんが出たときには「雲が出ていて全然見えなかった」ということですから運もあるのかなと。ちなみにこの時間にも西会津というか奥会津エリアではとてつもない雨が降っていたようですが。ではではおやすみなさーい。
朝ごはんは8時。山菜&鶏肉の入ったおこわが美味しく、おみやげにもいただきました。これで結構食いつないだということはあとのページでわかります(笑)。
そんなわけで滝川屋さんでのお泊まり終了!ほのぼのした時空間の流れを十二分にタンノーした次第です。そしてあのお湯!来てよかった‥。
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