− その7 焼肉ランチのあとは大路池、アカコッコ館、七島展望台へ −



離島にあるとは思えない淡水を湛える大路池。このあたりにはガスの滞留もなかったのか見事な緑の森が。

さて大路池への訪問の前にまずはお昼ごはんです。三池港の近くにも食堂はありましたが、もうちょっと別のお店はないかなとうろうろしているうちに坪田地区を通り抜けてしまい‥戻りつつ「あっちのお店か、いやいやこっちか」と悩んだ末に選んだのがこちら。



風の製で暖簾がまくり上がっていますが看板にあるとおり焼き肉屋さんです。最初お店の女性が出て来ないので「まさに開店休業か?」と思ったのですが、どうやら裏の方におられただけなのか無事入店。各テーブルの上にコンロが置かれており、当然ながら無煙ナントカとは無縁ですが、なぁーに東鳴子の焼肉屋さんだって同じです(笑)。というか、平日ということもあり先客さんなしでしたが。

ランチゆえ当然お酒不可というわけで焼肉定食ランチを注文*2(おしんこどんは飲んでもいいわけですが自粛したようです)。でも、目の前のコンロに火が入るとやっぱり飲みたくなるなぁ(誠心誠意理性の限りを尽くして抑止ね)。



で、出てきた焼肉定食ランチ。しまった御飯を少なめにというのを忘れてたTakemaでありましたが、まぁ大丈夫でした。小鉢の1つがひじきだったのが島らしいというべきなのでしょうが、そもそも焼肉定食に「三宅島らしさ」を求めること自体に無理があります(大笑)。



そんなわけでジュージューと美味しくいただきました。ちなみに宿帰着後に「お昼ごはんは坪田の京ちゃんで焼肉を食べた」と報告したら、「あそこは三宅島で一番美味しい焼肉屋さんです」というコメントが返ってきました。が‥



まぁ細かなことは言いっこなしということで(大人の対応)。で、このあとは坪田漁港へ特に大した意味もなく立ち寄ります。せっかくの穏やかな春の三宅島ですから行かれるところにはできるだけ行こうというスタンスです。


外海も穏やかでしたが、漁港内はそれにもまして実に穏やかな坪田漁港でした。前回(2013)の八丈島訪問時、洞輪沢温泉前の漁港がまさに同じような感じでのほほんとしていましたがあの時とまさに同じだったかなと(右上画像マウスオンで、くつろぐおしんこどん画像に変わります)。

引き続いて行ってみたのは長太郎池。と、駐車場までは問題なかったのですがそこから先は工事中で通行止め?



でも工事車両ほかの気配は一切なく、どうなってるの?という感じだったので歩いて行ってみると‥「どこを工事してるのさ?」という感じで問題なく長太郎池へ。どうやら工事はここから坪田漁港へ向かう海沿いの区間のようだったのですが、あのぉ、オフシーズンにも観光客は来るんですよ(苦笑)。もっともこのゲートは釣り関係車両用のものだったかも知れませんが。

ここ長太郎池は天然のプールのようなもので、島の360度が直接外海に面している中で数少ない「安全に泳げる場所」になっているそうです。まだ寒くて泳ぐどころの騒ぎじゃないですが(苦笑)。ちなみにこれと似たようなところで思い出すのが南北大東島の「似ているようで実は全然違う海岸沿いプール」です。



左は「沖縄海」(北大東島)、右は「海軍棒」(南大東島)です。詳しくは各リンクで(2013)。

ただ、長太郎池と南北大東島の各プールとにおける一番大きな違いは「天然であるか人工であるか」というところにあります。大東島の場合はそれぞれ開削して作ったプールであり、特に海軍棒の方はダイナマイトを使って開削したという豪快なものですからね。

でもいずれにせよ、そこには「目の前にある海とともに生きなければならない以上、海で泳げるようになることは必須である」という島の方々の願いがあったわけです。そういえばプールのない青ヶ島でも、子どもたちは旧港(港の奥)の岸壁から飛び降りて泳いでいるという話を聞きました(自分じゃおっとろしくて無理千万)。

さてさらにどんどん行きますよ。続いては三宅島随一の淡水湖である「大路池(たいろいけ)」へと向かいます。



淡水池ゆえ当然内陸にあるわけですが、そこへ向かう道路(途中から未舗装ですので念のため)の沿道は照葉樹林の緑が濃くて実にいい感じです。噴火後の火山ガスが島の南東側に位置する坪田地区を集中的に襲ったということはわかりましたが(北西の季節風の影響)、ここ大路池の周辺にはガスがほぼ来なかった or 木々を枯らすほどのガス濃度がなかったようです(池の上部斜面もかなり上部まで樹木の植生に問題なし)。



池には観光用のデッキが2箇所しつらえられており、自分たちが訪問したデッキは浮き桟橋の造作でしたからおそらくもう1つも同じ造りでしょう。この池の水は三宅島の水道水として利用されてもおり、特に2000年の噴火後に山の上部の保水力がガクンと落ちた現在では貴重な水源です。水面には鴨(オオバンという種類かな、越冬中のようです=右上画像マウスオン)がのんびりと泳いでいました。

なお島の方のブログによると「三宅島の水道は塩素臭いしぬるい」ということのようです。でも大丈夫?わが千葉県市川市の水はこれから夏に向けておそらくその数倍のパワーで着々と塩素臭くなりますし(利根川下流域の水を取水しているのですから当然)、時にはコケっぽい臭いもするような?それでも生きているわれわれであります(まぁここで生まれ育った自分だからしょうがないと思っていますが)。

さてこのあと近くにあった説明板を読んでいたら、どうやらこの時期は「ウラシマソウ」なる植物の花季なのだとか。ではどのあたりに群生があるのかといえば、まーさーにこのすぐ近く!というわけで周辺で目を凝らしてみると‥




(左上画像マウスオンで別株の拡大画像に変わります)

いやはやそれこそ数十もの株が「群生」しておりました。実際はもっとあるのでしょう(歩道沿いしか確認していませんので)。うーん、3月下旬の大路池に行くのならウラシマソウは見逃せません!

ちなみになぜウラシマソウというのかといえば、右上画像の花弁から上部に紐のようなものが伸びていますよね。で、左上画像に目を移せばその紐がぐぐーんと上部に伸びているのもわかると思います。もちろん最後の方では重力法則に従って垂れ下がるわけで、その光景が浦島太郎の釣り云々‥というわけです。

花の大きさは株によってかなり違い、したがって大きい釣り竿小さい釣り竿とさまざまです。なかなかよかったですよ。



照葉樹林の中を戻り、途中大路池を見下ろしつつ戻ります(つまり徒歩で訪問する場合は山越えルートとなるわけですので念のため)。再び都道側に戻り、三宅村のビジターセンター「アカコッコ館」を訪問します。




アカコッコとはスズメ属ツグミ科の鳥でここ伊豆諸島界隈に生息している留鳥のこと。島によって呼び名は違うようですが(八丈島では「コッコメ」らしい)、ここ三宅島でも主要な野鳥のようです。

ただ今回その姿を見ることはできませんでした。でも「アカコッコ」で画像検索してみると、前回(2013)八丈島末吉地区の集合住宅駐車場で間違いなく見ていたことが判明(笑)。当時おしんこどんと「スズメでもないしカラスでもないし?」と言い合いながらカメラを構えたところで逃げちゃったので画像はありませんけれど(笑)。

そんなわけで仕方がありません。アカコッコの姿を少しでも理解していただくべくわたくしTakemaが身をもってやってみました!(大笑)。





ま、賢明なる拙サイト読者諸氏であれば「へ、何が?Takema夫婦はどこでもこんな感じでしょ?」とお思いになった方‥何と失礼な大正解!(大笑)。年を追うごとに記載表現もおとなしくなってきているように思える拙サイトですが(特に今回の旅行記ではほとんどオヤジ系の表現ネタもなかったような)、妙に興がのればズビズバはっぱふみふみ系の意味なし芳一ルアンパバーン的表現も積極的に活用していくつもりですのでご安心下さい(何のこっちゃ))。

さて、ここアカコッコ館では館員の方から説明を受けたわけですが、その時のTakemaの質問に関する応答により「このあとの行程」が確定しました。ちなみにそれは‥



2015/3現在の三宅島には火口を中心に立ち入り禁止エリアが存在しており、実はその境界がこの環状林道というわけなのです(多分に便宜的な境界設定だとは思いますがわかりやすいのは事実)。

ただこの前日、港から宿への送迎車中でお宿のご主人が「行かれるかと思ったらある区間ではとんでもない状態でテンパりました」という話をなさっていたのも事実。となれば「どこまで行かれるのか」を正式に確認したいと思ったわけです。その結果、





アカコッコ館から一番近い上部接続林道は坪田林道だったのでそこから上がっていきますが、うーんこの道はまさに舗装林道そのもので狭く傾斜もきついです(今回お借りした車がステップワゴンだったのでパワー不足は感じませんでしたが、対向車が来ると場所によってはすれ違いに結構難渋しそうです)。ただある程度上部まで上がるとそこそこ待避スペースがありました。それと同時に、立ち枯れた木々が目立ってくるようになります。



環状林道との合流部から先は展望も開け、晴れている日(まさにこの日!)は絶好の好展望を楽しめます。ただし基本的にワインディング路なのでよそ見は車を止めてからが正解です。あ、御蔵島も見えてますね。

環状林道合流後さらに高度を上げていきますと、旧牧場エリアに入っていきます。さらに好展望になるのは嬉しい話ではありますが‥



ある一定高度から上の樹木は、あの椎取神社周辺の樹木と違い、完全に枯死してしまったようです(両上画像マウスオン)。一年草の植物はこれから夏に向けて緑を取り戻すのでしょうが、山体上部に生えていた木々も基本的に常緑樹だったはずなので、「いま緑の葉が見えていないということは‥」ということなのでしょう。



さらに上がっていくと、旧牧場の管理事務所だったと思われる廃墟に到着です。2000年の噴火前にはここからさらに上部へ延びる林道や施設がありましたが、ここから先は立ち入り禁止です。右上画像のような土のうを見るとついつい汚染土貯蔵土のうバッグとオーバーラップしてしまうのですが、こちらは純粋に「ここから先進入禁止」というだけのものなのでまだ気持ちが楽です。



噴火前の三宅村はこの中腹牧場エリアを新たな観光の目玉と策定しかなり力を入れて整備していたようですが、実際のところそれほどの集客は叶わずもてあましていたというのが実情のようです。そこに噴火があって、今ではその全ての施設が放棄されたままとなっています。噴火以前はこの界隈にテニスコートもあったのだとか(驚)。

右上画像の看板にも「牛さんランド」「馬さんランド」「ヤギさんランド」「カモさんランド」「ちびっこランド」等の区画が表示されておりました。ところで「ちびっこランド」だけはたぶん趣向が違うであろうことはともかくとして(笑)、それぞれのランドでそれぞれの動物が飼育されていたわけです。

何でこんなことにこだわるかといえば、2000年の全島避難時に避難できたのは人間だけなのです。わたしは別に変な偏向的動物愛護団体(青豆とか海犬とか)的な発想もありませんが、この場所では多くの飼育動物が住民の避難後にそのまま死んでいったようです。

やむを得なかったことではあります。だからこそ、ここで死んでいった多くの命、それは飼育動物のみに限らず、枯死してしまった山の樹木やそこで生きていた様々な生物、目に見えるか見えないかの違いも関係なく‥



まぁ、「宗教と政治の話はお酒が入っているときにやってはならない」というグローバル常識もありますから(その話自体全然グローバルでもありませんが)。いずれにせよこの界隈の廃墟群、そして何やらのセンサーが放つ定期的かつ無機的な電子音を耳にしていると、もしかしたらここで不思議な宗教的な思いを抱いてしまうのはわたしだけではないかも知れないと思った次第です。

さてそんな思いもそこそこに(あのね)、ここからは「七島展望台」へと上がっていきます(展望台は海側にせり上がった丘なので立ち入り禁止区域外、問題なく行かれます)。



うわーい広い!場所柄風はそこそこ吹いていましたが前日の阿古海岸沿いに比べたら屁みたいなもんです(笑)。



左上画像で遠くに見えている青い塔が先ほどのセンターハウス周辺です。目を海側に移せば三本岳もしっかり見えています。うーん、三宅島訪問の際この展望台訪問は必須だなと思った次第です(ただし荒天時は吹きっさらし=たぶん地獄絵図なので断念必須でもあります)。

夕方に近づいていたので影絵を楽しんでみましたが(左上画像マウスオン)、なぜかおしんこどんの頭部からVサインが出ております。もしかして地球調査のためにこの画像を見た宇宙生物は「地球人の女性は求愛時に顔から二本の触角を伸ばすのだろうか?」と誤解するかも知れません(遠大なる妄想)。

それにしても‥




(=これは「貴重な観光資源」だと思いますよ to 観光各位さま)

ちなみにこの画像がこのコンテンツ各ページの背景画像だったりします。島の外周道路沿いでは椎取神社界隈あたりでしか見られない木々の立ち枯れですが、環状林道の特に南側ではすぐ近くで見られます。そしてこの大規模な立ち枯れ風景は伊豆諸島の中でもここ三宅島だけのものなのです。

噴火災害を逆に利用するというのも(お金もかからないし)1つのアイデアのように思います。もちろん「復活する森」とのセットで(たった一度訪問しただけの旅行者が提案するのもおこがましいことですが‥)。

さてこの日の活動はまだ続くのですが、いい加減長くなってきたのでこの続きは次ページにて。

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